deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第67話 母

 月奪還作戦「ハネムーンラブ」が開始された。

 月奪還を目指す自由宇宙同盟軍艦隊を迎え撃つべく、ティターンズ・連邦艦隊は月衛星軌道上に艦隊を展開させた。

 ティターンズ・連邦軍は先のザーン戦役で大敗したとはいえ、自由宇宙同盟軍も主力が地球降下作戦に参加している上にザーン防衛にも戦力が割かれ、戦力比3対1、ルウムのザクのように圧倒的な隠し球でもなければ勝ち目は無い戦力差であった。

 それでも自由宇宙同盟軍提督ブライトは恐れることなく艦隊を前進させる。

 自由宇宙同盟軍横陣に対して地球連邦軍も横陣、戦力差を生かし真っ向から自由宇宙同盟軍を迎え撃つ気である。

 敵艦隊を見据えブライト提督は号令する。

「MS隊発進。MS隊発進後30秒間艦砲射撃で援護」

 各艦からアークマラサイ隊が発進されていく。先頭を切るのは戦闘部隊隊長を任されたクワトロ少佐/百式。

 対するティターンズ・地球連邦混合の月防衛艦隊からもハイザック、バーザム部隊が発進されていく。

 互いの激しい艦砲射撃を潜り抜け、両軍のMS部隊が激突する。だがエースの殆どが地球に降下している自由宇宙同盟軍MSは数の差を覆せないままに戦闘が進んでいく。

「ブライト提督、我が軍のMS隊押されています」

「敵MS隊にプレッシャーを掛ける。艦隊微速前進」

「了解。全艦前進」

 自由宇宙同盟軍艦隊は前進しつつ、自軍のMSを包囲しつつある敵MSの一角に艦砲射撃を加えていく。

 

「ジャマイカン提督、敵艦隊前進を始めMS隊の援護を開始した様子です」

「ふん、苦し紛れだな。

 先の戦役でまぐれ勝ちしたくらい調子に乗ってその程度の数で攻めてくるからそうなる。

 此方も艦隊前進しつつMSの第二陣を発進。一気に敵艦隊を殲滅する」

 月防衛艦隊は勝負の時と予備隊を投入した。対する自由宇宙同盟軍に予備隊はなかった。艦隊は必死の艦砲射撃でMS隊の第二陣に抵抗を試みる。

 

「ブライト提督、月防衛艦隊第二陣のMS部隊を出しつつ前進してきます」

「艦隊前進止め。艦首そのままに後退する。また敵MSに対抗するため各艦輪形陣に移行。

 弾幕の密度上げるぞ」

「了解。全艦艦首そのまま後退、予定通り輪形陣に移行」

 自由宇宙同盟軍は艦首を敵艦隊に向けたまま逆噴射で後退しつつMS隊に対抗するために輪形陣に移行していく。

 

「敵艦隊後退しつつ輪形陣に移行しています」

「無駄な足掻きを。

 ザーンのカリを返してやる。二度と歯向かえないようにここで徹底的に叩くぞ。

 全艦速度を上げて前進。敵艦隊に艦砲射撃を浴びせてやれ」

「了解。全艦前進しつつ各艦の判断で艦砲射撃開始」

 月防衛艦隊は自由宇宙同盟軍を逃がすものかと速度を上げて追撃を開始した。

 

「敵からのプレッシャーが上がったな」

「クワトロ少佐。敵の猛攻をこれ以上いなせません」

「耐えろ。ここで我々が崩れたら艦隊が食われるぞ」

 部下を叱咤しつつクワトロ/百式のビームがハイザックを貫く。クワトロは戦闘隊長として獅子奮迅の活躍をしているが、やはり百式というMSでは一機で戦局を引っ繰り返すには力不足であった。この場に相応しいMS、敢えて上げるならエゥーゴの依頼でアナハイムが極秘開発しているZZ級が必要であろう。

 

「あれが敵の大将だ。俺達で首を取って出世するぞ」

「おう」

 3機のハイザックカスタムがクワトロ/百式に狙いを定め襲い掛かる。

 一機がスナイパーライフルで二機の突撃を援護する。クワトロ/百式も狙撃を巧みに避けるが、その隙に二機のハイザックカスタムに挟まれた。

「その首貰った」

「出世だぜ」

 襲い掛かるハイザックカスタム。百式が被弾覚悟で避けようとしたとき、突然ハイザックカスタムの一機が爆散した。

「来たのか」

 クワトロは苦虫を潰したような顔で呟く。

 

 それは流麗なる白き鳥。

 白き鳥が羽ばたけば、白き飛沫が舞い上がり。

 不浄なる者達は訳も分からず爆散していく。

「なっ何が起きた」

「あの白いMSが何かしたのか?」

 キュベレイが戦場を駆け巡り、ファンネルがMSを仕留めていく。ハマーン/キュベレイはクワトロ/百式をその背に守る。

「来てくれたのか、ハマーン。助かった」

「無事だったのか良かった。

 シャアを虐める悪い子は、このハマーンが薙ぎ払ってやろう。

 シャアは安心して私の背中について来るがいい」

「おっおう」

 ハマーン/キュベレイとクワトロ/百式が敵部隊に突撃していく。当然敵部隊も数をいかして包囲殲滅しようとする。

「愚物共がシャアの花道は私が切り開く。

 薙ぎ払えええええっ」

 キュベレイを中心として螺旋状に広がっていたファンネルが、一斉射を放つ。

「どっどこから攻撃が」

「ぎゃあああ」

「ばっ馬鹿な」

 文字通り敵部隊は阿鼻叫喚、鎧袖一触で薙ぎ払われていく。

「やるな、ハマーン」

 シャアの褒め言葉にハマーンのキリリとした顔が綻ぶ。

(くっく、どうだ。このハマーンに母の愛を感じたかシャア。

 アムロに貰ったシャア攻略マニュアルその一、シャアはマザコンなので母親のように接しましょうとあったが、案外簡単だったな。

 いつの時代も母は強し。母とは強くなければならないのだ)

「シャアも私だけに頼ってないで頑張るがいい」

(そして子供の自立心を育てるのも忘れてはいけない)

「了解だ」

 ハマーン・クワトロのコンビが獅子奮迅の活躍をして行くのであった。

 

「ふはははっ押せ押せ」

 高笑いをするジャマイカンを閃光がフラッシュアップする。月防衛艦隊の左翼にいたサラミスが爆散したのだ。

「何事だ」

「敵です。艦隊規模。ミノフスキー粒子が濃い宙域に潜んでいたようです」

「馬鹿な今の自由宇宙同盟軍に伏兵ができるほどの余力は無いはず」

「光学望遠鏡による解析終了。

 艦種不明。ただ形状的にジオン公国の流れを汲むものと思われます」

「アクシズだと!

 奴らと自由宇宙同盟が手を結んでいたというのか!!! 我々は誘い込まれたというのか」

「アクシズ艦隊からMS部隊の発進を確認」

「MS隊を呼び戻せ。

 慌てるな多少囲まれても数はまだ此方の方が多い」

 これで月衛星軌道上の戦いはどちらが勝つか分からなくなったのであった。

 

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