deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第68話 鬼

「だっ大丈夫かな」

「落ち着きなさい」

 アナハイム本社秘密シェルターで落ち着かない様子のアルベルトをマーサが叱りつける。

 自由宇宙同盟軍を迎撃するためにティターンズ連邦占領軍が上がっていき重しがなくなったのを見計らってフォン・ブラウンやグラナダなどでレジスタンスによる一斉蜂起が発生していた。

『ちきしょう宇宙人が』

 市内に残っていたハイザックが恐怖に駆られレジスタンスに銃口を向ける。だが向けた瞬間メインカメラが吹っ飛び、足関節が砕かれ地面に倒れていく。

 ハイザックを囲むビルの屋上や物陰から対MSミサイルが一斉に襲い掛かったのだ。

「ズーンッ、ちきしょう。本部本部、市街への攻撃許可をこのままじゃ嬲り殺しに遭う」

 ハイザック部隊の隊長が部下が殺られ司令部に市街への攻撃許可を求める。こんな障害物だらけの場所で隠れた対MS用携帯ミサイルを持った歩兵に囲まれてはMSに勝ち目はない。

 MSの勝ち筋は見境無しで街を破壊するしかない。だが建前でも街を保護する立場の連邦では現場の独断では出来ないことであった。

『駄目だ許可できない』

『もはやこの街の占領は維持できない。だったら破壊した方がいいだろ』

『駄目だ許可できない』

 司令部からは冷たい却下の声しか返ってこない。

『ちきしょうーーーーーーーーーーーーーーー』

 ハイザック隊隊長の叫びと共に四方から飛んできた対MSミサイルでハイザックは躱しきれず擱座するのであった。

 

「へっへ、お前いい演技するじゃねえか」

「これでも元声優志望ですからね。この調子でティターンズの馬鹿共を混乱させてやりますよ」

 ハイザック隊隊長が連絡を取っていたはずの司令部は既にレジスタンスに占領されていたのであろうか?

 司令部には連邦軍やティターンズの制服を着た兵士が倒れていたり拘束されていたりするが、それを行っているのも連邦の制服を着た兵士であった。

 信望者。連邦内にいる自由惑星同盟に賛同する者達なのであった。明確に敵だったジオンを敵にした時と違い、英雄であるアムロが掲げる理想に共感する兵士は多く、連邦は一年戦争時と違い強固な一枚岩ではなかったのであった。これが重い連邦の腰を更に重くしていたのであった。もはや連邦はなし崩し的に崩壊して行くのかも知れない。

 

 同時多発的に一斉蜂起したレジスタンスの標的は港や占領軍基地、そしてアナハイムであった。

 レジスタンスはアナハイム工場や所有ビルなどに攻撃を仕掛け占領を行っていた。本来アナハイムには私設警備隊がいるのだが、そのアナハイム社員からも離反者が生まれる始末で、混乱は極め組織的な抵抗はできていなかった。

『こちらA班。MS工場占拠成功』

『B班。港施設の半分を占拠しました』

『D班。ティターンズの排除に成功』

 

「一時脱出しましょう」

「脱出ってどこへ? 港はもう使えないよ」

 マーサは悪化していく戦況に脱出を決意した。だがアルベルトが言うように港は既にレジスタンスに占領されている。ノコノコとアナハイムの重役面していったら怒りの市民にリンチされる可能性すらある。

「秘密の別荘があるわ。そこなら緊急脱出用の小型艇でも行けるわ。この今の状況は一時的よ。直ぐに連邦が盛り返して落ち着くわ」

 連邦に付くと決断した自分の賭けは間違っていないと信じてマーサは言う。

「分かった。じゃあ急いで行こう」

 コンコン

 アルベルトの必死の台詞に被さってノック音が響く。

「折角俺自ら尋ねに来たのに連れないじゃないか、月の女帝」

 そこには開かないはずのシェルターの扉を開けたアムロがいた。

「あっアムロ」

「どうやってここに?」

「人気者は辛いね。みんな喜んでここを教えてくれたよ」

 内通者だらけのアナハイム、ここを突きとめるのも苦ではなかった。

「それで私をどうする積もり?」

「率直に言って引退して貰いたい。

 具体的には株式の全譲渡」

「嫌だと言ったら?」

「できれば女性を手にかけたくないですが、戦場ではそうも言ってられない。現に女性パイロットの命も随分と奪った」

「それは戦場での話でしょ。英雄が・・・」

「俺の命を狙いましたよね」

 マーサの台詞を遮りアムロの目と銃口がマーサを見据える。

「大人しく従ってくれればビスト財団までお送りしますよ」

 

 戦場では鬼に会っては鬼を切り、仏に会っては仏を切る。

 アムロに躊躇いはない。

 マーサの返答や如何に?

 

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