連邦は一年戦争後は軍縮に走り自前の工廠を閉鎖し、アナハイムに生産を委託するようになっていた。もしアナハイムの生産力を失った場合は連邦は再び自前の工廠を稼働させなければならなくなり、その経済的負担は計り知れない。
連邦軍はアナハイムを切ることは現状出来ないのである。
アナハイムはアムロの手に落ちたが、フォンブラウンやグラダナでの戦闘は未だ続いていた。ゲリラに押される駐留軍ではあるが月衛星軌道上での戦闘の結果次第では再逆転の目はまだあった。戦線を縮小しつつ頑強に抵抗を続けていた。
「無理に押す必要は無い。艦隊戦の決着が付けば降伏するだろう。包囲をするに止めておけ」
「了解です若社長」
アムロシンパだったアナハイム警備部隊隊長、今はアムロの護衛部隊の隊長は返事をする。
「なら後は任せられるな」
「お任せ下さい。若社長は安全なシェルターに避難しておいて下さい。万が一にも流れ弾が来る可能性はあります」
ここは宇宙ミサイル一発でドームに穴が開けば真空の宇宙に放り出される。
「いえそれよりも行くところがある」
「なら私が護衛します」
「指揮を任せると言ったが」
「貴方の護衛より大事な仕事はありません。クワトロ大尉よりもくれぐれも一人にさせるなと言われています」
「分かったよ。なら付いてこい」
アムロはちょっとウザそうに諦めたように言うのであった。
「おい、俺達どうなるんだ?」
「俺達はエンジニアだぜ切られることはないだろう」
アムロの放送を聞いていた開発部の社員達は深刻そうに話をしていた。彼等は悪く言えばオタク、MSの開発が出来れば幸せで今回のクーデターなど全くの寝耳に水である。
その開発部の部屋のドアが前触れもなく開いた。
「優秀な者は優遇するさ」
「しゃっ社長」
エンジニア達は突然の来訪者に狼狽しつつも主任が真っ先に動いた。
「若社長お疲れ様でした」
主任にまでなった男、社交性は他の者より高く目端も効く。
「ああ」
「それでここにはどういったご用で?」
「あれは使えるのか?」
「現状で要求性能の90%を発揮できます」
ここが自分の出世の分水嶺と直感した主任は必死に売り込みをする。
「実戦は可能か?」
「現状でもそこいらのMSよりよほど高性能です」
主任は誇らしげに言い、主任の台詞に後ろの隊長はあちゃ~という顔をするが主任は全く気付いていない。所詮他より少し空気が読めるだけで海千山千の者達に比べれば空気を全く読めないに等しい。
「ならば試させて貰おう」
「分かりました。直ぐにテストパイロットを呼びます。なに腕は確かです。艦隊決戦ですかね。きっと勝利に貢献します」
「テストパイロットを呼び戻す必要は無い」
「しかし完全オートは我々の対抗部署の方で開発してまして」
「私が乗る」
「なるほど一年戦争の英雄に乗って頂けるなんて、えっええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
開発主任の絶叫が響き渡るのであった。
「どういうことだ? 月はどうなっている?」
「それが先程から駐留部隊からの連絡が途絶しました」
ジャマイカンの問い掛けにオペレーターは深刻そうに答える。
「月は落ちたというのか?」
「分かりませんが、どうしますかジャマイカン提督?」
「ええいっ落ち着け。
まずは目の前の艦隊だ。それさえ片付ければどうにでもなる」
「はっ。
!!!
月から何かが打ち上げられました。高速で此方に向かってきます」
ジャマイカンに返答したオペレーターは何かが近付いてくることに気付いた。
「なんだと!?」
「機種不明。新型です」
アナハイムから打ち上げれた新型MSはティターンズ艦隊の背後を取る。しかし幾ら背後を取ったとしても一機でどうなるという。
「打ち上げロケットパージ。
さあお披露目だ。
行くぞZZガンダム、RX-78の再来の力見せて貰おうか」
ロケットからパージされたZZガンダムがティターンズ艦隊に一機で殴り込むであった。