「英雄ジャマイカン提督が撃沈した」
「浮沈艦の異名を持つジャマイカン提督が」
「どんな負け戦でも生還したジャマイカン提督がやられた」
「逃げ上手のジャマイカンが殺られただと!!!」
「ゴキブリジャマイカンが死んだというのか」
どんな戦場でも生きて帰ることには定評のあったジャマイカンがやられたことによるティターンズ・連邦の将兵に与える心理的ショックは絶大だった。
「英雄が散ったというのか」
「浮沈艦ですら沈むのか」
「ジャマイカン提督ですら生還できないほどの激戦だというのか」
「逃げ足だけは速いジャマイカンですら逃げられない戦いだというのか」
「ゴキブリですら生き残れないのか」
兎に角ジャマイカンですら生き残れないという事実に兵士達は絶望した。
「い、いやだ~俺は死にたくない。降伏する」
「俺は逃げるぞ」
「ええい、取り乱すな。バラバラになればやられるぞ」
月防衛艦隊は殆ど健在であったが各部隊が勝手な行動を取り始める。後一押しで艦隊は瓦解するというところであった。
「何をやっているかーーーーーーーーー」
瓦解寸前の艦隊に一喝が轟いた。
「ヤザンが来てやったぞ。お前等戦えっーーーーーーーーー」
月防衛艦隊への援護部隊である。ジャマイカンに救援は拒否されたが、どうせジャマイカンではこうなるとシロッコが強攻して派遣したのだ。
ガディの艦隊本体から先行してハンブラビ部隊を中核にしたMS部隊がゲタに乗って向かってくる。本来なら自由宇宙同盟軍の背後を突くはずだったが、野獣の嗅覚でヤザンは進路を変更してアムロへ一直線に向かってくる。
ここでアムロを撃てば全てが終わる。ヤザンの嗅覚は間違っていない。
「応援が来た」
「なっなあ、あれエネルギー切れじゃないのか?」
「いやオーバーヒートだろ」
「敵の総大将を撃てば出世も思いのままじゃないか?」
「運が向いてきたんじゃないか」
「逃げる前に大将首を取るか」
応援が来たことで活力が戻った一部の目敏い奴らはアムロのZZが不具合を起こしていることにやっと気付き、出世に繋げようと動き出す。
「手柄は貰った」
「二階級昇進」
「これで俺も英雄だぜ」
ジャマイカンの護衛をしていたバーザムやハイザックの生き残りが獲物を見付けたハイエナのようにZZに一斉に襲い掛かる。
「やれやれ簡単には時間を稼がせてくれないか」
アムロは落ちついている。
「だがフルパワーは無理でも十分動ける」
ZZも目に火が灯り再起動を果たし、バーニアを噴かし自ら敵に向かっていく。
「向かってくるぞ」
「恐れるな。撃て撃てーーーーーーーーーー」
狂ったような火線がZZガンダムに向かって行くが、全身に設置された計32基のサブスラスターが火を噴き、ぬるぬると避けていく。
「ばっ化け物」
「失礼な」
まず一機すれ違いざまに輪切りにされる。
「くっくそーーーーーーーーーー」
ハイザックのザクマシンガンが火を噴くがZZの装甲はものともしない。逆にダブル・バルカンで蜂の巣にする。
「はっ鬼神だな。俺とも遊べよ」
「来たか」
振り返り様のビームサーベルの一撃をハンブラビのビームサーベルが受ける。直ぐさまZZはダブル・バルカンを放つがハンムラビもさっと躱して離れてつつウミヘビを放つ。放たれたウミヘビをZZは速攻で蹴り返す。
「噂以上の化け物だな。
だがそれでこそ燃える。
ラムサス、ダンケル、NT狩りだ」
蹴り返されたウミヘビを躱しつつ部下に招集を掛ける。
「意外だな。タイマン勝負が所望じゃないのか?」
「寝言を、ここは戦場だぜ」
「やっかいな戦闘狂だな」
真正面からのハンブラビの一撃を押し返せば、左右からビームが襲い掛かってくる。
「ちいっ反応が鈍い」
ビームが左肩に当たり肩の装甲を吹っ飛ばす。
「どうした伝説」
ヤザンの正面からの鋭いビームの一撃をビームサーベルで弾き返す。
爆散。
ZZの右手首が吹っ飛んだ。
「貰った」
「手柄は俺がーーー」
「二階級昇進んんんんんんんんんんんんんんんん」
チャンスとみて周りで様子見していたMSがハイエナの如く襲い掛かる。
「よせっ。お前等じゃ邪魔になる」
ヤザンが止める間もなかった。欲に駆られZZに群がるMSに向かってアムロは温存しておいた切り札ミサイルを全ぶっぱする。
カウンター気味になったミサイルに殆どのMSは回避行動をすることすら出来ずに突っ込んで行ってしまう。
爆発 爆発 爆発
爆炎に紛れハイザックが持っていたザクマシンガンを奪い取ったZZは横薙ぎの一斉射。
「ヤザン少佐~」
ラムサスのハンブラビが被弾、中破。
「よくもラムサスをーーーーーーーーーー」
怒りのダンケルであったが袈裟斬りを躱され膝蹴りを喰らう。
「ぐああああああ」
追撃のハイキックでモノアイが破損。
止めの回し蹴りで吹っ飛ばされていく。
流石のムーバブル、まるで人間のプロ格闘家のような滑らかなキックの連打。だが連激後の隙を狙ったヤザンのウミヘビがZZの腕に絡みつく。
「終わりだ伝説」
ウミヘビの電撃が放たれようとした瞬間、ウミヘビがビームで断ち切られた。
「何?」
続くビームの一閃がハンブラビを襲うがヤザンは辛うじて避ける。
「はっは、こんないい女をハブるんじゃないよ。あたしも混ぜな」
高貴なる紫に塗装された百式が救援に駆けつけてくるのであった。