deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第77話 決闘準備

 ガンダムファイト。

 両勢力が拮抗し戦えばお互い無事では済まない上に、第三勢力がいる場合に成り立つ奇蹟の決闘である。

 平たく言えばヤクザが麻雀代打ちで勝負で決めるようなもので、報復できるバックがいてこそで、個人では絶対に成立しない。

 

「よく賢いお前が、ガンダムファイトなんて受けたな」

 ヤザンが驚いたようにシロッコに尋ねた。

 シロッコはどちらかというと利口な男なのでこんな馬鹿なことを受けたのが余程意外だったのだおる。

「私にだってプライドがある」

「良く言うぜ。プライドの塊のような男のくせに」

「ふんっ、ならヤザンはあそこまで挑発されて逃げる私の方がいいのか?」

 あの馬鹿らしい挑発も効果があったようで、クワトロの努力も報われたようだ。

「いや、お前はやっぱ面白い奴だよ。それでこそ俺が付く意味がある。

 出来れば俺がやりたいくらいだ」

「それは駄目だな。

 MS戦なら私に勝てると思い上がっているような奴に、この天才シロッコに凡人が勝てるわけがないと私自ら思い知らせてやる」

「ひゅ~怖い怖い。

 だが相手は伝説のアムロだぞ。慢心は足下を掬われるぞ」

「分かっている。

 油断は二度としない。だから少し早いが私の最高傑作を出す」

「ほう~切り札はアリか」

「一騎討ちは大人しく私に任せろ。

 君には他に任せたい仕事がある」

「面白い仕事なんだろうな」

「勿論だ」

 どうやらシロッコも一度負けていることから万全を期すようである。

 切り札とは?

 メッサーラでは無いだろう。ジオは奪われている。

 シロッコ自身のMSとは?

 ガンダムファイトに期待せよ。

 

「決闘用ガンダムですか?」

 ガンダムファイト用のMS会議においてアムロにチェーンが問い返す。

「そうだ。格闘戦主体にする。間違ってもシロッコを殺すわけにはいかないからね。そうで無ければここまで道化になった意味が無い」

 射撃では万が一コクピットに当たってしまう可能性がある。ビームは一度放てば止めることは出来ないのだ。その点格闘武器ならフィードバックできる。シロッコを始末したいではなく、部下にしたいアムロにとって当然のコンセプトであった。

「分かりました」

「このコンセプトプランに沿ったガンダムを至急組み立てて欲しい」

 アムロはコンセプトプランをチェーンに渡す。

「こっこれは!! 調整とか考えると時間がとても足りません。テストも殆ど出来ないでしょうし、それではどんな不具合が出るか。

 既存のガンダムmkⅢの方がいいと思いますが」

 アムロから渡されたコンセプトプランを見て、てっきり既存MSの改良程度だと思っていたチェーンは慌てて進言する。

「あれは戦場ではいいMSだが、シロッコが用意するだろう強化型ジオと決闘をするにはパワーが足りない。

 経戦能力はいらない。30分も動けばいい。

 君なら出来るさ」

 アムロはチェーンの肩を叩きながら爽やかな笑顔でさらりと言う。

「しかし総帥の乗るMSがそれでは・・・」

 アムロのイケメンスマイルにチェーンは必死の抵抗を試みる。

「シロッコを捕獲できればいい。その後は俺を守ってくれるんだろ」

 アムロはクワトロの方を見てウィンクする。

「ああ守ってやるさ。そうでなければ私もあそこまで道化を演じた意味が無い」

 嫌も嫌よも好きのうち、内心結構ノリノリだったのは公然の秘密である。

「頼むぜ。

 シロッコはプライドが高いから一対一に応じるだろうが、他の勢力が傍観しているはずが無いからな」

 バスク、NTを目の敵にしているホーカーなどアムロの命を狙っている勢力は多く、このチャンスを傍観するとは思えず、何ならシロッコ共々始末しようと仕掛けてくる。

「しかしそもそも勝てるかアムロ?

 我々も協力しているんだ。無惨に負けて貰っては困るぞ」

 ハマーンは上から偉そうに言うが、内心はアムロが負ければ自分とシャアがくっつくのを支援してくれる者がいなくなってしまうので、個人的に非常に心配している。

 それが無ければネオジオンを率いる者として、アムロが負けても邪魔者が一人消えてくれたと拍手喝采である。

「その為にキュベレイの技術も提供して貰っている。

 シロッコは天才だが、ことパイロットいう一点に関しては俺の方が上さ」

 万能の天才シロッコをMS戦の天才アムロはどうしても欲しく、見事己の土俵に乗せるまでは成功している。

「信じよう」

「私も信じますアムロ。きっと期待に応えるMSを作って見せます」

「ありがとうチェーン」

「ですが、他の方は納得してないようですのでご自分で説得して下さいね」

 チェーンは笑顔でリモコンスイッチを押すと会議室の扉が開かれる。

「しまった!」

 流石のアムロもテンションが上がっていて抜かっていた。危機を察知したときには遅かった。

 開かれた扉にはズラリと鬼の形相のメンバー。

「なっなぜ君達が」

「放送を聞いてハヤトさんが宇宙に急いで送り出してくれたんです。

 あの馬鹿の暴走を殴ってでも止めろとのことです」

「どうでもいいが、カミーユは丹田に気を溜めて拳を握るのは辞めなさい」

 代表して答えたカミーユにアムロが注意する。

「俺は面白いと思ったぜ。流石アムロさんだ」

「おおっジュドーは分かってくれるか」

「でもさ、一言相談は欲しかったかな」

 援軍に嬉しそうな顔をしたアムロの顔がジュドーの剣呑な台詞に凍り付く。

「納得するまで説明して貰います」

「マウアー、いつも冷静な秘書役の君が眉をそんなに上げちゃチャーミングが台無しだよ」

「たまにはイメチェンもいいだろ」

 バッサリである。

「クリスも君はおねーさんキャラだろ。こういう時は助け船を・・・」

「馬鹿な弟が馬鹿をしたら叱らないと」

 ニコニコ笑顔でクリスが答える。

 アムロは残りのメンバー、エマ、ルー、アスナに縋るような視線を来るが、誰1人助け船は出さなかった。

 アムロはガンダムファイトに出場できるのであろうか?

 

 

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