deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第78話 決戦秒読み

 コロニーの残骸が彷徨う元サイド5宙域にルウム以来の大艦隊が集結していた。自由宇宙同盟軍とシロッコ軍閥の艦隊である。

 メガ粒子砲の射程外ギリギリで睨み合う両軍、自由宇宙同盟軍の旗艦アーガマのブリッジ内は怒号の嵐であった。

「そこのマゼランは睨みを効かせる為もっと前方に出ろ」

「第5サラミスパトロール艦隊からレーザー通信」

 それは対するシロッコ軍閥の方も同じであった。旗艦アレクサンドリアのブリッジ内も怒号が飛び交っている。

 間もなく宇宙世紀史上初のガンダムファイトは全世界に中継される。

 決闘の前の記者会見では互いのスポークスマンが負けた方が勝った方の軍門に降ると宣言を行い、文書に調印も行った。これで約束を反故にした場合世界的に信用を失うことになり軍閥としては致命的になる。

 更に駄目押しとばかりに世界初のガンダムファイトということで世界的にスポンサーも募った(勿論メインスポンサーはアナハイム)、これにより約束破りは世界的企業の顔に泥を塗ることになり敵に回すことになる。

 ここまで話がでかくなっては絶対に失敗は許されない。テロなどされれば両軍共に面目丸潰れこれまた権威が失墜する。両軍とももはや舞台となる宙域の警備にある意味艦隊戦以上に神経を尖らせている。

 そして両艦隊それぞれが外部からの横槍を警戒しつつも、やはり前方の敵艦隊に最大の警戒を行っているのであった。

「いいかビーム攪乱膜はいつでも射出できるようにしておけよ。

 負けて離反する連中が手土産代わりに攻撃してくることは十分考えられるからな」

 シロッコ軍閥と言っても元はティターンズや連邦の敗残兵などをシロッコがどさくさに紛れて掌握しただけのこと。敵であった自由宇宙同盟の軍門に降ることを良しとしない者は絶対に居るだろう。そういった者にとって元の連邦に戻ることに抵抗はない。その際ただ戻るより手土産が合った方が戻りやすいと考える者も居るだろう。

「はい」

 トーレスも分かっていますとばかりに答える。

「全くアムロも面倒を押しつける」

 ブライトの気苦労も全てアムロが勝った後の処理の話しかしていない、なんだかんだでブライトはアムロが負けるとは微塵も思っていないのであった。

 

 戦場に指定された宙域は廃コロニーが漂いデブリが多数漂っていて、単調な空間戦闘で無く如何にデブリを利用した機動戦をするかが勝利を分けると予想されている。

 両陣営の緊張が高まる中、戦場に指定された座標宙域に互いの陣営からサラミスが一隻づつ近付いていく。

 シロッコ軍閥側の青のサラミスの甲板の上には白く輝くジオが鎮座。

「さあさあ全地球圏の皆様、第一回ガンダムファイトの時間が迫ってきました。

 実況はこの艦隊のマドンナ ノエル。解説はFSSからリミア・グリンウッドさん」

「リミアです。よろしくお願いします」

 リミアは中立的かつMSに詳しい者としてカイのツテで招聘された。実況も中立的な人物を探したようだが、流石にいつ流れ弾が飛んでくるか分からない命懸けの実況を引き受けてくれる者は見つからずノエルが選出された。そういった意味では承諾したリミアはなかなかの人物と言える。 

 本人曰く最新鋭のMSが生で見えるチャンスを逃す馬鹿はいないとのこと。

「そしてこの実況用に改造された実況ザク・フリッパーの操縦は同じくFSSのレッドさん。

 以上この三名でこの世紀の決闘を実況します」

 実況ザク・フリッパーはアムロとシロッコの高起動戦は並みのMSでは捉えきれないと言うことで選ばれたMSである。

 宙域の各ポイントに設置された定点カメラからのレーザー通信を処理しつつ、自身もその優れた偵察用カメラで高起動戦を逃すこと無く捉える。そして最大の特徴の一瞬レドームに見える背中に背負ったドーム状スタジオである。ここにガンダムファイトを放送するためのスタジオセットが入っている。

 当然パイロットも高機動を目で追える者が求められ、丁度良くいたレッドに依頼したところリミアが心配だからとあっさり承諾をして貰えた経緯がある。

「まず青龍より入場するは自称天才シロッコーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。

 登場するはシロッコ軍の最新鋭MSジオ・オーベロン。

 ふむ、ズングリムックリでお相撲さんみたいですね。解説のリミアさんこのMSについてはどう思いますか?」

 盛り上げるためMS名やスペック名は公表できる範囲で申告して貰っている。

「はい解説のリミアです。

 このジオ、いかにも鈍重そうな火力特化機のようでいてその実機動性が実に高いMSであることが分かっています」

「ほう、それは凄いですね。動けるデブということですか?」

「そうですね。ですが手元のデータはあくまでジオのもの。その改良機とも言えるジオ・オーベロン、どんなビックリが仕込まれているかわかりません」

「ビックリですか?」

「はい。ジオというMS、正統MSと見せかけてハメ技の隠し腕が仕込まれていたという情報があります」

 ここいら辺はアムロ側からのリークである。

「ほう。意外とせこいんですね。

 そんなセコイ奴に我等が総帥が負けるはずがない。イケイケ、アムローー、やっちまえーーーーーーーーーーー」

「ちょっとちょっとノエルさん、中立中立」

 ・

 ・

 ・

「すいません。放送事故がありました。

 気を取り直して白虎の方角からは白いサラミに乗って登場。

 一年戦争の英雄、スペースノイドの希望、アムローー。

 登場するは韋駄天ガンダム」

「韋駄天ガンダム?

 あっあれは」

 名前にピンとこなかったリミアだったがその姿を見て驚愕する。

「おっおっ、流石お目が高い。我等がアムロが乗るガンダムの格好良さに惚れちゃいました」

「あっあれはまさかMSエプシィガンダム。

 開発段階で実戦投入なんて無理なはず」

 ノエルを無視してリミアは一人驚愕するのであった。

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