「よく集まってくれた。
今我々人類、いやホモ・サピエンスは最大の危機を迎えている。
NTである。
新人類である。
彼等は我等が知り得ない数千キロ先の気配を感知し未来を見る。
もはやホモ・サピエンスの枠を超えている。
新人類である。
かつて地球上には様々なホモ族がいた。
ネアンデルタール、北京原人。
だか彼等は今どうなった?
地球上から姿を消し地中に僅かに化石が残るのみである。
然う我等 ホモ・サピエンスが全て滅ぼしたのだ。
同族嫌悪。
彼等がもう少し猿に近かったら我等も笑って見逃せたかもしれない。だが彼等はあまりに我等に近かった。それでいて異種。
我等の祖先は恐怖し、全て滅ぼした。
ホモ族は異種を許せない。
そう知能が発達し、恐怖が肥大化したホモ族の宿命なのである。
そして今新たなる種が現れた。
NTである。
もしこのまま彼等が力を手に入れていけば、かつて我等の祖先が滅ぼして生きたように、我等も滅ぼされるだろう。
これは既得権益を守るための戦いでは無い、ホモ・サピエンス存亡の戦いである。
負ければ我等は駆逐される。君達の愛する妻も子供の地球上から消えるだろう。
そんなこと許せるのか?
許せるわけが無い。
ここに集ってくれた君達は化け物と戦うために立ち上がってくれた勇者である。
このジャミトフ、ここから君達を尊敬する。
もはや惜しむ命は無い。
愛する家族のため化け物共をこの世界から駆逐するぞ」
「「「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」」
宇宙要塞ルナツーに集まった数十万の将兵は総帥となったジャミトフの演説に雄叫びで答えルナツーが震えるほどであった。
「お疲れ様です。ジャミトフ閣下」
「ホーカーか」
壇上から降りたジャミトフにホーカーが駆け寄る。
「流石です。バスクや私では数十万の将兵を束ねることは出来ません」
脅威があっても今の地球にはレビルはいない。地球連邦軍をまとめ上げられる大物は少ない。候補としてゴップがいたが、だがゴップはついに立たなかった。
このままでは地球連邦は眠れる虎のまま滅ぼされると思われたがジャミトフが立った。悪名高かったティターンズだが、NTの脅威が鮮明となった今となっては先見の明があったと評価が高まっている時流を掴みジャミトフは地球連邦軍の総帥に就任した。
「ふん、世辞はいい。
それより勝算はあるのか?
私に出来るのは舞台を整えるまでだ」
ジャミトフはあくまで大物政治家であり戦術は凡であり、アムロやシャアに対抗するには心許ない。
「分かっています。
数倍の戦力では磨り潰されるだけでしょうが、切り札としてGP02ナイトロ部隊があります。使い処さえ間違えなければ勝てます」
「切り札が切れるのは一度切りだ。くれぐれもタイミングを間違えるなよ」
ジャミトフはナイトロが片道部隊だと知っている。幾ら強くても一度しか使えない、失敗は許されないのである。
「意外ですね。閣下は我等に負けて欲しいのではないですか?」
ホーカーはジャミトフの真意に気付いている。
軍の実権はホーカーとバスクが握っている。ジャミトフが何をしようが行動ははもう変わらない。不意に訪れたこのチャンス。周りに誰もいないこの機会を利用してジャミトフの思惑を聞いて見たいと思ったのだ。
「勘違いだな。
私は別にNTなどに期待していない。私は地球を再生したいのだよ。
なのに君らがバラバラに地球上でゲリラ戦をしていては汚染は進むばかりだ。だから束ねた。宇宙に上げた。
どれだけの金が使われたと思うかね? もはや地球経済は死んだも同然だよ。どっちが勝っても地球上で何億もの人口を支えることは出来なくなる。地球は衰退していく、中世以前の生活を送る者だけが残るだろう。
もはや私の悲願は達成した。なら同族である君達の勝利を祈るくらいの心はある」
「勝って見せます。地球再生は我等ホモ・サピエンスの手で成し遂げ、閣下を希代の英雄として名を残して見せます」
「楽しみにしている」
両雄立たず。
舞台は整った後は幕が上がるだけである。