deZire ガンダム   作:コトナガレ ガク

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第9話 罠

「ジャマイカン少佐。コロニーの影から飛び出した艦 二隻を確認しました」

「なんだと。スクリーンに映せ」

 アレキサンドリアのメインモニタにコロニーの影から飛び出したアーガマとサラミス改の画像が写しだされる。

「我々が来たので慌てて巣穴から出てきたといったところか。艦首が逆を向いているところ戦わずに我々の追跡を振り切るつもりだな」

「近くにライラ中尉がいるはずだが見えるか」

 ガディが尋ねる。作戦ではこの宙域はジャマイカンに進言してライラ中尉の部隊が詮索しているはずなのである。

「確認出来ません。戦闘も行われている様子はありません」

「情けない。返り討ちにでも遭ったんだろ。

 ここで見失うわけにはいかない。追撃を行う」

「MSを先行させますか?」

「まだ遠い。ここからでは推進剤の消耗が激しい。待機させておけ」

「はっ。各MSパイロットは待機、いつでも発進出来るようにしておけ。

 各艦は追撃をしつつ、アレキサンドリアを中心に輪形陣を形成しろ」

 アレクサンドリアを中心としてサラミス改四隻が左上左下右上右下に移動しつつエンジンの出力を上げ、アーガマ追跡に移行するのであった。

 

「敵は中々足が速いな。距離が縮まらん。もっとスピードは出ないのか」

「これ以上はサラミスが付いて来れなくなります。大丈夫、振り切らせはしません」

 ティターンズの艦隊はアーガマとの距離を縮めることができないままに毒ガスが撒かれたコロニーの宙域に近付いていく。

「艦隊はコロニーの上方を抜けるコースにて追撃」

 ジャマイカンは接近するコロニーに対してコースの指示を出す。

「了解です。しかしそうなるとあの前方のデブリ嫌な感じですね」

 人がいないコロニーの周りでは通常危険な為処理されるデブリが漂っている。避けられないと言うほどでは無いがガディは神経質になった。

「各艦艦砲射撃用意デブリを粉砕する」

「わざわざ無駄玉を討たなくてもいいのではないか?」

「今は些細な支障も排して万全の体勢で追撃するべきです」

「分かった。任せるよ」

 各艦の主砲に光が灯っていく。

 

「中々有能だな。ジャマイカン、いやエマ中尉の話からガディか。

 全機ダミーを解除、突撃を駆ける」

 漂っていたダミーが破裂し中からガンダムmkⅡが現れる。そしてバーニアを噴かしティターンズ艦隊に一騎駆けを仕掛けた。アムロは身をもって作戦開始を告げたのだ。

 アムロが突撃を掛けるのを見て続々とリーダーに続けとばかりにダミーを破り出てきたMS部隊はバーニアを噴かしアレキサンドリアに突撃を駆けていく。

 アムロ達はダミーを利用してここで待ち伏せをしていたのだ。もし敵艦隊がここを通過しなければアーガマは無防備のまま追跡され、自分達も置いていかれる危険が大きい作戦だったが、アムロの予想は的中。

 まるで未来予知である。

 

「てっ敵です」

「なんだと」

「対空砲火だ。敵MSを近寄らせるな。MS部隊は緊急発進」

 ジャマイカンがおののきガディは冷静にジャマイカンを飛び越えて艦隊に命令を下す。

 輪形陣を敷いていた艦隊の対空防御は堅い。アレキサンドリア、サラミス改x4の主砲が唸り、ガンダムmkⅡに濃密な艦砲射撃を加える。この密度並みのMSパイロットでは避けきれない。MSの数倍の威力はあるメガ粒子砲の熱量で溶解する。

 だがアムロは濃密な攻撃の僅かな隙間にガンダムmkⅡを滑り込ませ、すいすいと鳥が水面下の魚に襲い掛かるように艦隊に接近していく。

 距離が縮まれば主砲だけで無く機銃も火を噴き益々攻撃の密度が上がり避ける隙間はなくなっていく。

「流石に凄いな。ここは撃沈より後続のための露払いに専念しないとな」

 スピードを一切緩めること無くガンダムmkⅡは艦隊の懐に潜り込み、くるくると回転。すれ違いざまにビームライフル4連射。

 閃光が上がった。

 サラミス改とアレキサンドリアの主砲が四つ潰される。

「これはおまけだ」

 更なる追撃でアレキサンドリアのエンジン部に被弾。

 

「アムロさん凄い」

「カミーユ、戦場で見惚れるな。死ぬぞ」

「はいっ、クワトロ大尉」

「全機アムロが開けた穴を抜けて艦隊に突撃する、敵の的はデカイ狙いより回避に専念しろよ」

「「「はい」」」

 クワトロ達後続も足を止めないすれ違いの攻撃を仕掛けていき、艦隊はMS部隊を展開する間もなく火の手が上がっていく。

「よし、いいぞ。此方の被害無し」

 アムロが戦果を確認。

 サラミス改 一隻轟沈。サラミス改 二隻大破。サラミス改 一隻、アレキサンドリア 中破。

「よし、戦果は十分だ。全機このまま速度を維持したままランデブーポイントに向かう」

「反転すれば、アレキサンドリアを沈められますぜ」

 ロベルトがアムロに進言する。

「そう簡単じゃない、MSも出てくる。何よりここで推進剤を浪費すると帰れなくなるぞ。

 それに撃沈するより、ダメージ艦の方がやっかいでもある。ここで無理する必要は無い」

「了解です」

 

 この日ティターンズは大打撃を受けると同時にエゥーゴ主力を完全に見失ってしまい、エゥーゴに次なる作戦の自由を与えてしまうのであった。

 

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