学校の外に出てみると、1人でどこかに向かっている綾小路君を見かけた。どこ行くんだろ?ちょっと声かけてみよ。
「やあ綾小路君、買い物にでも行くの?」
「ん?ああコンビニに行ってみようと思う。志村もか?」
「いや行くあてもなくてね。良かったら一緒に行っても良いかな?」
「ああいいぞ」
と綾小路君と他愛もない会話をしながらコンビニに向かう。てかこの人びっくりするくらい表情変わらないな。さっきから口角が全く動かないし。笑う気配が全くない、無機質な感じだ。
などと考えているとコンビニに着いた。
せっかくだから日用品でも買おう。えーと425円也1980円也398円也265円也...
5032円だ。まあ必要経費だからいくらでもいいんだが意外とするな。
ん、これは無料なのか。そんなにポイント浪費するやつがいるのか?月10万も使うやつがいるのかなあ。なんか怪しい。
ふと見ると綾小路君は隣の席の女子生徒と会話していた。名前なんだっけ?
「むしろ、自己紹介によって何か確執が生じるかもしれない。それなら、最初から何もしなければ問題が起きることも無い。違う?」
「けど、確率的に言えば、自己紹介した方が仲良くなれる可能性は高いだろ」
「お!確率の話か。何の確率だ?」
「あなたは?」
「俺は志村豊。君は?」
「はぁ。結局自己紹介することになるのね。まあいいわ。私は堀北鈴音よ。」
なんかすごい無愛想な子だな。いいけどさ可愛いし。
「確率の話をしてたようだからね。気になって話かけたんだけど何の確率?」
「数学的な確率じゃないから大丈夫よ、そんなに食いつかなくて。それより綾小路君。彼は知り合いなの?」
「同じクラスだぞ」
なんと認識もされていなかった。まあそりゃそうか。クラス内でほとんど会話してないからな。
「あらそう。まあ、どうでもいいけど私買うものあるから失礼するわ」
行ってしまった。なんかきつい性格してるな。孤立しそう。
「綾小路君は買うもの買ったの?」
「あとカップ麺くらいだな。たくさん種類あるし、結構気になってる。」
「そうか。じゃあ俺も買おうかな」
適当にカップ麺をカゴに放り込む。綾小路君はカップ焼きそばを取っていた。焼きそば好きなのかな?そのまま会計を学生証で済ませて、コンビニを出た。
「なあ綾小路君、コンビニにあった無料のやつってどう思う?10万も支給されてるのに必要になったりすると思う?」
「さあどうだろうな。案外使いすぎたりするやつがいるのかもしれん。まあでも節約に越したことはないだろうな」
「そーだよな。俺は使うあてがないから逆に困ってるぐらいなんだけどな。ハハッ」
しかしほんとに笑わない。俺の会話やボケが面白くなさすぎるのもあるだろうけど、それにしてもなー。体調悪いのかな?
首をかしげながら、俺は綾小路君と別れ、そのまま寮に帰宅した。
学校2日目。俺は授業(と言っても数学だけ)に期待していたのだが、さすがに2日目だったので簡単な授業方針などで終わってしまった。なので、授業中ノートに自作の問題を解いて遊んでいた。これでサボっているとは思われないだろう。しかし、もう寝てるやつがいるよすげえな。しかも、ガッツリ寝ているのに教師は誰も注意しない。やっぱちょっとおかしいよなこの学校。何かあるんだろうか?
昼休みになった。こういう時やっぱり友達と食べるのが高校生ってもんでしょ!
「やあ綾小路君、一緒にご飯食べない?」
結局綾小路君に声を掛けました。やっぱり同類だからかな?とても声をかけやすい。
「ああいいぞ」
「良かったわね声をかけてくれる人がいたわよ」
「あ、堀北さんも一緒に食べる?」
「結構よ」
「あ、そう...」
普通に断られてどっかに行ってしまった。クールだなー。まあいいか、美人だし。
「綾小路君は食堂の弁当?」
「そのつもりだ」
「あの〜綾小路君と志村君だよね?」
食堂に向かおうとしたら、すごい美少女に声をかけられた。誰だっけ。人の名前覚えるの苦手なんだよな。
「同じクラスの櫛田だよ。覚えててくれたかな?」
あ〜櫛田か。 もちろんわかってましたよ。うん。
「あ、志村君忘れてたでしょ。顔に出てるよ」
「いえいえいえいえとんでもないです覚えてます!」
櫛田がジト目でこっちを見てくる。
やっべーちゃんと覚えとこ。櫛田ね櫛田。
そんな俺たちを横目に綾小路が答える。
「それで、何か用か?」
「実は...少し聞きたいことがあって。その、ちょっとしたことなんだけど綾小路くんと志村くんって、もしかして堀北さんと仲がいいの?」
「別に仲良くはないぞ。普通だ普通。なあ志村」
「ああそうだな。普通に会話するくらいだよ。あいつがどうかしたのか?」
なんか美少女だからかすごい緊張する。声が上ずってしまいそう。
「あ、うん。その、一日でも早くクラスの子とは仲良くなりたいじゃない?だから一人一人に連絡先を聞いて回ってるところなの。でも...堀北さんには断られちゃった」
ワーオ断ったのか堀北さんすごいな。俺にはそんな勇気はない。クラスに馴染む気がないのか?
「堀北さんってどういう性格の人なのかな。友達の前だと色んなこと喋ったりする人?」
「人付き合いが苦手なんだと思うぞ。さっき誘いを即答で断られたし。なあ綾小路君」
「ああ。でもどうして堀北のことを?」
「ほら、自己紹介の時、堀北さん教室出て行っちゃったでしょ?まだ誰ともお話してないみたいだし、ちょっと心配になっちゃって」
「話は分かったけど、俺たちも昨日会ったばっかりだからな、助けにはなれない」
「ふぅん...そうだったんだ。てっきり同じ学校の出身か昔からのお友達だと思っちゃった、ごめんね、いきなり変なこと聞いて」
「いや、いいよ。ただ、なんで俺たちの名前を知ってたんだ?」
それは俺も気になる。まさかあの自己紹介で俺のことを覚えてるやつなんているわけがないだろうし。
「なんでって、自己紹介してたじゃない?ちゃんと覚えてるよ」
マージかこの子すごいな。俺なんか3人しか名前知らないのに。いや櫛田入れて4人か。
「改めてよろしくね、綾小路君、志村君」
「ああ」
「よろしく...」
手を差し出され、お互い握手をした。初めて女子の手を握ったかもしれない。ついてるな今日は。
その後綾小路君と食堂に向かい、お弁当を一緒に食べた。途中で部活動の話になったが、綾小路君はどこにも入る気がないらしいが、説明会は見に行くつもりらしい。よく見たら意外といい体してるように見えるから、入るかと思ってたんだけど予想が外れたな。ちなみに俺も入る気はない。放課後は自由に数学ライフを楽しむのさ!
ということで、放課後、綾小路君は説明会に行くということで1人で帰ることにした。だって他に友達いないんだもの。しかしこのまま何もせずに帰るのも暇なので、俺は1人であるものを買いにケヤキモールと呼ばれるデパート的な所に行くことにした。
「お、あったあったこれだ。良かったあったな」
俺が買ったものとは、ボードゲーム系の雑誌。今月はチェスが主に収録されているはずだ。そう、実は俺はチェスも得意だ。結構頭を使うし、何より楽しい。ただ周りにチェスをやっている人がいなかったのと、そもそも友達がいなかったので、ほとんど相手はコンピューターか、オンライン対戦だった。泣きたい。
さてとお目当てのものも買えたし帰ろうかな。
「おや、あなたもチェスがお好きなんですか?」
急に話しかけられた。なんかデジャブだな。
振り返ると小さくて杖持っている、これまた美少女がいた。
「ん、おうそれなりに。君は?」
「私は一年A組の坂柳有栖です。あなたは?」
「D組の志村豊だ。よろしく。あなたもってことは坂柳さんもチェスが好きなの?」
「ええ。こうして雑誌を買いに来るほどにはですね。それより志村君、明日以降暇ですか?」
「ああ暇だよ」
「では明日、一局どうですか?」
「お、マジ?いいね、やろうか。でも俺は盤を持ってないんだけど大丈夫?」
「ご心配なく。私が持っています」
「そう、よかった。じゃあどこでやろうか」
「ケヤキモール内のカフェでどうですか?ゆったりとできますよ」
「じゃ、そうしようかな。ではまた明日」
「ええ」
...女子とチェスする約束をしてしまったァァァァァァ。
俺史上初めてのことだ。しかしこの学校にはチェスしている人がいるんだな。なんか嬉しい。あーまだ心臓バクバク言ってるよ。今夜眠れるかな。
「帰るか」
そのまま顔がニヤけるのを我慢しながら寮に帰宅した。見られてないよな?
●志村豊プロフィール
身長:172cm
体重:56kg
血液型:A型
誕生日:12月16日
好きなこと:数学・算盤・チェス
嫌いなこと:虫取り