実力至上主義の学校でも計算していたい!   作:ひよこのたまご

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第7話

 

『赤点候補組に向けて勉強会を開くことにしたから、集めるために綾小路君と協力して説得して』

 

半強制的に協力を持ちかけられた昼休みから2日たって、堀北からメールが来た。堀北が勉強会?にわかに信じ難いことだ。しかし本人がやると言っているから、やる気ではあるのか?

 

『俺が説得できるとでも?』

『知らないわよ。とりあえず綾小路君と作戦立てて頑張って』

 

とりあえず綾小路君にメール送っとくか。

 

『堀北さんから聞いてると思うけど、俺も協力することになった。何か策があるなら手伝うよ』

『特に策はないが、明日須藤たちにどうするつもりか聞いてみようと思う。口添えを頼んだ』

『了解』

 

あの、勉強嫌い達が、大人しくやってくれるだろうか?まあそんなこと今は気にしていられない。俺は俺で、やらないと行けないことがある。

 

俺はノートを広げた。そこに書かれているのは、クラス全員の小テストの成績。

そして分析のためにもうひとつ。

 

『橘先輩、こんばんは。夜分に失礼します。お願いがあるんですが、一昨年の1年生の一学期中間テストの過去問を、まだ持っているでしょうか?もしくは持っている人に心当たりがないでしょうか?もしあるならそれを俺にくれませんか?もちろんタダとはいいません』

 

よし。これで貰えれば、心置き無く分析ができる。俺は中学の時、定期テストに関しては、社会と英語はこれで乗り越えてきた。

データの分析に関しては得意中の得意なんでね。それに今回に関しては、もう1つできることがある。だが、これは最後の最後でやる保険だ。堀北さんが勉強会開くって言ってるし、須藤君を煽るようなことを言わなければ大丈夫じゃないだろうか。

...なんか急に心配になってきた。やっとくか。

 

ピロン♪

 

お、きたきた。

 

『私は持っていないですが、持っている人に心当たりはあるので、その人に貰おうと思います。ポイントは、志村君には借りがありますから、5000ポイントにまけておきます』

『了解しました。振り込んでおきます。ありがとうございます』

 

程なくして橘先輩からメールが送られてきた。中間テストの写真だ。

これで全ての材料が揃った。あとは傾向を分析し対策するだけ。

社会はえーっとここら辺の範囲が...ん?これ範囲外の問題だ。一昨年と今年で範囲が違うのか?参ったなこれじゃ分析できないぞ。

これが正解かと思ったんだがな...

 

 

「お前たちが赤点を回避する方法は必ずあると確信している。か...」

 

 

確かあの時、茶柱先生はそういったはず。俺は過去問で分析する方法が、攻略法と思ったが、こうも範囲が違うとなるとそれも使えない。それとも範囲が間違っている?だがそんな話は聞いてないしな...

だが、過去問は有用なはず。そうでないなら、わざわざ3年生が1年生の時の過去問なんて、所有しているわけが無い。持っているとポイントになるから、持っていたはずなんだ。

 

...そうか、ひとつ確認する方法がある。俺の推測が正しければ、あの謎も解けるはず。二度手間になってしまうが、背に腹はかえられない。

 

『橘先輩、2度もすみません。よろしければ、1年生の最初に受けた小テストも貰えないでしょうか?追加で5000ポイント払います』

 

これでもし、違っていたりしたら手詰まりだな...

 

『志村君気づいたんですね。大丈夫です。もう一緒に貰っています。ポイントは大丈夫ですよ』

 

やっぱりか。俺の推測は正しかった。

橘先輩から小テストの写真が送られてくる。間違いない。一言一句同じだ。これで、あのクソ難しかった最後の3問の謎も解けた。多分だが、中間テストには過去問が有効だというサインではないだろうか。中間テストも同じ問題が出る可能性が出てきたな。だが、まだ確定ではない。

とりあえず明日、綾小路君に相談してみよう。範囲が違うことも気になるしな。

 

 

 

 

 

次の日、綾小路君に相談してみようと、いつもより早く寮を出た。そしたら、登校している坂柳さんを見つけた。

 

「おはよう坂柳さん、早いね」

「おはようございます志村君。そちらこそお早いですね。何か用事でも?」

「うんまあ、でも急ぎの用事ではないからね。一緒に学校行こうよ」

「もちろんいいですよ、志村君のお話は面白いですからね」

「そ、そう?ありがとう」

 

すごく照れてしまった。素直に嬉しい。

 

「ただ、私はこのとおり身体が悪いもので、歩くのが遅いですが、大丈夫ですか?」

「いや全然大丈夫だよ。なんなら、おんぶぐらいしてあげたい気分だね。ハハッ」

「え!?そうですか...」

 

あ、まずい。勢いでキモいことを言った気がする。どうしよ、引かれてたら。

 

「で、ではしてくれますか?おんぶ」

「え!?」

 

え、何この子、急にめっちゃ可愛くなったぞ。やめて!その目は俺に効く!

 

「じゃ、じゃあしようか?」

 

そう言って徐に坂柳さんの前に座る。そして、背中に温もりが...やべえめっちゃいい匂いする。

とりあえず邪な考えは置いといて、俺は坂柳さんを背負って歩き出した。

 

「大丈夫?乗り心地悪くない?」

「いえいえ、全然大丈夫ですよ」

「それなら良かった」

 

それにしても、めっちゃ軽い。気分が高揚してるからか、全然重さを感じない。

 

「志村君はテスト勉強は順調ですか?」

「まあそれなりにやってるけど、英語と社会が苦手でね。昨日の夜は苦戦してたよ」

「そうなんですか。やっぱり数学はお得意なんですか?」

「そうだね。まあ好きこそ物の上手なれってやつかな。坂柳さんは頭良さそうだけど、苦手教科あるの?」

「私は突出して苦手な教科はないですね。だいたい同じようなものです」

 

この子、涼しい顔で全教科満点近い点数取りそうだしな...

そういえば今更気づいたが、めっちゃ周りに見られてないか?周囲の視線をすごい感じる。まあ坂柳さんめっちゃ可愛いし、気にもなるか。俺みたいなやつがおんぶしてたら、そりゃな。

 

そうこうしていると、校舎に着いた。

1年生の棟に着いて、俺は坂柳さんを下ろした。

 

「ではありがとうございました。とても助かりましたよ」

「どういたしまして。テスト期間が終わったら、またチェスしよう」

「ええ、楽しみにしてます」

 

そう言って、坂柳さんは去っていった。朝から気持ちのいいスタートだな。今日はいい日になる気がするぞ。

 

ガラガラガラッ

 

少し勢いよく教室の扉を開けて、気分よく自分の席に座った。綾小路君はまだ来てないみたいだ。

来るまでの間に何しておこうかな...

フィボナッチ数列でも書き並べるか?やめよう、また引かれるのがオチだ。

普通に試験勉強しろよって話なんだろうが、なにぶんやる気が出ない。人間やはり、やらなくていいかもしれない理由ができると、やる気が起こらないんだな。勉強になりました。

 

あ、綾小路君が来た。

 

「綾小路君おはよう」

「ああ、おはよう。早いな今日は」

「まあね。ちょっと綾小路君に相談したいことがあってね」

「なんだ?」

「昨日実はね...」

 

そうして昨日の経緯と問題について話した。綾小路君は相変わらずの無表情だ。

 

「なるほど、よく気づいたな過去問が有効なことに」

「俺が中学の時にやってた常套手段だったから、たまたま気づいただけだよ。それより...」

「ああ、範囲の食い違いだな。もしかしたら、小テストだけ同じで、中間テストの問題が違う可能性はまだ残っているから、安易に飛びつかない方がいいな」

「うん。それについては俺も同感。とりあえず様子を見ようと思ってる」

 

それに今過去問の存在がバレると、怠けるやつが現れるかもしれないからな。

 

「それが得策だな」

「それと、今日綾小路君は須藤君達に声をかけるのか?」

「ああ、昼休みにどうするつもりか聞いて見ようと思うよ。だからメールの通りに...」

「OK。できるだけするけど、あんまり期待はしないでくれ。口は上手い方ではないんだ」

「大丈夫、俺もだ」

 

そんな会話をして、その日の朝は終了した。




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