ブラック・ブレット―楽園の守護者―   作:ひかげ探偵

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遅れてすいません!

キャラの会話書くのムズい……
正直まだ納得出来てなおので今後、加筆修正入ります!


第六話 守るべき場所

 

名というのはこの世において最も大切なものと言っても過言ではないと俺は思う。

 

生まれてすぐに最初につけられる己の名からそれこそ誰も知らないような路傍にひっそりと生える草木にさえも。

 

名はそれだけでこの世に存在する意味、役割を与える。

 

某ザビエルさん主人公のゲームに出てくるアリスちゃん達、彼女達の使った「名無しの森」では名を失いかけた主人公が消えそうになった。

 

つまり、名とはそのモノにとって最も重要と言っていい程の要因(ファクター)なのだ。

 

 

 

 

突然だが、俺はよく楽園という言葉を使っている。

 

『楽園』

 

苦しみのない至福な生活を送ることができる場所。

 

なるほど、確かにその意味を理解すればどの時代においてもこれほど素晴らしく魅力的な言葉はないだろう。

 

ならば、全ての人にとって楽園は楽園でしかないのか。

 

俺は違う、断固として答えたい。

 

俺の、俺達の求めたあの場所はそんな誰が定めたか知らない言葉で形容されていい物なんかじゃ決してない、と。

 

あの場所は、俺達の求めた聖地は他でもない俺達だけの物なのだと。

 

心の底から満足できる、安心できる幸せな場所、あそこに名をつけるなら俺はきっとこう言うと思うな―――楽園(ロリコニア)と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちも食べてほしいですので」

 

「ちょっと! アタシの方が早く出してたんだから、割り込まないでよ!!」

 

「あそぼーっ、サイトおにーちゃんっ!」

 

「あそぼあそぼ~っ!」

 

ソファーに座る俺の両サイドからこちらの口目掛けてスプーンを差し出してくるロリ美少女×2、マリアたんと青葉(あおば)たん。

そして後ろからもロリ双子美少女、シロたんとクロたんが首元に抱きついている。

 

……感無量(なり)

 

「ちょっとぉッ!聞いてんの災斗!?」

 

「おにーさんはわたしの料理をたべるんですので」

 

俺の右隣で彼女に作ってほしい手料理ランキング最上位の肉じゃがを器用に箸でこちらに差し出すロリ美少女、アニメでも見たマリアたん。

特徴的な口調で話す彼女、アニメでは蓮太郎に性犯罪者なんだと悪態をもって接していたが……もう、あれだ……可愛い。

全然いい娘、多分あれは蓮太郎が悪かったね、目つきと態度が。

 

 

そして左隣でスプーンに乗せたカレーライスを俺に差し出すもう一人、青葉たん。

彼女は金髪の長い髪をツインテールで纏め少し吊りあがった眼が特徴のツンデレロリである。

正直、ツンデレはあんま好きじゃなかったんだがな……俺の価値観は青葉たんに変えられたぜ……。

いや、今でもツンデレは好きじゃない……だが言わせてもらおう。

 

『ツンデレロリは有りだとッ!!』

 

 

更に後ろから抱きついてくる元気なシロたんとクロたん、この二人は双子で茶髪のサイドテールをそれぞれ左右逆にしている。

よく似ているので他のみんなはよく間違えるのだが俺は一度も間違えたことがない……クロたんのほうが身長が3ミリ高くて、シロたんは声がちょっと高いのだ!!!

キモい?

何を馬鹿な……紳士の嗜みだよ。

 

そして、そんな絶景から意識をずらし前を見れば大量の食事の置いてあるテーブルを挟んでさらに数名の天使達がいた。

 

 

「のどに詰まらせないようにゆっくり食べるんだぞ」

 

エプロン姿でみんなにご飯の入ったお椀を配る俺達のおかんこと、椿(つばき)たん。

紫髪ポニーテール、武士みたいな感じの凛々しい女の子、だが実際は恥ずかしがり屋さん………正直ドストライクです……。

 

 

「んん! これおいしーっ! さっすが椿だねぇ」

 

凄い勢いでテーブル上の料理を減らしていく少女、杏(あんず)たん。

赤紙短髪の元気なボーイッシュなボクっ娘、もちろん可愛い!!

 

 

「…………もぐもぐ」

 

ただ黙々とテービル上の料理を食べ続けるマイペース天使、いろはたん。

水色の髪を纏めており基本的に眠そうな顔、ただ怒らせると……ご想像にお任せします。

 

 

「……こ、こんなに食べれないぞ」

 

涙目で引き攣った顔をしているのはウチで一番の頑張りやさんの花音(かのん)たん。

桃色のツーサイドアップの髪形をしており、小さいのに先生を目指して日々勉強に励んでいるめちゃええ娘。

 

 

「…………」

 

俺達がここに来て一度挨拶をしてから一度も声を発さず、というか料理にすら眼もくれず本を読み続けるメガネっ娘、伽耶たん。

緑髪ロングで見た目はTHE委員長、しかし実のところは一番だらしなくて読んでるのもマンガばっかり……正直言ってオタクです(笑)

だが許そう……なぜならロリ美少女だから!!!

 

 

 

…………まあ、とりあえず一言いいだろうか?

 

 

 

 

幸せすぐるっ(*T∀T*)

 

俺が帰ってくるとみんな俺に甘えっちゃたりして、もう可愛くて可愛くて!!!

 

「も・ち・ろ・ん! アタシのを先に食べるのよね」

 

「おにーさん……」

 

青葉たんは可愛く睨みつけるように、マリアたんは悲しそうな表情で。

 

 

ピィンッ!

 

どちらを先に食べる?

 

 

A.マリアの手料理

 

B.青葉の手料理

 

 

 

 

ふっ……鈍感系主人公ならここで悩むんだろうな。

だが敢えて言おう、カスであるとッ!!

 

俺はロリを絶対に悲しませない(ダンディーボイス

 

 

俺の魂が光って燃えるッ!

 

ロリスマイルを見せろと輝き吠えるッ!!

 

ロリへの思いに応えるため、震えろッ俺のロリ魂ッ!!!

 

我が108の奥義の1つ!!

 

双頭の蛇(ついのくちなわ)!!!

 

 

一瞬、俺の頭が残像を残すほどのスピードで動くことによりまるで俺の頭部が二つに分裂したかのごとく同時にスプーンをくわえた。

ぱくり……むぐむぐ……。

 

ウマッ――――――!!!ロリ美少女の手料理ウマカッ――――――!!!

 

「……美味い」

 

「な! ちょ、ちょっと! 今のどっちを先に食べたのよ!?」

 

「……同時?」

 

「嘘つかないで! そんなこと出来るはずないでしょ!!」

 

ヤバい……青葉たんを誤魔化せなかったお。

どうしよ、どうしよ?

 

などとオロオロ戸惑っているとマリアたんが俺の腕に抱きついて上目遣いにこちらを見る。

 

「わたしは美味しいといってくれればいいですので」

 

おふっ…………萌える。

あざとくすら見えるこの仕草もロリ美少女なマリアたんがつかえば純粋なものに見えるっスね。

 

「な!? ま、マリア……あんたさっきは先に食べさせた方が勝ちって……!」

 

「んんー? 何のことかわからないですので♪」

 

「ア、アンタ! だ、騙したのねッ!!」

 

「おにーさんっ♪ もっとたべて欲しいですので。あーんっ」

 

黒い! マリアたん黒いおっ! でも悔しいっ……口を開けちゃう、ビクンビクン!

 

 

「ねぇねぇー! ごはんはもういいからー。あそぼーよ!」

 

「あそぼあそぼ~、サイトおにーちゃんっ♪」

 

クロたんとシロたんのラブリーな声に反応しテーブルの向こう側の杏たんと花音たんも反応しだした。

「なにするの? ボクもボクも!!」「な、ならわたしも」

 

元気なロリ二人がにこちらに向かってくることにより俺の周りはロリロリロリロリロリロリ――。

なんと、いう……絶景なるか……。

 

「あそぼあそぼーっ!!」

 

もちとんおk、うん分かったから……だから首掴まないで、絞まってる絞まってる――――あ、ちょ、やばっ……。

 

「あなた達、やめなさい!!!」

 

凛とした声が響き渡り少女達の動きが止ま――――――らない。

わいわいがやがや、むしろ心なしか声量が上がり騒ぎ続ける。

 

「ッ~~~」

 

握りしめた手をぷるぷると震わせて顔を俯かせる少女、ギンたん。

 

「おまえたち、そこまでにしておけ。災斗さんが苦しそうだぞ」

 

椿たんの一言でみんな不満そうな顔をしながらも静かになる。

 

「な、なんで、私の言うことは聞かないのに……!?」

 

みんなのおかんだからね、さすがの人徳です、椿たんGJ。

 

「マスターは帰ってきたばかりでお疲れなんです、もう解放しなさい!」

 

「はぁ? 何様よ、アンタ。別にいいでしょ、それにギンはいっつも一緒だからいいけど。アタシ達は久しぶりなの」

 

「あおばに賛成ですので」

 

「ボクも災にいと遊びたいな~」

 

「ギ、ギンはちょっとズルいと思うんだぞ」

 

「ギンってば、うるさーいっ」

 

「あはは、うるさい、うるさ~いっ」

 

「あなた達っ……いい度胸ですね」

 

「まあ、落ち着くといい、銀。……それに実際私も青葉達の気持ちが分かる……わ、私も…一緒にいたいし」

 

顔を赤らめこちらをチラチラ見る椿たん、やっべ……こうかはばつぐんだ。

 

「なっ、椿まで!」

 

ギンたんがまるで裏切られたとでもいうかのような表情になった時、それを仲裁する声が会話に割って入ってきた。

 

「こらこら、そうやって騒ぐのが一番災斗君にとって迷惑だよ」

 

いいオヤジ、またの名をマンホールの聖者――こと松崎が現れた!!

 

「長老……」

 

さて説明しようか……。

この人は俺がいない間、彼女達を世話したり色々なことを教えてくれるとっても良い人なんだよね……。

え、なんかテンションが低いだって?

それはしょうがないだろうなぁ……なんたってコイツは俺のライバルだから。

このマンホール下の部屋(俺によって魔改造済み)に住んでいる子供達、あのオヤジへの懐き度がパない。

くっ……やっぱ優しいおじいちゃんはポイント高いのか……えっ、いや、まぁっ俺の方がなつかれてるけどねっ!?(汗)

 

「でもー、長老ー」

 

「二人は私達のために頑張ってきてくれたんだよ、困らせちゃいけない。ほら、後片付けくらい私達でしてしまおう」

 

テーブル上の食器を手にとってそう声をかける。

 

て、てめぇ――松崎ッ!!まさか俺からロリ美少女を奪う気か!?

俺が疲れているとさり気なく気遣うことで天使達の自分に対する紳士ポイントを上げながらも俺から離れさせる……なんて頭脳犯なんだ……ッ!!

 

俺の周りの天使達も松崎の言葉に「……分かったわよ」「仕方ないですので」「残念だな~」「長老が言うなら」と言いながらも離れていく。

 

あぁーっ!皆さまお待ちになって!!

 

俺の切実な思いが通じたのかクロたんとシロたんが去っていく集団の中から抜け出し俺の方に駆け寄ってくる。

 

「えへへ、おにいちゃんっ、あとで遊ぼうねっ!」

 

「遊ぼうねっ!!」

 

満面の笑みを浮かべながら二人でぎゅっと俺に抱きついてくる。

 

ブルハァッ(吐血)

 

それだけ言うとやることはやったと言わんばかりに二人は立ち去っていく。

 

……な……なんて小悪魔チックなロリっ娘なんだ!?

 

口元を拭った俺はロリ美少女が去っていったことに対する寂寥感と松崎への怒りも忘れただ茫然と二人の行動に驚き立ち竦んでいた。

暫くして復活した俺は未だスキンシップを取れずにいるロリに接触を試みた。

 

「あの……」

 

「うっさいわね、今忙しいんだけど、何か用?」

 

「……マジック」

 

「へぇ……やってみなさいよ」

 

ヘイ、姐さん合点でぇ。

さて、と……ここでエンターテイナーとしての俺の実力を見せつけて伽耶たんの心をゲッチュするとしますかな。

 

まず片手を広げて指が5本あるということを伽耶たんに見せつける。

そして高速で手を動かし親指を伽耶たんから見えなくするように人差し指で隠す。

すると、あ~ら不思議? 親指がどこかにいっちゃたおww

 

「……どう?」

 

子供にはほぼ100%受けるこのマジック、どやっ!

 

「ちっ、頭悪いんじゃないの、それくらいの手品で話しかけんじゃないわよ、クズ」

 

冷めた目線で俺を見てそう言い捨てると再び漫画に集中する。

 

やばい……そこらへんの女に言われたらフルボッコなのに伽耶たんに言われると気持ちよくすら感じちまうぜ……はぁはぁ。

というか、伽耶たんとのスキンシップはやはり難易度ルナティック、下手に手を出したら魔道(SMの道)に身を落としかねんな。

ここは標的を替えておこう。

 

 

ターゲット検索中……。

ピピッ……発見。

個体識別名はいろはと判明。

身長、133cm。

体重、26kg。

バスト、ウエスト、ヒップは調べたらいろはたんからゴミを見る視線を貰いそうなので不明。

ただ……すごくぺったんこです……。

 

 

「いろは」

 

「なに」

 

「……調子悪い?」

 

先ほど唯一(伽耶たんは除外)俺の下に来ることのなかったいろはたん、いつもは俺に甘えてくる(※妄想)のに何があったというんだ。

ま、まさか……松崎にッ!?

 

「サイト、疲れてるんじゃないの」

 

訳:『あのねぇー♪いろはねぇ、サイトおにいちゃんがすっごく疲れてると思ったのぉ☆★☆ だからぁ今遊んでもらったら大変だと思ったんだぁ~♪え?よく見てる……えへへ。だってぇ、いろはぁサイトおにいちゃんのこと大好きだもんっ★☆★』

 

な、なんて……なんていい娘っ子なんじゃッ―――――――!!!!

絶対に嫁には出さんぞぉ!!!!!

松崎、てめぇにも当然渡さんッ!!!!!

 

「やっぱり疲れてる……大丈夫」

 

俺がそんな妄想をしていると俺の様子を疲れたと判断したいろはたんが小首を傾げながらそう問いかける。

ちょっ、その仕草マジやめてくださいよ。

反則っす、まじテラ萌えショックで萌え死にますからww

 

などといろはたんのラブリーさに圧倒され心中でくねっていた俺の前に再びヤツが現れた。

 

 

 

――――そう、松崎だ。

片づけを人海戦術で早々に終えたのかニコニコした笑顔を俺に向けて相対し合う形で立っている。

密閉空間であるはずのこの場所にどこからか乾いた風が吹きつけて俺の頬を撫でた。

 

俺の陣にはいろはたん、対して奴の陣は先程片付けを手伝わせた6人のロリ、そして他はまだどちらに動くかも分からぬ無所属状態。

状況的には俺が不利か…………だが萌えてきたぜ……戦争といこうじゃねぇか、松崎ェ―――俺とお前でよ。

俺の普段と違う鋭い視線と松崎の閉じられた瞼が僅かに開かれることで覗いた視線が重なる。

キッチンから一滴の水音が聞こえ戦いの賽は投げられた。

 

 

決闘!!!(デュエルッ)

 

 

「……み「あ、そうだった。みんな、アイスがあるから食べようか」

 

「アイス――ッ!!」

 

「アイスアイス―――ッ!!」

 

「……アイス」

 

松崎の言葉に俺の隣にいたいろはたんまでもが引き寄せられ、もはや俺の周囲にはロリっ娘一人いなくなる。

 

 

敗因:やはり子供、甘いものには眼がないよね。

 

 

……俺の、負けか……そうだよな、所詮ブラックブレット原作キャラにぱっと出のオリ主風のコミュ障ロリコン野郎が勝てるわけなかったんだ……ぐすっ。

 

 

―――圧倒的な敗北

 

 

開始1秒で、しかも台詞を被せられて……。

原作内でも最強モテロードを歩むことを約束されているはずの主人公・蓮太郎すら寄せ付けなかったマリアたんにも長老と慕われていた松崎さんに俺が勝つなんて元々不可能だったんだ……。

勝手にライバルとか決めつけて自分にまだ可能性があるように思いこんで夢見たかっただけだったんだよな、俺は……ははっ……なんて滑稽な野郎なんだ!?

 

気付けば頬を熱いものが流れ落ち膝は床をついていた。

 

気付きたくなかった、しかしもう眼前へと差し出されて否定することもできないその事実。

深層心理、その更に深いところで俺は松崎さんへの敗北を認めてしまっていた。

 

――認めたくない、認めたいはずがない。

 

しかし、こんな俺にはもう松崎さんに対抗する力など残されているはずもなかった。

ごめん、俺はもう――。

 

 

そんな諦めかけた俺に一筋の光明が差し込んできた。

 

「マスター、大丈夫ですか?」

 

ギンたんが松崎が提案したアイスなどには目もくれず俺の下に寄って心配そうにしている。

 

ギ、ギンたん……ッ!?

 

「おにーさん、だいじょうぶですので」

 

「さ、災斗、休んでた方がいいんじゃないのッ」

 

「災斗さん、やはり体調が優れないのか?」

 

「大丈夫、災にい?」

 

「ゆっくり休んだ方がいいんだぞ」

 

気づけば俺の周りにはロリがいた……。

自分の事ばかり考えていた俺のことなんかを心配してくれている。

な、なんていい娘達なんやぁ……(いろはたん、クロたん、シロたんアイス食べ中、伽耶たん読書中)

 

そう、だった、んだよな……。

今まで忘れていた何かが俺の心の中でコトリと音をたて嵌まった気がした。

 

 

気付き理解し、そして先ほどの自分に思わず苛立った。

俺は何を恐れていたんだ――ロリっ娘達が他の奴に懐くことが嫌だ、ふざけんな。

違ぇ……そりゃ違ぇだろ、鉄災斗。

彼女達が俺から離れるのが何だって言うんだ……そりゃそうなったら苦しい、辛い、認めたくない。

でも、そうじゃなかっただろッ!!

 

 

俺は思い出していた。

自分がこの世界に来て何を決意したのかと。

最初にギンたんにあった時、俺はギンたんを、不遇な立場にある少女達を一人でも救うと決めたのだ。

 

 

―――yesロリータnoタッチ

 

 

すなわち、どんなに触れることは叶わなくとも、その視線が自身に向くことが叶わなくとも―――ただ彼女たちを、彼女達の笑顔を守り続ける。

全てを擲ってでもそれでも掴みたいものが、目指したいものがあると誓った者にのみ許される真言。

それを口にしたのだろう、なら守れ、守り抜け!!

たとえどれほどの者たちがこの身を罪深きと断じ罰しようとも今は未だ、それを受けることは許されない。

 

――犯した罪は重いのかもしれない。

 

――救えず死んでいった少女達も数知れない。

 

――いつか俺が地獄の業火へと身を落とされるのかもしれない。

 

だがここで立ち止まったら今までの誓いに、命に、その全てを無駄にしてしまう。

今を今あるこの時を俺は至上の物とし、ただ俺のこの僅かな手の届く場所にいる彼女達を――この命に代えても守り抜くんだ。

 

 

いつしか俺の頬を流れていたものは消え、ただ目の前には心配そうな少女達がいた。

ふっ……さっそく心配させてんじゃねぇか、何してんだよ、俺は。

まあとりあえず今は。

 

「……遊ぶ?」

 

ハっちゃけていいですかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■松崎■

 

災斗君に対して私が最初に持った印象―それはよく分からない、だ。

 

私は彼女達をガストレアによる被害者――無垢なる世代として認識し保護しようとしているが、それが現代で受け入れられることがないことを知っている。

ガストレアの被害にあった奪われた世代は子供は守られるべき存在、そんな当たり前の倫理観も彼女達に当て嵌めることをしなくなっていたからだ。

しかし私にはそれを黙って受け入れることなど到底出来なかった、そんな私が周囲からは異端扱いされるのはそう遅くなかった。

私は一般人の多く住む居住エリアを離れ外周区の一つのエリアにマリアを連れ移り住むことにした。

今はまだマリア一人だが慣れていったら少しずつでもその人数を増やしていく予定だった。

これが不条理に日常的に人々の悪意に晒されてきた彼女達に対してできる私の唯一の償い。

 

そう思っていた日々を過ごしていたある日、突然手助けをしたいと言って現れた幼い、しかも無垢なる世代の少女を連れた少年に私は本当に驚いた。

 

――何故、この少年はこんなところに?

 

――何が目的でこんなことを?

 

――その少女は一体?

 

様々な疑問が私の頭のなかを覆いつくした。

彼と同じくらいの子供達は親や周囲の影響を受けて彼女達を迫害する側にまわることはあっても擁護する側になるなど皆無、というより不可能である。

 

だから初めは彼の真意を理解できずつい疑う気持ちで接していた。

だか気付けばそういう感情はいつの間にか消えていた。

 

彼は何者か考えていた時間が馬鹿らしい、単純明快、彼も私と同じだったんだ。

 

子供が好き。

 

ただそれだけの、なんでもないこと。

 

――周囲の言葉を無視し自分のなかで倫理観を形成していく。

 

――周りの者達の思想に染まることなく自分の眼で見て自分の頭で考える。

 

そんな言葉で言えば簡単なことを現代において実践するのがどれほど難しいことか。

 

 

 

それからの日々は劇的といってもいい程に変化していった。

どこからか連れてきた少女達――傷ついたはずの彼女達がここでは心からの笑顔を浮かべていられる。

 

そして彼女達と暮らす上で情報は必須、彼が銀丹を連れてどんなことをしているのかも自然と耳に入ってきた。

何故そうするかなど考えるまでもない、今も虐げられている無垢なる世代のため、ここで暮らす少女達のため。

君がそうやって頑張っている間、彼女達は僕が守ろう。

でも災斗君……彼女達にとって君は既に心の支えのようなものだ、傷ついてもいい、だから必ずここに帰ってきてくれ。

 

 

 

おや、お客さんかな――いやこのノックは、きっと二人が帰ってきたのかな。

 

マリア、そんなにはしゃいで怪我するんじゃないよ。

青葉も二人が来たら優しく労ってあげなさい。

白、黒、二人は疲れているかもしれないからあまり迷惑をかけちゃいけないよ。

椿も二人のために料理の腕を奮ってあげてくれ。

杏、元気なのはいいが二人の前では少し静かにしてあげるんだよ。

いろはも早く起きるんだ、二人が帰ってきたよ。

伽耶も少し本から眼を放して出迎えてあげてくれないかな。

 

さて折角だから私が出迎えをしようかな。

ん、なんだい、マリア……梯子を登れるのかって?

ふふ、大丈夫さ、二人のためならこんな事なんでもないさ。

 

おや、災斗君、君のそんな驚いた顔は珍しい。

何かあったのかい……え?

これはない、だって……なんの話かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で第六話でした。

誰が得すんだよコレ?という松崎視点のみ……。
ロリキャラ視点入れようと思ったが人数多すぎたorz

今後、外伝やストーリーの中でキャラの話を入れてくので……待っててください_(^^;)ゞ

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