お姉ちゃんにまかせなさい!   作:悠々亭ゆゆ

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皆さん初めまして!初投稿にして本作品一発目となります。思いつく限り続けていこうと思っていますので、読んでいって下さると大変嬉しいです。


第一話 『出会い』

――とある高校の職員室――

 

教師「――では、保登さんは香風さんが経営する喫茶店“ラビットハウス”への住み込みを希望、ということでよろしいですね?」

ココア「ええ。それでお願いします」

教師「わかりました。では保登さんの住み込みについてこちらから香風さんに依頼を致しますので、後日了承を得られましたら――」

ココア「ああ、了承はすでに頂いていますよ。オーナーの香風さんに住み込みの件について先ほどお伺いしてきました」

教師「なんと! 素晴らしい行動力ですね、すでに了解を得ていましたか。まぁ、保登さんならばどこでも快く受け入れて頂けるでしょう」

ココア「そうでしょうか?」

教師「そうですよ。礼儀礼節をしっかりわきまえていますし、人当たりもよく何より優秀ですからね」

ココア「……そこまで褒められると恐縮してしまいますね」

教師「そんなに謙遜しないでください、事実なのですから。……でも、本当に我が校でよかったのですか?」

ココア「どういうことですか?」

教師「保登さんの成績ならばあちらの高校の方がよかったのではないのかなと」

ココア「ああ、あちらのお嬢様学校ですか」

教師「そうです。あちらの学校はうちよりも学業・スポーツ共にレベルが高いですからね、それに特待生制度もあります。保登さんの成績ならば十分に特待生枠の圏内だと思いますよ」

ココア「あー、特待生は魅力的なのですが、どうしても学校の気質が私に合いそうもないので……、堅苦しいのは苦手です」

教師「そうですか。まぁ、うちの学校はかなり自由な校風ですからね。堅苦しいのが苦手なのであればうちの方が学生生活を送るうえでは過ごしやすいでしょう。……たまに羽目を外しすぎる子がいるのが少々問題ですけども」

ココア「あはは、そうならないように気を付けます」

教師「保登さんならば問題ないでしょう。私個人としては、ゆくゆくは生徒会長となり生徒の模範になって頂きたくですねー」

ココア「あー、私目立つの苦手なのでそういうのは勘弁していただきたいのですが……」

教師「えー、そこをなんとか」

ココア「うぅ」

 

――――――――

―――――

――…

 

ココア「……疲れた」

 

 教師とのやり取りを終えて私は一息ついていた。高校入学前に早くも教師に目を付けられてしまったような気がする。高校ではあまり目立ちたくないんだけどなぁ。中学では結構面倒くさかったし高校生活はゆったりと過ごしたい。

 

ココア「……それにしても、今日は色々あったな」

 

 今日は高校入学前に学校についての説明を受けに来ていた。私の実家には周辺に通える高校がない。通学の範囲で通える高校はあるにはあったのだが、幼い頃に姉に連れられて訪れて以来、この木組みの家と石畳の街に憧れていた。私はどうしてもこの街に住んでみたかったのだ。そこで高校入学の際に思い切って家族に相談してみた。私ならば問題ないだろうということで快く了承してくれた。……お姉ちゃんを除いては。

 

ココア「……お姉ちゃんにはいい加減に妹離れをしてもらわないと、ね」

 

 私には年の離れた姉と兄が二人いて、私はというと四人兄弟の末っ子にあたる。姉、兄ともに兄弟全員仲が良いが、私は特に姉に溺愛されていた。高校入学のために家を離れると話を切り出すやいなや、泣きながら止めてくれとせがまれてしまった。しかし、私はそんな姉を押し切って実家を離れることに決めたのだ。

 

ココア「可哀そうなことをしたと思うけどこれを機にお姉ちゃんには頑張ってもらわないと」

 

 そういって私は自分を正当化して姉に対する罪悪感を振り払った。

 

ココア「それにしてもタカヒロさん、ほんとによかったのかな? 考える間もなくOKしてくれたけど」

 

 学校の説明を受けに行く前に、私は住み込みで働かせてもらうため、お店に訪問をして回っていた。この周辺地域の学校の特色として、遠方から家を離れて学校に通う際は、学校の後にお店で働くことを条件に、住み込みで学生生活を送るという風習があるのだ。学生の住み込みを受け入れているお店については事前にある程度調査していたので、その中で個人的に興味を抱いたお店に訪問して回るつもりだった。

 ……のだが、一番初めに訪問した喫茶店ラビットハウスにて、オーナーのタカヒロさんにどうやら気に入られてしまったようで、すぐに住み込み先が決まってしまった。

 

ココア「んー、他にも甘兎庵とかにも訪問してから決めたかったんだけどなぁ。タカヒロさんなんかすごく押してくるし、そのまま勢いに乗せられてしまった感が否めないな」

 

 まぁ、ラビットハウスは一番気になっていたお店だし快く引き入れてくれるのであればこちらとしてもありがたいことこの上ない。これからの生活が楽しみだ。

 

ココア「それにしても、やっぱりいい街だなぁ……」

 

 一息ついた後、思いのほか学校の説明も早く終わってしまい、帰りの電車にもまだ時間があったため私は街の様子を眺めながら散歩をしていた。木組みの家と石畳の街と言われるだけあり、やはりとても趣がある。また、この街の特徴でもあるのだが、至るところに野生の兎が生息しており、兎と直に触れ合うことができるのも魅力の一つだ。近いうちに、この街で暮らすことになるのかと思うと期待に胸が高鳴る。

 

ココア「うん、とりあえずやれるだけやってみようかな、……がんばろ」

 

 時間が許す限りこの街をもっと見て回りたかったが、ふと時計を見ると帰りの予定時刻が迫ってきていた。名残惜しいがそろそろ家に帰らなければならない。帰りの電車の時間に合わせて駅へと向かう。駅へ着くと丁度帰りの電車がやってきたので、私は電車に乗り込むとそのまま木組みの家と石畳の街をあとにした……。

 

 

 

 

 

――喫茶店ラビットハウス――

 

 木組みの家と石畳の街の一角に佇む喫茶店ラビットハウス。現オーナーの一人娘である香風チノは店を支えるべく今日も働いていた。慣れた手つきでコーヒーを煎れると、自ら客の元まで歩きコーヒーを差しだす。

 

チノ「お待たせしました、コーヒーです」

客「あ、どうもです~」

チノ「では、ごゆっくり」

客「いえいえ~♪」

 

 てきぱきとした動作でお客にコーヒーを出し終えるとカウンターへと戻る。

 

チノ「……今日もお客さん少ないですね、おじいちゃん。……はぁ」

ティッピー「……」

 

 ため息交じりにティッピーに愚痴を零す。ラビットハウスは、今は亡き祖父が創業者であり、この街でも老舗と呼ばれる部類に入る喫茶店である。祖父が経営していた頃はお客の入りはなかなかに良く、そこそこに繁盛していた。だが、祖父が亡くなって以来、次第に客足が遠退いていき、今では閑古鳥が鳴いてしまいそうな状況となっていた。さすがに経営が厳しくなってきたため、現オーナーである父は思い切って夜にバーを開くことにした。これが功を奏してなんとか店の状況を立て直すことに成功した。だが相変わらず昼間は客が少ない。そのため人員をそこまで割く必要がないので、私を含めて数人で昼は営業している。

 

チノ「……そういえば」

 

 父から話は聞いていたが、今日は高校へ通うため、遠くから住み込みで働く方が引っ越してくる日だ。

 

チノ「どんな方なのでしょうか、仲良くできるか不安です……。怖い人だったらどうしょうましょう、おじいちゃん……」

ティッピー「……」

チノ「リゼさんの時のことを思い出してしまいます、うぅ……」

 

 ラビットハウスでは現在バイトのリゼさんと一緒に働いている。初めてリゼさんと会った時、その人となりに驚いてしまい、びくびくしてしまった。一緒にお仕事をしていくうちに優しい人だとわかってからはそんなこともうないですけど。

 

チノ「優しい人だといいな……」

 

――――――――

―――――

――…

 

ココア「到着ー、っと」

 

 家族との別れの挨拶を終え、私は晴れて高校生活の舞台となる木組みの家と石畳の街へと再びやって来た。約一か月ぶりの訪問となる。

 

ココア「んー、やっぱりいいなぁ、この雰囲気」

 

 街の様子を見ながら目的地のラビットハウスへ向けて足を運ぶ。歩くとコツコツと心地よい足音が響く石畳の路、まるでお伽橋に出てきそうな風情あるハーフティンバー方式の建物、にぎやかな声が飛び交う商店街。途中に立ち寄った公園には野生の兎が子供たちと一緒に戯れていた。この街でこれから始まる新生活を想像すると顔がにやける。

 

ココア「それにしても、お姉ちゃんにはほんとに困りものだなぁ……」

 

 家族と別れを告げる際、予想はしていたことだが、お姉ちゃんに泣きながらしがみつかれて行かないでくれとせがまれてしまった。振り払いようにもどうも気が引けてしまい困っていると、両親が助け舟を出してくれて、それでようやくお姉ちゃんは私を放してくれた。お姉ちゃんには本当に悪いことをしたと思う。……ごめんね、お姉ちゃん。

 謝罪の意味を込めて今度帰った時に何かしてあげようかと思案していると、目的地のラビットハウスに到着した。

 

ココア「……着いたね」

 

 店の前に立つと、”open”と書かれた札がドアに掛けられており、メニューが記載された立て看板が置かれていた。どうやら今は営業中のようだ。窓越しに店内を覗くと店員さんらしき人の姿が確認できた。

 

ココア「この前来たばかりだけど、いざってなると緊張するな。すぅー、はー、……よし」

 

 大きく深呼吸をして心を落ち着かせた後、ドアに手をかける。

 

ココア「失礼します」

チノ「いらっしゃいま――」

 

 ドアを開けると、先ほど窓越しに見えた店員さんが出迎えてくれた。

 

ココア「あ、初めまして。私、保登ココアといいます。本日よりこちらのラビットハウスさんにて住み込みで働かせてもらうことになっています。どうぞよろしくお願い致します!」

 

 私が開口一番に自己紹介をすると、店員さんは何やらぽかんとした様子で固まっていた。……今の自己紹介変だった? かなり普通だったと思うのだが。

 

ココア「……どうしました?」

チノ「ぅあ、いえ。な、なんでもありません。私は香風チノといいます……。父はこのラビットハウスのオーナーです、父から話は聞いていました。こ、こちらこそどうぞよろしくです……」

 

 私が尋ねると、はっとした表情をした後、店員さんが自己紹介をしてくれた。この子がチノちゃんかー、タカヒロさんから聞いていた娘さんだね。

 ……それにしても、ちっちゃくってかわいいー。人見知り屋さんなのかな? 恥ずかしそうにしてる姿が一段と、こう、ね。思わず抱き着いてしまいたくなるな、これは。いかんいかん、冷静に冷静に。私は浮ついてしまう心を一旦落ち着かせると話を続けた。

 

ココア「あ! あなたがチノさんですね! 私もタカヒロさんから話は聞いていました。一人娘のチノという子がいて、昼はその子がラビットハウスをきりもりしていると」

チノ「はい、その通りです。昼は私がラビットハウスのオーナー代役としてお店をやっています。父は夜にここでバーテンダーをやっています」

ココア「そうなんですか。昼と夜とで営業しているとは聞いていましたが、昼は喫茶店、夜はバーをなさっているんですね」

チノ「そんな感じです。」

ココア「へー。……そういえば、他に店員さんが見当たりませんけど、チノさんお一人でお店をやっているんですか?」

チノ「いえ、バイトの方が一人いらっしゃいます。ですが、一昨日から私用ということで一週間ほどお休みしていますね」

ココア「なるほど、ということはバイトの人がいない時は一人?」

チノ「そうですね、一人でやっています。でも、一人だと厳しい日は父が手伝ってくれます」

ココア「すごいですね。まだ小さいのに、ご立派です」

チノ「むっ、子供じゃありません。私は中学生です!」

ココア「……え? ほんとに?」

チノ「中学生です!」

 

 ……小学生にしか見えないんだけど。というか、私と歳が二つくらいしか変わらないってこと?えぇ……。

 

ココア「ああ、ごめんなさい。これは失礼しました……」

チノ「別に構いません、慣れていますので……」

 

 子ども扱いされるのは嫌いなようだ、次からは気を付けよう。

 

ココア「それにしても一人というのは大変ですよね、私も手伝いますよ」

チノ「いえ、さすがに今日初めて来られた方に手伝ってもらうわけには……」

ココア「会計と接客程度ならできますよ、私実家がパン屋さんで家の手伝いをよくしていたんですよね」

チノ「そうなんですか。とてもうれしいですけど、今日はお客さんが少ないので私一人でも大丈夫です」

ココア「んー、そうですか。では明日からということで」

チノ「え?明日からもう働くつもりなんですか? 父からは学校が始まってからって聞いてますけど」

ココア「あー、確かにタカヒロさんからはそう言われてましたけど、お仕事は早いうちに覚えてしまいたいですしね。何よりチノさんとはやく一緒に働きたいので!」

チノ「うぅ、わ、わかりました。では明日からよろしくお願いします……」

ココア「こちらこそ、これからよろしくお願いしますね!」

チノ「……はい」

 

――――――――

―――――

――…

 

 チノちゃんと挨拶を交わした後、私のために用意された空き部屋へと案内してもらった。持参してきた荷物を広げ自室の整理を行う。

 

ココア「……ふぅ。とりあえず、こんなものかな?」

 

 ある程度整理し終えたところで、一息つこうと思いベッドに横になる。生活に必要なものは実家から大体持ってきたが、消耗品などは持ってきてはいない。時間ができたら学校で必要になるものも合わせて買い物に行きたいところだ。

 

ココア「それにしても、チノちゃんかぁ。ちっちゃくって可愛いー、思わずハグしたくなっちゃうよ。さっきは結構危なかった……」

 

 先ほど初めて会った時、思わず抱き付きそうになったことをふと思い出す。冷静を装って普段通りに接したが、内心ハグしたい衝動を抑えるのが大変だった。流石にあそこで抱き付いていたら不審者扱いされても文句は言えまい、初対面なんだし。

 

ココア「ここに来るまでチノちゃんがどんな子なのかちょっと不安だったけど、心配は無用、だったかな。」

 

 タカヒロさんからチノちゃんについてはある程度教えてもらっていた。感情表現が苦手であまり笑わないけど、無愛想、というわけではないから仲良くしてやってくれ、と言われている。確かにその通り、チノちゃんは見た感じ引っ込み思案な子の印象を受けた。だが、お店を任されているあたり、人付き合いが苦手というわけではないように思える、接客業なんだし。仲良くなるのにさほど苦労はしないだろう。

 

ココア「早く仲良くなりたいなぁ。……うん、がんばろう!」

 

 そう言って私は自らを鼓舞すると、さっそく親睦を深めるべくチノちゃんのもとへと向かうのだった……。

 

 

 

 

 




というわけで、第一話です。いかがだったでしょうか?
本作品のコンセプトは、カッコいいココアお姉ちゃんが見てみたい!ということが事の発端となっております。
まだまだ序盤ですので魅力を出せていませんが、これからどんどんイケメンムーブをさせていこうと考えていますので、気に入っていただけましたら次回作も見ていただけると幸いです。あ、感想とか書いていただけるととても嬉しいです!特にダメな部分や表現がおかしいところなど指摘して頂けると感激です!
ではでは~
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