ある部屋の一室
「ふわ〜、よく寝た」
そう言い布団から上半身を起こした少年の名前は一色真(イッシキ マコト) 一色いろはの弟です
そして真が寝ている横で寝ている女性がいました
「ん〜、真〜」
「わっ、お姉ちゃん」
まだ寝ぼけているのか、いろはは上半身を起こしてる真を抱き寄せるとそのままふかい眠りに着こうとします。真はいろはの胸に抱かれながら抵抗しようとしますがまだ寝起きでさらにいろはに抱きしめられ人肌の温もりに再びつつまれた真は眠気に襲われ二度寝をしてしまいます。
「ん?」
それからしばらくしていろはが目を覚ましました。そして自分の腕の中の存在に気がつきます
「えへへ」
するといろはは真のことを強く抱きしめ直し、頬を綻ばせます
一色家ではこういったことがほぼ毎日行われていました
ーーーー
「もぉ!お姉ちゃんのせいでまた二度寝しちゃったじゃん!」
「だって真が可愛いのが悪いんじゃん」
一色家のリビングでは真が頬を膨らせて姉であるいろはに怒っていました。しかし当人であるいろはは全く反省の色が見えずにむしろ真が可愛いいのが悪いと主張します
「む〜」
真はそんないろはの態度にさらに頬を膨らませます
「そんなに怒らないでよ〜」
「お姉ちゃんなんか知らない!」
「じゃあ、今度真が好きなケーキ買ってあげるから」
「え!本当?じゃあ許してあげる!」
真は先程までの怒りはケーキでなくなったのか嬉しそうにいろはに抱きつきました
「うん、じゃあまた今度出かけようか」
「絶対だよ!」
ーーー
「お姉ちゃん遅いな...」
学校が終わり帰宅に戻りいつも通りいろはを待っていた真ですが、なかなか戻ってこないことに心配していました
ガチャ
「ただいま~」
そこに少し疲れた様子のいろはが帰宅してきました
「お帰り〜。あれ、どうしたの?」
帰宅したいろはを出迎えに玄関に来た真は疲れた様子のいろはを見て心配しました
「あ、うん。元気だよ!」
いろはは心配をしてくれている真を心配させまいと、疲れた表情からすぐに笑顔を浮かべました
「む〜、お姉ちゃんこっち!」
「え、ちょっと」
しかし、真はそんないろはを見て何か気にいらなかったのか頬を膨らませたかと思うといろはの手を引いてリビングに向かいました
「お姉ちゃんここに座って」
「え、何で?」
「いいから!」
リビングまで手を引いて来た真はいろはにソファーに座るように促します。いろは真の言う事に困惑しながらもソファーに座ります
「よいしょ」
「?」
そして何故かいろはを座らせた横に真も座り込みました。いろはは真の行動の意味がわからず首を傾げます
「んっ」グイ
すると真はいろはの肩を掴み自分の方に倒れ込むように引っ張ります
ぽす
そして真の膝の上にいろはの頭がちょうど倒れ込みます。俗にいう膝枕です
「え」
いろはは真の不可解な行動の連続にされるがままで固まってしまっています
ナデナデ
真は膝枕をしたいろはの頭を撫ではじめました
「お姉ちゃん何があったのか知らないけど僕の前で無理しなくていいんだよ」
真は優しい声色でいろはに話しかけます
「ん〜ん」
ずっと反応ができていなかったいろはでしたが、真に頭を撫でられ出してからは甘えるような声を出し真の膝に頬を擦り付けています
「ふふ、お姉ちゃんは甘えん坊さんだね。それで何があったの?」
「実はね…」
いろはは同級生の悪意から生徒会長に立候補させられてしまったこと、そしてそれを奉仕部と呼ばれる部活動をしている人たちに相談したことなどを話しました
「そんなことがあったんだ…」
真はいろはの話すことを全て真剣に聞きました
「それでその奉仕部の人たちが何とかしてくれるの?」
「わかんない」
真の問いかけに対していろはは少しごね気味に返答する目を閉じました
「ふわ〜、このまま少し寝ていい?」
「うん。いいよ」
「おやすみ」ちゅ
「えへへ、おやすみ〜」
真に頬にキスをされたいろはは嬉しそうな顔をして眠りにつきました
ーーー
「ん?」
しばらくしていろはが目を覚ましました。しかしそこに真の姿はありませんでした。
「あ、お姉ちゃん起きた?」
キッチンの方から真がいろはに声をかけました。どうやらご飯を作っていたようです
「お母さんとお父さん今日も会社に泊まりがけで仕事なんだって」
「そうなんだ」
「できたよ。座って食べよ」
「うん。ありがとう」
「はい、あ〜ん」
「さ、流石にそれは恥ずかしいよ」
いろはの隣に座った真はご飯を食べさせてあげようとしますが、恥ずかしいのかいろははそれを拒否しようとしています
「お姉ちゃん、食べてくれないの?」
「うっ、わかったわよ」
(かわいい!!)
真はいろはを上目遣いに目をうるうるさせながらそう問いかけました。そんな真の行動にいろはは勘弁したようで大人しく真にご飯を食べさてもらいました