「真!」
「ん?」
ポス
「何これ?」
「可愛い!!」
「あ、パンさんの耳だ!」
いろはがお店で買ってきたパンさんの耳のカチューシャを真に被せます。
「うわ!真君めちゃくちゃ可愛いじゃん!写真撮ろうよ!」
いろはの声に反応した結衣が真の元まで歩いてきました。
「良いですよ!」
「ありがとう!あ、後タメ口でいいよ?」
「わかった!」
「はい、チーズ」
カシャ
「結衣先輩近すぎませんか?」
「写真くらいで嫉妬するなよ。ん?雪ノ下?」
写真の邪魔にならないように離れたいろはと八幡が話していると、写真を撮り終わった真の元に雪乃が近づきます。
「ちょ…お願いが…」
「えっ、……分か…ました…恥ずか…すけど」
「え、ちょっと雪ノ下先輩、真に何をさせる気ですか!」
「いや、雪の下に限ってそんなことは」
周りが騒がしいのと少し距離があったのもあり真と雪乃の会話は少し聞き取りずらく全てを聞き取ることは出来ませでした。
「あれ、何を渡してるだんだ?」
「ちょっとすいません!」
何やら雪乃話しかけられ何かを渡されました。どうやら衣服のようです。いろはは我慢ができなくなったのか真の元に向かいます。
「あ、お姉ちゃん!どう、似合う?」
「っ」
そこにはパンさん模様のパーカーを羽織ってパンさんをカチューシャをつけた真がいました。
「あれ?お姉ちゃん?」
だき
「可愛すぎだよ〜!」
いろはは感極まったのか全力で真を抱きしめます。
「お姉ちゃん息出来ない!!」
「あ、ごめん」
「ぷはっ」
いろはは抱擁から真を解放します。
「真君、私も一緒に写真を撮ってもらえないかしら?」
「良いですよ!」
「マジかよ」
そんな2人の後ろから雪乃が近づき真の写真撮影を希望します。八幡はそんな不dなんお雪乃からは想像できないことにとても驚いています。
「えっと、」
しかし雪乃は普段から写真を撮らないのか真とのツーショットに手こずっています。
「僕が撮りますね!はいーチーズ!」
「チ、チーズ」
そんな雪乃を見て真は雪乃の携帯を撮って自ら撮影を始めます。
2人の撮影は真が写真を撮ろうそしている関係上雪乃との距離を近づける必要があり2人の頬かくっつきそうなほど近づいて撮影を行っています。というかくっついています。
「はい!撮れましたよ!」
「えぇ、ありがとう」
雪乃は真との2ショットを見返して少し微笑みます。
「真君もう一回撮ろ!」
「うん、撮ろう!」
それを見た結衣がもう一度真の撮影をねだりに来ました。
「むぅ、真私とも取るよ!」
そんな光景を見ていろはも写真撮影を始めます。
ーーー
「雪乃さん大丈夫ですか?」
「えぇ、なんとか」
雪乃は人に乗られたのか体調が悪そうです。
「あっ」
全員でこれから最後にウォータースライダーに乗ろうか移動していた時です。全員が道路を横断しようとしていると真と雪乃の前で道路が閉鎖されてしました。どうやらこれからパレードがあるようです。
「真ぉぉ!」
「いろはちゃん!流石にダメだから!」
いろはは真が取り残されたことに過剰反応し柵を乗り越えようとしていますがそれを結衣が必死に取り押さえています。
「お姉ちゃん達先に行ってて!後で追いつくから!」
「わかった!ユキノンをよろしくね!」
いろはひきづりながら結衣達が移動して行きます。
「雪乃さん行きましょう!」
「そうね」
真は雪乃の手を引いて移動します。
その間も雪乃の体調は良くなさそうです。
「雪乃さん、ちょっと休憩しましょう!」
そんな雪乃の体調を気遣ってか真がベンチに座る提案をします。
「いえ、大丈夫よ。それより早く由比ヶ浜さん達と合流しましょう」
雪乃は真に気を使わせているのが申し訳ないのかその提案を断ります。
「むぅ、座ってください!!」
そんな雪乃を真は頬を膨らませて雪乃の手を引っ張りベンチに座らせます。
ポス
「流石にちょっと恥ずかしいのだれど…」
なんと真は雪乃のことを膝枕しました。雪乃は恥ずかしそうに頬を赤らめます。
「えへへ、よくお姉ちゃんが落ち込んでる時とか疲れてる時にこうやって膝枕してあげてるんですよ」
「あの、」
ぴと
「これで気にならないですか?」
真は恥ずかしそうな雪乃の両目を周りが見えないように手のひらで隠します。
「まぁ、多少は…やっぱり」
「雪乃さん、あんまりこういう所得意じゃないですよね?」
雪乃は頭を上げようとしますがそれに合わせるように真が話しかけます。
「…確かにそうね」
「私には姉さんがいるのだけど」
「はい」
雪乃は何故か真に対して自分の身の上話をします。雪乃自身も何故話しているのかは分かりません。ただなんとなく話したいと思ったのです。
「まだ小さい頃だけれど、姉さんとこういうところに来ると必ず姉さんに揶揄われていたの」
「そうなんですね」
「その時の姉さんが、またとても楽しそうなの」
「結構お茶目な人なんですか?」
「お茶目、そうね」
「ふふ、雪乃さんと正反対ですね」
「えぇ、小さい頃から私は周りから手のかからない子、おとなしい子って言われていてでもその裏で可愛げのない子だとか言われているのに気づいてた。一方で姉さんは周りから愛されていたの。真君みたいに」
「そんな僕は周りから好かれていないですよ〜」
真は頬を赤らめます。
「ふふ、まぁ姉さんと真君は全く正反対でしょうけどね」
「そうなんですか?」
「えぇ、全く違うわ」
「雪乃さんはお姉さんのことが嫌いなんですか?」
「好きではないわね…」
「へぇ〜」
「…姉さんは私にはない物を持ってた。私はその事実を知って自分に失望するの」
「なんで失望するんですか?」
「なんで自分は持ってないんだろうって思うのよ」
「でも、雪乃さんも僕にはない物を持ってるじゃないですか!」
「気を使わなくて良いわよ。私には何もない」
「僕まだ会って一日ですけど、僕よりパンさん詳しいこととか、頭撫でてくれるの上手とか、笑顔が綺麗とかいっぱい持ってるじゃないですか」
「だから」
真はそう言いながら雪乃の目に当てていた手をどけて上から、雪乃の目を覗き込みます。
「そんな悲しいこと言わないでください。雪乃さんが僕にはない物たくさん持ってるんですよ。嫉妬しちゃうくらい!」
真はいつもの明るい笑顔を雪乃に向けます。
「ふふふ、ありがとう。とても元気が出たわ」
そんな真の笑顔を見て雪乃も笑顔になります。
「真君?」
「なんですか?」
「もう少しだけ目に手を当ててもらっても良いかしら?」
「いいですよ!」
真は再び雪乃の目を手で塞ぎます。
ーーー
「ごめんね。真」
「大丈夫だよ。お姉ちゃん」
その後無事いろはたちと合流しました。
「ダメなお姉ちゃんでごめんね〜」
いろはは真を置いていってしまったことを後悔しているのか真に縋り付きます。
ちゅ
「お姉ちゃん、僕全然怒ってないよ!」
真はいろはのおでこにキスをしてから力一杯抱きしめました。
「真〜」
「あの2人本当に姉弟かよ」
「なんだかカップルみたいだよね」
「そうね」
「雪ノ下、それ…」
「何かしら?」
「いや、なんでもない…」
八幡が隣で携帯をいじっている雪乃を見ます。そこには今日撮った真との2ショットの写真がホーム画面に映っていました。