この現代世界が、自分が生きてきた世界と全く違う世界線と気づいたのはちょうどこの時だった。
「脳医科学? 侵襲性? ナーヴギアを、応募者二万名様にプレゼント!?」
俺は気づいちゃった。ここはご都合主義しかないSAOの世界だと!
やったぜ! 死ななければ、無限(有限)に楽しめるゲームで遊べるんだ!
そんなわけで早速ハガキを使って応募した。
楽しみだなぁ、これが当たったらすぐに近くの電気屋に行って、電子レンジ機能を外してもらおっかな。
なお後日の郵送は、SAO開始の当日だったりする。
再確認したとき、それを見てがっかりした。
一週間経過して、結果発表されたんだけど、ご丁寧にもハガキで返ってきた。
ハガキには、”当選おめでとうございます”の文字が。
やったぜ。ただこの一時間後に、ナーヴギアの欠陥が発覚して回収の後に処理し、返還する旨の知らせが届いた。
どうやってって、そりゃ大手電機会社から直接の訪問だぞ。
ナーヴギアを渡すと謝罪と共に、お菓子の詰め合わせを渡された。
こんなの貰っても、味わえないからいらないんだけど。
結局ゲームができるようになったのは、1か月後の事だった。
暇だったので、SAOに関する情報を得ていたんだけど、茅場昌彦が失踪したらしい。
更に大手電機会社が、社内の再編成を行って再出発したというのも分かった。
SAO自体も、何らかの手が加えられていたので、元のバージョンに戻して再出発。
つまり、デスゲームはなかったというわけだ。
やったね、たえちゃん!
ただ、デスゲームが完全になくなったということはないようだ。
今現在、SAOにログインしていつもの通り、始まりの広場に転移してきた。
プレイヤー三万人が集まった中で行われた、SAOの新たなデスゲームの始まりを告げられてしまった。
「ワタシは、タブー。 仮想世界に夢想する者どもよ、拝聴するがいい。
キサマらは、ワタシ達の崇高な目的のためのイケニエになってもらう。
最初こそは、頭を破壊することしか能の無いものであったが、ワタシ達は進化している。
そう、この世界を攻略するというものだ。だがそれだけでは、オモシロくない。
そこで考えた。まずは、この100層もあるアインクラッドを完全攻略してもらうこと、
そしてHPが0になったら、死ぬまでに受けた傷を痛覚100%で受けてもらいながら、復活することだ。
なぁに、ラスボスを殺せばキミ達は、表の世界に帰れるのだ。これほどの温情はないだろう?
さあ、行きたまえイケニエ達よ!
今までの作品や世界を破棄し、VRMMORPGに活路を見出すならばワタシ達が
自らの世界の良さを教えようではないか!」
わかってなかった。
茅場は甘くなかったみたいだ。
まさかデスゲーム以上にまずいことになったとは、思いもよらない事態だ。
ログアウトボタンはないし、強制的に外そうとしてもそれを察知した瞬間に脳幹に大ダメージを与えて植物人間にするらしいし。
無理ゲーと思ったけれど、とにかく死ぬことはないようなので安心だ。
これなら―――
「「ぎゃああああああああ!!!」」
!?
何事かと後ろへふりかえると、空中から人がぼたぼた落ちてきた。
その人たちは、体の節々が折れ曲がっていたり身体がへしゃげていた。
そして握り潰されたマヨネーズの容器を、元の形状に戻すかのような再生を
目の前で見せられた。
その過程で眼前の人は、目を見開き涙を流しながらのたうち回っていた。
さながら地獄のようで、周囲にいた女性はいざ知らず確実に子供といわれる人も、
泣き叫んでいた。
ベコベコになった缶が、元の形に戻ったといえる状況になっても、
老若男女が苦悶の表情を浮かべ悶絶している。
しばらく痛みは続くみたいだ。
周囲を見てみると、その業を見て唖然としているのか知らないが、
ほとんどの人は動いていない。
わかると思うけど、たぶんあのタブーのせいなんだろうなぁ。
眼前の絶望を見るのはいいけど、そろそろ動かないと何もできなくなるな。
そういうわけで行動を開始しようとしたけれど、予想よりも人がぼたぼた落ちてくる。
三万人もいるんだからそりゃそうだよなと。
あ、目の前の人が一人消えた。
どうしたんだろう?
<プレイヤー izuchi 痛みによりショック死しました。
ゲームよりログアウトします>
ゲーム内に響き渡る無慈悲な宣告。
つまりだ。
生きかえるけれど、その痛みと対峙しなければならないようだ。
進むも地獄、退くも地獄とはこのことか。
俺は背中に担いでいる片手剣を持って、すぐに外に飛び出した。
理由は簡単で、お腹が減ったから。
つまり、お金は減っていくということ。
飢えて死ぬくらいなら、危険を冒してでも頑張ってお金を稼がないと!
ぶっちゃけオリ主の意味がないんですよね。