海で機械獣の残骸を見てから、二週間が経過した。
今俺達はアポロの1億位のデータを、ガイアがバックアップしていたのを発掘して
この世界に知識や経験を伝えようと頑張っているところだ。
ただ山賊たちには申し訳ないけれど、俺のソースやトード・デスブリンガーに
殲滅されてもらうぞ。
あとはガイアが再設計した設計図を、機械炉で新たに作りあげていく。
更にオーバーライドができない機械獣を資源として回収する、海鳥のような存在を生み出した。
彼らは海へ飛び立ち、海底に沈む鉄資源を回収しに向かっている。
「ハデスはどうなった?」
「ハデスの機能は消去した。ただ、それににた抑制プログラムは残したぞ」
「流石世界企業のエリート」
「まさか俺も、ゲーム内でプログラミングするとは思ってなかったよ」
この世界の再構築のために、データを整理したプログラマーたち300人。
彼らと共に、食料や資金等を援助する代わりに、このガイアにあるハデスの機能を削除・縮小するようにしてくれと頼んだ。
計画は成功で、ファロの遺志はどこにも残っていない。
奴の邪推のせいで、オリジナルデータが複数消えているがガイアやアポロの開発者が、
バックアップを大量に残しておいてくれたので、オリジナルと遜色ない精巧なものが
この世界に残っている。
「しかし、よくもまあこんなに残ってたもんだ」
<ブレイン、プロトコル外のお話をしても?>
「ああ、うん、いいよ」
<ネットワーク上に残っていた記事から、テッド・ファロについて警戒すべきと判断しました>
「おお」
<感嘆を検知。やはり、間違っていなかったのですね。彼がもたらした、アポロデータの棄却は事前に私が全データを他の場所へ別々にバックアップしていました>
「今は有効に活用させてもらっているし、人類もいる。ハデスがゼロ・ドーン計画でバグったのは、仕方ないことだろう。現状ハデスの機能停止は、97%だ。
今回のテラフォームは、うまくいくはずだ」
<そう願っています>
ガイアとフォーカス越しで会話した。
純粋無垢であり、絶対地球再生させるマン。
だから悪意とは隔絶すべきであり、経験を持たせるべきとも思っている。
今は一定の人としかしゃべらせていない。
「そういえば、この世界の主人公はいまどこにいる?」
フォーカス越しに、RTA君に通信をつなげた。
<今、機械炉をオーバーライドしてるよ>
そこ、すでにやってるんだけどなぁ。
それとサイレンスだけど、殺してAIにしたつもりなのにいつの間にか肉体が復活してた。
この世界のキーパーソンは殺せないようだ。
仕方ないとあきらめることはしない。
今現在TASさんとその仲間に、世界はどこまで続いているのか西からやってもらっている。技術に関して、機械獣の部品を組み立てて燃料系のリチウムを補充する機能を保持できたらしい。
今はどこにいるのさえも分からない。
お、メールだ。
何々?
富士山らしきものが噴火している島嶼を見つけた?
それ、インドネシアじゃね?
「ガイア。世界のゆりかごは、どれだけ因子を残しているんだ?」
<現在、イギリスのウェールズにて、受精卵が400ほど確認されています。
また全世界で、3000ほど受精卵を保持しています>
「じゃあ、アポロを取り戻したから、彼らに教育を付けてやってくれないか」
<わかりました。アポロ、オンライン>
ログによると、東アジアや極東付近はヒマラヤ造山帯における大地震で、壊滅的被害にあっているらしい。
機械獣共の監視を潜り抜けて建設するなんて至難を極めるだろう。
つくられた奇跡のような存在を、そのまま放置することはできない。
それとフォーカスの増産だ。
これらを作らなければ、ログ・ホログラム等データリンクを活用できない。
最先端技術を用いた、新人類の躍進を成し遂げ今までの人類のエゴを継承しないようにしないと。
あとはエクリプスに加担しているやつらの討伐か。
物語に関与するなら復活するという、メタ的存在がいる。
それならば、不必要な存在は消すに限る。
主にハデス関係者な。
それとハデス自体は、正常に作動していた。
しかし人類や他生命体が、安心して外に出て半世紀も経過している。
それなのにハデスが出てくるというのは、普通に考えておかしい。
そこでハデスを裏で操るやつを、片っ端から探ることにした。
ガイアの協力で、フォーカスからの電子的なクラッキングを試みるやつらを、
あぶりだすことにした。
だがそれは全く効果的ではなく、むしろハデスの通常業務でしかなかったというわけだ。
そう、今までに何回かリセットしたので、それが日常的になってしまったのだろうな。
リセット行為をやめるという思考が壊れてしまったのか。
それはログで簡単にわかった。
やはり理想の基準に妥協がなかったせいだった。
ハデスが目指しているのは、前の地球だ。
そう、大型生物も虫も当然いる、そういう自然な地球。
しかしガイアが育てたのは、ミャンマーのサンプル回収が間に合わなかった結果のテラフォーム。
大型生物のいない、寂しい世界。
その大型生物の代わりをするのが、機械炉。
今はヘファイストスの行動を制御して、人類に攻撃的な兵器と非攻撃的なテラフォーム機械を生み出させている。
流石に攻撃性もないと、人類の生存本能が発揮されないし、始まりの町に引きこもっている人たちの食い扶持も確保できない。
あ、そうだ。
何でここにガイアがいるか。
それは簡単で、俺とTASさん、RTA君と共にデータの海に落ちまくって過去の残滓を発見したからだ。
つまり、バグ探し。
発見した中の98%は、アインクラッドのメインコンピュータに修復されてしまっている。だが残った2%や引き続き見つかるバグや仕様をついて、世界の過去という名のデバッグ世界へ行きまくった。
その結果、世界が変化する日当日までさかのぼることができた。
おかげでガイアや一部のテラフォームシステムを引き出すことに成功し、
副次機能の独立化をハデスとヘファイストス・ミネルヴァのみに絞ることにも成功。
チート級な戦果だけど、アインクラッドの修復機能もあって反応炉も再復活してるし、
ミネルヴァも制御を取り戻してスワーム共の制御コードを再使用することもできた。
今では1000年前に近い形態で、システムを運用出来てる。
「なあ、ブレイン」
「あいよ」
「このコードすげぇよ。ただのゲームとは思えない」
「素人目からしてもそう思うよ」
アインクラッドの処理速度は、量子コンピュータ並なのか世界をこんなに滅茶苦茶にしても正常に作動している。それどころか、異常を正常になるように補正している。
世界の地形が、少しばかり変化してしまった。
それでも世界は、全く変わらずに活動している。
「あ、そうだ。今回も潜ってくるよ」
「なんでな?」
「過去の大型生物を見つけてくる」
<お願いします>
「ガイアが無茶振りするなよ!?」
プログラミング部隊主任のラムダさんが、そう突っ込みする。
わりとノリがよくて、空気が軽くなるからこういう人で良かったと思う。
ちなみに俺は何度も死ぬスペランカーで、TASさんはよくわからないヒトで、RTA君は
世界を楽しむAIに近い人だ。
そもそもこういう人たちって、基本的に死ななければ安いって考えてるから。
……
<お帰りさない、ブレイン>
「ただいま、ガイア」
「よおブレイン、進捗はどうだい」
「大将! まーた死んでるよ!?」
俺のフォーカスにAIを仕組んでるガイア、赤道上をめぐってきたTASさん、地中のスワーム共の解体をしてたRTA君。
そして俺は、大型生物ではなくて植物の種子を持って帰ってきていた。
「通算65回目か。だいぶ慣れてきたんじゃないか?」
「最初から痛くないよ。ほら、ガイア。これ、被子植物の種なんだけど」
<大型生物……(´・ω・`)>
「しょぼくれてんな(笑)」
だいぶ潜ってこれたよ。
ディープダイブとでも呼んでみる?
これで1000年前のラグナロクに行くことができた。
でも入手できたのは、松ぼっくりやススキのような何かだった。
最後はスワーム共にミンチにされた。なんてこったい。
感覚としては、肉体が感覚ある中でバラバラになって徐々に消滅していく感じ。
いつの間にか、始まりの広場に落とされてた。
「スワームにミンチにされたよ」
「えっぐ」
「しばらく潜るのやめる?」
「まだまだ潜り足りないよ」
「いかれてんな」
正当な判断を下しているラムダさんだが、他の人外共は思いのほか楽しそうなまである。まあ痛くないしねぇ。
未知はまだあるようだし、別の計画もありそうだ。
そんなこんなで、皆外の世界に興味を抱いて色んなところをひた走っているようだ。
この後の俺の予定は、ガイア達と共にホルス級タイタンを解体すること。
大地に埋まっているが、いつ動き出すかわからないのでさっさとやっちまうに限る。
きっと素材の量も半端ないに違いない。
<スクラッパーを派遣しましょう。彼らを放っておいてはなりません>
知ってた。
導きの塔周辺にも埋まっているので、せっせと解体していく。
その中に設計図もそうだが、心臓もあったのでついでに入手しておいた。
あとはシャードの量が凄い。他にも上位素材がいっぱいあるし、古代の〇〇っていう
レア度が高いものもある。
これを使って、武器の改造をしてみたいな。
きっと強くなるんだろうなあ。
こいつの解体を手伝った後、俺は二階層にあがる。
理由は単純。
以前情報提供をすると約束した人物が、二階層で待つってメールでよこしたからだ。
アクティベートされた広場で、二階層にジャンプする。
移動先は、夜空に浮かぶ城。ほうき星の天文台。
なんともゴージャスで、色んな小さな何かが行きかっている。
不思議な光景に、口を開けていると声をかけられた。
「よーブレイン!」
「ブレ坊こっちだこっチ!」
聞いたことがある声。
それはキリトとアルゴだ。
「よ、久しぶり。進捗どうだ?」
「ハハハ、残念なことにあんまり進んでないな」
話を聞くと、この世界は初代マリオギャラクシーらしい。
一つのマップから、他のワールドへ行くっていうのはマリオ64に似た方法だ。
オデッセイの最終ステージもその方針で、絵に入ってリベンジボスを倒すっていう
64のリスペクトをやってる。
この世界のワールドは、二代目の2と同じように広大な箱庭になっているらしい。
実際にゲームをやったことがある人物たちがいうには、かなり広くてスターが取れる
条件が厳しいものから優しいものまであり、スターにレア度もあって武器製造に上下が生まれるだろうって言ってるらしい。
「キリトは、どんだけスター取ったんだ?」
「ノーマルスターを1個とスペシャルスターを3個かな」
この世界のスターは、ノーマル・スペシャル・グランドの順にレア度が変わるらしい。
現状のグランドは、アインクラッド攻略軍が一つ持っているに過ぎない。
それと現在進められているのは、バスルームのバトルロックギャラクシーだ。
そして次のぱんころ~じゃなくて、タマコロは特殊な技が必要らしく死者が30名出ている。一応死にまくって耐性がついたプレイヤーが、挑戦しまくってしにまくっているらしい。
なお、クリア率は0。
「武器に使えるのか?」
「個数限定だと思うけど、使えるっちゃ使えるぞ。
今のところ、ボスにしか必要ないと思うけど」
「そういや、キリト。服装が違うな?」
「ああ。ここだと、1層の武器・防具は意味ないらしい。
でもSAOの武装は効果があるんだ」
「体感だと他の装備は、95%減って感じだナ」
情報料金なしだけど、すでにクエストクリアや素材の使い方等ホライゾンの攻略法のほぼすべてを、彼女に無償提供しているんだ。これくらいは、御茶の子さいさいだろうなぁ。
「よっし。俺、ぱんころ~してくる」
「ぱんころってなんだ?」
「英国面に支配されたパンジャンドラム中毒者」
「何言ってんダ?」
そういうわけで、あれから12回死んでようやくクリアできた。
いやぁ、まさか補正なしなのは驚いた。
最後の跳躍で、あのまま吹き飛ぶとは。
おかげで、4回とも吹き飛んでしまってブラックホールに圧縮されたんだよねぇ。
「パワースターゲットだぜ」
「ぴっぴかちゅー」
「お、アルゴ迫真の演技だな(笑)」
「忘れロ」
してやられることが多いのか、キリトはアルゴを茶化す。
あんたら、楽しそうだね。俺も混ぜてけろ。
この後俺は二人を巻き込んで、そのままクッパスタープラントへ行き、
ちゃっちゃとバスルームをクリアしてやった。
クッパはどうみてもラスボスなのに、こんなあっさりと撃破できるのか。
その理由は簡単で、ある程度スターを入手しないと天文台がクッパの本拠地に
突撃をかましに行かないからだ。
つまりだ。
どれだけグランドスターを入手しても、多くのギルドが天文台を決戦に突入させるための
決意表明をロゼッタに示さないとラスボスに行けないってことだなぁ。
「なあキリト」
「なんだよ」
「このビビり散らかすだけで何もしない偉そうなやつらは何?」
「あー。攻略最大手なんだけどな」
天文台でたむろっていて、部下のものに先陣を切らせている人の群れ。
そこには堕ちたら死ぬと拒絶しまくっている人と上司の強権を発動させるだけで
何もしていない人が、行くか行かないかの問答をしている。
すでにバスルームをクリアしたのに、行くか行かないかってさ。
次はキッチンに移行する。
「じゃ、キリト、行くか」
「お、おう」
やつらを尻目にキリトやアルゴ、合流したクラインという人やその仲間と共に
キッチンへ向かう。
最初に見たのはグラスビーチギャラクシー。
初めての水だ。
現実と違って、深度と光の吸収が全く関係していないゲームの水。
触り心地も、さらっとしているけれど波を変えられないくらい固い。
「これ、ただのエフェクトじゃん」
「えー。完成度高いのになあ」
このステージにある滝の影響で、波立っているわけじゃなかった。
俺達はこの海を泳いで、近くの小島へ上がる。
そしてこのコジマにいるペンギンに話しかけて、海の底のキラキラや水泳教室の卒業試験をクリアした。
またこれらをクリアした時くらいから、攻略組がやってきてクリアしまくってた。
あいつら本当に現金でなぁ、落ちないステージは全てかっ浚われてしまった。
でもな。あいつら無傷なことに必死なので、それ以外は俺やRTA君、TASさんがもらい受けた。
3~6回ダメージを受けられるが、即死は無理ってこと。
トライアルバブルギャラクシーやハニークライムギャラクシーといった、
一発屋だったり毒や砂、一瞬の油断が命とりなものは全て任された。
「フローターランドのBGM最高かよ」
「当時でも最高格の一つだったからなぁ」
「それでどこ行っているんだ?」
「隠しグリーンスター」
「掲示板でも言われてたやつか」
「そーそー」
死んでもなお立ち上がるゾンビな攻略組がいる中、一気に攻略が進んでいる。
61個入手で、敵の根城を攻略して次への階層へアクティベートされてしまった。
キリトやアルゴは、いつもの通り攻略を任されて次へ移っていった。
俺はたまに1層へ戻って、大量のデスブリンガーやコラプター・タイタンの排除を行っていた。
まさか時間の経過に意識差があるとは思わなかった。
始まりの町の外にいる連中は、俺が一年以上帰ってこなかったといっている。
ギャラクシーは、まさかの光速で移動しているってことか?
まあ、確かに奴らの根城である銀河の中心に、一瞬で行ってはブラックホールにとらわれたしな。
要因はある。
それはそれとして、アルゴではなくキリトを呼んだ理由。
クリアされてから人が少なくなった2層。
ここの隠しスター攻略を手伝ってもらうためだ。
「俺、次の層で時間かけたいんだけどなぁ」
「グリーンスターほしくないの?」
「ほしい」
「さすがだ」
そういうわけで、世界に三つしかないグリーンスターをキリトと共に手に入れる。
その場所は、フローターランドのトーピード?とかいう水中ミサイルを誘導した先にある。皆長時間の水中は気持ち悪くて、さっさとクリアしたんだよなぁ。
主にバブルでの呼気回復が、現実以上の技術を擁したからだ。
だけどそれはへたくそな奴がやっただけで、実際は粘着力があってスープみたいに吸い上げることができる。
呼吸しない限り頭をすっぽりと覆ってくれるから、深海では大いに安心できる。
なお近くでバチバチするエチゼンクラゲ。
「みんな気づかなかったみたいだけど、空に堕ちてる金平糖と1UPキノコ・コインを録れば、残機が増えるんだぞ?」
「3Dマリオを主観でやってるから無理だって」
「それもそうか」
そういうわけで、フローターランドの裏側であるフレームの上を伝っていってあったのはグリーンスター。
こいつを入手すると、特別な装備を作れる素材の一つになる。
一応グランドスターは、クッパギャラクシープラントというラスダンをクリアすれば貰える。
スターは、グランドフィナーレギャラクシーでもらえると予想されてる。
それとキリトにスターを献上しまくった後、俺はRTA君やTASさんと交代交代しながら
ギャラクシーを全クリしていく。
俺はヘブンズギャラクシーの一つであるステージで、レッドスターを入手する。
そしてこいつとグランドスター、グリーンスター、スペシャル、ノーマルを
ロゼッタに渡すと空中に浮ける特殊なスターを無期限で使用できるようになった。
ただこれは一度も来たことがない場所に来ると使用できなくなる。
つまりスキップ用だな?
これを利用しまくって、色んな場所を攻略した。
アイスボルケーノギャラクシーの登頂制覇もこれを使うんだけどね、
バットっていう蝙蝠に落とされたときは高所恐怖症の人の気持ちを
味わうことができた。
それと一度行ったことあるけど、特別なスターな場合は一定時間浮遊とジャンプ力強化
がなされる。
結構便利な奴を入手できたので、この後が楽になるかというとそうでもない。
基本規格以上のジャンプなので、変な重力につかまってブラックホールに
落とされる確率が上がってしまった。
そういうわけで、普段は一定時間浮遊だけの設定にしてる。
だってめっちゃ死ぬんだもん。
痛くないって言っても、毎回肉がばらばらになって潰される感覚を味わうんだから
勘弁してほしいのさ。
1層の経過時間3年で、チャレンジギャラクシーだけになった。
たけどこれ、死ぬだけじゃなくて勉強しないとクリアできない鬼畜ステージだった。
マジ無理なんだけどこれ。
そんなこんなで、ステージクリアや情報をアルゴに提供しまくってると、
エギルという商人から依頼がやってきた。
キリト筋らしいけど、3階層で入手してもらいたい素材があるらしい。
仕方ないので、皆に事情を話して上層に行くことにする。