そーどあーとぶらざーず   作:名無しの権左衛門

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4:4階層ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡

4:ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡

 

<今こそパワーをこのガイアに!>

「「「いいですとも!!」」」

 

 主任のラムダさんひきいるプログラマーたちが、ガイアに素材を提供して

ホルス級タイタンを壊すメガドリルを制作した。

さらに言うと、以前言ってた謎の機械獣もそれで撃破した。

 

「しかしなんでこの期に及んで機械獣が現れたんだ?」

「アインクラッドの補正だろ。どこかで、ハデスのフラグが立っているんじゃないか?」

「ありえる」

 

 TASさんと一緒に、新たな機械獣に向けて旅立っている最中の一幕。

今現在上空1キロのところにいるんだけど、ちょっと寒いな。

そもそもここにいるのは、アポロから抽出した技術のおかげなんだよな。

それを使って飛行船を作り上げたんだ。

 そしてリチウム電池とファイアキャニスターを応用したそれを使って、

日本があったところに来た。

日本に例の機械獣が出没したという報告があったから。

 

 来てみたら巨大な機械獣がいた。

その様相は、どこからどうみてもクッパ。

ゴジラ並にでかくて、火炎も吐いてくる。

普通に強くて、機械炉から表に出した機械獣で制圧を慣行したけれど、全く通用しなかった。

固すぎて驚く以外に、属性相性がなかったというのもある。

 そこで解決方法として、ガイアに作ってもらうことだ。

作ってもらった武装で突撃したり、ミサイルのような烏賊で殲滅したりした。

 

 ん、殲滅?

 

 こいつはクリボーやノコノコのことか。

クッパから沢山の機械獣が出てくる。

そもそもクッパ自体が、デーモン化しているからオーバーライドが効かない。

更にこの配下たちもだ。

 もしも、この海面下にいるスワーム共が触発されて、再起動を果たしてしまったら

大変なことになってしまう。

だからすぐに破壊することを決定する。

情け容赦なくな!

 

 こんな時に、上層で攻略組がいがみ合うなんてことが発生。

キリトに呼ばれるが、こっちはそんな場合じゃないんだよ!

 

「デスブリンガー、殲滅だ!」

 

 フロアボス用のデスブリンガーを前線に出して、クッパ軍団を殲滅する。

更にトードやソースも出して、ガイアがやつらのための道具を作り出すまでに耐え抜く。

 

「うおおおおおお!!! ガイアブレード!」

「メガドリル!」

「イカミサイル!」

<ブレイン、こちらの反応剣を使ってください>

「おうよ!」

 

 機械獣を圧縮して、ただの鉄の塊にする反応剣を持って突撃する。

勿論飛行船から落ちながらだ!

そして海面にぶつかる直前に、レッドスターを用いて浮遊する。

AKIRAのテールランプよろしく、赤い流線を靡かせて接敵し破壊していく。

 

「すげぇ」

「やっぱブレインのやつ、頭おかしいぜ!」

 

 ラムダさんやそのお仲間の人達も、諸手を挙げて感謝してくる。

天元突破グレンラガンやっててくれないかな?

しばらくの間、あいつらのヘイトを俺が一元管理して攻撃の連続性を保持していると、

フォーカスに連絡が来る。

 

<スクラッパーとグリントホークの大量生産が完了しました。

そちらに向かわせております>

 

 選択されたのは、従来の方法だった。

そりゃそうか。新たな形でのスカベンジャーは必要ないようだ。

すでにその形があるなら、それを利用するのも当然だろう。

 援軍として出現したかれらに、少しばかりの落胆を抱きつつもいつも通りの

動きをして相手を解体していく。

 

<新たな機械獣を用意しました! お披露目です、是非雄姿をその目に焼き付けてください>

 

 これ以外の解体屋を用意したんだとさ。

なんだろうかと周囲を見渡すと、東の方から黒いものが水平線上に見え歩いているのが分かった。

くっきりと見える巨躯に、少しばかりの戦慄を覚えながらも到着を待つ。

 その間にクッパ本体だけになったので、反応剣を使って攻撃と共に解体していく。

それでもクッパが、周囲のスワーム共の残骸を吸収して身体を直していく方が早い。

滅茶苦茶な速度に、主任のラムダさんは思わず語句が荒くなってしまう。

 

「はあ!? ざっけんな!」

「どうどう、落ち着いてください。あれが援軍らしいです」

 

 TASさんが射程距離に収めたらしい影を指す。

その黒い影は、予想以上に大きくまさしく恐竜といった形だ。

 

 フォーカスからの情報を照らし合わせると、そいつは『ブライトプレッシャー』というらしい。

サンダージョーかな?

 

「ガイアさん、あれ、何?」

<セイスモサウルスやアパトサウルスといった雷竜をbaseにした大型機械獣です。

メイン武装は陽子と重力子を反応させて放つ重力砲で、射程は3キロになります。

またマスターオーバーライドがないと、命令権の上塗りはできません>

 

 色々聞くほど、コラプターやハデスといった害悪成分共の介入を防ぐ仕様になっている。

ゲームとしてクリアしている為か、メインシナリオに関係するところ以外は

改変しまくっているみたいだ。

それにこのことも相まって、素材を集めれば色んな施設を建てられるようになっている。

 これによりGraDosの様に、施設全体を自由に操っていろんなものを作り出せるOSになりえる。

地球表面がガイアの思惑で、如何様にすることができるようになったらそれはそれで大変だ。

 

 とにかくこの『ブライトプレッシャー』が、クッパを砲撃で沈黙・撃破したことについては

他の階層のみんなには黙っておこうと思う。

 

 ただ素材で心臓を入手し、設計図も他の地域で手に入れたので、

小型のクッパ機械獣を作れるようになったのはまた別の場面で。

だってまだ作ってないし。

 

「あーもー、メールがうるさいな。TASさん、ラムダさん、ここ任せます。

俺は上に行きますので」

「行ってらっしゃい。テラフォームは任せな」

「3017年の世界を歩き回っておくよ、行ってきな」

 

 俺は皆に任せて、第4階層へ向かった。

 

 

 4階層へアクティベートされた場所に到達。

そこは普通の街っぽかったけれど、煩わしいメールはキリトを筆頭にアルゴや

クラインまでもが呼んできた。

一体なんだってんだよ。

 

「あれ、お急ぎですか?」

「え? お、おう」

「では、私の唄を聞いて行ってください」

 

 そう言って彼女は奏でる。

フォーカスで見ると、彼女の名前はユナというらしい。

珍しい吟遊詩人のようだ。

 彼女が奏でる商業レベルの唄によって、俺や周囲のプレイヤーにバフがつく。

そして俺が急ぎだということもあってか、移動速度のバフも付いた。

これは画期的ですごくうれしい。

効果は5分。

 

 有能。

 

「ユナさん」

「はい?」

「君の歌を気に入った、フレンド登録しよう」

「いいですよ」

 

 なし崩しにフレンド登録をした後、すぐに現場へ向かった。

場所は港町トハ。

ここは北西の位置にあたる場所で、アクティベート広場から結構遠かった。

普通にしんどいんだけど。

 

 で、こんな長距離を走らせてきたんだから、相応の理由があるんだろうな?

 

 

 現場に到着したんだけど、攻略組がいがみ合ってた。

どういうことなのか聞いてみるんだけど、大体わかった。

つまりだ、しっこくハウスのことらしいな。

 例の動画を見たことがあるだろうか。

 そう、ニコニコの。

 

 まあしっこくハウスの前に、状況を再整理したほうがいいか。

 

「よ、キリト」

「お、来たか不死身の奴隷」

「嫌な二つ名だな(笑)」

「黒鉄宮で三桁死んでるのは二人だけだし、当然だろ」

「おっと、世間話はまた今度で。ここはどんな世界で、今どういう状況なんだ?」

「この世界はファイアーエムブレムの蒼炎の軌跡。

俺達はクリミア王国の王女様を、東のデインから守り抜き西のガリア王国へ亡命する手伝いをしている」

 

 なるほどなあ。その玄関口がここってわけか。

 それで話を続けていくと、だんだん判明してくる。

現在彼らは一度撤退したばかりなんだとか。

SAOのプレイヤーはグレイル傭兵団を育てたグレイルが、隠し秘匿された私設兵団の一員として

この場に集合しているとのこと。

 それでここまで順調に来たのはいいが、グレイルは重症で主人公のアイクも意気消沈。

魔導士セネリオや治癒士キルロイも、撤退して治療している。

 

 死んではいないが、部位欠損している攻略組の面々。

キバオウやリンド、ディアベルも散々なことになっていた。

 

 理由としては、自警団を倒さないことの特殊経験値の取得を目的としたこと。

そして民家から、ラスボスクラスの漆黒の騎士が出現したこと。

これらによって、傭兵団は瓦解。

一度撤退して戦線を引き直すことに徹底したんだとさ。

 つまりゲーム的にやり直しているってわけだな。

 それで色々考えたのは、死んでもよさそうな奴をぶつけてその間にゲームを進めるという物だ。

 

 なるほど、合理的じゃん。

 

「いいよ」

「まじか!?」

「でも、全員に貸し一つね」

「お、おう」

「すまない」

「しゃーないわ」

 

 ディアベルやキバオウも、落ち込んだりそっぽ向きながら言う。

おう素直に感謝しろやおっさんども。

 

「それじゃ、色々陣容を……ん?」

 

 数十年前といっても、スマブラ的に古くないはず。

それでもみんなが知らないような雰囲気を出している中、俺は気づいてしまった。

 

 ワユ……いなくね?

 

 そもそも彼女はデイン兵か何かにとらえられているときに、グレイルが助け出してそのあと

傭兵団に合流した感じだったはず。

いや、傭兵団がグレイルを捜してその足跡を捜して行方を追っていたら、拘置所みたいなところに来て

制圧してたら合流してきたみたいなやつだったと思う。

 つまりだ。

 普通に飛ばされたのではないか?

 

 やばくね?

これ終わったら迎えに行くわ。

 

「ブレ坊」

「何、アルゴ?」

「ここに来た時、スキルとクラスを選んだカ?」

「何それ知らない」

「……アクティベートした街にある教会に行くんダ。

そこでできル」

「ありがとう。じゃあこっちも、スキルの効果を教えよう」

 

 そんなわけで、知っているスキルを全部教えた。

だけど奥義は教えてないぞ。

いやどうせみんなクラス選んでるし、別にいいか。

こっちも教えておこう。

 

「……確かに、ウチが聞いた情報にそっくりダ」

「情報料はなしかぁ。せめて、一万頂戴!」

「一万でも安いんだがナァ」

「じゃ、1萬ね。ありがとな」

「ハハハ、頭上がらないナ」

 

 お互いにWINWINの方がいいんだよ。

さて、このもらった1万を使って何をするか。

 それは武器錬成かな。

本拠じゃできないから、そこらのお店でやってみよう。

それで細身の剣の威力を上げて、必殺を1・重量0にした。

 

 9000位かかったけど、35回使えるしこんなもんでいいかな?

後は最初の街でスキルの盗むを手に入れて、宝玉とかを手に入れて売ってスキルを得る。

これが一番いいかな。

それとこの無名の状態で、ランクアップしたらどうなるか試してみたい。

 

「「それじゃ、皆。次こそ、船で会おう!」」

「「「応!」」」

 

 アイクとディアベルがお互いの傭兵団に言い、皆で呼応する。

また今回の方針として、自警団はぶっ倒しツイハークは仲間にするということで。

そしてすぐに船に乗り込み亡命をすると。

簡単にいけばいいなぁ。

 俺はというと、必殺255の細剣を持ちレベル1の状態でやつらに立ち向かう。

更に途中の自警団と戦って、死に物狂いに戦闘をする。

 

 傷薬は分け与えられたものを使って、MMORPGの特徴を生かしたリアルタイム戦闘の

勝率を上げていきレベルも上昇させる。

力と魔防と速さが上がった。

おう、技と守備こいよ。

 ちなみに回数35は、35回使うと壊れるという意味じゃないらしい。

35回連続で攻撃できるという意味らしい。

この回数は、技術や武器レベルで補正がかけられていて、これらが上昇するごとに

沢山攻撃できるんだとか。

 

 つまりだ、待ち伏せ・再行動・俊足・武器破壊・安定・キャンセル等が、死にスキルになるわけ。

あれ? ほとんどのスキル死んでるじゃん。

 

 俺が取るべきなのは、見切り・勇将・回復・盗む?

ここら辺が限度のようだ。

 おっと考えている間に、件の物が見えてきた。

一見してみればただの家。

しかし中にいるのは、漆黒の騎士。

 

「あ」

「身の程をわきまえるがいい」

「うわ!?」

 

 エタルド? ラグネル?

どっちでもいいか!

とにかく衝撃波がひどい!

 射程1-2ということもあって、逃げても相手は自分の軸を回転させるだけ。

すぐにこちらの動きをとらえてくる。

攪乱しようが俺はまだ、レベル2のクソ雑魚。

この最高レベルを、少しでも足止めできているのは奇跡としか言いようがない。

 

 そう思った瞬間、俺の頭から股間迄なにか涼しいものが通った。

 

 

「あー死んだ」

 

 ピコンッ

 

 メールが来たんだけど、無事合流して脱出できたみたいだ。

よかったよかった。

 

 

 

 

 

 

 じゃあ、盗もうか。

 

 この階層に戻って来てスキルを入手して、デイン王国兵を蹴散らしながら砦へ向かう。

また途中にいる顔グラがモブじゃないやつから、アイテムを盗んで逃げる。

手ごわいシミュレーションをやっていないから、ここら辺はアドリブで何とかするしかない。

幸いこの細剣を使えば必殺できるので、道を切り開くことができる。

 

「くそっ、なんだあの民兵は!?」

「囲め囲め!」

「止められん!」

 

 無限耐久かつ盗みの効果もある必殺細剣を食らいやがれ!(辻斬り)

 

 おっと悪タイプじゃないけど、効果は抜群のようでまさに一撃必殺だ。

これならすぐに砦に向かうことができる……いや、捕虜収容所か?

とにかくそこへ向かうしかない!

 最初に砦へ行って、そこの宝箱を入手して右側の出入口から収容所っぽいところへ……。

おっと、待ち伏せか!?

 

 デイン兵をぶっつぶして、なんとか捕虜収容所っぽい所へたどり着く。

そこからワユを捜そうとしているんだけど、なんか……人いないよな?

まさかの輸送されたか!!

 

「うわあああああ!!!」

「黙れ!」

 

 悲鳴が聞こえた。

何事かとその方向へ向かうと、そこには私刑兼死刑所があった。

しかも今のご時世に合う、ギロチンってやつだ。

面倒だな!?

 あ、モブが死んで消えた。

次は?

 

「お前が最後だな。おらっ」

「いたっ、何すんの!」

「口答えするな。まあ、お前は腕だけはいいから、投降して我らが王に恭順を誓えば、

殺すことはやめておいてやろう」

「だれがそんなことするもんか!」

 

 よしよし、手槍を用意して攻撃を加えてやろう。

周囲を探って他のやつがいないか確認。

うん、だれもいないな。少なくとも、が付くけれど。

 

「まあいい。有象無象な輩だ。ま、お前を最後まで味わえなくて、残念だったがな」

「お前なんてこっちから願い下げだ!」

「ふん、死」

 

 手槍でアサシンする。

手槍を投げた瞬間に、走り出してレッドスターの効果で普通よりも高く飛んで

HPの減ったデイン兵をぶっ殺した。

すぐにギロチンを外して、彼女を救い出す。

 

「あ、あんた、何を……」

「お前が欲しい」

「!?」

「行くぞ」

「それは無理」

「?」

 

 あー理由判明。護り手を購入しておきたかったな。

最初の町に何でか知らんが、売っていたんだよ。

しくじったな。

 

「あたしら捕虜を処刑する前に、毒仕込まれてたの。

脚もそうだけど、意識が持たないかなって」

「薬飲んどけ」

 

 傷薬で強制的に体力を回復させて、彼女を背負ってすぐに南へ行く。

南へ行けば、デインを渡ってベグニオン帝国にたどり着けると思ったからだ。

そう思ったが吉日というか、死ぬので迷わず真昼間の太陽の逆に進む。

 途中で手に入れた槍とかいろんなものを売り払って、傷薬を購入し

ワユに飲ませる。

 

 戦闘状態が解除すればいいんだけど、解除方法がわからない。

 

 どうすればと思っていたら、奴らの方から来てくれた。

 

「細剣の男を差し出せ! そうすれば、命まで取らない」

 

 デイン兵が周囲へ大声で叫ぶ。

俺は出ていこうとしたが、物陰に座らせている彼女に裾を引っ張られる。

 

「ダメだよ。足音で分かる。大すぎ……あたし相手にこれとか、必死でばかみたい」

「それくらい強いからだ」

「何? あんたもあたしをそういう目でみるの?」

 

 確実に精神が弱ってるなぁ。

もっと気を強く持とうぜ。そうだなぁ、もっと自分を強く持てるように、

元々ある部分を強調してみるか!

 

「俺はお前のすべてが欲しい。ならば、そのために命を賭してでも戦う」

 

 さて、経験値を取得しに行くか。

これで経験値を得れば、レベル10になる。

それでどこかでマスタープルフを入手して、クラスチェンジする。

上位職になれるはずなので、どこかで奥義の書を使えば何か手に入れられるはずなんだけど。

 

 期待し過ぎかな。

そういうわけで、適当に連撃でも取れればいいかな。

 

「やっと投降する気になったか?」

「……」

「ん? なんとか―」

「返答はこうだ」

 

 そういうわけで、作業に入るわ。

顔ありから盗んで、他のやつらからはコイン等を入手した。

そして手槍や細剣で、軍の相手をしてやった。

 

 無限湧きですか、そうですか。

 顔ありは倒したんだけど、まさかの思考停止状態かな?

あ、止まった。

 

「く、くそ……くそおおおおお!!」

「えい」

「ぐあああっ!!」

 

 手槍で、最後の兵士の撃破に成功した。

終わったらすぐに彼女のところへ行って、即座に背負ってこの街を後にする。

何故か食料や野宿道具もあったので、普通に購入してやった。

戦利品は全部売ったし、なんとかなるんじゃないか?

 

「顔色、よくなったな」

「お陰様で」

「今日中はおぶっていこう」

「ん」

 

 戦闘終了だー。

やっと毒が抜けたようで、体力は減らなくなった。

これでいつもの調子に戻るんじゃないか?

 

「そういえば名前言ってなかったな。

俺はブレイン。君は?」

「あっそうだね、あたしはワユ。よろしく」

「よろしくな。さて、ワユ。今日は月が天辺くるまで行軍するから、ゆっくりしといてくれ」

「わかった。よろしくね、ブレイン」

「おう」

 

 ゆっくりと行軍していると、途中ワユから話を聞けるようになった。

元々はクリミアの傭兵で、防衛戦をやっていたけれど正規兵の弱さから前線が崩れたらしい。

それで逃げる正規兵に驚いてしまって、そのあと傭兵たちが孤軍奮闘。

包囲から徐々に捕縛されていったんだと。

 それで国内の地理情報や人事に関しての尋問や拷問があって、

それが終わったら処刑していったんだってさ。

 

 腕っぷしのいい彼女は、一度傭兵のみんなと抜け出したけれどそれは

敵兵の体のいいストレス発散のための追い込み漁でしかなかったらしい。

それで毒矢と麻痺毒入りの水を飲まされ、そのまま処理されていったんだって。

更にあそこにはワユの顔見知りや同郷の者もいたらしい。

彼女にとってそれは、精神が非常に汚染されたことだろう。

 

 途中野宿するときに、一つしか買えなかった寝具を彼女に譲ってやって

頭をなでながら子守唄をうたってやった。

 

「なにそれ、慰めてるの?」

「嫌か?」

「ううん、心地いい」

 

 さて。周囲にいる斥候どもを潰しに行こうか。

最高責任者用のフォーカスなら、そこらへんをしらみつぶしに探すことができる。

テメェら、わからないと思っているんじゃぁねぇぞ。

 

ヒャッハアアアアア有り金全部おいて逝きやがれええええ!!!

 

 

 そんなこんなで朝になった。

まさか料理をしないといけないなんて、全く考慮してなかったんだけど。

一応レシピはみたことあるし、行けるはず。

 

「どうだ?」

「ん、おいしいよ」

「ふぅ、よかった」

「ブレインも不安なことがあるんだね」

「まあな。だけど、怖がっちゃいないぞ。

男として、頼られる立派な奴にならないとな」

「んーあたしとしては、頼られる方が気が楽かなぁ」

「それはまたなんで?」

「えー? だって、背中合わせで一緒に戦うって、なんかさ、燃えるじゃん」

「確かに」

 

 そういうわけで、共闘することになったぞ。

これで背負うことがなくなって、そのままベグニオンに行くことになった。

暁になるまで空気なんだよなぁ。

その代わり、クリミアのエリンシア姫を後援してくれるスポンサーになる。

 政治的なにおいもあるけれど、このゲームはそこまで難しく物事を考えていないので

必要ワードだけ押さえておけば何とでもなる。

 

「そういうわけで、これから一緒に戦おうね!」

「ああ。ついてこいよ」

「勿論!」

 

 この後密入国してきたデイン兵を、ワユと共にぼこぼこにしたりクラスチェンジした後

奥義の書を入手して使用。

すると『天空』を覚えてしまった。

クラスは今でも空白だ。

 ……うん、なんとなくわかった。

nullなだけで、奥義がランダムで入っただけかもしれないしロードの配列がここに

登録されているのかもしれないな。

 

「せやあああああ!!!」

「ふっはあっ!」

 

「何だよこいつら!?」

「魔法っ、魔法だ!」

「いくぞ、トロン!」

 

「遅い」

「遅すぎてあくびが出ちゃうね!」

 

「ひいいいい!!」

 

 ワユのスキルは、待ち伏せとキャンセル。

相手から攻撃が来ても自分が先制できて、相手の行動を一定確率で妨害することができる。

普通に強いし意地悪だ。

 いやまあ俺も俺でひどいんだけど。

相手の守備を半減させて攻撃し、与えたダメージ分を回復するというもの。

奥義モーションは、殴って空中に武器を投げてそれを跳躍し取得して上段切りする。

これが普通の天空。

 俺の天空は別にそんなことをしなくていい。

細剣で突いて適当に切り捨てることで発動する。

一種のバグというよりも仕様な感じがする。

 

 

 さて、俺は今攻略組がいるらしい場所に向かっている。

つまりガリア王国だ。

あいつらがエリンシアと共に、デインへ反撃の狼煙を上げて戦争が開始されている筈。

それに便乗してアイテムを横から盗み取るのと同時に、彼らにワユを預けることが目標だ。

 今までワユを強制的に連れてきたが、そろそろゴールが見え始めて緊張し始めた。

ここで失敗したらまずいなあ。

 

 そうだ。逃げられないように、何か楔になるやつを使おう。

そうすればアイクたちのところから離れられなくなるはずだ。

思いついたが吉日ぅ! ほな行くで!

 

 

「ワユ。レベル20になったな。次でクラスチェンジだ。

どんな剣士になるか、イメージを固めたか?」

「勿論! そういえば、ブレインはクラスチェンジあるの?」

「あるな。だからよく細剣をぶん回しているだろう?」

 

 ガリア王国とデイン兵が、森の中で戦闘していると聞いて近くまで来た。

しかし準備不足でそこまで行けてない。

 

「ワユ」

「なあに?」

「一緒に店を回らないか?」

「いいよ!」

 

 久しぶりに戦闘を休んで、一番被害から遠い街で買い物に勤しんだ。

ここで彼女と少しでも仲良くなっておくことで、傭兵団との紲を切らないようにして見せる。

そしてクリアをしやすくするんだ。

 

「あ、ワユ。ここに寄ろう」

「ここ?」

「装飾店だよ」

 

 立ち寄ったのは装備品が買える店。

原作と違ってこういうところで、簡単に能力矯正装備を買えるのはいいよな。

普通なら二週目以降になってしまうから。

それとアイテムではなく、好感度を上昇させる誓いの指輪・ネックレスもある。

 どうみても女性用にみせるんだけど、男女共用なんだよなぁ。

 

 俺はこのアイテムを見続けていると、ワユが隣から覗き込んできた。

どれどれと言いながら見てもらうと、彼女は少し顔を赤くした。

あー流石に時期がわるいか。

 

「ブレインっ」

「嫌か?」

 

 誓いの髪飾りを手に取り、彼女のこめかみ付近に寄せてみる。

するとワユは髪飾りを持っている俺の手に、左手を添えた。

どうしたんだろうか?

てか周囲からの目が痛いから早く終わらせたいんだけど。

 

「あ……あたしは、まだ、よくわかんないんだけど……

いいの?」

「前も言った通り、お前が欲しい。

いつもひたむきな向上心で、俺と並び立てる。

俺の背中を預け、いや、共に歩むべき伴侶となってほしいのだが?」

「へぇっ!? あ、あ、あ、あたしでよければ……」

「ワユがいいんだ」

「不束者だけど、よろしく?」

「よろしくな、ワユ」

 

 途中から俺が何を言ってたのかよくわからなかった。

なんかこー雰囲気にのまれたっていうのかな?

というか店先で、これはまずいよねーって思ってたりするけど、

直接その場で言った方がいいかなーって。

 とにかくだ、誓いの髪飾りと指輪を購入してこの店を後にした。

お会計の時、店員さんからお祝いの言葉をもらったんだけど。

いやまあ、状況的にも言動も、そういうことなんだけども。

 

 てか、ゲームのキャラでゲームなのに、現実の子じゃないのに

なんでこんな対応したんだっけ?

えーと、原作のシナリオ進行を確実なものとするために、あの手この手でここまで連れてきたんだった!

それで色んな口八丁手八丁でやりくりして、疑問を抱かれないようにしたんだ!

 その結果が、傭兵団に加入できるように強くして、俺からの信頼度を増すための

誓いの装備品を渡すという物だったはず。

 

 でもなぜか……それは特別な行為となっていて……?

 

 いつのまにか、デイン兵から巻き上げた武装を打っぱらって大金持ちになった俺達が、

向かったその先にあるのは高級宿。

あれ、俺、そんなつもりじゃなかったのにな。

 

 

「はじめてだから、やさしくしてね?」

 

 

 

 

 

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