ゼロのウイルスがゼEROウイルスだった。 作:みかん
古い研究施設…長い年月、放置されていてホコリをかぶる機器が目立つが問題なく作動しているようだ。
「ここがトーマス・マライト博士のラボか、100年経ってなお稼働しているとは…‥」
『ロボット工学の父』と呼ばれたマライト博士。その実力の一端を認識し、感動が心を揺らす中…
「これがマライト博士が作った人型ロボット、『ロックマン・エックス』」
カプセルに眠るように横たわっている、青のボディーの人型ロボット、エックス…‥そんな彼を見つけた人物『ケイン博士』
後にケイン博士はエックスを研究することで人間型思考を持たせたロボット『レプリロイド』の開発に成功する。しかし、エックスの思考プログラムを完全に理解することができなかった…悩み、考えるといった、人が持つ感情をレプリロイドに付与することができなかったのだ。
当初は「ロボットは人の役に立つ存在」として開発したため、研究を理解しきれなかった雑念として彼は考えていた。だが…‥歳をとるにつれ『人間とロボット。あいいれぬ二つの生命が平和に共存する世界』を夢見ていたマライト博士の考えを改めて思う日々が続いていった。
レプリロイドの開発から数十年、世界は大きく変化した。人型ロボットの登場に伴い、人々はロボットに依存するようになり、自分たちが行っていた仕事や社会体制をレプリロイドに任せて悠々自適に過ごすようになっていった。
人々の生活が豊かになるにつれレプリロイドにも感情があると考え、人と同様の社会を作る権限を人が与えた。それにより、レプリロイド内でも兄弟・家族型・動物型などのレプリロイドが増えていった。
レプリロイド達の社会…‥ロボットの社会が広がるにつれレプリロイドによる犯罪が増大傾向にあった。
「なに、ガルマの部隊が
「とても残忍な紅い色のレプリロイドだと連絡がありました。現地部隊の連絡では荒野エリアにいる模様です」
「…ガルマの部隊を壊滅させるほどの手練れ、私が行こう。これ以上、お前達に犠牲を出したくないからな」
「シグマ隊長...」
イレギュラー…理由は様々だが、犯罪行為・人に危害を与えるレプリロイドの名称。
そんな存在を捕縛、破壊する組織が存在する。その組織に所属しているレプリロイドは『イレギュラーハンター』と呼ばれ、レプリロイド達にとっての警察であり憧れでもあった。
イレギュラーハンターには部隊が数多く存在する。シグマは第17精鋭部隊の隊長を務めており、戦闘能力・指揮能力、俗に言うカリスマと実力が溢れる人物であった…何よりケイン博士が最初に作り上げた存在で他のレプリロイドより優れた思考プログラムを要していた。
「シグマ隊長の手を煩わせる訳にはいかないクワッ!是非ともこのペンギーゴに任せてほしいクワッ!」
第13極地部隊所属、ペンギン型レプリロイド、ペンギーゴ。極地での活動報告を兼ねて組織本部に戻って来ていた。
「ペンギーゴ…お前の実力は理解している。どんなイレギュラーでさえお前なら凍り付かせることができるだろう」
「おお!でしたら」
「だがイレギュラーがいるのは荒野エリア、お前の実力が発揮できない」
「ですがッ」
「落ち着けペンギーゴよ…私はお前の熱意を嬉しく思う。お前には全力で事に当たる時に力を貸してほしい」
「…ご迷惑をクワ」
「迷惑ではない、得意不得意の問題だ…‥行くとしよう」
司令部を出ていくシグマの背中を見ながらペンギーゴはやるせない気持ちに囚われながら、頼りにされていると…自らを理解してくれているシグマ隊長に思いを募らせるのであった。
格納庫にて
「シグマ隊長、出撃前にすいませんその、
「またか…被害状況は」
「器物損壊だけです…市民から苦情がありますけど」
「…‥任務後に話し合う」
エックスはレプリロイド開発の為に起動された後、シグマの部隊に所属していた。
たぐいまれなる戦闘能力だけでなく…‥人と同様に思考するというレプリロイドにとって無駄なプロセスを自身の生みの親、ケイン博士が重要視した為だ。
そしてVAVA…シグマの部下でイレギュラー並に問題行動が目立つレプリロイドだが実力は相応に持っている為、その都度独房に入れられている。
荒野エリアは未開発の土地であり、名の通り荒れ果てた場所である。
ガルマ部隊はイレギュラーが潜んでいないかの調査を兼ねて探索をしていると古い研究施設を発見したのが事件の発端である。
『ゼロ』
「…‥誰だ」
『ワシの最高傑作…倒せあいつを!ワシの敵、ワシのライバル…‥ワシの生きがい、行け!そして破壊しろあいつを...』
「待て!ッウア゛ァァァァァァ!?」
絶え間ない頭痛が紅い色のレプリロイドを襲い続けた。…そしてガルマの部隊が接触してしまう。
ガルマ部隊の通信が途切れた研究施設を偵察に徹しているとシグマが到着した。
「どうだ様子は」
「ハッ、タイチョウ!?」
「ガルマの部隊を全滅させた紅いイレギュラーはどこだ?」
敬礼をしつつ報告を続ける。
「は、はい!あちらの扉の中に!」
「ご苦労…後は私がやる」
「タイチョウ、ミズカラ!」
「これ以上お前たちに犠牲が出ては困るんでな…」
徐々に扉の方に歩いていく隊長に尊敬を感じながら見守るのであった。
扉を開けた中は薄暗く照明は作動していなかった。中に入ると目的のイレギュラーをすぐに見つけたと思えば、雄叫びを上げながら相手の方から殴りかかってきた。
「ウ゛ァァァァ!!」
動きは速いが単調で対処に問題なかった。攻撃を避け観察を続ける…壁に蹴りが当たった場所が衝撃で爆発した。施設の機器が損傷により爆発したと理解したが、イレギュラー自身の力も相当あるようだと理解した。
同時に面白いと感じた。シグマ自身の実力に合う存在は多くない、イレギュラーの対処も片手間程度で全力を出せる相手は滅多にいないのだ。…携帯武器のビームサーベルを持っていたが己の拳で対処した。
「ウ゛ィィァアァァァ!!」
奇声に近い声を出しながら己に拳を向けて来るのを最小限に回避しながら蹴りを叩きつける。イレギュラーは腕で防御したがそのまま吹き飛ばされ、近くのドラム缶を巻き込みながら倒れる。
しかしダメージになっていないのか、笑いながらシグマに再度殴りかかって来た。当初と同様に対処し、今度は腕を掴み天井まで投げ飛ばした。…力だけで大したことはない。そう感じながら余裕を持って眺めているとイレギュラーは笑いを絶えず襲い続けて来る。
…‥シグマは徐々に焦りを感じ出した。まだ対処はできているが徐々にイレギュラーの動きが良くなっている、シグマ自身の動きを恐ろしいスピードでラーニングされていると分かったのだ。故に対処できている今決着を付けるとし、ビームサーベルを使用した。
「カ゛ァァァ!」
「ックソォ!」
ビームサーベルを使用するとイレギュラーもそこら辺の鉄の棒で対抗してきた。故に怒りが湧いてくる、ビームサーベルは光熱により大抵の物であれば溶断できる。徐々に打ち勝っているとはいえ、鉄の棒で対処できている事実は技量が己に近づいている証拠であった。
「おりゃぁぁぁぁ!!」
渾身の一撃で棒を切断した。後はイレギュラーを切るのみであったが…‥
「ッグぅ!?ウゥゥゥ」
イレギュラーのラーニング能力は恐ろしく、切りかかる瞬間に己の懐に入るとサーベルを持っていた腕をねじり取ったのだ。
「フフフッハハハハハ!」
殴り、蹴られ…‥恐怖を感じながら為す術もないままなぶられる。ボディーは損傷し、人工皮膚は剥がれ痛々しくなりながら倒れ伏す。
首をねじ切り、遂に完全に破壊されると思った時…チャンスが訪れた。突然イレギュラーが頭を抑え苦しみだしたのだ。今しかない!残った腕でシグマは全力の拳をイレギュラーの頭部に叩きつけた。
「ウォォォォッ!!」
拳は当たり、イレギュラーのWと描かれていた額は割れ、機能を停止したようだ。
停止したのを確認し、重い体に鞭を打ちながら出口まで移動した。
出口付近の岩陰で様子を確認していた部下たちはシグマが出て来たのを確認し、嬉々として迎え入れた。
「シグマタイチョウダ!」
「サスガダァ…タイチョウにカナウレプリロイドナドイルワケガ…!」
部下たちは気づいた。シグマのボディーが損傷していることに…その状態に驚きながらシグマから命令を受ける。
「紅いイレギュラーを修理センターへ運べ。それとDr.ケインに連絡を!あのイレギュラーを調査する!」
「タイチョウ!オカラダノホウハ!?」
「ウルサイッ!!」
体を払いのけられシグマは歩いて行ってしまう。…普段なら気遣ってくれる人物だが、流石にあの損傷後の心境を理解できなかった自分が悪いと思った。同時に体を触れられた際に…何か理解できない感情が思い浮かんだ。
「―--ハ!オレハ何を」
「おい、大丈夫かぁぁぁ---うん?思考プログラムにエラーか」
「ア、アア、ダイジョウブダ…」
互いに命令された通りに連絡やイレギュラーを運びに行こうと行動しようとするが…部下たちはすぐには行動できなかった。
「…プリケツだぁ…」
何故かわからない…だがシグマの後姿から目が離せられないのだ。仲間の一人が呟いた言葉が思考プログラムに浸透するのであった。
あれから月日が流れた。紅いイレギュラー『ゼロ』…当初の凶暴な性格も鳴りを静めイレギュラーハンターとしてシグマの部下となり、エックスとゼロは共に期待のハンターとして頭角を出し始めている。
現在、シグマはケイン博士に最近の出来事の報告を伝えに来ていた。ケイン博士は食事をしながら話を聞いた。
「最近騒がしいようだな…」
「はい、ケイン博士…イレギュラーによる犯罪は増加傾向にあります。大型メカ二ロイドの事件も数件発生しています」
食事を手を止め、エックスについて尋ねて来た。
「情報分析、戦闘能力、ともに極めて高いレベルにあります。が、時に悩み判断を遅らせるところがあります」
ケイン博士はエックスについて前々から気にしている。人間と同じ悩むという特性に期待している…‥今のシグマは
「シグマよ、お前は悩むことがあるまい…‥」
ケイン博士の言葉を聞いていく…「深く思い悩むレプリロイドはエックスだけだ。それは一つの可能性なのだが」その言葉を聞いた時…‥シグマはこの感情を伝えてみた。
「悩むことが可能性…ケイン博士、私は人間について知りたいのです」
その言葉を聞いた時、ケイン博士は驚愕した。シグマが…己の作ったレプリロイドが人を知りたいと言ったのだ。
「シグマよ…それは悩みか?」
「ゼロと戦闘した後からです…他のレプリロイド、人間、その者たちを見ていると理解できない感情が出るのです。エラーとして判断できずご相談を」
「どのような感情だ?」
「…‥言葉で表すなら愛かと、自分でも理解できず申し訳ありません」
ケイン博士はシグマの思いを聞いていくと感動に近い物が心に湧いた。レプリロイドは悩まない―――その前提が今崩れ去ったのだ。
人とレプリロイドは共に生きている。…‥実態は人間によるレプリロイド達の奴隷化に等しい物、ケイン博士はエックスの設計思想を調べる時にマライト博士の残されたメッセージを思い出した。
『人間とロボット。あいいれぬ二つの生命が平和に共存する世界。それは私が望んでやまない理想郷だ。』
その言葉の意味を歳を重ねていく事で…
エックスだけではない…シグマもまた…‥
「シグマよ…‥お前もまた思い悩み、人類とロボットとの新しい関係を生み出すのかもしれない…だがその可能性が希望となるか、そうでないのか誰にもわからないのだ...」
シグマが己の内をさらけ出した…故に自らの思いも伝えることにした。
「私はそれを見届けたいと延命してきたが…その一端を見れて嬉しく思うぞ、シグマよ」
・・・・・どこか…ありもしない未来を見据えているように喋っているとシグマは思った
「ああ、すまない。人間についての資料なら好きなだけ見てくるといい許可を出す」
「ありがとうございます…失礼いたしました」
ケイン博士の研究所にはレプリロイドについての資料がある。人型を作る為の工学的な物から始まり、人を理解しなければそもそも作れない為、人体に関する資料など様々である。…表向きに出しずらい資料もある。
シグマはレプリロイドや人間についての資料…‥心理的なことでなく、何故か女性型レプリロイドや女子についての資料を読み漁っていた。
「はぁはぁ」
レプリロイドにも疲れの概念はある。だが本など見るだけで息が上がることは無い…謎の行動は続く、シグマは利き腕で自らの下半身に手を伸ばす。勿論そこには何もない。
シグマはこの思いが何なのかわからないでいた。しかし、必要である行動は理解している、何故理解しているのかもわからない…ケイン博士に伝えるまでに女性型レプリロイド、時には同型の男性型レプリロイドにも謎の思いが募っていく。
この言葉を表すならば…‥
萌えぇぇぇぇぇぇ!?
後にシグマはケイン博士にレプリロイドによる
見て頂きありがとうございます。
次回からエックスなど中心に書こうと思います。
ロックマンは面白いですよね。SFとしても、ゲームにしても、MADにしても…イレギュラーハンターのアニメ化は…来ないよね残念。