ゼロのウイルスがゼEROウイルスだった。 作:みかん
エックスは集中していた。これから自分の一撃が任務に左右するからだ。
『降下地点到着』
飛んでいたメカ二ロイドからの自由落下をしながら、己の武器「Rock Buster Mark17」通称エックスバスターをチャージする。
タウン内で作業用メカ二ロイドの暴走鎮圧。それが今回の任務であり、自分の攻撃を真上から直撃させて停止させる、それが今回の任務だ。
「ハァアアア!!」
雄叫びを上げながら撃ち放つ…メカ二ロイドの背中に直撃し対象は地に伏せた。確認した後、バスターを横に撃ちビルを足場にしながら地上に降りて行った。
その様子をシグマが確認し、地上で待機していた他の部隊員に命令を伝える。
「B中隊突撃開始!」
「行くぞ!確保するクワッ!」
ペンギーゴが部隊員と共にメカ二ロイドに近づいていく、エックスの攻撃で倒れたイレギュラーを見てきたが故に…ペンギーゴ自体はエックスに対して良い感情は持っていないが実力は認めていた。今回も倒しただろうと思いながら…だがメカ二ロイドが平然と再起動した。
「あの攻撃を食らって何ともないのか!奴の動きを止めるクワ」
ペンギーゴが対処しているのを冷静に見ながらシグマはエックスに連絡する。
「エックス、そちらからメインジェネレーターを確認できるか」
エックスに狙撃を要請しようとしていると隊員の一人が捕まってしまう。想定以上の力を確認し、エックスもすぐさまメカ二ロイドの前に走り着く。
「いつまでもスキにやらせるかよ!」
ゼロの攻撃で足を止めた。ジェネレータを撃てば止まる…しかし、仲間が盾にされて撃てないでいると…‥
「タスケテクレェ」
仲間からその言葉を聞いて、迷いが出てしまう。仲間に当ててしまうかもしれないという恐怖が思考を妨げる。
「フンッ!!」
迷い、動けない状態でいると後方からシグマ隊長が隊員の腕ごとジェネレーターを両断するのを見た。メカ二ロイドは今度こそ機能を停止させた…自分は何もできなかったと深く後悔しながら振り上げたバスターを下げるのであった。
「エックス、メカ二ロイドに掴まったのは俺のミスだ…それに隊長はキュウショヲチャントハズシテネラッテクレタヨ...」
捕まっていた仲間が運ばれながら伝えてくれた。…己を気遣う故の言葉だとすぐに理解した。それを自覚し自己嫌悪の感情が心を蝕む中、それに代わるようにシグマ隊長が先ほどの事を聞きに来た。
「エックス、お前の射撃能力なら私と同様にジェネレーターを撃つこともできた…仲間の急所♡に当たる可能性が数%あった事に悩んだか?」
「え、はいシグマ隊長」
「いいかエックス、我々イレギュラーハンターには引き金を引くのをためらってはならない時がある…‥それが、力なき者に剣となり盾となる、忘れるな...」
それ以上何も言わずシグマ隊長は撤収命令を出しながら行ってしまう…‥隊長の言葉を心に刻みながら親友のゼロとその場を後にする。…若干発音に違和感があったが些細なことだろうと思い気にしなかった。
「そうだ!
ハンターベースに戻ろうとする道中でエックスは大切な事を思い出した。
「おいおい、彼女自慢か?」
「彼女とはそんなんじゃ!」
ユーミアとは任務中に廃材置き場で出会ったレプリロイドである。記憶メモリーが損傷していた為、ユーミアという名前以外過去の出来事を覚えていなかった。個体番号「TYPE-SAKUYA A9」とあり違法で製造された者ではないとし、ハンターベースにその身を置いている。
彼女の肉体はレプリロイドとして生まれた者でなく、人間用として人に近づけたタイプであった…多分娯楽としてユーミアが作られ廃棄されたのだと想像した。
「人間も俺達の事をどう思っているのやら」
「人は僕たちと共存しているだろう?」
「さて、どうだろうな」
…何となく言わんとしている事は理解できた。だが言わない、レプリロイドは人間に対して害を与えてはならない。それは例え言葉による事であっても…ゼロは
互いに気まずい状態を作ってしまい話題を変えた。ゼロが精神的に落ち込んでいた時に偶然彼女と出会えたのは幸いだった。今ではゼロの心の支えになってくれている。
「彼女は記憶が無くて苦しんでいる…少し話してくるよ。ゼロも
「ア゛イ゛リ゛ス゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛!!!」
いつものだ。女性型レプリロイド、アイリス…彼女が兄とハンターベースに来たのが切っ掛けで互いに惹かれ合っている…兄とは上手くいっていないようだが。
「相変わらずだねゼロ」
「は!すまない…どうしても彼女を思うとシステムエラーが起こるんだ」
「それだけ好きだってことだよ」
「そうなのか?…最近になって女性型レプリロイドを見ると変になりやすいんだが」
「え、それは…どうしてだろうね、はは」
なんて答えていいかわからず結局、互いに気まずいまま別れるのであった。
別れた後エックスはユーミアに連絡したが…相当お怒りのようだ。
「マスター…事件終了から20分40秒も掛かっています」
「ユーミアごめんね、そのゼロと話し合っていてさ…それとマスター呼びは止めて普通に呼ぼうよ?」
「…ゼロ、随分とその方と仲がよろしいですね…‥戻り次第、部屋に来て頂けませんか?」
「え、ユーミア」
通信は一方的に切られた。…詫びの品を買って行こうとエックスは思いながら町を移動していると呼び止められた。
「エックス君かね?噂は聞いているよ」
呼び止めた人物を見て驚いた。レプリロイドにとって有名な人物に声を掛けられたからだ。
「
ドップラー博士はケイン博士の友人であり、老人科学者型レプリロイドである。
「最近になって思考プログラムにエラーが生じる者が増えてな、その調査の為に町を探索している」
「思考プログラムのエラー」
一瞬ゼロの事を思い浮かんだが、あれは…彼女に対する思いのせいだろう―――そう考え伝えることはしなかった。
「先ほどのメカ二ロイドの暴走についても調査対象なのでな、こうして来ている訳だ。呼び止めて悪かったなエックス君」
「いえ!お疲れ様です」
「ああ、私もケイン博士も君に期待している。…仕事に励んでくれ」
そう言いつつ事件現場の方向に歩いていくのを見守りながら、より一層の心構えを思うのであった。それと物は試しで聞いてみた。
「あの、女性型レプリロイドは何を貰えば嬉しいですかね?」
突然の質問に動きを止めたが、内容が内容だけに面白そうに答えてくれた。
「青春しているというのかな?この場合」
「ち、違います!その」
「気にするな、そうだな…君自身なんてどうだ?」
「僕自身ですか?」
「あえて関係は聞かないが、君が大事だと思っているなら自分がどれだけ思っているかを伝えるべきだと私は思うがね…この考えは人間の女性に対してのプロセスらしいが同じであろう?」
そう言って今度こそ離れていく。そして言われたことを改めて考えてユーミアに伝えようと思うのであった。
「あれがエックス…レプリロイドの希望になり得る存在の一人か」
ドップラー博士は少し前に友人であるケイン博士から…理解しがたい研究協力を申し出された。内容が内容だけに狂ったのか?と本気で心配したがその経緯を聞いて改めて考え直していた。
『ドップラー…レプリロイド同士で子供が欲しいか』
『幼児型レプリロイドならいるはずだが…そういう意味ではないのだろう?』
『まあ、なんだ…
ケイン博士は研究のし過ぎで…‥一瞬思考したが言い淀んでいるが、瞳孔の動き・息遣い等の問題は見られなかった。
『…何をどうしたら、その思考に辿り着いた...』
事の経緯を聞いて第一に思ったことは…シグマはイレギュラーではないか!
ロボットが性行為に興味を持つなんて、それこそシステムエラーしているイレギュラーに他ならない!そのことをケインに伝えると彼は苦笑いをしながらシグマの弁護を語った。
『シグマは感情という思いに悩み苦しんで…この考えに至ったのだよ...私は内容はどうであれ協力したいと思った』
『ケインよ…まあ確かにこの研究は人類との関係に変化をもたらすだろう。
人は排他的だ。単純に仲良くしない等の意味ではない…急な変化を嫌うのだ。人間の思考はレプリロイドと違い感情に左右されやすい、ましてやレプリロイド同士の性行為?子供?…万が一成功したとしても人間たちは我々を嫌悪するだけだ。
『同じ夢、人類とレプリロイドの共存…ケイン...現状は完全とは言わないが我々は共に見てきたはずだ...共存の難しさをな」
そう、何度も見てきた。何度もトライ&エラーを繰り返し、人々の関心をやっとレプリロイドに向けさせた…‥あの成功がどれだけ我らの救いになったか忘れた訳ではなかろう
『…だからこそだよドップラー、私は今だからこそ変化を望んだ!シグマそしてエックス、悩むという可能性を授かった二人に私は希望を託したい』
『シグマとエックスか…シグマは過去の文献で
『それはわからん!』
・・・・・おい!ケインそこは断言しろ…‥ははは!やってみなければわからないさ!名の通り、太陽は我らを照らしてくれるが手が届かない、Xも同様だ!共に目指してみないか友よ?…‥
「希望を託すか…私らしくない、いやレプリロイドらしくないか…クク...」
正解なのかわからないが良い気分だ…‥開発する物がもう少しまともであれば更にいいのだがな...
「ユーミア遅くなってごめん…ユーミア?」
エックスはハンターベースの一室に来ていた。しかし、部屋の明かりはなく暗い…入れ違いになったのかと思っていると、突然入り口のドアが閉まり真後ろから彼女の声がした。
「マスター?」
「うわ!?ビックリしたよユーミア…怒ってるよ...ね」
「いいえ」
嘘だ…笑顔が怖い。故に今こそ教えられた実戦の時だと思った。
「ユーミア…僕に出来ることなら何だってするよ!君の事が大切なんだ!」
どうだろう伝わったのか…自分はハッキリいって女性との付き合いは少ない、オペレータと話す時ぐらいしかまともに会話する機会がなかった。そんな自分が彼女に大切だという思いを伝えられたのか不安でいるとユーミヤは顔を両手で隠すようにして嬉しそうな声で答えてくれた。
「マスター…いいえ
「え!うわっ!?」
ユーミアに押し倒された。理由がわからないでいるとユーミアもそのことに気づいたのか…更に続けた。
「…そうなんですか旦那様、可愛そうに愛を理解できないんですね」
「いやわかるよ!誤解を与えるような発言をしてしまったんだよね、だかr」
「大丈夫です!私がわかるように
話を聞いてくれない、それどころか目が死んでる…‥ドップラー博士の言葉を思い出した、思考プログラムのエラーが最近レプリロイド間で起きていることを、そしてメカニロイドの暴走…‥故に彼女の状態は…‥
「ユーミア!落ち着くんだ君はイレギュラーに成りかけている!今すぐ医療センターに行こう」
ユーミアをイレギュラーにさせない!その思いを力にしユーミアの拘束から抜け出そうとするが
「な、ユーミア!この力は何なんだ!?」
「それこそ愛ですわ旦那様…次に起きた時はきっと愛を理解できます。お休みなさい」
ユーミヤが自分に何かを張り付けた、同時に思考プログラムが上手く作動しなくなる。張り付いている物を見て驚いた、レプリロイド用の緊急停止プログラムその基盤だ…本来なら医療用物品のはずだがどうやって手に入れたのか、彼女の犯罪行為に気づけなかった自分を罵倒しながら深い眠りに落ちていく…‥
『SEエックス』
眠りに落ちていくと不思議な夢…いや、自身が未完成だった頃の記録データが再生されていく。
『あな...たは』
『私はトーマス・マライトお前のウミノオヤダヨ♡SEエックス』
『SEエックス、それが私のな…まえ...』
まだ上半身しか完成していない時期の記憶、起動後すぐに意識が遠のく…そんな中更に声が聞こえた。
『
これは封印されし記憶、無意識のうちに自分で封印した…‥自分を…エックスを破壊し得る記憶の断片
「え、まだ改造は完成してないはずなのに!?」
エックスの額が突如としてピンク色に光り出し彼は目覚めた
おっぱぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ!?
「きゃあ!」
ユーミアは油断していたのもあるが、エックスの力が先ほどのより増加している。
「え、エックス?」
「フゥゥ…おっぱい...」
その言葉を残して倒れる。流石にただごとではないと考え医療スタッフを呼ぶのであった…‥
エックスが保管されていたカプセル―――『SE エックス』ケイン博士はSEの意味をシステム設計と捉えて受動態の役割の言葉だと思い、名はエックスと考えた。
だが違う…本来の彼の名前は『SEエックス』
『SEエックスお前は世界の希望、人類とロボットの架け橋になる無限の可能性…‥だが今の人類は幼過ぎるのかもしれない―――SEエックス本能のまま生きるんだ―――それが…生きる意味なのだから』
漫画版のキャラと設定を少し入れてみました。見ていない方の為に少し解説をここで。+ゼEROのキャラも。
『ティル』…『漫画版ロックマンX』でゼロの過去編に出てくる女性型レプリロイドであり、イレギュラーハンター。
旅客機が集団のイレギュラーに占拠されたのを応戦し捕まってしまう。
ゼロとイグリードが事件解決の為、乗り込むがティルが捕まっているのに激怒しているイーグリードでは失敗の可能性を考慮しイーグリードは外(積乱雲で一時離脱)、ゼロが旅客機内で戦闘する。
イレギュラーは全員制圧するがゼロは足を損傷、そんな時イレギュラーが隠し持っていた爆弾が起動…残り数秒なのを理解したティルは外に投げようとするが飛行機が傾き、一緒に落下し殉職。
・余談だが漫画版設定はゲーム版に逆輸入される形でイーグリードとゼロが知り合いのように会話しているシーンがある。『イレギュラーハンター』では「どうしてお前が」的な会話がある。流石に過去の事まで話さないが内容を知っているとエモい。
『Dr.ドップラー』…『ロックマンX3』で登場するキャラですが、漫画版だとケイン博士と友人設定があります。共に人類とレプリロイドの共存を夢見て「ケイン・ドップラー」と呼び合う仲です。
・余談として漫画版だとケイン博士が最後にドップラーの記憶メモリーを保存していますので完全に消滅した訳ではありません。
『ユーミア』…『ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD』に登場するメイドロボ。初期のゼEROMADで登場し、ゼERO設定の基盤を作った存在。エックスはユーミア・マライト博士の二人によりSEエックスになったと…地味にゼEROにもストーリー?が存在している。
登場させるに従い、メイドロボ設定を違和感ないように変更しています。オリキャラ…何でしょうか?ゼEROだと古参キャラだけど。