僕が今、陥っている状況を簡単に説明するならば床に腰を下ろしている自分の足にさっきまで片づけに勤しんでいたミラくんの頭がのっている。所謂、膝枕の形になっている。
「ねぇ……ミラくん、聞いて良いかな?」
「何ですか?」
「僕は何で君を膝枕しているんだっけ?」
「私が片づけをしていたら「何かして欲しいことないかい?」ってアオさんが言ってくれたので私が「全て片付け終わったら膝枕をして欲しいです!!」って言ったらアオさんが「…それがミラくんの望みなら」と言ってくれてこの状況になっているんです」
今更だけど了解するべきではなかったかもしれない。だってこれをギルドメンバーにでも見られたら何を言われるか分かったものじゃないしね。
「…こんなことを言うべきじゃないのかもしれないけど……膝枕止めない?」
見た目は二十代に見えているかもしれないけど……中身は600歳以上の爺さんなんだけど。そんな爺さんが20代ぐらいの女子を膝枕しているなんてかなりマズイのではないかな。
「……後少しで良いのでダメですか?」
ミラくんは僕の方を見ながら言った。この形だとミラくんから上目遣いを受けているようだ。普通の男性だったら惚れてしまう人もいるのではないだろうか。まあ、まだギルドメンバーが起きる気配はないし、後少しだけだったら問題はないね。
「本当に後少しだけだからね」
「はい!」
後少しだけだとミラくんは言ったがこれから約二時間の間、僕は膝枕をすることになってしまった。
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そして僕が妖精の尻尾に加入してから一週間が経過した。僕も妖精の尻尾に慣れたとは言えないがそれなりにギルドメンバーともコミュニケーションが取れるようになってきたと自分では思っている。
ナツくんやグレンくんとも話す機会が増えてきた。さすがにあの喧嘩に混ざるのは無理だけど……仲良くはなってきていると思う。
「おい、白黒男!勝負すんぞ!!!」
後ろから声が聞こえるが…もう振り返らずとも誰の声だが分かってしまう。彼以外に僕の事を白黒男なんて呼ぶ人はいないからね。
「何かな?ガジルくんとは昨日も闘ったと思っているんだけどな」
「ああ、闘った。だが、負けた!俺が負けたまんま終わらせるわけにはいかねぇ!」
さすがに本気ででやるわけにはいかない。一瞬で殺してしまう可能性が100%だからね。だからガジルと闘う時は本来の力の10%の力を使って闘うようにしている。ガジルくんには悪いけどね。
「…仕方ないね。分かったよ。闘おうか」
「ああ、今度こそ絶対に勝ってやる!!!」
妖精の尻尾から少し離れたところに大きな森がある。僕とガジルくんが闘う時はいつもここに来るようにしている。そうでもしないと僕たちの戦闘に巻き込まれてマグノリアに被害を生んでしまうのは目に見えているからね。ガジルくんも通常の魔導士と比べれば圧倒的に強い。これは彼と闘っている僕だからこそ分かる事だと思う。
「それでは始めようか…」
「ああ、やろうぜ」
そして開始から一分も満たないうちに結果は出た。見えていた結果だがガジルくんは地面に倒れていて、僕は立っている。最初の頃と比べれば確実に成長しているんだけどね。
一番最初の頃は無作為に突進してきていたが最近では頭の中で考えを巡らせてから攻撃をしてきたり、僕の癖を掴もうと僕の日々の生活を観察していたりする。これは彼にとって大きな変化になることは確実だろうね。
「若い子の成長は早いね」
僕は地面に倒れているガジルくんを見下ろしながら言った。