たまに寄り添う物語   作:ルイベ

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今回の話を読むにあたって、同作品の番外編であるミスターシービーの話を事前に読む事をオススメします。
設定の理解と人間関係の整理がつきやすいかと。

あとカフェのストイベに結構沿ってるから、独特な話になってるかもしれないです


■■■ー■■■■■(静かなる休息日)

「寄るな。その場にいろ」

 

「……………」

 

 

今、良くわからないモノに遭遇している。

錯覚だと嬉しいが、雰囲気がカフェでは無い。見た目はそっくりだが、俺の知るカフェはあんなに明るい笑顔は見せない。微笑む程度だ。子供の様に笑う事は恐らく無い。それで確信した。

 

カフェはお友達の他に人に悪影響を及ぼさんとする悪霊の様な存在も見えるらしい。

それに類する存在ならば、少々危ういか…。まさか夢にまで介入出来るとは。

 

まだ、笑っている。笑顔は消えない。

 

 

「…………サン、か?」

 

「!!!!」

 

 

そうであってくれと、頼みの綱を口に出した瞬間、奴は駆け出した。

まずい。払いのけなければ!

 

 

「やっ、やめろ!」

 

「やめない」

 

このパワー…!ウマ娘並か!

助けてたづなさ──

 

 

 

 

「───ッハァ……はぁ……はぁ…」

 

 

おき、た。

夢から醒めた。時刻は22時30分。寝てから5分も経っていない。

 

何でこんな起き方を…ん?電話が鳴っている。

それで起きたか。

 

 

「もしもし」

 

『…こんな時間にすいません』

 

「…カフェ?どうした」

 

『お友達がいなくなりました…』

 

「………」

 

 

…夢に出るはずが無い。それは俺の妄想の産物だろう。

 

 

『貴方の近くでお友達が起こす現象は起きていませんか?』

 

「いや…起きていない…っ」

 

『…息が荒いようですが、大丈夫ですか?』

 

「大丈夫…少し怖い夢を見ただけ…だ」

 

『そうですか…分かりました。もし、怪奇現象が起きたら何時でも呼んでください。いたづらが好きな子もいますから…』

 

「分かった。おやすみ」

 

『おやすみなさい……』

 

 

カフェと話したら少し落ち着いた。このまま寝るか…。

そうして目を閉じ────

 

 

 

「逃 さ な い」

 

「うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

また偽カフェがいた。

 

 

「お前に害意は無い!そうだろ!?」

 

「あはははははははははは」

 

「やめろ!その顔で笑うなぁ!!不気味だ!」

 

「…………一応、私の顔なんだけどね」

 

 

…それが素の顔だと?

化けてるタイプじゃないのか?いや、でも服装はオリジナルだから、限りなく似ている顔なのか?

 

 

「……ちょっと良いか?」

 

「なぁに?」

 

「顔を見せてくれるか」

 

「いいよ」

 

「失礼」

 

断りを入れてから顔を覗き込む。

うーん…一緒に見える。

 

でも雰囲気というか、何か違うんだよ。立ち居振る舞いや表情とかもそうだけど、一目見て何故か違うって思ったんだ。

 

 

「サンって事で良いのか?」

 

「うん!」

 

「…でも俺はお前の事が見えない筈」

 

「ちょっと難しい話だけど、夢っていうのは人の本質が垣間見える瞬間でしょ?カフェの言う魂が浮き彫りになるって感じなの。普段は肉体に隠れる魂が夢で表面化する…つまり、魂だけで言えば私と同じ在り方をしている邁に会えたってわけ」

 

「夢でなら、お前に触れられると?」

 

 

頷きを肯定と見なした。

やはり母さんが言う通りか。ウマ娘としての在り方が本能だとするのなら、それに近しいものが魂で、それが人の身に収まった存在が俺ならば……人である事がサンを隔てている物になるのか。

 

サンはウマ娘並みの速度を持っているらしいから、あっち側なのだろう。

 

 

「という事は、理事長も」

 

「うん。でも私が来たのには意味があるんだよ」

 

「何だと?」

 

「まぁ、まず改めて自己紹介からしようよ」

 

 

サンは略称だと聞いた。

本来の名前がある。それを紹介するのか。

 

 

「秋道邁」

 

「私は───」

 

 

下から睨め上げて、その口を開く。

 

 

 

 

サ  ー イ   

 

 

 

 

 

 

その名を聞いた瞬間、頭から霧のように霧散した。

まるで頭が拒否した様に。

 

 

「すまん。もう一度」

 

「しょうがないなぁ──∌∫〒ー∌∣√∫ξだよ」

 

 

 

今度は、異国の言語の様な不明瞭さに書き換えられた。

初めて聞く言葉を、人間が解する訳もなく…。

 

 

 

「…これで最後だよ?」

 

 

今度は、聞き逃さない様に……

 

 

□□□□□□□□□

 

 

 

最後は、明らかに掻き消された。

 

 

 

 

 

俺は──受け入れてはいけないと、言われた気がした。

 

 

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

「良いよ。言っても駄目だって分かってたし」

 

「…すまない」

 

「だからサンでよろしくね?」

 

「ああ」

 

 

性格はカフェと似つかず。

胡座をかいている俺の身体に躊躇なく乗っかってきた。

 

 

「邁は温かいんだね」

 

「先に言うぞ。俺には相手がいる」

 

 

知った事かと身体を擦り寄せて来た。

強かな精神だ。

 

 

「で、何の話だ?お前に言ってもどうしようも無い話なんだが、俺は昨日寝落ちして睡眠時間がパーなんだ。話の間ちゃんと疲れは取れるのか?」

 

「ここは夢だからね。夢を見た人の疲労回復と一緒だよ」

 

「…それくらいならいいか」

 

 

寝てるならいい。

 

「話ってのはね、アオハルの事」

 

「アオハルがどうした」

 

「まず聞いて欲しいのはね、ウマ娘の()()()について」

 

「聞いた事はある。ウマ娘は内に秘めた衝動によって日頃の行動が決定され、まるで一本のレールに敷かれた様な生涯を迎えるという理論だろ?」

 

「そう。不調も、故障も、レース結果も。ずっと勝っていたウマ娘が万全の状態なのに負けたり、突然の故障でレース生涯を終える。ドラマ性が伴いすぎてその様に揶揄される事は多いよね」

 

「で、それが何だって?」

 

「…この説は本当だって言ったら?」

 

「全力で否定する。本当だとしても気にしてはいけない物だ」

 

「うん。それで良いよ」

 

 

もしも…だ。

トウカイテイオーが骨折が原因で菊花賞に出られなかった事や、その後の連続した骨折。シービーが不調を起こし、ルドルフに負け続けた事。やっとの思いで人気一位を獲得し、結果故障で敗退し長期休暇を余儀なくされたライスシャワー。ブライアンの関節炎。タイシンがやっとの思いで勝ち取った皐月賞。

 

これ等が全て決まっていた話だと言われる訳だ。

はは…。

 

 

 

 

「冒涜ッ!不愉快至極、極まりない!!!」

 

「うひゃぁ!?」

 

 

叫びと共に可笑しくなるほどの感情を込めて地面を殴る。

当然痛みも何も無い訳で、いや、バカか。

 

 

「り、理事長の血縁って実感湧いた…感情出ると熟語目立つね……」

 

「……………確かに方向性が決まっていようとそれは彼女達の努力の結果であり、物語でもある。だがな……!!」

 

「…うん」

 

「それが彼女達の耳に届けば……あぁ…クソッ…考えたくも無い……!」

 

「それが本音だね。うん。やっぱり邁は良い()だ」

 

 

人、に含みを持たせるな。

…なんかこう、やだろ。

 

 

「…URAファイナルズにまで方向性があると言われたら……もう、三女神様に中指を立てることになるぞ俺は…」

 

「──そう。そこが重要なの」

 

「……聞こうか」

 

「ウマ娘が無意識に決定する未来の路線が方向性。レースもすぐ決まる。怪我で出れなかったりするけど、自分から辞めるなんて思わない。何故なら彼女達はそう走ると決めているから」

 

「ファイナルズは?」

 

「単純に、悩む。どの距離やどの走り方をしようか凄く悩んで、結果もごちゃごちゃ。人気が全くない子が唯一勝てたりする。その後はいつも通りGⅢも取れない軌道に戻るから何とも言えないけどね」

 

「それはつまり、イレギュラー…?」

 

「そう!それが言いたかった!!」

 

「うお!?」

 

 

突然俺の方を向いてハイタッチしてきた。

くそっ…ギャップが…!こう、本当に悔しいんだが…こいつ可愛い…!部活で可愛がられる後輩感が凄い…!!

 

 

「URAファイナルズもアオハルもホンっとにバラバラで!結果もグッチャグチャになるんだけど!それが何より嬉しい!!」

 

「な、なんでだ?」

 

「邁なら分かるんじゃない?」

 

「…確かにな。理事長が作ったレースが方向性の説を吹き飛ばしてくれるならこんなに嬉しい事はない」

 

「流石ノーザンだよ!」

 

「…なんて?」

 

「…これも駄目か。ともかく!理事長と似ている邁は、アオハル杯で頑張らなきゃいけないの!」

 

「それは心得ている。だが、本筋は重視しなければならない所。カフェには参加させない」

 

 

両立の安全性は復活後の第一回で決まるだろう。

それまで何とかしなければ。プレオープン等も視野に…いや、それはもう樫本代理が考えてるな。

 

 

「カフェは不思議な子だと思う。アルデラミンに引き入れてから俺の世界が変わった様だ」

 

「ああ見えて凄いメンタル強いんだからね?自分が狂ってるって言われても効かないし」

 

「…それは凄いな。他と違う何かを持ってる子は、それを指摘されるのを恐れるものだが」

 

「でも、私達の存在を否定するとすっごく怒るの。その前に周りの子が怪奇現象起こして脅かすけどね」

 

「へぇ…」

 

「…あんまりそういう事するとね、カフェ自身も気味悪がられて孤立しちゃうんだ。それはよくない事だけど、本人は私達がいれば良いって聞かないの」

 

「なら安心しろ。今回で友達が5人増えた」

 

「……………ありがとね」

 

 

どういたしまして。

 

 

「私としても、カフェには伸び伸びと走ってほしいの。でも私が前で走ってないと、カフェは自分を自分と認めてくれない。私達がカフェのアイデンティティで、それを頼りに生きてるからね」

 

「なる程。つまりカフェがお目付け役として見ているアグネスタキオンは意外に大事な存在だな。化学と空想的存在、コーヒーと紅茶もそうだ。あれくらい明確に離れていれば逆に仲良くなるだろ」

 

「そうだね。でもタキオンは鋭いよ。ウマ娘という存在へ疑いを持って研究してるからね。カフェとかに悪影響あると嫌だから違和感無いタイミングで資料燃やしてるけど、諦めないし」

 

 

アグネスタキオン。

最近よく背後を取ってくる恐ろしい奴だ。右手に注射器を持っている事から害意は明白。トレーナーに苦情を入れさせてもらった。奴のトレーナーもモルモットと呼ばれていた時期があり、実験台にされても気にしない異質な精神を持っていた。

以上の事から、アグネスタキオンの倫理観は緩み…凶行に及んだと推測できる。

 

だが、運良くタイシンがいた為難を逃れた。

シャカールと違ってタイシンの睨みは本当に嫌そうな顔なので、とても効くのだ。

 

『今日は止めておこう…』と捨て台詞を残したのが気がかりだが、大丈夫だろう。

 

 

「要するに、方向性に囚われない走りをウマ娘にさせて欲しいというのがお前の要求か?」

 

「そう。特にカフェには変わってほしい。最終的に私がいなくても自分を誇れる様になってくれたら満足かな。あ、消える訳じゃ無いけどね」

 

「了解した。あと、聞きたい事がある」

 

「何でも答えるよ」

 

「方向性とやらは、随分ドラマを求めている様だが」

 

 

 

これだけは聞きたかった。

 

 

「絶望からの勝利と言っては何だが、シービーはピークが過ぎたと言っても上位には食い込んでいた。タイシンは足が弱っていたのに宝塚に勝った。ブライアンはリギルに行ってから力を取り戻した。トウカイテイオーやライスシャワーも復帰不可能だと言われた怪我を経験したのに復帰して今も走っている。シガーは──」

 

「…」

 

「……一番苦手な菊花賞を取った」

 

 

サンは薄っすらと笑みを浮かべて答えない。

俺の言葉の続きを聞きたいようだ。

 

 

「俺は方向性やウマ娘の魂、お前の存在にはとんと検討がつかないが、もしかすると…」

 

 

シービーはもう走れないと本人が感じていた。なのに3位を以上をキープしていた。運命がそうさせたというより、シービーが運命から逃げたと感じた。何かの食い違いを感じた。

 

【不況からの復活】は奇跡と揶揄されて然るべき行幸だが、【不況なのに思ってたより出来る】には違和感を覚えないだろうか。

 

それはつまり。

 

 

「トレーナー次第で………方向性を捻じ曲げる事が出来るのか?」

 

「…私がワザワザ夢に出なくても良かったね。でも、邁には純粋にトレーナーでいて欲しいから、あんま気負わないでね」

 

「分かった」

 

 

 

つまり、俺が頑張ればアルデラミンが強くなる。楽しく走ることが出来る。

それさえ分かればいい。

 

 

「じゃあ、そろそろお開きにしよっか」

 

「貴重な体験だった。姿を見せたお前と話すのも楽しいしな」

 

「そう!?ならまた話そうよ!週一ペースでいいから!」

 

「何曜日だ?」

 

「んー…そうだね。じゃあ私の好きな──」

 

 

サンは、誰よりも輝くとびっきり明るい笑顔を見せてこう言った。

 

 

日曜日(サンデー)にしよう♪」

 

 

意識がまた遠のいて…

 

 

「カフェをよろしくね」

 

 

それは純粋な願いに聞こえた。

 

 

 

────────────

 

 

 

「………朝、か」

 

 

目が覚めた。

夢にサンが出て来た事は驚きだが、会話は楽しかった。 

 

 

 

 

 

………楽しかったという事は覚えているのだが、内容が思い出せない。カフェに似た外見、日曜日に話すという約束、アオハル杯への激励。それ等は覚えている。後、カフェを頼むという言葉のみ。

 

もう一つ大事なナニカを話していた気がするのだが、思い出せない。まぁ…それが夢という物だが。

 

 

「日曜日か…」

 

 

 

 

ふと、視界にゲーム機が写る。

そもそも自分の走行欲を打ち消す為のゲーム機だったのだが、ここ最近は忙しいし放置している。第一回URAファイナルズの打ち上げ後、トレーナー皆を呼んでゲーム大会をして以来風化している。

あれはすごく楽しかった。そこそこ上手い西崎さんと、凄く下手な奈瀬先輩、そして…異常なプレイングを見せるたづなさんと小宮山先輩。南坂さんと黒沼先輩は後ろのテーブルで談笑していた。

 

アオハルの打ち上げはどうなるのだろうか。

前回はギリギリ酒が飲めない年だったので居酒屋でも気を使われたが、今年からは飲める。だが、酔ったという経験が無い。酒は飲んでみたが、酔うのが怖くて余り多く飲まない。醜態を晒したくない。

 

 

「メニューは作ってあるし…」

 

 

……決めた。

学園に移動しよう。

 

 

 

──────────────

 

 

日曜日を休みの日としているチームは多く、ウマ娘達は出かけたりしている。専属契約をしているトレーナーは同行する事が顕著であり、そこで絆を深めるという訳だ。

そして、アルデラミンは基本的に自由だ。

寮の門限さえ守ってくれれば言う事はない。マンツーマンの時は一緒に出かけていたが、今はそう多くは無い。皆で集まるのはクリスマスと年末くらいか。

 

目的地に着いた。

理事長室。樫本代理と打ち合わせをする為に来た。アポは勿論取っている。2回ノックをし、許可を貰ったので中に入る。

 

「おはようございます。樫本代理」

 

「ええ。おはようございます。久しぶりの良い朝ですか?」

 

「休みの日はちゃんと休める日に出来るよう努めてますので、大丈夫です。トレーナー業は平日に消化する派ですから」

 

「それは良かった」

 

ウマ娘や一部のトレーナーから散々の非難を受けているが、実際思考が極端なだけで凄く良い人だ。

 

「先日、四人の生徒が私の元へ来ました」

 

「文句ですか?」

 

「いえ、罵詈雑言とは異なる。あれは"意見"でした」

 

「なる程。貴女はどうしたのです?」

 

「他の生徒達の事もありますし、長く考えました。私も踏み切る事が大事だと思い、彼女等に賭けを提示しました」

 

「賭け…?」

 

 

麻雀か?それともレースに金を賭けるのか…?

許さんぞ俺は。

 

 

「…貴方の顔からして、賭博を意識しているのでしょうが……そんな訳無いでしょう。単純に勝負ですよ」

 

「どの様に勝負するんですか?」

 

「単純です。その四人のウマ娘を含めたチームを自由に作り、そのチー厶と()()()()()チームを競い合わせます」

 

「勝負の結果で、管理指導が正しいか証明出来るというわけですね?そしてプレオープンも兼ねてアオハル杯の検証とする訳ですか」

 

「その通りです」

 

 

…という事は。

 

 

「トレーナーに復帰するという事ですか…?」

 

「はい」

 

「代理としての運営、チームの指導、アオハル杯の開催検証……一人でやれますか?私としては中立でいたいのですが」

 

「問題ありません。体力には自信が無くとも、平行処理には慣れています。効率化は特に得意とする所」

 

「…分かりました。信じます」

 

「貴方はそのまま業務を全うしてください。特にプレオープンでの勝負では貴方の分析が必要となります。アオハル杯の経験の無いウマ娘では参加に躊躇いもあるでしょう」

 

「チーム戦とはどういうものか、簡単に説明文書でも作りますか」

 

「お願いします」

 

 

樫本代理は頭を下げた。

これが考えた限りの策なのだろう。

 

 

「貴女がどのウマ娘を育てるかは分かりませんが、アオハルプレオープンが終わればポイッ、なんて事は無い筈です」

 

「ええ、責任を持って育てます。現時点で二人いますからね」

 

「名前は?」

 

「リトルココン、ビターグラッセ」

 

「………分かりました」

 

 

…油断しましたね。樫本代理。

 

「…?何をニヤけているのです?」

 

「プレオープンでは中立と言いましたが、トゥインクルでは別です。つまり貴方は私の敵になるという事です」

 

「それがどうし………あ」

 

「二人のライバルが把握出来ました。ゆっくり分析させてもらいます」

 

「………ほんのちょっと、待っていただけませんか?」

 

「私の目標はウマ娘に後悔させない終わりを提供する事ですが、当然チームを強くする事も理想です。アルデラミンを最強にする事」

 

「あの、ほんと」

 

「情報戦は既に始まっているのです。彼女等の生活もかかっているので。では、失礼します」

 

「待っ」

 

 

ごめんなさい代理。

トレーナーは時に小賢しくなければならないのです。

 

ドアを閉める。彼女の横に立っていたたづなさんが宥めてくれる事を祈る。

 

 

 

────────────

 

 

 

ウマ娘達の挨拶に返事をしながら部室に向かう。

そこそこの広さにテレビ、休息スペース、仮眠用ベッドを配置している楽園。スピカと2大巨塔を担う自慢の部室。

 

パソコンをイジっているだけでも落ち着く。飯もいいな。久しぶりにカップラーメンが食べたいと思って持って来た。誰かがいるとしてもアルデラミンのメンバーのみ。何も怖くない。

 

「誰か…いるのか」

 

話し声が聞こえる。

シャカールの声と…誰だ?開けてみるか。

 

 

「おはよう…誰か呼んだのか?」

 

「オウ。クッション味わいてェみたいでな」

 

「おはようございます〜」

 

「ファインモーションか。おはよう」

 

 

シャカールの友達だな。

ゆっくりしていくとい………ファインモーション?

 

 

 

 

…ファインモーションだと!?

アイルランドの王族の!?結構ヤバい権力持ちのあの!?

 

「失礼」

 

即時退出、即時電話、即時滝汗。ファインモーションのトレーナーである先輩に電話をかけた。

出てくれないと困るぞ先輩……聞かれても困るので超小声で。

 

 

『もしもし。何ですか、秋道君』

 

「貴方の殿下です。ちゃんと一緒にいて下さい」

 

『ファインが何かしたのですか』

 

「俺の部室にいます」

 

『…それが何か?』

 

「黒服に常に見張られて彼女と普通に話せる程の胆力なんてありません。何かありませんか?」

 

『どうも何も普通に過ごすしか無いでしょう。ファインもそれを望みます』

 

 

この鉄壁メンタルが…。

王族の部下に監視されて尚ファインモーションのトレーナーを完遂できる男だ。面構えが違うとはこの事か。

 

 

「せめて、地雷は踏みたくありません。嫌いな事は何ですか?」

 

『彼女の手前、何に対しても侮辱だけはしてはいけません。人としては当然ですけどね』

 

 

由緒正しい王家ならば、その思想も当然か。

 

 

「分かりました」

 

『では』

 

電話を切り、深呼吸してもう一度部室に入る。

 

 

「…すまない。少し電話を……あ?」

 

 

仮眠用ベッドを見ればメジロドーベルが。

人を駄目にするクッションにはカフェと、アヤベことアドマイヤベガが。

 

いや、アルデラミンに関係ない二人が満喫してる。

一人は他のチームのベッドで寝てるし。しかもアヤベは目が結構危ない感じだ。完全に意識がクッションにしかない。一応トレーナー同士の交流があったから彼女とは顔見知りだが、これは如何なものかと。

 

 

「シャカール、解説」

 

「あいよ。朝早くからカフェがクッションを独占してた。まぁ、気持ちいいからな、次にファインが部室に興味あったらしいから連れてきた。そこで寝てる奴は最近ファインと仲良くなったらしい。それでなんか付いてきた。そのベッドに『トレーナーは使ってねェぞ』って言ったら普通に寝やがった。疲れてたんだろうなァ。そんでクッションに沈んでやる奴は気付いたらいた。イカれてやがる」

 

「理解出来ないが分かりやすい解説助かる」

 

「どれもこれもロジカルじゃねぇなクソが」

 

「ふふっ!トレーナーさんと仲がいいんだね。大人と普通に話すシャカールなんて見たことないや!」

 

「あン?周りが勝手にビビってるだけだろ」

 

「またそういう事言う。そういえば、何でこの部屋はこんなに広いの?」

 

「確かにそうだな。オレが来た時にはコンくらいだったしなぁ」

 

「トレーナーは実績によっては良い部屋を貰える。更に大きくしたいなら、金だな」

 

 

この部屋の場合シービーが勝手に理想郷を作ろうとしていたのもあって、あんまり俺の金を使っていない。何故ならシービーが隠れてレースの賞金を部屋の改築に使ってたからだ。本当に怒った。人生で一番怒った。テレビもアイツが買ったものだ。言えば買ってやったのに。

 

 

「ポット使うぞ」

 

「オウ」

 

 

結局の所、混沌としていようが昼飯は食える。

カップラーメン。3分間という短期間での満足感。

 

 

「寝てるのは何だ」

 

「そもそも何でベッド直行する程疲れてンだ?屋敷の高級ベッドの方がいいだろうが」

 

「んー…ドーベルにもゆったりとしたい気分があるんじゃない?屋敷は落ち着かないらしいし、学園は賑やかだし。案外静かに寝れる場所を探してたのかもね」

 

「だからと言ってな……頭が働いていなかったのか?」

 

「本当の意味でお淑やかなのはアルダンくらいだろうなァ」

 

「何でも夜中まで作業してたみたい…。最近絵を書いてるんだってさ」

 

「絵か…趣味も人それぞれだな」

 

 

タイシンのゲームも、シャカールのサッカー鑑賞も、オペラオーの独唱もそういうものだ。

クッションに沈んでいるアヤベを見ながら過ごしていると、3分が経った。

 

 

「3分経ったね!いただきまーす!!」

 

「いや、待て」

 

「んー!うまい!」

 

「おかしくは無いだろうか」

 

「もぐ…ん、何がですか?」

 

 

自然な流れでラーメンを啜っているが、何故ファインモーションが食っているんだ。

 

 

「………あ、ごめんなさい!貴方がラーメン食べるタイプだとは思えなくて!私にくれたのかと……」

 

 

王族の価値観か。

殿下と呼ばれる所以は無意識の受動。

 

 

「めんどくせェ。食っちまえよ」

 

「…まぁ、いい」

 

「ありがとうございます!!美味しい!」

 

 

麺を啜る音が鳴っていると、腹の音が聞こえた。

一つ、二つ、三つと重ねる様に。

 

 

「……すいません。今の私です」

 

「カフェ…」

 

「後、アドマイヤベガさんとそこの寝ている方も……」

 

「恥じらいは無いのか乙女達よ……」

 

「昼時なので、その…許してください」

 

「…何か作るか」

 

まだ、ほんの少し寒さが残る時期だ。

温かく、食べやすく、手早く作れる物…。

 

 

「シチューなんてどうだ?」

 

「良いですね…」

 

「シャカールのトレーナーは料理出来るの?」

 

「出来るぞ。しかも特段ウメェときた」

 

「へぇ…!じゃあ私のも作ってもらっていいですか!?」

 

「良いぞ。シャカールも食うか?」

 

「いいねぇ。貰う」

 

「後は…」

 

 

顔面からクッションに沈んでいる奴か。

いや、腹が鳴ったのはメジロドーベルもだ。寝たまま腹が鳴っているという事は、相当の疲労か。

 

取り敢えず起きてるアヤベの肩をちょこんと叩く。

 

 

「腹が空いている様だが、シチューを作ろうと思っている。食べるか?」

 

「シチュー……?それは…ふわふわしているの…?」

 

 

これはもう駄目っぽいな。

ふわふわ好きなのは知っているがイカれてきている。

 

 

「これは…ふわふわ過ぎて…駄目になるわね……。私はふわふわの布団と人形を常備しているから…隙が無いと思っていたのだけど…これは…嗚呼、形容できないわ」

 

「で、食べるのか?」

 

「そもそも人を駄目にするなんて肩書アホ臭いと思って触れもしなかったのだけど…学園内で皆騒ぐのだからしょうがないわよね……噂の通り気持ちいいのだし…」

 

「…」

 

「人が初めて星を見た時もこんな満足感だったのかしら……ああ、ごめんなさい。シチュー…うん。食べるわ。お腹が空いている状態でも気にならないくらい満喫しているのだけど、食べ終わった後にふわふわしたらどれだけ気持ちいいのかしら………」

 

「分かった。お前のトレーナーに買っておくよう言う」

 

「流石…ふわふわの主ね。伊達にオペラオーのトレーナーさんじゃ、ない、わ……」

 

そう言い残してふわふわの沼に再び沈んでいった。

こんなキャラじゃない筈だがな。クールなアヤベは何処に行ったのか。

 

 

「後は……」

 

メジロドーベル。

生理的に男性が苦手という女性は少なくないが、トレセンでは彼女くらいだろう。嫌いというよりは苦手、話そうとすれば棘が目立つといった具合だ。だが、そもそもの性格が常識を持っている為、問題は起きない。

 

常識人が苦労人気質に陥りやすいトレセン学園でも、トラブルには近寄ろうとしない側面を持つ為、穏便な日々を送っている数少ないウマ娘である。

そして、阪神JF、ティアラ3冠レースの内オークスと秋華賞を制覇、エリザベス女王杯を2度制覇したという実績を持ち、ティアラ路線に於いて飛び抜けた成績を持つ。GⅠの勝利数だけで言えば5回。GⅠを3回以上勝てるウマ娘は飛び抜けていると言っていいだろう。

 

元来メジロ家のウマ娘はその家で育成されたトレーナーと共にデビューしていたのだが、最近ではその様子は見当たらない。メジロマックイーンはスピカにいるし、メジロライアン、メジロアルダン、メジロパーマー、メジロブライトは別のチームだ。

 

驚くべき事に最初メジロドーベルのトレーナーは男だった。だったという事はつまり、後から変わったのだ。メジロドーベルが男性に対して引け目を見せ続けていた結果、トレーナーが糾弾に近い文面で彼女を否定したのだ。このままでは強くなれない…お前では無理だ、と。

大衆の前でそれをやってしまったトレーナーは、退職には至らずとも、トレセン学園での契約関係の見直しを図る契機となった。もし、マスコミが取材に来ていたら不味かったかもしれない。

 

ともかく、トレーナー自体は変更となった。

次は女性だった。全員が思った。そもそも男性の前で走る事が苦手なら、トレーナーの性別に関係が無いのではないか。レースに慣れなければ意味が無いと。そう思ったのだ。

 

しかし…理事長の見通しは正しかった。

メジロドーベルの新しいトレーナーは、男が嫌いであった。

"苦手"ではなく"嫌い"である。それはメジロドーベルがドン引きするくらいには支離滅裂な文言であった。

 

曰く、『男でトレーナーやるくらいなら実績残せよ。三年間イチャイチャして終わるくらいならさっさと優秀なトレーナーに寄越せ甲斐性ねぇな全く』

 

曰く、『秋道ィ……何私のドーベルちゃん見てんだ。中指立てんぞ』

 

曰く、『女には優しく男には破邪。それが座右の銘』

 

その他にも、『奈瀬ちゃん以外僕って使うな』『ロリコンの秋道今から殺しに行く』『ライスちゃんは偉いな。あんなクソ客八つ裂きだろ』『オハナさん奢ってー』『ファッキン西崎。普通に痴漢で捕まれよ』など、パワーワード系の名言が多い女だ。

 

つまり、紛うこと無きクソ女である。

 

しかも、その女が唯一の同期だというのが尚切ない。

 

 

…話を戻そう。

メジロドーベルはそのクソ女と過ごして、ある結論に至ったのである。『…何もして無いのに嫌われる男の人ってかわいそうなのでは?』と。

結果、少し優しくなった。苦手を完全に克服している訳では無いが、気を使えるようになったのだ。

 

結局の所彼女に対するコミュニケーションの恐怖は無いが、そのトレーナーが面倒くさい。もし、俺の部室に彼女がいる事を知られたら、死合になるだろう。上等だが。

 

と言う事で、軽くアプローチはする。

 

 

「………すまん。やっぱ無理だ」

 

日和(ひよ)んな」

 

「寝ている時に起こされるとな、凄いムカつくんだぞ」

 

「知るか」

 

「…………ん、んん……」

 

「あ、起きた」

 

「十中八九空腹だろうな」

 

「…………あ」

 

 

起きたメジロドーベルが此方を見てハッとした顔を見せた。

気まずい空気が過ぎていく。

 

 

「……腹、減ってるか?」

 

「……はい」

 

「シチュー、作ったら……食べるか?」

 

「…………頂きます」

 

「だりィ」

 

「シャカール!そういう事言わないの!!」

 

 

ぎこちない会話だが、別に仲が悪い訳じゃない。

仲が悪ければ、シチューなんて食べる訳がない。にも関わらず何処か歯切れが悪いのは、少しの遠慮と、この事が自分のトレーナーにバレた場合への不安だろう。

自分のトレーナーが殺人なんて犯したら洒落にならない。殺されるつもりは無いが、彼女の不安も分かる。ソレが出来る女だからな、アイツは。

 

 

「少し待っていろ。バレない様に作るからな?」

 

「……ありがとう…ございます」

 

 

材料を頭にチラつかせながらトレーナー寮に赴く。

ルーは使わない方向だな。

 

 

 

───────────

 

 

 

先ずはエプロンを付けよう。

主な材料は豚肉、じゃがいも、人参、玉ねぎ。

味付けは牛乳とコンソメ。そして少量のバターを仕上げに使う。塩と胡椒はお好みだが、塩は豚肉にかけておくと下味が出て臭みも無い。

 

野菜と豚肉のカットさえ出来れば何も難しくない。

ただ、おかわりは必要なので、大鍋を用意しておく。材料は多めに確保しているので心配は無いが、もし大食いの素質を持つものがいたら完敗だ。

 

目の間でグツグツと鍋が加熱されている。

グツグツという文面だけで美味く感じてしまうのは、やはり日本語という言語のセンスを深く実感せざるを得ない。

 

 

「よっこいしょっと……」

 

 

大きな鍋を持ってトレセン学園に移動しようとする。

すると後ろからズンと重い足音がした。

 

……ああ。

来たよ面倒くさい女が。

 

メジロドーベルのトレーナーが。

 

 

「秋道ィ……テメェ」

 

「…何だ」

 

「私のドーベルちゃん知らねぇか?」

 

「知るか」

 

「最近よくふらっと消えちまう…前任のクズに何かされてるんじゃねぇかって不安で仕方ねぇんだ。これだから女々しい野郎はキメェんだ。…後を引くからな」

 

 

喋る度にキマった顔をして育ちの悪さを発揮するこの女は、俺の同期であり、ライバルであり、同僚であり……何というか、クソ女としか形容できない。

 

葛城(かつらぎ) 燿夏(あきな)

三白眼と長い茶色の髪の毛が目立つ小さい女だ。俺と全くの同い年で、家柄の利が無い中トレセン学園中央採用試験に16歳で受かった天才。

男には決して敬語を使わず、黒沼先輩にすら牙を向く末恐ろしい奴だが、ウマ娘や子供には例外である。トレーナーとしての腕は良く、現にメジロドーベルを育てた実績がある。俺との確執はもう一昔前だが、それはまた別の話だ。

 

チーム名はシェダル。

メンバーにはサクラローレルという強力なウマ娘もいる。

 

 

「何持ってやがる」

 

「シチュー」

 

「ウマ娘ちゃん達に食わせようってか。手抜きしてねぇだろうな」

 

「お前の時よりは気合入れてる」

 

「…あの時殺しゃあよかった。モラハラ腰巾着が」

 

「今やるか?似非ヤンクソ女」

 

「上等。破邪ってやるよ」

 

 

こいつは寮に来た当時、主に食事関係の日常生活が最悪だった。一人暮らしに慣れておらず、隣の部屋だった俺が毎回差し入れを持っていかされた。

ノックする度に罵声が飛ぶもんだから後半はワザと薄味にしたり野菜炒めに砂糖入れまくったりした時もあった。本気で殴り合ったのはアレが最初だ。今は自炊している様だが、当時の反省は見られない。だからクソなんだお前は。

 

お互いに飛びかかろうとしたその時。

奴のポケットから電話の音がした。

 

 

「ッアア!?誰だこんなと──ローレルちゃんか。ちょっと待っとけ」

 

「…」

 

「どうしたローレルちゃん。今悪を断罪しようとして……あ!?ブライアンちゃんとマヤちゃんと模擬レース組めたって!?今見に行く待ってろ!!」

 

 

コイツは結構なウマ娘バカだ。

そこだけは俺と意見が合う。いや、やっぱ嫌だ。

 

「勝つぞローレルちゃん!おう!リベンジじゃぁぁ!!!」

 

えいえいおーと手を上げる21歳。

鼻で笑ってやる。

 

 

「……運がいいな。ローレルちゃんに助けられたぞテメェ」

 

「サクラローレルは本当にトレーナー想いだな。お前の危機を助けてくれたぞ」

 

「あ?」

 

「お?」

 

「「………今日の夜」」

 

 

殺し合いの予定は決まった。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

「待たせた」

 

「わぁ…美味しそう」

 

「鍋から自由にどうぞ」

 

 

部室に戻ると丁寧な事に、皆椅子に座っていた。

一人ボーッとした顔をしている者がいるが、食欲はありそうだ。

ファインモーションが真っ先に皿に盛り、良い笑顔で大口を開ける。…一番緊張する瞬間だ。

 

何だったか…アイルランドのアイリッシュ・シチューだったか…。ともかく、家庭的な料理にそれがある。普通のクリームシチューで満足してくれるか…?ましてや王族の舌に…。

 

窓の外をチラッと見てみる。黒服が此方を凝視している。

『殿下に万が一の事があれば一族郎党…』と、そんな顔をしている様に見える。ビクビクしながら感想を聞く。

どうだ…?

 

「美味しい〜!」

 

「ん、ウメェ」

 

…良かった。

口に合ったようだ。安心。

 

「美味しいです…!」

 

「…!」

 

アヤベが頷いた。

二人も気に入ってくれた様だ。後は…

 

「………美味しい、です」

 

メジロドーベルも制覇。

心の中でガッツポーズする。

 

大量に作ったシチューだったが、ウマ娘の胃を持ってすれば底をつくのに時間はかからなかった。

 

 

 

 

「カフェ、少し良いか」

 

「何でしょうか」

 

皆が食べ終わったのを見計らってカフェに近づく。  

サンにカフェを任された手前、彼女を知らなければならない。

 

「目標、定まってきたか」

 

「…正直、まだ。でも、自分の得意は理解して来ました」

 

「教えてくれ」

 

「主観ですが、長距離が走りやすいと思いました」

 

「…3200mは?」

 

「行けます」

 

「心強いな。了解した」

 

だが、長距離特化という訳でもなし。

中距離後半も行けるだろう。

 

「ところで…随分賑やかですね」

 

「…はは」

 

周りを見れば、シャカールのギアが上がってきていた。

 

「ッアァァ!!んだよこのエイム力!?チーターじゃねェかクソッタレ!!『ワガハイちゃん』って誰だよ!!!」

 

「シャカール!人を殺したら駄目だよ!!」

 

「そういうゲームなんだよ!!」

 

 

…だからマウス使えって言っただろ。

キーボードだけじゃゲームキツイって。

 

 

「で、アヤベは何故いるんだ?」

 

「…気持ち良いと話題になってたから」

 

「気持ちいい?このクッションを使う奴はアルデラミンのメンバーぐらいだが」

 

「え?皆使ってるらしいけど…」

 

「…なんだと」

 

「最近じゃトウカイテイオー、マヤノトップガンがレビューをしていたわ」

 

「…いや、ありえない。平日は俺がいない時に鍵がかかっている筈…」

 

「……シービー先輩が毎日ランダムで誰かに渡してるけど」

 

「そうか。それは納得だ」

 

 

合鍵作った理由はそれか。

シービーは後で〆るとして、不法侵入は頂けない。

 

 

「『綺麗な身体で使う事♪』って言って去るのが特徴よ」

 

「…ツッコむのも疲れたな」

 

 

夕方までの時間、皆はそれぞれの時間をここで過ごしていたが、やがてカフェ以外戻っていった。

 

夜はアイツを殺さなきゃいけないし、今休んでおくのも手だ。

ゆったりとした時間を、俺は楽しんだのだった。

 

 

 

 

○○○○○○○○

 

 

 

私のトレーナーは秋道邁と言います。

お友達が一瞬で気に入ったその人は、静かではありましたが、かと言って冷めた人ではありませんでした。

 

タキオンさんは私の見ている世界との共通性を彼に見出し、怪しい薬を用意するようになりましたが、彼はお友達や他の皆を見る事は出来ません。いえ、人以上に感じられていません。結局、別の存在なのでしょうか。

 

ただ、トレーナーさんが数多くいるこの学園において、何処か卓越した視点を持つ事は確かです。それはトレーナーとしての腕では無く、私と一緒で、見ている世界が違うようで…そんな彼に惹かれたのはお友達だけで無く、私も含めてかもしれませんね。

 

……冷静に考えれば、強いチームに美味しいご飯、快適な部室。こういう言い方はあまり好きではありませんが、かなりの優良物件という奴ではないでしょうか。そんな方にスカウトされたのは、素直に自信にしていいと皆に言われます。

 

その本人は、無表情で本を読んでいますけどね。

多分、ハズレを引いたのでしょう。普段はもっと安らかな顔で読んでますから。

 

あ、こちらを見ました。

 

 

「カフェ、少し窓から下がれ」

 

「……?」

 

 

どういう事でしょうか。脈絡も無く言われると困ります。

でも、無意味なんて事は無いでしょうから、素直に離れます。ああ、もう夕方なんですね。

 

 

「…サイコ女が」

 

何でしょうか。突然暴言が私に飛んだのですが。

……いえ、窓を見て彼は言った。誰かいるのでしょうか?

 

 

 

そう思って窓を見た瞬間、影が飛び込んできました。

それは人影です。体を丸めて腕を前にクロスさせ、ガラスに飛び込む。映画でよく見るアレです。

 

いや、おかしいでしょう。

 

 

「来てやったぞ秋道ィィィィィ!!!!」

 

一人の少女…いえ、トレーナーさんです。彼女が窓ガラスを割って侵入したのです。

割れたガラスは何故か全て彼の方向に行きました。はっきり言って警察沙汰なのですが、そんな事は気にしないという無敵の意思を感じたのは錯覚では無いでしょう。

 

秋道さんは避けました。

怪我を負ってたら私が彼女を止めようと思いましたが、無事で良かったです。

 

「カフェにガラス当たったらどうするつもりだ」

 

「だからテメェに集中させたんだろが。避けんなつまんねえ」

 

…何かの能力者ですか貴女は。

 

 

「しっかし夕焼けが綺麗だよなぁ。夜まで待って殺そうと思ったんだけどよ」

 

「……」

 

「ドーベルちゃんがテメェの部室から出て来た…あ?何で知ってるって顔だな。教えてやる──偶然だよ」

 

「マジか」

 

 

…ああ、メジロドーベルさんが言ってた『ちょっと凶暴な私のトレーナー』とは、彼女の事ですか。怖いですね。

 

 

「嘆け。私とドーベルちゃんの奇跡の出会いでお前は死ぬんだ。安心しろ。アルデラミンの面子は私が責任を持って最強にしてやる」

 

「サイコレズ女が…肩身が狭そうで敵わん」

 

 

え、口悪。

 

 

「……レズと言ったな」

 

「ああ」

 

「私は男が嫌いなだけだ。別に女は好きじゃねぇ…それとな…もっと嫌いなものがある。分かるだろ?」

 

「……」

 

「それはな──」

 

 

…お友達が逃げろと耳で叫びました。

 

 

「テメェ個人だ──秋道ィィィィ!!!」

 

「よく吠えた葛城ィ!!!」

 

 

二人の拳が衝突して、衝撃に変化しました。

……嘘ですよね?私の前髪が揺れたんですけど。

 

まるで本当の殺し合いの様に2つの影が交差しています。

秋道さんは男女平等を謳うレベルのパンチで顎を狙っています。一方彼女は爪で首の頸動脈を狙っています。いや、殺す気ですか。

 

 

「テメェとの殺し合いもこれで三回目だなぁ!一度目は私の出された物は食う主義を利用してテメェが不味い飯を出したときだぁぁ!!」

 

 

いや、私のトレーナー何やってるんですか。

さっき美味しいシチュー出した人がやってた事ですかそれ。

 

 

「そして二度目はテメェのシービーちゃんが私のボイズィーちゃんを倒し、その後リベンジ決めた時だっけなぁ!?」

 

「ボイズィーの強さは認める!だがお前のトレーナーとしての腕が彼女に左右したか?ああ!?」

 

「ブーメラン大将だぞテメェェェ!!!」

 

ブーメラン大将……?

 

 

「一度目はテメェの手抜き…!そして三度目はドーベルちゃんを唆したその顔……!!やっぱ男は埋めなきゃ気がすまねぇ!!」

 

「メジロドーベルから来たって言ったら信じるか?」

 

「テメェを殺してから本人に聞けゃあいい話だわな!!」

 

「死合続行!!」

 

「よしキタァァァぁ!」

 

 

…ほんとは二人とも仲が良いのでは?

ともかく、終わるまで隅でゆっくりします………。

 

 

 

 

 

────────

 

 

 

「ハァ…ハァ……この…クソチビが…」

 

「やよいちゃんの……腰巾着風情が…ハァ…」

 

「…嘘でしょ」

 

 

夕方の5時から3時間戦ってたんですけどこの二人。

何で誰も注意しに来ないんですか。

 

いえ、分かります。触らぬ神に祟りなしですね。

 

 

「「これで最後だァァァァ!!」」

 

 

はぁ…やっと終わ───

 

 

 

「!?」

 

「アァ!?」

 

「これは…不味いです」

 

 

停電が起こりました。

電気の付いていた部屋は真っ暗になり、物音が消えます。この時間ではウマ娘達は寮に帰っていますが、それだけの静かさではありません。  

 

これは……()()()()()です。

 

 

「お二人とも、静かに」

 

「……分かった」

 

「悪いなカフェちゃん……チッ」

 

「あ?」

 

「怒らないで…!取り敢えず静かに…静かに……」

 

 

いつも人を困らせるいたずらっ子達じゃない…!

これは正しく悪霊のやる事……この人達が危ない!

 

 

「良いですか、秋道さんと…貴女は」

 

「葛城でいい」

 

「葛城さん。私が良いというまで動いてはいけません」

 

「…ただの停電じゃないのか?」

 

「聞け葛城。カフェは幽霊が見える」

 

「は?信じるかアホ。なぁカフェちゃん?」

 

「本当です。見えます」

 

「よし信じた」

 

「死ね」

 

「あ?」

 

「だから喧嘩しないで…!!」

 

「「すいません」」

 

 

何ですか!?幼稚園児ですか!

 

 

 

「静かに…していれば、大丈夫ですから……」

 

「「…」」

 

 

息を呑む声が聞こえます。

程なくして足音が外から聞こえます。

 

それはドアの前で消えました。

 

 

「…良いですか。誰かの声が聞こえても返事をしてはいけません」

 

「分かった」

 

「おう」

 

 

2回のノック。

 

 

「秋道くーん?」

 

 

それは、私達が坂の前でいつも挨拶するたづなさんの声でした。普通なら停電の様子を見にたづなさんが来たと判断できますが、そもそも何故秋道さんがいる事を分かっているのでしょうか、という話です。

 

だから危険。

悪霊と言う物はいつも人につけ込みます。

 

次第にドアを叩く音に変化してきました。

 

 

「秋道くん…?秋道くん。秋道くん!秋道君!!アキミチクン!!」

 

 

ッ…これは私でもゾッとします…。

 

 

「葛城さんもいるんですか〜?」 

 

 

急に平坦な声に…!

ですが誰も返事はしません。諦めてください。

 

するとドアがはちきれそうな威力で音が鳴り……

 

 

「秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君葛城さん葛城さん葛城さん葛城さんと秋道君秋道君秋道君秋道君秋道君秋道アハハハハハハハハハは母歯はハハは母歯は!!!!!」

 

「「「!!!」」」

 

 

お願い…帰って……!!

 

 

「…………」

 

 

数秒が経ち…音も完全に消えると。

 

 

「ッ………ふぅ」

 

「………まじかよ」

 

 

電気が付きました。

どうやら去ってくれたようです。呼吸を整え、少し落ち着きます。

 

 

「過ぎ、ましたね………」

 

「だな…」

 

「たづなさんの声に化けやがって……クソが」

 

 

葛城さんは怖がるというより怒っています。

私よりも強いかもしれません。

 

 

「しっかし何だぁ〜?あれは」

 

「悪霊、と人は噂しますが。間違いではありません。無念のウマ娘も、トレーナーも数多くいますから」

 

「…なる程な。怨念が私に嫉妬するわけか」

 

「お前に嫉妬する要素無いだろチビ」

 

「──殺す」

 

「だからやめてくださいって!!」

 

 

あーもう何ですか!!

タキオンさんより面倒くさいですよ!!

 

 

 

「今日はもう帰りましょ───え」

 

 

 

 

また、停電が。

二段構えなんて今まで……!駄目ッ!!

 

 

「秋道さんっ!!」

 

 

私は必死に彼がいた場所に飛びつき、確保した。

床に彼をぶつけてしまったが、それでも私を褒めたい。彼が連れて行かれる所だったのだから。

 

葛城さんは彼の胸倉を掴んでいたから、多分近くに……

 

 

「………葛城が、いない」

 

 

……………は。

 

 

「ほんとう、ですか…?」

 

「………カフェ」

 

 

彼は私が抱きしめていた立場から逆になり、彼が外側になる様に動きました。

私を庇うつもりです。

 

「大丈夫です…大丈夫ですから」

 

 

駄目だ。

私が震えていては彼を守れない。彼だけは失ってはいけないのだ。お友達の為にも。

 

そんな時です。

彼の後ろから声が聞こえてきました。辺りが薄暗く光り、人影が見える様になりました。

 

「厄日だな、アンタ」

 

 

この声は確か………

 

 

「ぶ、ブライアン……?」

 

「ああ。アンタのナリタブライアンだ」

 

「だ、駄目!!」

 

 

彼女はナリタブライアンさんじゃない!

止めようにも影は彼の頬を掴んで…

 

 

「何で勝たせてくれない?何で私は怪我をした?ウマ娘の幸せを願ってるんじゃないのか?なぁ…おい!!」

 

「……」

 

「……!!」

 

 

耳を貸さないで───そんな声は出ませんでした。

何故か、私の声は出なかったのです。お友達に止められたのです。

 

(何で!?彼を好きな貴女が!!)

 

私はお友達を睨みながら抗議します。

それを聞いてお友達はただこう返事をしました。

『見てて』と。このまま彼が消えるのを見過ごせるほど…私は…!!

 

 

悪霊の前の彼はただ片手を振り上げ。

そして、口を開き……

 

 

「ブライアンはそんな事言わない」

 

「ん?」

 

ナリタブライアンさんの顔めがけてチョップを放ち、影を両断しました。

 

 

(…はい。貴方はそういう人でしたね)

 

ツッコむのも疲れました。

お友達は腹を抱えてゲラゲラ笑っています。

 

 

「立っても良さそうだな」

 

「え、あ、はい」

 

彼に乗せられるまま立ち上がりました。

怪異はまだ終わっていません。次はタイシンさんが現れました。

 

 

「…アンタの才能が無いから……!!私はハヤヒデやチケットに負けた……!アンタのせいで!!!」

 

「タイシンはそういう事言わない」

 

次は腹パンでした。その次は…。

 

 

「所詮私に才能はありません……だから貴方を頼ったのに……結局テイオーに勝てない。何でですか?私を騙したんですか!!この裏切り者…!!!」

 

「シガーはそういう事言わない」

 

正拳突き。段々と悪霊に怒りを覚えているようです。

 

 

「オレが3冠を取れねェのは……いや、ロジカルも何もどうでもいい。そもそも走るのが向いてなかったんだ。お前に期待するのも、走るのも全て間違いだったんだ」

 

「シャカールは言うかもな。はは」

 

 

……顔が笑っていません。

 

 

「──言う訳無いだろがぁ!!」

 

 

渾身の裏拳。

一番の怒りを見せました。

 

 

「次」

 

 

もはやスナック感覚で悪霊を撃沈させていきます。

少し時間が過ぎて、一つの影が生まれました。…ミスターシービーさんの姿です。

 

 

「すぐ──え?」

 

「死ね」

 

 

言葉を言う前に顔面パンチで沈めました。

ミスターシービーさんの姿を騙るのは許せなかったのでしょう。彼の最初の契約相手。

その絆は血の繋がりよりも重く、尊い物です。その侮辱は、彼にとって耐え難く…。

 

……そうだ。葛城さんを探さないと!

 

 

「秋道さん!葛城さんを探しましょう!!」

 

「その心配は無い」

 

「何でそう言い切れ………はい。言い切れますね」

 

 

部屋の外の廊下から声が聞こえてきました。

葛城さんの声です。

 

 

「解釈違いだボケナス共がァァァ!!!!大体私のボイズィーちゃんがそんな事は言う訳ねぇだろが!!死んで死んで浄化されて転生しろッ!!オラッ!」

 

「ほらな」

 

「強かな女性ですね……」

 

「ライダァァァァァキックゥ!!」

 

 

ホントに強い女性です。

飛び蹴りで部室のドアを突き破って入って来ました。あ、今トドメに顔面踏んだ所です。

 

 

「ふぅ…フゥ…クソっ!私の愛バ殴らせやがって…!ぶっ殺して………おう。カフェちゃん無事だったか。二人で逃げるぞ」

 

「え、あの…秋道さんは?」

 

「誰だソイツ。死んだんじゃねぇか?」

 

「今お前も道連れにしてやろうか」

 

「チッ…死んどけよ非常時だぞ」

 

 

……こんな時でも口が悪い。

謎の余裕が見て取れます。私がおかしいんですかね。

 

 

「めんどくせー。そろそろ出るか」

 

「…そうしましょう」

 

「停電なのは本当だしな」

 

 

3人で部室を出ようと寄って歩くと──

 

 

 

 

 

───手が秋道さんの肩に触れました。彼は振り向きます。

 

 

「──ロベルト………?」

 

 

 

秋道さんの肩に触れたのは……誰?

小学校高学年くらいの子供で、ウマ娘の特徴である耳と尻尾を持っています。でも見たことが無い。トレセン学園の生徒にしては華奢だし、新入生でもあの様な子はいなかった。服装は何故か病院の患者服。

 

あどけない表情で、如何にも優しい雰囲気の子供です。

茶色い髪を綺麗に結んで、背伸びをして彼の肩に手を伸ばしています。

 

そして、幼い口を開いて──

 

 

「お兄ちゃん」

 

 

──確かに、そう言ったのです。

秋道さんは、明らかに動揺しています。お友達は、険しい表情でじっとあの子を睨んでいます。

私はどうすればいいか分からなくなりました。

 

それ程の空気が、あの子と秋道さんにあります。

 

 

「何で、ロベルトが」

 

「あのね、お兄ちゃん。お兄ちゃんに聞きたい事が()()()んだぁ…」

 

 

重く、重く、あの子の言葉は私達の身体にのしかかる様に感じました。

 

 

「何で、楽しんでるの?」

 

「違う…ロベルト」

 

「何で、歩いてるの」

 

「ろ、ロベ」

 

「何で」

 

 

 

「生きてるの?」

 

 

 

もう、聞きたくなかった。

私が色々他の人より見えるから、他の人より感じるから。

あの子がどういう末路を辿ったか、本質的に理解してしまった。

 

 

それでも、口を閉じていた葛城さんは動きました。

 

 

「…ロベルトちゃんの姿か」

 

「お姉さん…だあれ?」

 

 

女の子は閉口した秋道さんの横を通り過ぎて、葛城さんに近づきます。

その瞬間。

 

 

「──テメェ。やっちゃいけない事したな」

 

 

 

あの子に、葛城さんの拳が。

 

 

 

 

怪異が──終わりました。

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

「………」

 

 

誰も、喋りません。

本来なら、危機が去ったと喜ぶのですが、出来る筈がありません。

 

秋道さんは、何も言いません。

立ったままで、何も言いません。

 

葛城さんはただ横を過ぎて、言いました。

 

 

「私にカワイコちゃん殴らせんな。ダボ()

 

 

暴言の割に、残したのは優しく肩を叩く励まし。

それでも彼は微動だにせず。

 

 

「カフェ」

 

「はい」

 

「帰って早く寝た方が良い」

 

「…貴方は?」

 

「俺も…早く寝る」

 

「…分かりました。夜ふかしは許しません。おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

 

 

あの小さな子を殴った葛城さんの行動には、今までの暴力とは違い思いやりが見えた。

 

 

私も、何か声を掛けるべきでしょうか。

 

 

 

…出来る筈無い。

 

 

 

 

 

 

私に家族の死の経験は無いのだから。

 

 

 

 

 

EP6 ■■■ー■■■■■(静かなる休息日)

 

 




秋道邁
・異常者その1。シービー時代からのライバルである葛城トレーナーに関しては本気で殺しても良いと思っている。

ガーベラロベルトという妹のウマ娘がいた。
レースはしていないが競走名で呼ばれた。

葛城燿夏
・異常者その2。邁の唯一の同期で、アプリ版主人公で言うと桐生院トレーナー的な存在。邁のライバルであり、初めての契約はボイズィーエース。邁に関しては本気で殺しても良いと思ってる。男が嫌いな理由は、昔ウマ娘がテキパキ行動出来なくなるくらい怒鳴るトレーナーが多かったから。

ちなみに彼女の率いるチームシェダルのメンバーにはメジロドーベル、サクラローレル、ナリタトップロードを主に優秀なウマ娘が揃っている。

見た目に関しては、『三白眼ちゃんは伝えたい』って作品を検索するとイメージが付きやすいかも。低身長ロング三白眼ってキャラ付けが偶然一致してしまった。


マンハッタンカフェ
・トレーナー達の身体能力に疑問を持ち始めている。邁の料理が大好き。影でタキオンの弁当とどっちが上手いか論争している。

邁の妹の末路を理解してしまった為、彼を守ろうと思った。


メジロドーベル
・男が苦手だったが、嫌いでは無い。自分のトレーナーが男に対してだけ異常な側面を見せる為、逆に優しくなった。


アドマイヤベガ
・何で登場したんだ…?ふわふわ好き。


ファインモーション
・殿下は退屈であるが、下々の者達を見張るのは王族として当然の責務。


悪霊達
・たづなさんに化けたら結構効果あったので、身近な人物に変身したが異常者達に破壊された。最終的に邁のトラウマを突いたがもう一人の異常者に殴られメンタル崩壊。トレセン学園がトラウマになりもう出没しなくなった。




■■■ー■■■■■(サン)
・何も気にせず、何も考えず、好きに走ってほしい。楽しい事なら、楽しく走るのが一番。でも、ウマ娘達は自分が薄々どういうものか察している。それが心配。




主人公の妹については次の番外編ですかね。
アオハルは結構話数多くなりそうです。アオハル杯の話というか、アオハル杯が開催される時のアルデラミンの話って感じなので。

だから番外編は結構先です。

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