ほのぼの鬼殺隊生活(完結)   作:愛しのえりまき

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お客さんにサツマイモを頂きました。すごく美味しかったので、思わず「ワッショーイ!」と言ってしまいました。……毒されてるな、と思いました。
人物紹介 
不死川実弥…後の風柱。原作よりだいぶ穏やか 
錆兎…優しい 
鱗滝さん…優しい 
カラス…女の子。ヤンキー。騙されやすい


6話 運命の出会い

朝日の照らす広場に、俺を含め15人が生還した。けっこう助けたつもりだったが、数人いなくなっていて残念だ。あのやばそうなヤツは。まあ当然居るな。鬼殺隊に入る前から、日輪刀も持たずに鬼と戦ってるんだから、あの子は。

 

あ、こっち見てる。俺は慌てて目をそらした。

無事に帰り着いてほっとして周囲を見回していると、

「お帰りなさいませ」

お館様の奥様、あまね様から声がかかる。そして、合格者への説明。

ちゃんと採寸してから隊服を支給してくれる事、階級は最下位の癸から始まる事、日輪刀の原料となる玉鋼を自ら選ぶ事。そして、鎹カラスについて。あまね様が手を叩いて呼ぶと、俺の左腕にもやって来た。

「鎹カラスは、主に連絡用の」

 

説明は続くが原作やアニメで知っている。気も緩んで、あくびはさすがに堪えたがちょっと鼻をほじったりしていると、最前列では事件が起こっていた。あのやばいヤツがあまね様に詰め寄る。

「カラスなんぞどうでも良い!刀を早くよこせ!」

 

周囲が戸惑っているが、俺の興味はカラスにあった。これ本当に喋るのか?じーっと眺めてみるが、喋りだす様子は無い。カラスをツンツンしてみた。

「……」

無視。ツンツンツン。

「……ッ」

じろりと睨まれた。面白くなって更にツンツ……。

「カアーッ!ウゼエッ!話シ聞ケヨオマエ!鼻ホジッタ手デアタイニ触ルンジャネエ!」

本当に喋った!しかも何でヤンキーなんだ、俺のカラスは。

 

「アホーッ!」

 

ああ、怒って飛んでっちゃった。フッ、これからよろしく頼むぜ相棒。

 

って、かっこつけてる場合じゃないか。帰って来てくれるか少し心配になりつつ、注目を浴びて恥ずかしくなり、以後は静かにしていた。周囲がクスクスと笑い出し、先ほどのやばそうな少年も、カラスに怒られている俺を見てばかばかしくなったのか大人しくなった。何やってんだあのバカ、という冷たい視線が痛い。あの荒くれを一発で静かにさせた!と驚く声もあったが、それはただの勘違いです。

 

 

 

「てめえか?他のヤツを助けて回ってたってのは。随分と余裕じゃねえか」

全てが終わって帰ろうとすると、あのやばい少年が話しかけてきた。

「いやいや、大変だったよ。それに助けた訳じゃなくて、たまたま通ったから一緒に戦っただけだよ」

顔は幼いけど目ヂカラすげええ。俺はびびりながら答えた。

「俺は不死川実弥だ。名は何と言う?」

「水原倫道です」

俺はびびりながら名乗り返した。

「覚えておくぜ」

このやばい少年、後の風柱・不死川さんは、そう言って去って行った。歳は彼が一つ上だが迫力が違った。中身のおっさんから見れば子供なんだけど。

 

それにしても、カラス帰って来ないな……。

 

 

 

狭霧山に帰り着くと、杖を突いた錆兎が出迎えた。大丈夫、俺は無傷だから。錆兎は左手の杖を放し俺をがっしりと抱きしめた。

「お前のことだ、普通に帰ってくると思っていたが、良かった」

だから大丈夫だって。錆兎は背中に回した手でバシバシ叩いてくる。

「正直言うと、ちょっと心配もしていたが」

普段の錆兎からは考えられない行動に驚く。

「全くお前は大したヤツだ」

そう言って髪をわしゃわしゃされた。俺は犬じゃないぞ、と言いかけたが、ハハハッと笑いながら錆兎は鼻をすすっている。本当に心配してくれていたのだと分かり、胸が熱くなった。そしてそんな俺たちを、鱗滝さんが抱きしめる。

 

「お前たち……。2人とも、良く生きて戻った」

錆兎が生きてた時も、本当はすごく嬉しかったんですよね。やっと言ってやれた感じですか?

……素直じゃないんだから。

 

師弟3人で抱き合っている状況に俺は苦笑した。でも。

鱗滝さんのお面の下に光る涙を見て、俺も思わずほろりときてしまった。

「ただいま戻りました……」

何とか声を絞り出して、やっとのことでそれだけを言った。

これ以上何か言うと、目から鼻水が溢れてしまいそうだったので、俺は照れ笑いしながら、黙って選別合格の余韻に浸っていた。

 

鱗滝さん。

貴方に、戦う力を与えていただきました。生き残る術を教えていただきました。教えていただいた事を忘れず、これからも精進いたします。ありがとうございました。

 

 

俺が狭霧山で待っていると、風鈴の付いた編み笠を被り、ひょっとこのお面をつけた風変わりな男がやって来た。

「俺は鋼鐵塚という者だ。水原倫道の刀を打ち、持参した」

ようこそいらっしゃいました、鋼鐵塚さん。俺は原作で知ってるからそんなに驚かないけど、道中巡査に止められたりしなかったですか?その格好で。俺は愛想笑いをしながら家に迎え入れようとするが、

「これが日輪刀だ。俺が打った刀。日輪刀の原料は」

なかなか口上が止まらず、家に入って来ない。原作で知っているし、口上に付き合うのが面倒になった俺は、陽光山で採れる陽の光を吸収する鉄、猩々緋砂鉄と猩々緋鋼石から作られたのですね。と先回りして全部言い、強引に家の中に引き入れた。

囲炉裏端に落ち着くと、鋼鐵塚さんは

「お前のことは色々と聞いている。鱗滝の自慢の弟子だそうだな。これは良い色変わりが見られそうだ……。さあさあ、抜いてみな」

期待を込めて抜刀を促した。

俺は皆に注目されながら、そろそろと刀を水平に抜き放つ。シャリーン、という擬音が聞こえそうな程、見事な刃文が入った刀身だった。

 

切先を上に向けて柄を握り直し、陽にかざす。すると刀身が根本から変色していった。

「ほおお……。これは……」

鋼鐵塚さんが感嘆の声を漏らす。

「おお……」

俺自身もその見事さに感激して声が出てしまった。

南国の海の色のような、明るく鮮やかな青い刀身。

この瞬間、俺も”護りし者”となったのだと実感した。鋼鐵塚さん、こんな見事な刀をありがとうございました。そう言えば鋼鐵塚さんは、刀匠たちの長である鉄地河原鉄珍様の直弟子なのだ。偏屈だが腕は超一流、かっこいい。

 

礼を言って送り出す時、俺は鋼鐵塚さんを一人追いかけた。

「作って頂けたら、みたらし団子50本でいかがでしょう?」

そして、ある頼み事をする。

「50本!分かった、やっておこう」

鋼鐵塚さんはあっさりと了承してくれた。すみません、よろしくお願いします。

 

程無くして、しばらく見なかった鎹カラスがやって来て指令を伝えた。

「北西ノ町ヘ向カエ!」

それだけ言って飛び去ろうとするので、俺は分かった、と返事をしてから呼び止めた。

「ああ、あのさ、……カラス!」

「カラスッテ呼ブナ!何ダヨ、アタイハ忙シインダヨ!」

怒られたが、相棒なんだから名前つけようぜと提案してみた。もう名前あるのか?

「アタイハ、隆崇院月夜見命(リュウソウインツキヨミノミコト)ッテ名前ガアルンダヨ!」

すんごい大層な名前。でもなー。もっとかわいい名前にしようぜ。

「長い。マスカラスにしよう」

俺はごく当たり前のように、変な名前を付けてみた。

「何ダヨ、ソレ!」

「アメリカ(の近くの国)の言葉で、“天空の覇者”て意味なんだけど(うそだけど)」

「ソ、ソウカヨ。ナラソウ呼ビナ」

マスカラスはまんざらでもない様子で飛び去って行った。

これからよろしくな、マスカラス(笑)。

 

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