ほのぼの鬼殺隊生活(完結)   作:愛しのえりまき

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音式神 茜鷹、白練大猿、岩紅獅子、消炭鴉…仮面ライダー響鬼より一部設定お借りしました(オリジナル機能あり)



9話 猪は眠り善逸は恐れる

俺は任務をそこそこにこなしているが、隠の偽隊員“水谷”として隠密の救護活動も行っており、通常の任務は同期より少ない。死なずに5年間勤務しているが階級は丙、まあこんなもんだろう。

情報収集がマスカラスだけでは間に合わないと判断し、少し前から実家に保存してあった音式神を使うことにしていた。これ使うと、鬼(無惨とは別系統の鬼だ)になったりしないだろうか、修行しなくても使えるのかという心配もあったが、大丈夫なようだ。変身音叉などは必要なく、俺の音声や脳波認識でも作動する優れモノだ。茜鷹、白練大猿、岩紅獅子、消炭鴉を駆使し、鬼との戦闘が発生した場合、なるべく救護に行くようにした。

剣士と隠の両立は大変だが、指令も出てない、呼ばれてもいないのに毎回直接戦闘を手伝うのもなあ。俺はバトルジャンキーじゃないし、頭おかしいなどと思われるのも嫌だ。俺は、できればほのぼのと暮らしていたいのだ。状況が許さないけど。

応急処置を教える意味もあるが、通常任務、稽古の他に相変わらず隠に擬態して後方支援活動に参加している。

 

ある日実家に帰ると、マスカラスが目を三角にしている。何か怒ってる?

「リンドー、チョットソコニ座レ」

後ろには、式神たちがうなだれている。

「どうした?今帰ったばかりだから休憩を」

俺は言いかけるが、

「イイカラ座レ」

俺はしぶしぶ正座する。はい、なんでしょうか。何を怒っていらっしゃるのですか?

「何ダ、コイツラハ」

マスカラスが式神たちをクチバシで示しながら言う。

あ、あの、それは音式神と言いまして、偵察とか伝令などにも……。

「アタイノ役目ダロ!」

ええ、嫉妬?

「いや情報収集大変じゃない?これから危険なこともあるかもしれないし、マスカラスの負担軽減を考えてのことなんだけど」

事実連日連夜飛び回ってもらってるし。

「かしらとして、この子たちを統率してくれると良いな、かしらとして」

好きそうな言葉で機嫌を取ってみる。かしら、というのが効いたのか、三角目が元に戻り、

「分カッタヨ。アタイニ任セトキナ!オマエハアタイガイナイト、何ニモデキネーナ!」

かしら、とか、あたまと言う単語には弱いらしい。次は総長、と言ってみようかな。機嫌治ったか、良かった。単純……いや素直で助かる。

 

だけどお前の安全を考えてのことというのは本当なんだ。この子たちが出てくる原作の設定と違って直接戦闘はできないけど、その代わりに原作にないオリジナルの機能が付いてるんだからな。

 

ある日マスカラスが飛んで来て、いつものように指令を伝える。

「ココカラ南南東!鬼ガ隠レ住ム屋敷ヘ、癸ノ隊士3名ガ向カッタ。ボーットシテナイデ、オマエモ行ケ!」

口悪いなあ。時期的にそろそろ鼓の屋敷だな。彼らを助けに行きますか。

山間の、ポツンと一軒家みたいな感じでその家はあった。剣戟の音がする。濃厚な血の匂いも。屋敷の外で倒れている男性に駆け寄るが、既に亡くなっていた。

正一君たちも屋敷に入っており、善逸君と伊之助君の無駄な争いを避けるため、ポツンと置かれていた禰豆子ちゃんの箱を背負って屋敷に突入した。善逸君の覚醒を邪魔しないよう慎重に進み、運良く響凱と炭治郎君の戦闘中の部屋にたどり着いた。

 

 

 

鼓の音が響き渡ると、部屋が回転したり、部屋の配置が変わったりする。この屋敷の主、響凱の血鬼術であり、響凱は元は十二鬼月に数えられた強敵だ。響凱と対峙している炭治郎は、だんだんとその法則性に気付いた。しかし、まだ以前の傷が治っておらず、痛みに堪えながら戦うため、思い切った攻撃が繰り出せないでいた。そこに、倫道が現れて炭治郎をアシストする。

「大丈夫か、炭治郎君!」

倫道は部屋の回転に合わせて飛び回り、鬼の遠隔斬撃も難なく躱し、響凱に肉薄している。さらに連撃で後退させ、後ろ回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばすと、丁度炭治郎の間合いに入った。

「斬れ!止めだ!」

倫道の声が響く。

「響凱!君の血鬼術は凄かった!」

炭治郎は叫びながら、必殺の技を繰り出す。

「水の呼吸 玖ノ型・水流飛沫、乱!」

 

 

 

勝った。炭治郎君も順調に強くなっているな。また逞しくなってるじゃないか。

頸だけの響凱が俺たちに話しかけて来る。

「小僧ども……小生の血鬼術は凄いか……?」

俺たちは静かに頷く。今炭治郎君は、響凱の過去のエピソードが脳内再生されているところなので終わるまでちょっと待とう。珠世さんの使い猫・茶々丸がやって来てウロウロしているので、しゃがみ込んで呼んでみた。初めましてだね、茶々丸君。

え?お前見えるの?みたいな顔をしたが、人懐こく寄って来たのでなでなでしていると、エピソードの再生が終わった炭治郎君が話しかけてきた。

「お久しぶりです、倫道さん。ありがとうございました。何だかかわいそうな人でしたね」

俺はしゃがみ込んだまま、涙を流しながら消えて行く響凱を炭治郎君と共に見ていた。

成仏して下さい。

そして俺も、彼のために手を合わせ祈った。ん、何か異音がするような?

あれ、何の音?パリ、パリ、て。

――茶々丸。懐いてくれるのは良いのだが、俺の羽織で爪研ぐな。

 

屋敷から出ると、既に善逸君と正一君が出て来ていた。俺と善逸君はお互いに名乗り、挨拶を交わしていると、伊之助君がドカン、と扉を蹴破って飛び出してきた。炭治郎君を見つけると、

「てめえ、俺を投げ飛ばした奴だな!勝負しろ!」

と飛び掛かって来る。

炭治郎君は確か足を骨折していたはずなので、ここは無理させないようにしないとな。

「君、体力余ってるのか。俺が相手しようか?」

俺がそう声をかけると、

「何だ?てめえ。まあいい、勝負しろ!」

戦い足りないと見えて、元気いっぱいに刀を構える伊之助君。

 

猪の被り物をした男が、刃物を持って襲って来る。しかも上半身裸で。しかもムキムキ。原作を知ってるから、中身は美少年ですごくいいヤツなのも分かってるんだけど、この状況では異常者にしか見えない。警察が出動する事案だよね。

では、怪我の無いよう、穏便に片を付けますか。

「言っとくが、俺の刀は痛いぜ。この刃を見ろよ、千切り裂くような切れ味が自慢……」

「リンドー!腹減ッタ!今日ノ晩飯ナニ?」

伊之助君のカッコいいセリフの途中で、腹減ったから早く帰ろうとマスカラスが割り込んでくる。お前な、今いいとこなんだから邪魔するなよ。

「今日は猪鍋でも食うか?」

俺は木の上に向かって大声で言い返す。

「てめえっ!聞き流してんじゃねえよ!」

これを聞いた伊之助君激怒。

ごめんごめん。じゃ始めようか。

 

 

 

 

伊之助の鋭い攻撃が迫るが、倫道にはあっさりと避けられる。攻撃が全て躱され、刀に手をかけてすらいない倫道の様子に伊之助はいら立ち、

「そうかよ、そういうことかよ。そんならこっちも素手で行ってやるぜ!」

刀を投げ捨て、今度は素手で挑みかかった。しかし何度も投げ飛ばされ、逆上して掴みかかると今度は肘、肩、頸と関節を次々に極められ、さすがの伊之助も息を荒くしている。

(何この人、怖い……。戦ってる時も、呼吸や血の巡る音が全然変わらない)

この様子を見た善逸は、倫道を密かに恐れていた。

「君っ、もう止めろ!少し頭を冷やせ!倫道さんも、隊員同士の争いは御法度ですよ!」

炭治郎が両者に声をかけるが、伊之助は肩で息をしながら、止める気配が無い。

(ただのスパーリングだから大丈夫。怪我もさせないから)

倫道も意に介さない。

 

「お前っ……、なかなか、つえーじぇねえか。……俺の名前を教えてやる。俺は山の王、嘴平伊之助だ。憶えておけ!」

伊之助はゼエゼエと息を荒らげながら、それでも闘志を失わず、渾身の蹴りを放った。

だが倫道の下段払いの受け技に蹴り足が一瞬しびれ、いつの間にか背後を取られていた。ぎちりと頸に食い込む倫道の腕に、バタバタ暴れていた伊之助だったが、

「ぐげっ!……てめっ、はな……せぇ……」

動かなくなり、ずるりと猪頭の被り物が落ちた。失神してぐったりした伊之助を見て、

「ひいいっ!死んだ?死んだの?死んでないよね?」

善逸は慌て、

「だ、大丈夫、ですよね?」

炭治郎も心配そうに聞いて来た。

「大丈夫、締め落としただけだよ」

倫道は爽やかに笑った。

(ああ笑ってるよ、嫌だなあ……。鬼殺隊ってこんな人ばっかりなのかなあ……)

善逸は憂鬱になっていた。

 

 

 

「おいっ!てめえ!勝負しろお!」

伊之助君、お早いお目覚めで。わりとすぐに目を醒ました伊之助君が起きるなり挑みかかろうとするが、俺がにやにやしながら頸を締める動作をすると、伊之助君はぐっ、と動きを止めた。ふふふ、ずいぶん大人しくなったね。

「てめえ、次は見てろよ」

悔しそうな顔で俺を睨みつける。実力差を認めつつもまだやる気は十分であった。

だけど俺、これでも鍛えてますから。そんな簡単にはリベンジできないけどな。だけどまあ、それでこそ伊之助君だ。励めよ少年。

炭治郎君のカラス、松衛門がやって来て、怪我の治療と体力の回復のため藤の家紋の家に向かって発つように3人を促した。

「伊之助君、炭治郎君と善逸君は怪我をしてるんだ。君が少し面倒を見てやってくれ」

俺はそう頼んだ。

「何でこの俺様がこいつらの面倒見るんだよ!!」

伊之助君が俺に食ってかかる。

「そうか、強い者は弱い者を労ってあげるのが当然なんだが……。俺の見込み違いだったようだ。君はそこまで強くはないってことか。さっきも俺に絞め落とされてころっとのびてたしな。まあ強くないならしょうがない、強くないなら。……さあ行こうか、2人とも」

俺は大袈裟に、いやー残念だなあ、とわざとでかい声で呟きながら、炭治郎君に肩を貸しながら歩き始める。

ぶちっ。

何かが切れる分かりやすい効果音。

「はああ?!できるっつーの!いくらでもやってやるよ!」

伊之助君は猪頭の鼻から蒸気を噴き出し、俺から炭治郎君をひったくると歩き始めた。

君も単純……いや素直で何よりだ。

 

「ちゃんと労ってあげるんだよ」

俺は伊之助君に声をかけ、帰ろうとした。

「うるせえ!覚えてろよ!」

伊之助君は怒鳴り声で返し、

「えっ?一緒に来てくれないの?いやー死ぬわー!次で死ぬわー俺!」

善逸君は俺が一緒に行かないと分かると、ひっくり返って汚い高音で叫び始める。もうカオスな状況だったが、

「うるせえ!行くぞお前ら!」

善逸君は伊之助君に首根っこを捕まえられ、カラスに導かれるまま去って行った。頑張れよ少年たち。あと同期なんだから仲良くね。3人を見送り、俺はまた次の任務へと向かった。




かまぼこ隊登場です。あんまり活躍させてあげられなくてごめん。
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