世界にポケモンが現れてから100年の歳月が経った。
今ではよき隣人、よき仲間のようなポケモンたちだが、かつては未確認生物が大量発生したと大混乱に陥ったらしい。
原因究明のために多くの人が研究を重ねたが、さっぱりわからないまま新しい日常として溶け込んでいった。
生態系について多くの調査結果が世界的にシェアされるまでは、どうやら機密がどうたらで遅れたようだが、知っての通り、今や検索すれば大抵のことは分かるようになった。
いわば新しく作られた現代概念の中でオレたちは生きている。
ところで。
話は変わるが、ポケモンという言葉が使われるようになったのはここ最近、といってもここ2、3年のことだ。
どこの誰がどんな発想で思い至ったのか。
おおよそ正気とは思えない、ポケモンという言葉を生み出す一つのボールを開発した。
それがモンスターボール。
当時、アンノウンと呼ばれていたポケモンに備わった変質の力を利用してポール内に収容するというものだった。
ちょうどポケットに入るサイズになるということから、モンスターボールに因んで、『ポケモン』という名が広まった。
アンノーンというポケモンとの区別ができているということから人々にすんなりと受け入れられる。
動物愛護団体の過激派はポケモンに対する差別だと非難したが、ボール内の空間は快適なもので、個室が与えられたようなものだと検証結果が出ていたためにすぐにその声は取り下げられた。
実際、今まで住む場所に困っていた大型や重量的なポケモンたちはいて、少しでも解決の道が示されたのだから否定されるものではないという世論での結論が出た。
だが、このモンスターボールには欠点があった。
文脈から察している人もいるかもしれないが、オーバーテクノロジーの詰まった精密機械は量産化する体制が整っていなかった。
技術は、一つ前例が生まれたらそれは可能となるが、残念ながら、ボールを構成する特殊な素材が足りていなかったようだ。
はじめてモンスターボールを開発した巨匠ガンテツと、設計企画者ゼロが発表し、生産されたボールは全部で24種類。
1モンスターボール
2スーパーボール
3ハイパーボール
4サファリボール
5パークボール
6コンペボール
7ルアーボール
8ムーンボール
9ヘビーボール
10レベルボール
11スピードボール
12ラブラブボール
13フレンドボール
14ネットボール
15ダイブボール
16ネストボール
17タイマーボール
18リピートボール
19プレミアボール
20ゴージャスボール
21ヒールボール
22ダークボール
23クイックボール
24ドリームボール
ただデザインが変わっただけのようだが、どうやらボールごとにコンセプトが異なっているらしい。
中には本当にボールのデザインが変わっているだけで性能の変化がないものもあるらしいけど、いずれもボールとしての機能が保証されたものなのは確からしい。
ゼロのパートナーのポケモンが既に実証済みだとかで巨匠ガンテツが保証していた。
このモンスターボールは一つにつきおよそ10億単位の値段がつけられて取引され、各国でボールの分析、量産化の体制を作ったが、ゼロの設計書が未公表のため、ボールに使われている未知の素材がなんなのか突き止められなかったようだ。
ゼロは姿を眩まし、巨匠ガンテツもその素材がなんなのか知らないみたいで、もはやそのボールだけがポケモンを迎えることのできるものになった。
だから国宝並みに丁重な管理がされるも、翌年、モンスターボールの大量生産ができるようになった。
功績者は巨匠ガンテツ。
ガンテツ自身が生み出した24種のボール――オリジンボールに使われたナゾの素材を使わずに、とあるきのみを使ってその機能だけを劣化模倣したのだ。
かくして、オリジンボールの作られた翌年、300のモンスターボールが作られた。
これにより巨匠ガンテツはボール職人の第一人者として世界に名を轟かせ、オリジンボールの収益で立ち上げた企業は瞬く間にボール製造の主権者として君臨することになる。
オリジンボールより廉価に取引されたモンスターボールは供給の増加によって今ではようやく一般家庭に手が届きそうになっている。
ボールの登場により設立されたポケモンスクールのクラスに2、3人は既にボールを持っているだろう。これからは危険指定されていたポケモンを捕獲するために利用されたり冒険のお供として活躍するはずだ。
今までは小型ポケモンだけが一緒に生活していた日常に、大型、重量的なポケモンが加わる日もそう遠くはないだろう。
また、巨匠ガンテツはポケモン協会を設立して、その余りある財産を公的利用ができるポケモンセンターやバトルフィールドの提供に注いでいる。
さて、前口上はこれくらいにしておこうか。
ポケモンの歴史を振り返ったところで、ゼロとは何者か、そのパートナーとは、巨匠ガンテツの素晴らしさなど多くの疑問、感想を抱いたことだろう。
だが、それは置いておき、一つの重大発表がある。
長年待ち侘びた人もいるだろう。
何よりオレが望んでいる!
この度、ポケモン協会がリーグ委員会を設立。
各地方にリーグ戦が行える競技場の設立と、8つのジムを設置することが決定した。
この8つのジムを制覇した人間には2年間の地方リーグへの参加資格が与えられ、さらに、4年に一度、地方リーグ上位三名にチャンピオンリーグへの挑戦権が与えられる!
というわけで!
ポケモンバトルトーナメントの開幕だ!
£
「おーい! ヒナター!」
「はわっ……もう! エイミー、心臓に悪いからいきなり飛びつかないでって言ってるのに……」
「ごめんて。それより、例の動画見た? ヒナタのお兄さんのやつ」
ヒナタに飛びかかった少女、エイミーは後ろから抱きつきながら、スマホの画面をずいっと見せつける。
「ポケモンバトルのやつだよね? 最近、兄さんがソワソワしてゴウカザルと特訓してた理由がようやく分かったよ」
「なにそれ詳しく……って言いたいとこだけど違うって。
ほら、この動画の最後の概要欄!」
器用に片手でヒナタをハグしながら、もう片手で画面をズームして見せる。
「ポケモンスクール課程修了者にはモンスターボール6個の無料提供をさせて戴きます……って、ええ!?」
「そう! だから行こうヒナタ!
――私たちもトレーナーになるために!」
ヒナタは目の前で見つめてくる幼馴染の言葉をしばらくの間反芻して、ようやく飲み込んだのだった。
主人公未登場。
登場人物
ゼロ 未
ガンテツ 未
ヒナタ 日向 未
エイミー 影美 未
ヒナタ兄 晴樹 ゴウカザル 未
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