「――それにしてもなんで島だったの?」
少年は母へと問いかける。
「別に、田舎の別荘でも、なんなら山奥だって良かったはずなのに」
「天才なのにバカね。まさかお母さんが気づいていないとでも思っていたの?」
え、と少年は戸惑いを覚えた。
気づいていないとでも。
なんのことだろう。思い当たる節が多すぎた。
学校の帰りに寄り道をしていること?
おこづかいをもらったそばから全部使っていること?
それとも、お母さんのご飯よりお父さんのご飯のほうがおいしいと思っていることがバレたのだろうか。
ポケモンについては博識で頭のいい少年も、年相応に不吉な予感をする。
「もしかして僕、ここに捨てられるの……?」
とんだ勘違いだった。
「ええっ!? ないない絶対ない! そんな心配しなくていいから。何度も言ってるから卒業祝い。この島はただのプレゼントだからそんな顔しないで!?」
慌てて母は息子を抱きしめ――というかひしっ、と抱きついた。
少年は窒息しそうな拘束から顔だけ抜き出し、プハッと息を吸う。
母はそんな締め付ける攻撃を自覚しないまま、少年の肩を持って目線を合わせる。
「そうじゃなくて、クロ、あなた部屋にポケモンがいるでしょ?」
「ーーっ」
「ああ、勘違いしないでね? 怒っているわけじゃないのよ? クロが自分のお小遣いでその子の面倒を見ていることも知ってる。無責任にお世話しているわけじゃないんでしょ?」
図星だった。
少年――クロはポケモンと同じ部屋で過ごしている。
子供ながらに、怒られると思って隠し通せたつもりだった。だが、親に隠し事がバレていることを知って動揺を隠せない。
「あ、あの、その……」
「いいの。お母さんも小さい頃クサイハナを部屋に連れ込んで「アカリぃ!」ってお説教されたことあるし。それと比べれば全然よ」
「く、クサイハナを?」
クロは我が母、アカリの非常識さを疑った。
クサイハナといえば二キロ先まで悪臭が届き気絶してしまうと有名だ。多少誇張されていると思うが、一度スクールで臭気サンプルを嗅いで吐きかけたことがある。
だとすればアカリはどうやって同じ部屋で生活をしようと思ったのだろうか。
というか祖父母の気苦労が浮かばれる。
「とにかく、お母さんも同じだったからさ。お母さんの場合は結局お別れしちゃったけど、クロにはそんな思いしてほしくないから。だからその子も、これからクロの友達になる子も、みんな呼んでここで楽しく遊んでくれたらいいのよ」
「……お母さん」
まさかそんな理由が。
だが、島にした理由が明らかになっていないのは気のせいだろうか。
とりあえずアカリがいい笑顔だったのでクロは空気を読む。
「ありがとう! お母さん大好き!」
アカリはクロを締め付けた。
大工のケンジを島に残して、アカリとクロの親子は我が家へと戻ってきた。
ラプラスでのなみのりで島へ向かったのは、ケーシィのテレポートは、対象の行ったことのある場所の記憶を読み取って行われるからだ。
一度訪れてしまえば、ワープ床なしで今後テレポートでの移動ができるようになる。
というわけで手っ取り早く帰宅したところで、クロの部屋にいるポケモンとアカリは挨拶をすることにしたのだ。
階段を登るクロの後ろを微笑みながらついていくアカリ。
「ところでクロのお友達はどんな子なの?」
我が子のはしゃぎように、巨額のお金を払って島を買った自分を褒め称えた。
そんな喜びをなんとか隠し通したアカリの問いに、クロは笑顔で答える。
「うん、ーーみんなカッコいいんだよ!」
「…………え?」
アカリはクロの奇想天外さに言葉を見失った。
£
「ん? ガンテツさんのとこのやつ? ありがとうデリバード」
少年は配達してきた手紙を受け取り封を開ける。
上から下へ目を通して、口元に笑みを含ませた。
そして背後へ振り向きながら話しかける。
「へー、すごいよミー。
僕、ジムリーダーに選ばれるかも……て、あれ? どこ行ったんだろ」
首を振る少年の背後で、水色の身体が宙を舞った。
これにて孤島終了。
次回からジムリーダー編です。
登場人物
主人公 クロ 黒 未
母 アカリ 朱莉 ラプラス パチリス キレイハナ 未
ちなみに作者はダイパキッズです。
ひたすら弟や友達とフラッグを取り合いしてました。
あの頃は物理も特殊もよく分かってなくて、個体値すら関係なし。
ゆめくいバタフライ、だいばくはつドータくん、メタルクローDアルガ、かえんぐるまの豪華サル、スカイジェイミー、伝説技創造神ア ル セ ウ スの6体でよくバトってました。
今思えば無謀でいて輝かしい青春でした。
(どうでもいいので)多数決 ゼロの正体は? 十票到達の案になります
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イキリ転生者←濃厚
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Nさんみたいなオリキャラ←0だし
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ただのシトロン←サイエンスだし(適当)
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ア ル セ ウ ス