あくを貫け   作:@silky

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第1話 進化の迷い

 ──あなたにとってポケモンとはなんですか? 

 

 かけがえのない仲間で、友達で、家族です。

 

 ──何タイプのポケモンが好きですか? 

 

 今の季節だと氷タイプ。特に抱き心地が良い感じなんで。

 

 ──自分をポケモンで例えるなら? 

 

 イーブイですかね。いまの自分には色んな可能性があると信じてますから。

 

 ──最後に一言。意気込みをお願いします。

 

 

 悪を貫きます。

 

 

 

 

 

 第一話

 # イーブイ #進化 #迷い

 

 季節は二度めぐる。

 クロが母より最果ての孤島をプレゼントされてから二年が経っていた。

 建築の匠に引き渡されたポケモンハウスは見事にシンボールマークとなっている。他にも島のあちこちで開発は行われ、父と母の悪ノリもあって見事なポケリゾートとして生まれ変わりつつあった。

 

 そんな最果ての孤島の、洞窟エリアにクロはいた。

 

 夏の暑さから逃げるのに最適な環境に身を休め、肩には白いイーブイを乗せて図鑑を眺めている。

 

「シロウはどんな風になりたいの? ブースター、シャワーズ、サンダース。あと、リーフィアに、グレイシア。ブラッキーとかエーフィ、ニンフィアについても進化情報が出されてるんだって」

 

 その図鑑はポケモン研究所が報告結果を確認して集荷した有名な資料だった。名付けて、ポケモン大図鑑。まんま、その名の通りの大図鑑だ。

 

 世界一分岐進化先が多いポケモンとして有名なイーブイだが、その進化先のコラムには、情報提供がモンスターボールを生み出したことでかの有名なゼロだと特集されていて、ますますわからない人だとクロは表す言葉が分からず笑うしかなかった。

 

 ともあれ、そんな特集コラムはどうでもよく、クロにとって大事なのは、今も真剣に図鑑に目を向けるイーブイだ。

 

 このイーブイは、いわば、クロのはじめての友達だった。

 

 初めて出会ったのは、家の近くの公園だった。

 雨の日のおつかいで、気がついたらクロの後ろをてくてくと雨に打たれながらついてきていた。

 はじめは犬かポケモンかも見分けがつかなかったが、その弱りきった様子にクロは放っておけず気がつけば傘を差し出してしゃがみ込んでいた。

 

「僕の家においで」

 

 クロとイーブイはお互いに目を合わせる。

 しばらくしてからイーブイから歩み寄って、クロの部屋に住み着くことになった。

 

 親に内緒で過ごすうちに、クロとイーブイの間には確かな絆が芽生えていた。食事はパチリス用のポケモンフードを猫ババして、時にはお小遣いを注ぎ込んでトリミングしたり、親の目を盗んで一緒に風呂に入ったり。

 イーブイはその後真っ白な毛からシロウとあだ名が付けられた。

 実は、鈍感な父はともかく、母には早い段階で勘づかれていたのだが、そんなことを知らないクロとシロウは呑気に曲芸の練習をしたりして日常を過ごしていた。

 

 それから同居人が増えるのもあっという間だった。

 

 最終的に、クロの部屋で4匹も居候することになったが、始まりのポケモンはとなれば間違いなくシロウで、一番長い時間を共に過ごしている。

 もはや友達を通り越して家族のような立ち位置にいて、そしてそれは、いま、最果ての孤島で過ごすポケモン全てに言えることだが、相棒として考えられるポケモンはシロウだけだった。

 

 そんな大事な友達の、真剣な願い。

 それは、進化への強い憧れだった。

 

 このポケリゾートでクロとポケモンたちが過ごすようになってひと月ほどした時のことだ。

 シロウと仲の良かったポチエナのポチが最初に進化の輝きに包まれた。

 それも、シロウとじゃれあいのようにバトルしている最中だったので、誰よりも目の前で、強烈な光に目を奪われた。

 

 同じだけの背丈だった友達が、ひとまわり大きくなって、さらに強くなった。

 レベルの概念では考えられない成長でそれ以降もポチとは仲良くしていたがバトルをしても一方的になるばかりで、いつしかバトルをしなくなっていた。

 その時はまだ、それでも良かったのだろう。

 だが、ほかのポケモンたちが次々と進化の輝きに包まれて強くなっていくのを見届け続けたシロウは、いつしかクロに対して強く進化を訴えかけていた。

 

 シロウの進化条件が全く分からなかったクロは悩み続けることになるが、母を頼れば一発で情報が手に入った。すぐに大図鑑が手配されて、クロの手元へ今朝方届けられたのだ。

 

「うちにはあくタイプの子が多いからエーフィはちょっと居心地悪いかもね。逆にニンフィアだったらドラゴン連中にだってつよくでたりできるよ。って、動機が不純だけど」

 

「ブイぃ……」

 

「まぁ、すぐには決められないよね」

 

 悩ましげに唸るシロウの横顔を覗き込む。その視線はずっと図鑑に縫い付けられたままで、よっぽど悩んでいるんだろうと微笑ましく思う。

 

 進化先の分岐は珍しく、それもイーブイほど選べる立場となればもっと珍しいはずだ。その選択肢さえ、条件を知れるようになった今、戻ることのできない重要な選択として頭を悩ませる要因となる。

 

「とりあえず、いつでも進化できる準備はしてあるからさ。今はゆっくり時間をかけて悩めば良いよ」

 

「ブイっ」

 

「そろそろお昼の時間だし、もどろっか。ほら、ボスもちょうど呼びにきたみたいだし」

 

「ブイブイっ、ブイ!」

 

 

 シロウが肩から降りて赤紫のドンカラスが待つ場所まで走っていく。

 かつては家の近所のゴミ漁りをしていたヤミカラスのリーダーだったボスはクロが仲間ともどもこの島へ招待して、いまでは島の連絡係を任されていた。

 

 

「おつかれ、ボス。きのみの収穫はどうだった?」

 

「……」

 

 ボスは無言で頷く。

 

「そっかなら良か、って最後お礼くらい言わせてくれても良かったのに」

 

 早とちりなんだよなー、とドンカラスの背中を見送っていると、その背からひょこっと白い頭が顔を出した。なんなら手を振っている。

 

「えっ」

 

 クロは慌てて周囲を見る。

 シロウはいつの間にかいなくなっていた。

 というか、クロを置いて先にボスと一緒にポケモンハウスへと戻るみたいだ。

 

「はは、何という薄情者」

 

 クロは仕方がないとため息を吐き、同じ方向へ向かって駆け足で戻っていった。




イーブイ
あだ名、シロウ。ノーマルタイプ。

グラエナ
あだ名、ポチ。あくタイプ。

ドンカラス
あだ名、ボス。あく・ひこうタイプ。

※最果てのポケリゾートにはあくタイプ以外のポケモンも存在しています。


前回アンケート、ゼロの正体がめでたく判明しました。
てことでアルセウス説、ネタだったのに確定してしまったことに困惑しています。
イキリ転生者っぽいムーブしてるってことで、それが可能な人材とはと考えて出たのが、Nさんっぽい人とシトロン笑でした。あとそのままイキリ転生者。
一応、この三択の中で選ばれた場合のルート分岐も考えてたけど、まさか予測していなかったアルセウスが来るとは……創造神ア ル セ ウ ス使いの作者の目をもってしても予測できませんでした。

ちなみに考えていたネタを供養します。
イキリ転生者ルート
相棒、ロトム。ポケモンがいるのに満足にポケモンバトルできねぇ!的なノリで街で一番有名な工芸職人岩崎哲夫(ガンテツ)に試作品を持ってきたという設定。最後、主人公とバトルして完。

シトロンルート
相棒、レントラー。開発は日常茶飯事。なんかボール作ったら上手くできたけど、最後の仕上げにガンテツの職人としての腕を見込んで頼んだ設定。途中、主人公とジムリーダー対決してサブキャラに。

Nっぽい人ルート
相棒、ミュウツー。ポケモンはすべて管理されないといけないと思っている人。あの絶望のミュウツーボールで全回収しやすくするためにボールの開発を成し遂げた気狂い。最後、主人公と対決して完。

アルセウスルート←これから入るのでネタバレ禁止でお楽しみください。相棒ポケモンと物語への関わり方もほかルートと同じく即興で仕上げましたので、完なあらすじ有りです。

ポケモンバトルについて これだと思う解釈は?

  • キャパシティが上限4。ゲームだと忘れる
  • 技とはただのスキル。いくらでも使える
  • いろいろ覚えるけど、バトルでは制限される
  • ア ル セ ウ ス(わ か ら な い)
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