──同じく最年少を冠するあくのジムリーダー、クロ選手についてどんな印象を持っていますか?
「とても強い人だと。ポケモンとの絆の強さがよく見える人ですよね」
──バトルシップ公式記録無敗でトップランカーに名を連ねたことで世間ではクロ選手の対抗馬として注目を集めています。自信の程は?
「えっと……コメントしづらいですね。どんな試合にも負けるつもりで挑む気はありません」
──自身が最年少出場選手であることについての思いは?
「ほんの一年前まではここに立てるとは思わなかったです。とにかく
──最後に一言、クロ選手に対してコメントを。
「なんでずっとクロくんが出てくるの!?」
──ありがとうございました。
第2話 #ポケモンセンター #出会い #バトルシップ
まだ日も高く、夏場の空が近いと汗も滲み出す。
飛行で受ける風も生暖かいので今では『まもる』を使いながら、時々降りては羽を休めることを繰り返していた。
そんな飛行をして島を発ってから3時間したくらいか。
たまには気分を変えて空から行こうなんてことを考えた過去の自分を呪った黒髪の少年は下に赤い屋根を見つけた。
「ボス、あそこのポケモンセンターに降りて」
「……」
コクリとだけ頷いたドンカラスは背に乗る黒髪の少年の指示に従って降下を始めた。
風を切り、飛行専用の停留所とされている赤い平屋根へ向かって加速をする。衝突間際に一度だけ羽ばたいて、それだけの動きで落下エネルギーを殺す空飛びの高等テクニックである。
着地を確認した少年、クロはドンカラスの背から下りると「んーッ」と背伸びをした。
「ありがとう、ボス。部屋取るまでは休んでて」
腰のベルトに掛けていたモンスターボールにドンカラスを戻し、屋上の階段から中へと降りていく。
「ようこそ、ポケモンセンターへ!」
長い階段を降り切った一階フロア。
クロが姿を見せたとき、白衣の少女が元気よく出迎えた。
あまりにもイメージから外れる姿──というのも容姿が若すぎた──を見て、クロは失礼と思いながらも質問を投げつける。
「ジョーイさんですか?」
「いいえ、違います!」
違うんかい。
服の着こなしが、着られているコスプレ感がひしひしとしていたのでクロは尋ねたが、間違えではなかったようだ。
素通りしようかとも思うが、わざわざ出迎えられるなんて、何かしらの用事があるのだろう。
あとはチェックインして部屋でキュウコンの冷気を堪能するくらいしか予定はなかったので、エアコンですずめるこのフロアなら別に時間を取られるのも惜しくはなかった。
「じゃあなんでコスプレしてるの」
「やだなぁ、コスプレじゃなくてバイトですよ」
「なんのバイト?」
「ここでひたすら笑顔でお出迎えするバイトです!」
特に用事はなかったようだ。
「あっ、待って!? 物静かな笑顔で何もなかったかのようにしないで、逃げるみたいに立ち去らないでぇ!?」
にっこり笑ってそっぽを向こうとしたクロの前に白衣の少女がとおせんぼする。
床を滑り止まるまでの一連の身のこなしは軽やかでいて猫のように素早かった。
「えっと、何も用はないんですよね?」
逃がす気のない爛々とした目を見てクロは諦めた。
対する白衣の少女は表情に花を咲かせたように笑顔で、二人の構図は対照的だった。
「用はないんだけど暇なんですよ。ここに来る人はみんな地元とかでこの階段使う人いないし、ただぼーっとするだけなのは疲れたんです!」
「知らないよ」
「あ、もしかして急ぎの用事とかありましたか? だったら仕方ないですけど……」
「特にないけど」
「なら、少しだけお話ししましょう! 大丈夫です、ポケモンセンターについて初心者さんに説明していたテイにしますから」
「堂々ということじゃないよね。なんなら入り口のバイトらしき子も受付に立ってるジョーイさんもこっち見て笑ってるんだけど」
「気のせいですね」
「思いっきり見られてるけど。……まぁ、君がいいなら別にいいんだけどさ」
クロは白衣の少女に背を押され、近くのテーブル席に腰掛ける。対面に白衣の少女が座ると、一枚のパンフレットをクロに差し出された。
「ちなみにサボる云々は嘘ね」
「嘘かい」
「で、本命がこっちなわけ」
クロはパンフレットに目を通した。
白衣の少女は読み終えるのも待ちきれず、パンフレットを取り上げ、バンッと机に叩きつけた。
「ポケモンバトルシップ!」
「……バトルするのはなんとなくわかるけど、詳細は?」
クロはもう一度パンフレットを手元に戻すのも面倒になり、口頭で尋ねる。
白衣の少女はニヤリと笑って、説明し始めた。
「えっと、あなたリーグ委員会の発表は知ってるわよね?」
「クロでいいよ」
「ありがと。私のこともお嬢様でいいわよ」
ボケなのだろう。
あえて呼んでやろうとクロは心に誓った。
「それで?」
「スクール課程終了者に、モンスターボールが贈呈されるって話も知ってるでしょ?
ということは、これから日本中でポケモントレーナーが倍以上に増えて、バトルする機会も大きく増えるはずなの。
でも、今まで通りの規模の大会だけじゃ飽和しちゃうのは目に見えてる。
そこで、協会が企画したのがバトルシップていうわけ」
「小規模の大会ってこと?」
「ノンノン。むしろ、大きすぎる大会よ。バトルシップはトレーナーのランク付けをすることになるものなの」
バトルシップ、トレーナーのランク。
「えっと、リーグが勝ち抜きならバトルシップは総当たりってこと?」
「総当たりではないけど概ねそんな感じね。飲み込みが早くて助かるわ。とにかく、一発勝負じゃない経験値が必要になってくるの」
白衣の少女はラッキーが給仕してきたお茶を「ありがとう」と言って受け取り優雅に飲み始めた。
クロもラッキーに礼を述べて、ティーカップを傾ける。
しばしの空白の時間を挟んでいると、玄関口に立っていたもう一人の白衣のバイト少女が近寄ってきた。
白衣の少女(お嬢様)は悪戯を思いついたような顔で、ティーカップを置いて、両手をパンッと音を鳴らして合掌した。
「さて、というわけでバトルを始めましょう。
使用ポケモンは2体。先にどちらかのポケモンが2体戦闘不能になったとき敗北。交代は自由。シンプルイズベストね。
司会解説は私、木蔭《こかげ》エイミがお送りします……ってなわけで、
──クロ、ヒナタと練習試合してくれない?」
このとき、クロと、たった今から会話に混ざろうとしていたもう一人の少女ヒナタは息のあった「え?」を口から零した。
・ヒナタとエイミーはバイト中ではありません。エイミーの姉が女医で、バイト感覚でコスプレしているだけです。ちなみに、飛行者用の階段で出待ちしていたのは、ある程度の実力があることを含んでいます。
バトルシップ(ランクマ)公式ルールは3体ですが、2体なのはヒナタの手持ちの数を踏まえた結果です。
次回「VSヒナタ」
「あらすじのどくタイプを勝手ながら削除させていただきました。
楽しみにしてくれていた方に、お詫びいたします。
ところで、ジムリーダー編とか言っておきながらこうして寄り道しているのであと2、3話かかりそうですがご了承ください。
※この後書きは後日削除される予定です。」
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