if後日談   作:おたふみ

2 / 4
綾波レイも書いてみたくなりました。


レイ編

ホームの向こう側。あの人を初めて見つけた日から、私はおかしくなった。

 

突然、記憶の中に行ったこともない中学校、着たこともない制服姿の私。目の前で赤い髪止めをした女の子が男の子を言い負かしている。女の子は、同じホームで時々見かけるブロンドヘアーの女性だと思う。男の子はホームの向こう側の人。なんだろう、この記憶は…。

それに、女性と話をしている彼を見るとモヤモヤする。何なんだろ、あの眼鏡の女性は…。ずいぶんと親しそうだけど。

 

「綾波さん、どうしたんだい?ぼんやりして」

 

「ううん、なんでもない。ごめんなさい、渚君」

 

一緒に居た同僚の渚君に心配されてしまった。

 

「向こうのホームを見ていたようだけど」

 

渚君も向こう側のホームを見て固まった。

 

「渚君?」

 

「いや、なんでもない。なにか既視感のようなものを感じたから」

 

渚君も何か感じたようだ。

 

 

 

その日を境に、色んな記憶が出てくる。

 

指をケガして包帯を巻いているときは、包帯でぐるぐる巻きになった私を抱き抱える彼との記憶。

 

シャワーを浴びて下着をつけてる時には、無機質な部屋で彼に裸を見られる記憶。

 

ラーメンを食べている時は、楽しそうな仲間たちと屋台でラーメンを食べる記憶。

 

農作業を見た時は、自分が田植えをしている記憶。

 

体験したことのない記憶…。

その記憶の中で彼を呼んでいるけれど、名前のところはモヤがかかったようになってわからない。

 

 

そんなことが続いたある日、彼を見なくなった。

1日、2日と彼を見かけない。それが数週間続くと物凄い消失感。それと共に来たのは、私が彼の前から消える記憶。

 

ロボットに乗って自爆する記憶。

 

敵に取り込まれてしまう記憶。

 

そして今日、一番辛い記憶が来た。

 

彼の前から水のようになって消えてしまう記憶。

 

 

その記憶が来たタイミングが悪かった。私は駅の階段を登っていたのだ。そんなタイミングでこんな記憶が出て来たので、階段から足を踏みはずしてしまった。

『落ちる』と覚悟を決めた瞬間に私を抱き抱えてくれた人がいた。

 

…彼だ。

 

「大丈夫ですか?」

 

「えぇ…」

 

その時、また違う記憶が甦った。

 

 

 

プリントを届けてくれる彼。

 

私を助けようとしてくれる彼。

 

そして、大きな声で『綾波』と呼んでくれる彼。

 

 

「あの、どこか痛めましたか?」

 

心配そうに覗きこまれた。

 

たくさんの私が私の中に入ってくる。

 

その中の一人の記憶。

 

【笑えばいいと思うよ】

 

エントリープラグの中に居る私に心配そうに声をかけてくる…。

 

 

あぁ、そうだった。

 

そうだ、彼は…。

 

「大丈夫よ」

 

 

 

「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「碇君…」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。