超高校級の希望と超高校級のゲーマーの輪廻転生先が魔法界だったら   作:グローサリー部

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投稿時間は安定しません。どうしようもありません。まだ原作との乖離は薄いです。


賢者の石ー幽霊と寮と授業とー

「痛っ!」

 

 教師陣のほうを見ていたハリーが突然痛みを訴えだした。

 

 「どうしたの?」パーシーが尋ねた。

 

「な、なんでもない。それよりもパーシー、クィレル先生と話をしているあの先生は誰?」

「ああ、スネイプ先生だ。魔法薬学を教えているんだ、けど闇の魔術についても詳しくてね、クィレルの席を狙っているんだ。みんな知ってるよ」

 

 ハリーはスネイプ先生をしばらく見つめていたが、スネイプ先生がハリーを見ることはなかった。

 

 「うわあ!」食事をしていると急にロンが叫んだ。その拍子に彼は手に握っていたフライドチキンを落としてしまった。

 ロンよりもまずみんなの目に留まったのは、テーブルをすり抜けて出てきた男性だった。

 

「やあニコラス。調子はどう?」

「おや、パーシー。なんとまたもや『首なし狩り教会』入会の申請を蹴られてしまいました」

「僕知ってる、ほとんど首なしニックだ!」

「できれば、サー=ニコラスとお呼びください」

 

 先ほどまでおびえていたロンが興奮した様子で言った。なるほどこの魔法界には幽霊までいるとは。

 

「ほとんど首なし?なぜほとんどと言うの?」

 

 ハーマイオニーが聞いた。ニコラスはハーマイオニーのほうを向きなおり、頭に手を置いた。

 

「…この通りでして」

 

 ニコラスの頭が生きていればありない位置に移り、首の断面がハッキリクッキリと見えた。位置的にハーマイオニーは災難だったろう。

 デザートも全て食べつくされ、何故か不評のカムカムキャンデー(誰も手にしなかった)が乗った以外の皿が空になると、ダンブルドア先生が立ち上がった。大広間が静まり返った。

 

「みな、おなかも膨れたころのようじゃの。それではこれより二言、三言。新学期を迎えるにあたって、いくつかお知らせがある。1年生は構内の森に入ってはならぬ。これは上級生と、何人かの生徒たちに特に注意しておきます」

 

 ダンブルドア先生の目線はウィーズリー双子に向けられていた。当の本人たちは、私に何か用ですかと言わんばかりの表情で、しかもちょっぴり誇らしげだ。

 

「管理人のフィルチさんからも伝言じゃ、授業の合間に廊下でイタズラ呪文を使わないようにだそうじゃ」

 

 また、ウィーズリー双子が誇らしげに笑った。この学校の問題はほとんどが彼らのせいだと思ってよさそうだ。

 

「最後に、今年いっぱいは4階の右の廊下には入ってはならん。そこにはとても恐ろしい絶望と死が待っておる」

 

 また、ウィーズリー双子……は笑っていない。今度こそ真剣な表情で聞いていた。他の上級生たちも神妙な表情をして聞いている。新入生たちもそんな先輩方を見て意識を切り替えていた。

 

「……以上じゃ」

 

 軽いテンションで締めたダンブルドア先生のおかげで大広間にまた明るい空気が戻った。

 その後、みょうちくりんなホグワーツ校歌を歌い僕たちは寮ごとに分かれ、監督生に連れられて大広間を後にした。寮に案内してくれるとのことだった。

 寮に向かう途中、ピーブスという大きな口をした小男の幽霊に僕たちは絡まれた。

 

「ピーブス!今すぐに行ってしまわないと男爵に言いつけるぞ!」

 

 パーシーが好き放題していたピーブスにむかってそう脅すと、ピーブスは恨めしそうにどこかへ消えてしまった。

 幽霊の気配は僕でもわかりずらい。視線と、冷気くらいでしか察知できないほど、文字通り薄い存在なのだ。

 

「みんなピーブスには気を付けてくれ。彼は『血みどろ男爵』の言うことしか聞かなくてね、監督生のいうことも聞かないんだ」

 

 廊下の突き当りまで来ると、太ったピンクの絹のドレスを着た婦人の肖像画がかかっていた。

 

「合言葉は?」

「特典かな?」

 

 僕にだけ聞こえる声で七海が聞いてきた。重症なので後で対戦相手になってあげるべきか、幸いロンがいるので魔法界のゲームもできるかもしれない。……しかたありませんね。

 

「カプート ドラコニス」

 

 パーシーが唱えると婦人が微笑み、肖像画がゆっくりと前に開いた。そこには人が入れそうな穴が開いており、グリフィンドールの談話室とつながっていた。赤と金色を基調とした家具や絨毯が配置された、円柱型の広い空間であり、どこにいても体が休まる感覚がした。少しだけ魔法がかかっているのかもしれない。

 

「女子は階段を上がって右の扉へ、男子は左。荷物はすでにベッドのそばに届いてる。ああ、荷物が置かれているのが自分のベッドだ。それじゃみんな、あらためてグリフィンドールへようこそ!」

 

 螺旋階段を上り、男子寮に入ると、沢山のベッドが配置されていた。それぞれレースカーテンがついている。僕のベッドを見つけた。

 

「すごいごちそうだったね!」

 

 ロンがハリーに話しかけた。

 

「スキャバーズ!やめろ!こいつ僕のベッドのシーツを嚙んでるぅ!」

 

 ハリーはそれを見て笑ていたがロンが魔法のようにすぐ眠ってしまった。

 

「イズル、僕、不安だったけど、でもホグワーツは思ったよりもずっといいところなのかもしれない」

「…同感です。僕も、そうですね……ワクワクしていますよ」

「あれ?下に行くの?君は寝ないの?」

「少し、用があります」

 

 ハリーは不思議そうにこちらを見ていた。

 

「気になるのであれば、あなたも来ますか?」

「いいの?」

「かまいません」

 

 僕たちが談話室に降りると、暖炉のそばのソファーに七海が座っていた。

 

「千秋?」

「やはり、いましたか」

「あれ?カムクラくんに、ハリーだ」

「3人でトランプを使ったゲームでもしませんか?」

「え、イズル、どういうこと?」

 

 僕がトランプを取り出すとハリーはまた不思議そうな表情で聞いてきた。七海はハスハスしていた。

 

「七海は放っておけば夜更かしして気絶するまでゲームをしちゃうくらいのゲーム好きなんです。あなたも毎回眠そうな彼女を見ていたはずですよ。

 今日は電子ゲームを携帯してきたようなんですが……ホグワーツでは電子機器の類が正常に動作しないんですよ」

「なるほど!ゲームはできないけど夜更かしの習慣のせいで千秋がここに来るって、イズルは予想を立てたんだね!」

「はい。念のためにトランプを持ってきておいて正解でした」

 

 僕はトランプを七海に手渡した。

 

「ありがとう。ゲームが壊れちゃって、落ち込んでたんだ……でも、3人でトランプしよ!たまにやってたけど、アナログもいいよね」

 

 ニッコリ笑う七海にハリーは少し赤面した。

 

「あ、でもごめん。僕、ババ抜きくらいしかやったことないんだ」

「心配ありません。僕と七海で教えます。まずはポーカーからどうですか?

「お、いいね!ハリーも安心して、ポーカーは覚えやすいゲームだから」

 

 七海と僕と、思いのほか運の強いハリーと遊んで、夜更かしした……。

 翌日、変身術の授業に向けて支度を終え、七海を待っていると、彼女はなんとパジャマ姿で談話室に降りてきた。ほかの生徒達もハリーもロンもハーマイオニー・グレンジャーもこれには驚愕していた。

 

「ううん、ねみー…おはよう」

 

 確実に昨夜のトランプが原因だった。持ってきたのも提案したのも僕だった手前、放っておくわけにもいかなかった。

 

「ハリー、ロン、先に行ってください。僕は七海に着替えさせたらすぐ向かいます」

「わかったよ。けれど遅れないようにね。この学校無駄に広いから」

 

 ホグワーツには142もの階段があり、全て珍妙なものだった。曜日によって辿り着く教室が変わったり、気分で段差が変わったり、ジャンプしないと登れなかったり、マグルの『学校の七不思議』顔負けの怪奇現象徳盛り合わせだ。

 ハリー達が談話室を出たあと、七海に着替えさせ、寝ぼける七海に僕が洗顔し、化粧水をつけてやり、乳液を(まぶ)した。

 途中から寝てしまった七海を背負って急いで教室に向かった。階段は動いているため、素直に待っていると確実に遅刻してしまう。僕は階段を無視して壁を蹴り上げながら上に向かった、僕の足が叩きつけられた壁の近くに飾ってあった肖像画たちは、驚いて叫び声をあげたり、「ブラボー!」と声援を送ってきたりする者もいた。

 授業には何とか間に合ったが、教室にハリーとロンの姿は無く、マクゴナガル先生もいなかった。そのかわり教卓に1匹の猫がいた。

 七海を隣の席におろし、授業開始の時間が過ぎてしばらくすると、ハリーとロンが駆け込んできた。

 

「よかった、まだ授業は始まってないみたいだ」

「最初の授業で遅れただなんて、マクゴナガルが知ったらなんて言うか」

 

 2人がそんなことを言い始めたと同時に、教卓の猫が姿を変えた。スルスルと形作られていき、その姿はマクゴナガル先生のそれになっていた。

 

「…変身、お見事です」

「お褒めの言葉をありがとうMr.ウィーズリー、あなたを懐中時計に変身させればもう遅刻もしないでしょう」

「あの、僕たち道に迷ってしまって……」

「では地図がよろしいでしょうか」

「…すみません」

「今回は大目に見ますが、次回からは寮から減点いたします」

 

 マクゴナガル先生は2人を席に座らせ、教卓の前に立った。

 

「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの1つです。いい加減な態度で私の授業を受ける者は即刻出て行ってもらいますし、二度とクラスには入れません。初めから警告しておきます」

 

 それからマクゴナガル先生は机を豚に変え、また元に戻して見せた。生徒はみんな感激しており、杖を手に持ちウズウズしているものまでいた。

 複雑なノートを取らされた後でいよいよ実践することになり、マッチ棒が配られた。

 

「いいですか皆さん。今からこれを銀色の針に変身させるのです。呪文は教えた通り…ワン、トゥ、スリー、フェラベルト(変化せよ)。そしてこれを解くにはレパリファージ。それではやってみましょう」

 

 見るとロンやハリーだけじゃない、ほとんどすべての生徒たちが苦戦していた。ハーマイオニー・グレンジャーだけは変身させることができたようで、心なしかマクゴナガル先生も驚いている。

 

「カムクラくん、私たちもやってみよ!」

「はい……フェラベルト変化せよ」

 

 はっきりとした針のイメージをしながら僕が唱え、杖をスルリと振るとマッチ棒は姿を変え、完全な針となった。

 

「おおー、すごいですな。私も……フェラベルト変化せよ」

 

 七海は杖を持つ握力が足りなかったのか、振った杖がぶれてしまい、マッチ棒は変化しなかった。

 

「おやMr.カムクラ、あなたもMs.グレンジャーのように変身がうまくいったのですね」

 

 マクゴナガル先生は僕の針とハーマイオニー・グレンジャーの針をクラスの全員に、それらがどんなに銀色で、いかに鋭くとがっているかを見せたのち、僕とハーマイオニー・グレンジャーにめったに見せない笑顔を向けた。ハーマイオニー・グレンジャーは僕への対抗意識からか微妙そうな顔を僕に向けた。

 みんなが1番待ち望んでいたクィレル先生の「闇の魔術に対する防衛術」は実際はひどいものだった。教室中にニンニクの香りがプンプン漂っているのだ。噂によればクィレル先生がルーマニアにて遭遇した吸血鬼を寄せ付けないためで、いつもそのせいで先生はビクビクしているらしい。それに加えて、他の生徒も何人か気づいたが、何かの腐った臭いもする。

 強烈な授業がやっと終わり、魔法薬学の授業に移った。スリザリンの寮監のスネイプ先生が担当しており、また今日はスリザリン生と合同授業だった。ちなみに、グリフィンドールの寮監はマクゴナガル先生だ。

 スネイプ先生(いわ)く、魔法薬学の授業では杖を振ることも呪文を用いることもないらしい。

 

我輩(わがはい)が教えるのは、名声を瓶詰(びんづ)めにし、栄光(えいこう)醸造(じょうぞう)し、死にさえ蓋をする術である」

 

 スネイプ先生はそう言いながら彼の言葉をノートに書き写しているハリーの前まで来た。

 「ポッター!」スネイプ先生に突然名前を呼ばれ、ハリーはビクッとした。

 

「アスフォデルの球根にニガヨモギを(せん)じたものを加えると何になるか?」

 

 ハリーは困惑し、ハーマイオニー・グレンジャーがその隣で高々と手を挙げていた。因みに僕にも分からなかった。

 

「わかりません」

「わからんか…では、ベゾアール石を見つけるにはどこを探せばいい?」

 

 また、ハーマイオニー・グレンジャーが手を挙げた。

 

「わかりません」

「ふん、名前だけが有名なポッター、授業が始まるよりも前に教科書を開こうとは思はなかったわけだな」

 

 昨夜は彼を誘ってゲームをしていた。そんな時間はハリーには無かった。それにこれは明らかに嫌がらせだった。ハリーも気づいたのか対抗心が瞳に写っている。

 

「教えてやろう、ポッター。アスフォデルとニガヨモギを混ぜ合わせると、眠り薬になる。あまりに強力なため、『生ける(しかばね)水薬(みずぐすり)』と呼ばれている。ベゾアール石はヤギの胃から取り出す石で、たいていの毒に効く解毒剤となる。どうだ?諸君、なぜ今のをすべてノートに書きとらんのだ?」

 

 一斉に羽ペンと羊皮紙を取り出す音がした。僕も必要ないが、スネイプ先生に逆らうと後々面倒なのは理解したので従った。

 

「ポッター、君の無礼な態度で、グリフィンドールは1点減点だ」

 

 その後も、ネビル・ロングボトムの失敗で起こった事故がすべてハリーの責任にされまた1点減点されていた。

 授業が終わった後で、ロンがハリーを慰めていた。

 

「元気出せよ。スネイプはスリザリン贔屓で、特にグリフィンドール生には意地悪になるって兄貴たちが言ってたよ。フレッドとジョージなんかいっつもスネイプに減点くらってるんだ」

 

 昼食時、僕と七海、ロンとハリーとハーマイオニー・グレンジャーで一緒に食事をとっていた。途中からフクロウ便がやってきた。何人かの生徒が何かを受け取っている。僕たちの所にはロンのもとにだけ新聞紙が届いた。

 

「これ借りていい?」

 

 ロンから新聞を借り、ハリーが読み上げた。「日刊予言者新聞(にっかんよげんしゃしんぶん)」という社名らしい。

 

グリンゴッツ侵入される

 先日、かの有名なグリンゴッツ魔法銀行に侵入事件が起きた。犯人はまだ捕まっておらず、魔法使い、または魔女の仕業とされているが、捜査は依然として続いている。

 グリンゴッツの小鬼(ゴブリン)たちは、何も盗られていなかったと主張している。荒らされた金庫は、侵入された日より以前に、すでに空になっていた」

「あの時ですか、グリンゴッツにお金を取りに行った日……」

「うん。そうなんだ。あの日、ハグリッドがホグワーツの任務ってやつで、何かを回収していたんだ」

 

 僕たちが新聞に目を向けていると、ネビル・ロングボトムのもとに何かが届いた。

 包みをほどいた彼の手には、白い煙が詰まっているように見えるガラス玉が握られていた。

 

「ネビル、それ、『思い出し玉』かい?」

「僕知ってる、そいつを握った時に、中の煙が赤く変わったら何か忘れている証拠なんだ」

「…でも、なにを忘れているのか、それも思い出せないんだ」

 

 食事を終えて、午後の最初の授業はマダム・フーチ先生が担当する『飛行訓練』だった。この授業もスリザリン生と合同授業だ。

 

「いいですか皆さん、自分の箒の横に立ちましたね?

 それでは箒に向かって、上がれ!と命令してください」

 

 指示されて生徒たちはみんな箒に向かって命令しだした「上がれ!」

 すぐに上がったのはハリーとドラコ・マルフォイくらいで、それ以外の生徒の箒はゴロゴロ芝生の上を転がるだけだったり、逆に勢いよく浮き上がったほうきもあった。

 

「イズル、見てないで君もやってみなよ」

「はい…上がれ」

 

 箒はスッと手に収まりに来た。

 箒が言うことを聞かなかった生徒たちは結局、自分から箒をつかみにいった。

 

「それではみなさん箒にまたがって!…そうしたら地面を蹴って、しばらく浮いて、すぐに降りること」

 

 フーチ先生が言ったとたんに、ネビル・ロングボトムが浮かびだした。当の本人もかなり困惑している。

 

「ネビル・ロングボトム落ち着いて!ネビル・ロングボトム!どこへ飛んでいくのです!今すぐ戻ってらっしゃい!」

 

 ネビル・ロングボトムはフラフラと高く浮いていき、次第に速度を上げ、そのまま壁に打ち付けられ、箒から落ち、塔の上の剣を掲げた像にローブが引っ掛かり、さらに下の、とは言え地上2mほどの位置にある松明に引っ掛かって、やっと地面に落ちた。すぐにフーチ先生が向かった。

 

「みなさん道を空けて!」

 

 フーチ先生がネビルのもとに駆け寄り、体調を調べた。

 

「…あらまあ、手首が折れてる。私は今から彼を医務室に運びます。いいですか皆さん、私が戻ってくるまで、絶対に浮いてはいけませんよ!もし破れば、クディッチの『ク』字を知る前に即刻、ホグワーツからでていってもらいますからね!」

 

 フーチ先生はそんなことを言い残してネビル・ロングボトムを連れて行った。残された生徒たちは静まり返ってしまった。

 

「…ふん、こいつを手にすりゃ、尻もちのつきかたを思い出すだろうね」

 

 ネビルが落としたらしい『思い出し玉』をドラコ・マルフォイが手にしていた。

 

「返せよマルフォイ。それはネビルのものだ」

 

 ハリーがもう許せないとばかりに彼に突っかかった。

 

「嫌だね、ロングボトム本人に探させる」

 

 マルフォイは箒にまたがった。フーチ先生の言いつけを守る気などないらしい。

 

「屋根の上にでも隠そうか~」

 

 ひゅっと空中に浮いて行ったマルフォイを見てハリーも箒にまたがった。

 

「だめよハリー!追いかけちゃダメ、先生に言われたでしょ?それに飛び方も知らないくせに…」

 

 ハーマイオニー・グレンジャーを無視してハリーもマルフォイを追いかけ空に上った。マルフォイと違って初めてのハリーはまだ不慣れで、少しふらついてる。

 

「カムクラくん…」

「七海、分かっています…仕方がありませんね。2人にもしものことがあっても、ネビル・ロングボトムのようにはさせません」

「うん!」

 

 ハリーとマルフォイは空中で何やら言い合ってる。一応僕は少し左足を後ろに下げて身構えておいた。

 

「それを返さないと箒から叩き落すぞマルフォイ!」

「はんっ!とれるものなら取ってみろ!」

 

 マルフォイは『思い出し玉』をホグワーツ校舎に向かって投げた。

 ハリーはビュンっと『思い出し玉』に向かって飛び、校舎の窓スレスレの位置で体を一回転させ、見事に空中キャッチを決めて見せた。

 グリフィンドール生から歓声が上がる。こっそりと降りてきたドラコ・マルフォイの表情は苦い。

 ハリーはゆっくりと降りてきた。もう慣れたのか、箒の使い方に迷いがないように見える。それは僕も初めて見る飛行術の才能なのかもしれない。

 ハリーはすっかりグリフィンドール生たちの英雄だった、みんながハリーに集まった。

 

「ハリー・ポッター!」

 

 その声の主はフーチ先生ではなかった。マクゴナガル先生だ。しかし先生であることに変わりはなく、さっきまで苦い表情だったドラコ・マルフォイは意地悪そうににやけ、グリフィンドール生たちは自分たちの英雄を哀れんだ。

 

「ハリー・ポッター、こっちへいらっしゃ」

「ハリー、きっと大丈夫さ」

「ロンの言うとおりだよ、きっとなんとかなるよ!」

「…ありがとう、ロン、七海」

 

 ハリーはトボトボとマクゴナガル先生のもとに歩いて行った。

 飛行訓練は結局中止となり、僕たちは寮に戻った。

 寮でロンになかなか理解してもらえないババ抜きを、七海と僕と彼の3人でして時間をつぶしていると、ハリーが息を切らしながら駆け込んできた。

 

「みんな聞いて!僕、クディッチのシーカーに選ばれたんだ!」

「ちょっと待ってハリー、僕、手札にJOKERが来ていいとこなんだ、って……今なんて?」

「ロン、僕、シーカーに選ばれたんだよ!」

「えええええ!!!」

 

 ロンは驚いて切られたトランプの束をぶちまけてしまった。しかし、今の彼はそんなことお構いなしだ。

 

「噓だろ!?だって、まだハリー、君は僕たちと同い年なんだぜ!?それが本当の話なら、君は歴代最年少の寮代表選手だよ!それに1年生でシーカーっていったい何年ぶりだろうか?」

「あ、先生100年ぶりだって」

「すっげー!いいなぁ、クディッチはいいよ!最高さあ!」

「でも、もしも下手くそだったらどうしよう…」

「下手くそだなんてありえないわ。親譲りだもの」

 

 急に話に割り込んできたのは、ハーマイオニー・グレンジャーだった。

 

「汽車で言ったこと覚えてるかしら?私、あなたのことは本で読んだの。そこには、あなたのパパのことも書いてあったわ。とっても素晴らしい選手だったそうよ」

「それ、本当かい!?」

「疑うなら、今からみんなでトロフィーを探しに行きましょ。本によると、そこに選手たちの名前が刻まれてあるそうよ」

 

 数分後、すぐにガラスケースに入れられ展示されたトロフィーは見つかった。そこにはハーマイオニー・グレンジャーの言った通り、ハリーの父親の『ジェームズ・ポッター』の名が刻まれていた。

 

「僕…知らなかった…」

 

 寮に戻るために、僕たちはちょうど階段を上っていた。すると階段がおもむろに動き出した。

 

「いったいなんだ!?」

「忘れたの?階段は動くのよ?」

「とりあえずあそこに降りよう!」

 

 ハリーに続いて列をなす僕たちがついた先は4階、右の廊下だった。

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