その時、君に.....   作:ワッタン2906

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どうも、ワッタンです。
実は昨日の段階でこの話分だけストックがありました。
なので、投稿します。
そして来週からは出来るだけ周一投稿しようかなと思います。

それでは、第二話をどうぞ。


第二話 愛おしい彼女

 

今はリサの部屋にいる。

リサの部屋は、女の子らしく、可愛い物が沢山あって良い匂いがする。

俺はこの空間が好きだ。

唯一、心から安らげる場所。

しばらく、何もせず手持ち無沙汰にしていると、部屋の扉が開かれた。

 

「ごめんねー、ちょっと遅くなっちゃって。 はい、お茶とクッキーだよ」

 

リサがお盆にお茶とクッキーを乗せ、部屋へと帰ってきた。

焼きたての甘い匂いが鼻腔をくすぐる。

 

「いや、全然待ってないよ。」

 

クッキーを手に取り、口に放り込む。

サクサクと嚙みしめるごとに、優しい甘さが口の中へと広がる。

そしていくら食べても飽きない。

ようするに、リサの作るクッキーは世界一美味しい。

 

「うん、今日も美味しいよ」

 

「そっか、そう言ってくれると嬉しいよ。 ねえ、今日の学校はどうだった? いじめられたら言ってね、アタシが絶対守るから」

 

俺の両手を握りながら、リサはそう言った。

そんな彼女に、安心させるように言葉を返した。

 

「うん、大丈夫だよ。今日は入学式だけだったから。.....友達はまだ出来てないけど」

 

昔の出来事がフラッシュバックしたことは伏せた。

余計な心配はかけたくない。

それに.....、

 

「そっか....じゃあ、頑張って皆と話さないとね」

 

リサが俺に笑顔を向ける。

この陽だまりのような笑顔を曇らせたくない。

そう思う。

 

 

その後、今度はリサの学校生活について、何があったのかを聞いた。

そして話の話題は、俺についての話題となった。

主にバイトだ。

あの親は、はなから資金援助をする気などはない。

ゆえに、俺は生きていく上でバイトは必要不可欠だった。

 

「リサが働いているところは駄目なの?」

 

「アタシんとこかー、アタシはもちろんオーケーだけど、人手不足って訳ではないからな....」

 

リサは、コンビニでアルバイトをしている。

あわよくば、俺もそこで働ければ良いと考えていた。

でも話を聞く限り、どうやらそれは厳しいようだ。

 

「そっか、分かった。 別の場所を探してみるよ」

 

「ごめんね? 力になれなくて」

 

「大丈夫、ゆっくり探すよ」

 

「うん.....さて、そろそろおしゃべりは終わりにして、勉強しよっか?」

 

「えぇ...、やりたくないな」

 

机の上を片付き始めるリサ。

そんなリサに不満の声を漏らす。

それはそうだろう、好き好んで勉強する男子高校生なんて、そんなに居るはずもない。

 

「でも、翔也。 勉強教えてくれる人なんていないでしょ? それに折角、特待生で入ったのに、成績が落ちたら剥奪されるかもよ?」

 

「ゔっ」

 

全くもってのド正論である。

それに何かをやるって決めたら、リサは何があっても最後までやりきる人だ。

....しょうがない。

 

「....分かった、勉強するよ」

 

「オッケー!!」

 

仕方なく鞄から、勉強道具を取り出し、

俺たちは勉強を始めるのだった。

 

 

──────────────────────

 

「あー、疲れたー.....」

 

机へと突っ伏す。

まだ今日は入学式で、授業も受けていないのに、教科書の三十ページ分の予習をさせられた。

 

「お疲れ様、頑張ったね......ってもうこんな時間か」

 

リサに労いの言葉を掛けられる。

机から上体を起こし、壁に掛けられた時計を見る。

時計が指していた時刻は、普段俺が晩御飯を準備する時間だった。

 

「やば、もう帰らないと!!」

 

慌てて、自宅へと帰る準備を......しようとしたその時だった。

「待って!!」と、リサがそう言いながら俺の腕掴み、帰る準備を止めさせられた。

 

「ご飯食べるまで、返さないよ」

 

「えっ......いやでも、毎日頂くのは、ちょっと......」

 

実はそうなのだ。

ここ、二、三日、俺は今井家で晩御飯を食べている。

勿論自宅に帰っても、俺のご飯など用意されていない。

なので、自炊である。

そろそろ、準備をしないといけないのだが、リサはしっかりと腕を掴んでいる。

 

「別にいいよ、翔也を守るんだったら食生活も管理しないとだし......翔也はアタシと食べるのは嫌?」

 

「嫌じゃないです」

 

即答だった。

そんな聞き方をされたら、断れるわけない。

 

「あはは、素直だね。 じゃあ下に降りよ」

 

こうして俺は四日連続、今井家で夕ご飯を頂くことになった。

 

──────────────────────

 

「翔也君、ここに住まない?」

 

突然そう言われた。

その言葉に俺は固まる。

 

この言葉を言ったのは、リサの母親だった。

一階へ降りた後、リサの父親と母親と一緒に、夕飯をご馳走になった。

そして、夕食を食べ終わった後、急にそう言われた。

ちなみにリサは、リサの母親に急かされて先に部屋へと戻っている。

 

突然の言葉に、三十秒ほど固まった。

言われた言葉を、頭で理解した後、

俺は現実へと意識を戻した。

 

「.....すみません、それは出来ないです。」

 

ゆっくりと頭を下げる。

 

俺はあくまで、他人だ。

 

勿論リサのことは普通の他人とは思ってない。

俺の恩人、そばに居て欲しい人、そして、それ以上の感情を抱いている。

だけど、それでも根は他人だ。

ましてや、実の親から存在を無いようにして扱われる人間。

断る理由は明白だった。

 

「あら? もうここに住んでも、変わりがないと思うのだけれど? それに、一人増えた所で全然苦じゃないわよ、ねえ、あなた?」

 

「そうだな、今更増えても変わらんよ」

 

正直この申し出は、......嬉しかった。

しかしどうしても、チラつくのは今の、非力な何も出来ない自分。

 

「でも......これ以上お世話になる訳「翔也君」」

 

俺の言葉をリサのお母さんが遮った。

俯いていた顔を、思わずあげる。

二人と目線が空中でぶつかる。

何か怒られるのか?そう身構えていると、放たれた言葉は別の意味で衝撃的だった。

 

「翔也君はリサのこと好き?」

 

....今、何て言ったんだこの人?

聞き間違いでなければ、リサのことを好きか、って言ったのか。

どうして急にそんなことを?

と、またもや固まっていると、言葉が続かれた。

 

「うん、その様子なら大丈夫そうね」

 

「えっ?」

 

「翔也君....顔真っ赤よ?」

 

その言葉に咄嗟に自分の頬に手を添える。

どうやら質問に答える必要はなくなったようだ。

すると、ここまで黙っていたリサのお父さんが口を挟んだ。

 

「....私たちはな、ずっと不安だったんだ。君がリサのことを嫌いなんじゃ無いかってね」

 

 

またもや衝撃的な言葉が放たれた。

俺がリサを嫌う?

そんな訳、

 

「そんな訳ないです!! リサは....リサは俺を地獄から救ってくれた。あの時から.....リサが好きです、一人の女の子として!! 」

 

そんな訳ない。

俺がリサを嫌うなんて、生きているうちには絶対に訪れない。

 

「ふっ....そうか。それなら良かった」

 

「リサは、翔也君が自殺しようとしてた時に連れ出したのでしょう。だから『こんな地獄に連れ戻しやがって』みたいに思っていたらどうしようと思ってたの」

 

「そう、だったんですか....」

 

初耳だ、そんなことを思われていたなんて。

 

「ああ、でも今君の言葉を聞いて安心した。 けど、今の君にはリサを安心して預けれないよ。」

 

「だからね、リサの事を安心して、あなたに預けられるように、一緒に住まない?」

 

リサのお父さんにそう言われ、

続けてリサのお母さんからそう言われる。

本当に、

本当にこの家の人は優しくて良い人しかいない。だから甘えてしまう。それが俺の悪い所だ。

 

「....分かりました、ここにすみます」

 

ハッキリとそう告げる。

俺の事を認めてもらうように。

 

 

ちなみにリサの部屋に戻ると、彼女は枕に顔を埋めてジタバタしていた。

....どうやらさっきの言葉を聞かれていたらしい。

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