どうも、ワッタンです。
実は昨日の段階でこの話分だけストックがありました。
なので、投稿します。
そして来週からは出来るだけ周一投稿しようかなと思います。
それでは、第二話をどうぞ。
今はリサの部屋にいる。
リサの部屋は、女の子らしく、可愛い物が沢山あって良い匂いがする。
俺はこの空間が好きだ。
唯一、心から安らげる場所。
しばらく、何もせず手持ち無沙汰にしていると、部屋の扉が開かれた。
「ごめんねー、ちょっと遅くなっちゃって。 はい、お茶とクッキーだよ」
リサがお盆にお茶とクッキーを乗せ、部屋へと帰ってきた。
焼きたての甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
「いや、全然待ってないよ。」
クッキーを手に取り、口に放り込む。
サクサクと嚙みしめるごとに、優しい甘さが口の中へと広がる。
そしていくら食べても飽きない。
ようするに、リサの作るクッキーは世界一美味しい。
「うん、今日も美味しいよ」
「そっか、そう言ってくれると嬉しいよ。 ねえ、今日の学校はどうだった? いじめられたら言ってね、アタシが絶対守るから」
俺の両手を握りながら、リサはそう言った。
そんな彼女に、安心させるように言葉を返した。
「うん、大丈夫だよ。今日は入学式だけだったから。.....友達はまだ出来てないけど」
昔の出来事がフラッシュバックしたことは伏せた。
余計な心配はかけたくない。
それに.....、
「そっか....じゃあ、頑張って皆と話さないとね」
リサが俺に笑顔を向ける。
この陽だまりのような笑顔を曇らせたくない。
そう思う。
その後、今度はリサの学校生活について、何があったのかを聞いた。
そして話の話題は、俺についての話題となった。
主にバイトだ。
あの親は、はなから資金援助をする気などはない。
ゆえに、俺は生きていく上でバイトは必要不可欠だった。
「リサが働いているところは駄目なの?」
「アタシんとこかー、アタシはもちろんオーケーだけど、人手不足って訳ではないからな....」
リサは、コンビニでアルバイトをしている。
あわよくば、俺もそこで働ければ良いと考えていた。
でも話を聞く限り、どうやらそれは厳しいようだ。
「そっか、分かった。 別の場所を探してみるよ」
「ごめんね? 力になれなくて」
「大丈夫、ゆっくり探すよ」
「うん.....さて、そろそろおしゃべりは終わりにして、勉強しよっか?」
「えぇ...、やりたくないな」
机の上を片付き始めるリサ。
そんなリサに不満の声を漏らす。
それはそうだろう、好き好んで勉強する男子高校生なんて、そんなに居るはずもない。
「でも、翔也。 勉強教えてくれる人なんていないでしょ? それに折角、特待生で入ったのに、成績が落ちたら剥奪されるかもよ?」
「ゔっ」
全くもってのド正論である。
それに何かをやるって決めたら、リサは何があっても最後までやりきる人だ。
....しょうがない。
「....分かった、勉強するよ」
「オッケー!!」
仕方なく鞄から、勉強道具を取り出し、
俺たちは勉強を始めるのだった。
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「あー、疲れたー.....」
机へと突っ伏す。
まだ今日は入学式で、授業も受けていないのに、教科書の三十ページ分の予習をさせられた。
「お疲れ様、頑張ったね......ってもうこんな時間か」
リサに労いの言葉を掛けられる。
机から上体を起こし、壁に掛けられた時計を見る。
時計が指していた時刻は、普段俺が晩御飯を準備する時間だった。
「やば、もう帰らないと!!」
慌てて、自宅へと帰る準備を......しようとしたその時だった。
「待って!!」と、リサがそう言いながら俺の腕掴み、帰る準備を止めさせられた。
「ご飯食べるまで、返さないよ」
「えっ......いやでも、毎日頂くのは、ちょっと......」
実はそうなのだ。
ここ、二、三日、俺は今井家で晩御飯を食べている。
勿論自宅に帰っても、俺のご飯など用意されていない。
なので、自炊である。
そろそろ、準備をしないといけないのだが、リサはしっかりと腕を掴んでいる。
「別にいいよ、翔也を守るんだったら食生活も管理しないとだし......翔也はアタシと食べるのは嫌?」
「嫌じゃないです」
即答だった。
そんな聞き方をされたら、断れるわけない。
「あはは、素直だね。 じゃあ下に降りよ」
こうして俺は四日連続、今井家で夕ご飯を頂くことになった。
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「翔也君、ここに住まない?」
突然そう言われた。
その言葉に俺は固まる。
この言葉を言ったのは、リサの母親だった。
一階へ降りた後、リサの父親と母親と一緒に、夕飯をご馳走になった。
そして、夕食を食べ終わった後、急にそう言われた。
ちなみにリサは、リサの母親に急かされて先に部屋へと戻っている。
突然の言葉に、三十秒ほど固まった。
言われた言葉を、頭で理解した後、
俺は現実へと意識を戻した。
「.....すみません、それは出来ないです。」
ゆっくりと頭を下げる。
俺はあくまで、他人だ。
勿論リサのことは普通の他人とは思ってない。
俺の恩人、そばに居て欲しい人、そして、それ以上の感情を抱いている。
だけど、それでも根は他人だ。
ましてや、実の親から存在を無いようにして扱われる人間。
断る理由は明白だった。
「あら? もうここに住んでも、変わりがないと思うのだけれど? それに、一人増えた所で全然苦じゃないわよ、ねえ、あなた?」
「そうだな、今更増えても変わらんよ」
正直この申し出は、......嬉しかった。
しかしどうしても、チラつくのは今の、非力な何も出来ない自分。
「でも......これ以上お世話になる訳「翔也君」」
俺の言葉をリサのお母さんが遮った。
俯いていた顔を、思わずあげる。
二人と目線が空中でぶつかる。
何か怒られるのか?そう身構えていると、放たれた言葉は別の意味で衝撃的だった。
「翔也君はリサのこと好き?」
....今、何て言ったんだこの人?
聞き間違いでなければ、リサのことを好きか、って言ったのか。
どうして急にそんなことを?
と、またもや固まっていると、言葉が続かれた。
「うん、その様子なら大丈夫そうね」
「えっ?」
「翔也君....顔真っ赤よ?」
その言葉に咄嗟に自分の頬に手を添える。
どうやら質問に答える必要はなくなったようだ。
すると、ここまで黙っていたリサのお父さんが口を挟んだ。
「....私たちはな、ずっと不安だったんだ。君がリサのことを嫌いなんじゃ無いかってね」
またもや衝撃的な言葉が放たれた。
俺がリサを嫌う?
そんな訳、
「そんな訳ないです!! リサは....リサは俺を地獄から救ってくれた。あの時から.....リサが好きです、一人の女の子として!! 」
そんな訳ない。
俺がリサを嫌うなんて、生きているうちには絶対に訪れない。
「ふっ....そうか。それなら良かった」
「リサは、翔也君が自殺しようとしてた時に連れ出したのでしょう。だから『こんな地獄に連れ戻しやがって』みたいに思っていたらどうしようと思ってたの」
「そう、だったんですか....」
初耳だ、そんなことを思われていたなんて。
「ああ、でも今君の言葉を聞いて安心した。 けど、今の君にはリサを安心して預けれないよ。」
「だからね、リサの事を安心して、あなたに預けられるように、一緒に住まない?」
リサのお父さんにそう言われ、
続けてリサのお母さんからそう言われる。
本当に、
本当にこの家の人は優しくて良い人しかいない。だから甘えてしまう。それが俺の悪い所だ。
「....分かりました、ここにすみます」
ハッキリとそう告げる。
俺の事を認めてもらうように。
ちなみにリサの部屋に戻ると、彼女は枕に顔を埋めてジタバタしていた。
....どうやらさっきの言葉を聞かれていたらしい。