どうも、ワッタンです。
どうにか週一投稿続けられてます。
だけどその分ほかの作品の更新が滞っているこの状況。
どうにかしたいですね。
それでは第六話をどうぞ!!
ホントは更新したかった...
頑張ったけど、四割しか完成しなかったよ....
リサを起こさないようにベットからそっと抜け出す。
Roseliaのライブが終わった翌日。
よほど昨日のライブとその後の出来事で疲れていたようだ、
ぐっすりと眠っている。
ベットから抜けだし、寝ている彼女に布団をかけ直し、
彼女の頭を起こさないように撫でる。
そして一言。
「行ってくるね、リサ」
寝ているリサにそう呟き、ゆっくりと部屋を出た。
善は急げだ。
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商店街の奥。
そこにその店はある。
そこは古びた楽器屋。
初めてその店に来たのは小学生の頃。
まだ姉ちゃんと俺を比べられてなかった時、父親に連れられてだ。
初めて来た時は棚に置かれているギターを目を輝かせながら見たものだ。
懐かしい記憶に包まれながら、古びた店のドアを開ける。
店のカウンターにいた店員さんが俺に気づき、挨拶を返す。
「いらっしゃい.....ってお前、もしかして....湊んとこのガキか? 」
ああ、この喋り方変わってない。
最後に来たのは三年前、俺が中学一年の時だった。
三年もあれば人は変わるものだが、この人は....
この店の店長は、最後に会った時から変わっていなかった。
「お久しぶりです、店長」
「あ、ああ、しかっし本当に翔也なのか? 大きくなったな」
「ええ、三年振りですから」
「そうか、もう三年か....ちょっと待ってな」
そう言いながら、レジの外へと出てくる。
俺の記憶が正しければ、今年で還暦だったはずだが、
そんな事を感じさせないほど、体は衰えていないと思う。
何をするのだろうか。
そんな事を思っていると、店長は店のドアへと近づき、
ある物を手に取る。
それはドアに掛けられているお店の看板。
それをclose側へと店長はひっくり返す。
「立ち話もなんだ、中で話そうや」
その様子は、
ほんと、こんな大人になってみたい。
そう思わすのに十分だった。
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「ちょっと待ってろ」そう言った店長は、
店の奥にある休憩室に俺を通した後、何処へと行ってしまった。
出されたお茶を飲みながら、数刻ほど待ってると、店長はある物を持ってきた。
それはまさしく俺が今日ここに来た目的のもの。
「お前が今日三年振りに来たのはコイツの事だろ?」
「はい、そうです」
店長が持ってきたもの。
それは黒いギターケース。
店長がギターケースを俺の目の前の机に置き、
自分は机を挟んで、俺と向かい合うように座る。
「....開けてもいいですか?」
「構わねえ、手入れはしてある....三年間毎日な」
ゆっくりとギターケースを開ける。
まず目に入ったのは、真っ白なボディ。
店長の言った通り、しっかりと手入れされていたのだろう。
そのボヂィには塗装落ち一つも見当たらない。
ケースからギターをゆっくりと持ち上げ、演奏するようにギターを構える。
三年振りにさわる相棒は、しっかりと手に馴染んだ。
「....このギターを売りに来た時はびっくりした」
店長がぽつり呟く。
いつの間にか、店長は煙草を吸っていた。
吸ってる時の目は、懐かしいものを見ているように俺は感じた。
「動機はどうであれ、自分の半身ともいえるギターを売るってのは、相当辛いはずだ。しかもあの頃のお前は音楽に全てを掛けてた....いや、違うな。
何も言葉を返せない。
店長は煙草を咥えたまま大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
吐き出すと同時に、たばこ特有の匂いが休憩室に充満する。
店長の言った事は当たっている。
あの時の俺は、ただひたすらに狂っていたと思う。
姉と比べれれないように、追いつかせないようにひたすらギターを弾いていた。
来る日も来る日も。
だけど、結局のところ姉には敵わなかった。
全てに絶望した。
だから、あの時の俺は、ギターをもう見たくはなかった。
「それで、これは何か訳アリだってな。....湊とお前の歪な関係は聞いてたからな。....だからあの時こう言ったのさ」
──ギターはひとまず預かってやる。いつかまた絶対取りに来い。
煙草を灰皿へと押し付けられた。
「それにこんな俺でも、元ギタリストだ。
「っ....」
その言葉に目頭が熱くなる。
この人は、俺をちゃんと見てくれる。
俺は、一度音楽を辞めた人だ。
全てに絶望し、大事な半身を一度は手放した。
周囲から見捨てられ、家族にも、たった一人の姉にも。
最近でこそ、リサに助けられてそんな劣等感は消えていた。
だけど、俺の本質は救いようがない男、そんな自分。
けど、そんな俺にもこうして、俺という存在──湊翔也を見てくれる。
リサ以外に、こんな俺に....どうしようもない俺に手を差し伸べてくれている。
それがどうしようにも、嬉しかった。
「....ありがとうございます」
その言葉は、頬を伝わる涙と共に吐き出された。
「ありがとうございます....ねぇ。 翔也からそんな言葉を聞けるとは。天と地がひっくり返ったんじゃないかねぇ」
そんな俺の言葉に、店長は人の良さそうな笑顔を浮かべた。
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「ほんとに、お金いらないんですか?」
ギターケースを背負い、お店を出る前に最後の確認をする。
正直、お金は払わないといけないと思う。
三年間も預けっぱなしにして、尚且ついつ取りに来るか分からないギターをメンテナンスし続けてくれたのだから。
「当たり前だろ、そこまで俺は鬼じゃねえよ。....まあ、保管料くらいなら請求してもいいかもな」
「やっぱり、取るんじゃないですか」
「ふっ、冗談だよ」
そう言いながら店長は笑う。
やっぱりこの人には、敵わない。
「それじゃあ、俺はこれで」
「おう、早く感覚を取り戻して、俺に聞かせてくれ。 俺はお前の音が好きなんだ」
「....ええ、度肝を抜かせてあげますよ」
「ふっ、そういう所アイツにそっくりだよ」
「じゃあ、僕はこれで」
そう言うと、店を後にするために扉に手を掛ける。
「ああ、また来いよ」
そんな声が背中から聞こえる。
その言葉に俺は、店長の方へと振り向く。
もう俺は逃げない、そんな決意と共に。
「はい、必ず」
しっかりと言葉を返すために。
ちなみに、家に帰ったら拗ねたリサが居たのは内緒だ。
朝起きたら俺が居なくて、またあの時みたいに居なくなったのかと思ったらしい。
なのでこの後、ギターを弾けず、ひたすらにリサの機嫌を取ることとなった。
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「ったく、一丁前に格好つけやがって」
湊んとこのガキの背中を見ながら一人心地つく。
三年前、あいつは見るに堪えない表情をしていた。
出会った時は、ギターを見る目はキラキラしていた。
だけど、それが日に日にやつれていった。
そんな状況を打破しようと、湊に話をつけにいったが、アイツは俺の話に聞く耳を持たなかった。
長いこと生きていたが、あの時は久々に恐怖した。
実の息子をあんな目で見ることが出来るのかと。
「....まあでも、仕方ないことなのかもしれないな」
アイツも音楽に裏切られたから。
その点に関しては、悪いかもしれないが、似た者同士な親子と思ってしまう。
アイツらの関係がああなってしまったのはもう止められない。
だから、周りの人達が出来ることは、
翔也をアイツと同じと道に歩ませないように導く。
それが俺に出来る、唯一の罪滅ぼしだ。
「っと、もうこんな時間か。そろそろ行かねーとな....ほんと一週間に一回調律をしに行かないといけないとはね....誰がそんなに駅前のピアノで弾いてるんだか.....」
そんな一人事を呟いた。