ホテルフェントホープが完成してからそれほど経ってない時期のこと。
里見灯花はテラスで紅茶を嗜みながら星空を見上げていた。
彼女にとって、宇宙は数多くの真理が眠る宝庫のような存在だった。
「・・・それにしても、宇宙社会学かー」
父親から渡されたプリントをまじまじと見つめる。
灯花は社会学が嫌いだった。
偉そうなことを言っておきながら、まるで何の役にも立たないからだ。
だが、この宇宙社会学とやらには興味を引かれた。
里見家と関係の深い星ノ森家の青年が父親に教えたらしい。
その青年に灯花も会ったことはあり、温厚というのが印象に残っている。
小太りな感じもまた安心感を与えてくれる。
「公理だけはしっかりしてるね」
公理一:生存は文明の第一欲求である。
公理二:文明はたえず成長し拡張するが、宇宙における物質量の総量は常に一定である。
公理だけはしっかりしているのだが、内容がぶっ飛んでいるのだ。
宇宙文明が形成するであろう宇宙社会という超社会を研究する学問・・・。
そもそもの話、人類はまだ自分たちの文明しか知らないのだ。
調査や実験を行うのはほぼ不可能だ。
だから、最終的な研究成果は、純粋に理論的なものになる。
そのために、二つの公理が設定されているのだ。
さらに言えば、青年が思いついたものというものでもないらしい。
彼曰く、近所のお姉さんにこれを勉強してみたらと助言されただけとのこと。
灯花は青年が知的であるということはわかっていた。
だが、その知性が特別優れているわけではないこともわかっていた。
「まあ、わたくしだったらできるかもね」
彼女が自負するくらい、灯花は天才を具現化した存在であった。
宇宙について地位の高い大人と話せるくらいには。
それに、公理以外にも手がかりとなる重要な概念がある。
猜疑連鎖
技術爆発
二つの公理と、二つの概念・・・これをもとに彼女の頭脳は思索を開始する。
あの青年よりも先に、すごい発見をすることができる。そう確信していた。
そして、その確信は的中した。
宇宙が始まる前の宇宙において、一人の社会学者が導き出したよりも早く、
少女の頭脳はずっと単純な、どうして誰も辿り着かなかったのか不思議なくらい、
実に簡潔な真理を思い浮かべることができた。いや、できてしまった。
カップを持つ手がガタガタと震える。鳥肌が立ち始める。
寒い。歯がガチガチと鳴っている。知りたくなかった。
こんなのはただの妄想だと否定したかった。でも、頭脳と理性が真実を叩きつける。
暗い眺めだった・・・こんなのが宇宙の真理だったなんて。
コミュニケーションも沈黙も、何の役にも立たない。
宇宙は荒涼とした砂漠なんかではない。生命と恐怖に満ちた暗黒の森だ。
そして、この森の中には馬鹿な子供がいて、まだ自分の存在を叫んでいる。
「灯花⁉大丈夫かい⁉」
柊ねむがカップの割れる音に気がついてテラスに駆け付けたとき、
灯花は星空に背を向けて歯をガチガチと鳴らしながらうずくまっていた。
太古の社会学者と同じように、彼女もまたこの時以来、重篤な星空恐怖症に罹患した。
真実の宇宙は、ただひたすらに暗い
これがフェルミのパラドックスに対する一番簡単な、そして一番最悪な答えだ。
・・・だが、これは灯花にとっては始まりに過ぎなかった。
彼女はこれからも、宇宙の残酷な真理に直面することになるのだから。
三体好きかい?
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うん、大好きSA!
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まあまあSA!
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あたしゃ知りませんよ
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(よくもそんなこと)聞いたなコイツ!!
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全滅してやるぞ(嫌い)
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劉慈欣先生お許しください(すごく嫌い)