俺の中の天使と悪魔が幼女なことは俺はまだ知らない。   作:胡椒こしょこしょ

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ロリおに良いよね...良い.....。


ロリからナンパされたら事案になりますか?

暗く静かな夜。

閑静な住宅街の一角にある家。

その家のベランダで、一人の童女と男が話していた。

 

男の見た目は金髪で赤いスーツに金色のネクタイを付けたホスト風の男であり、童女は頭にゴーグルを付けてスカーフを首に巻いている。

 

「今日も夜がやってきたね!今度はどんな子達を使うの!?」

 

「まぁ、落ち着いて。短気は損気だよ?この後ちゃんと連れてくるから....でも、そうだなぁ。今回は鴉を使おうかなぁ。」

 

彼がそう言うと、童女がぴょこぴょこと跳ねる。

 

「鴉さん!楽しみぃ!!....今回はお邪魔さん達に邪魔されない?」

 

童女は不安げな表情を男に見せる。

そんな彼女に男は微笑み、頭を撫でた。

 

「まぁ、彼らはこのゲームを盛り上げる要因だから、悪く思わないで?...どちらにせよ、これからも時間はあるのだから沢山手札を引いて出せば、その内必ず勝てるんだ....。俺が君の代わりに必ず勝ってくるから。願い...叶えないとな。欲しい物があるんだろ?」

 

「う、...うん。そうだねっ!勝てばお父さんとお母さんも優しくなるんでしょ?それなら、私お兄さんを信じて待ってるから!!」

 

「良い子だ....。」

 

男は童女の思いを確認するようにそう尋ねる。

すると、少女は一瞬表情を曇らせるも男に笑顔を見せる。

そして、そんな彼女の頭を撫でる。

 

「それじゃ、俺はパックを引いて来るよ。おやすみ。」

 

「う、うん!頑張って来てね!!」

 

自分に背を向ける男。

そんな男に対して手を振る童女。

その顔は笑顔であるが、どこか心細さを伺わせた。

しかし、男は振り返ることはない。

 

今はただとある場所に向かおうとしていた。

 

 

夜の公園。

昼間と比べれば人気がない中、高校生カップルがベンチに座っていちゃついていた。

 

「今日は...楽しかった。」

 

「俺もだよ...。」

 

二人は熱い視線でお互い見つめ合っている。

そんな二人を見て、笑みを浮かべながら歩み寄る人影。

そして、二人からも見える位置にその人物は足を踏み入れた。

 

「すいませ~ん、少し尋ねたいことがあるんですが....。」

 

そう言うと、ホスト風の男が下手に出るような笑みを浮かべている。

 

「智弘君...。」

 

「うん。....なんですか?」

 

奇抜なスーツを着たホストのような男が話しかけてきたので、二人は警戒する。

しかし人が良いのか、彼氏の方が彼女を庇うかのように一歩踏み出した。

そんな彼を見て、男は地図を取り出す。

 

「えーと、公民館の方に行きたいんですけどね?私、地図を見るのが苦手で、携帯の電源も切れてしまったんですねよぉ。」

 

そう言って地図を渡す。

早く彼女と二人きりになりたい彼はすぐに終わらせようと地図を見て、公民館を見つけた。

なんてことはない、文字で表示されている。

 

「ここですね、公民館は。」

 

そう言って地図帳に指さしながら男に見せる。

なんとなく、こんな時間になんで公民館の場所なんか聞くのだろうと疑問に思うのだが、それでも彼女との時間の方が大事なので疑問を頭の隅に追いやった。

すると、男はそれを見て笑顔を浮かべる。

 

「おぉ、まさかこんな所にあるとは....教えて頂きありがとうございます。それでは、細やかながらお礼をさせてください。」

 

「お礼....?なっ...!?」

 

「な、何してるんですかっ!!!」

 

男の言葉に首を傾げる彼氏。

しかし次の瞬間、彼氏は息を詰まらせて彼女は声を上げる。

それもそのはず、目の前のホスト風の男は自分の胸元に指をめり込ませるとかき回すように動かす。

どんどんスーツの隙間から血液が流れ出ているのだ。

だが、男は依然笑顔を崩さない。

頭のおかしい光景だ。

 

そして、胸元から腕を引き抜くとその手に握られているのはトランプのようなカード。

そこには血塗られていながらもカラスが描かれている事が分かる。

 

「い、行こう!」

 

「う、うん!!」

 

彼氏が彼女の手を取った、その瞬間。

男の声が夜の闇に響いた。

 

「オイオイ....ビビりすぎですよ?私はお礼に貴方たちの欲しい物を与えてやろうとしているだけだというのに...傷つくなぁ。」

 

「えっ?」

 

彼氏が素っ頓狂な声を上げる。

それもそのはず、まだ2~3歩距離が開いていた筈の男。

それがいつの間にか自分のすぐ後ろに移動しており、そして....。

 

身体に何かを挿し込まれるかのような猛烈な異物感を強く感じているからだ。

そこに手をやると、ぬめっとした感覚と共に生暖かい感触。

ゆっくりと自分の目の前に手を持っていくとねっとりした質感の赤。

それが何か理解すると共に、身体に激痛が走る。

 

「うぐっ...っは...ぎぃぃぃがぁぁああああああああ!!!」

 

喉が割れんほどに叫ぶ彼氏。

そんな彼氏を見て、彼女は顔を青くして身体を震わせながらも彼の腕を払った。

 

「い、いや....いやぁぁあああああ!!!」

 

信じられない物を目にして、発狂したのか叫びを挙げながらも一目散にどこかに逃げ出してしまう。

それを見て、男はただ笑う。

 

「あらら...恋人置いて行っちゃった。」

 

ニヤニヤと馬鹿にしたように笑いながら呟くと、足元で藻掻く彼氏の方に目を向ける。

 

「がぁぁぁぁぁあああ!!がっぁっあああ!があああああああああああああ!!!」

 

「...お礼に君に欲する物なんでも手に入れることが出来るような身体をあげよう。」

 

そう言うと、彼氏の様子がどこか変わっていく。

喉は以前大きな叫び声をあげているも、身体は身動き一つ取らなくなる。

段々と腕や顔に乾燥してひび割れた蝋燭のようになっていく。

そして、最後には顔と両腕は割れてしまう。

その中から....黒。

大きな翼と黒い嘴を持った羽塗れの顔。

その姿は、腕と頭がカラスの物となったカラス人間。

 

「....ガァァアア!ガァァ!!ガァアアアア!!!」

 

彼氏はまるでカラスのように声を上げる。

それを見て、男はゆっくりと近づいていく。

ポケットからは同じく赤黒くなったカードが5枚のカード。

それにはさっき男に差し込んだカラスだけでなく他にも狐、狸、針鼠に蜘蛛と様々な動物が描かれていた。

それを、カラス人間と化した彼氏の制服のポケットに入れた。

 

「それじゃ、そのカードで増やしてきてくれよ?それさえしてくれれば、君の欲する物の為に、やりたいようにすればいい。ほら、行きなさい。」

 

そう促すと、カラスはこくりと頷くとそのまま腕を羽ばたかせて空へと飛び上がっていった。

それを眺めると、男は笑顔のまま用済みとばかりに踵を返す。

 

 

「はぁ....はぁ....こ、ここまで来れば....。」

 

少女は走り回って、息を切らしながらも足を止める。

安堵を感じると共に、同時に罪悪感が襲ってくる。

自分の恋人をあの場に置いてけぼりにしてしまった。

そのことが胸を締め付ける。

 

「智弘...君....」

 

そんな彼の名前を呟く。

すると、その瞬間。

 

「ガァァァァ!!」

 

カラスの鳴き声が聞こえた。

...いや、厳密に言えばカラスの鳴き声ではない。

あたかも人間がカラスの声を真似したかのようなそんな声。

それが、閑静な住宅街に響き渡る。

 

「...!か、カラス....なの?」

 

彼女は言葉尻に疑問符を浮かべる。

さっきあった出来事から一瞬身体を強張らせるも、すぐに緊張を解く。

しかし、おかしい。

朝から昼にかけてなら町の中でも腐るほどにカラスの鳴き声は聞く。

それでも、夜に聞いたことはないのである。

 

そう思った瞬間、不意に頭上に気配を感じたかと思えば、何かに強く腹を蹴り飛ばされる。

 

「かはっ...!」

 

口から空気を吐き、壁に勢いよく激突したことの痛みですぐ動くことが出来ない。

ただ、目線をそちらの方向に向けた。

 

「なに...あ...れ.....?」

 

掠れながらも言葉を口にする。

そこには自分と同じ高校の制服を着ていながらも、腕は黒い翼になっており、頭はカラスの頭になっている出来の悪いキメラのような異形が立っている。

それはこちらに目を向けると、口を開く。

 

「ガァァッ!ガァア!」

 

カラス人間は鳴き声を上げながら、こちらにゆっくりと歩み寄ってくる。

そして、器用に羽でズボンやパンツを脱いでいく。

 

(なにを.....?)

 

相手の意図が汲み取れずにただ怯えるしかない女。

しかし、その下半身が顕わになった瞬間、意図がはっきりと分かった。

猛々しくいきり立った物を見て、目の前に居る異形は自分を襲うつもりなのだと分かった。

 

「い...こほっ...いやだ....そんなの...こんな、人間ですらない.....嫌ぁ!!」

 

怯えが恐怖へと昇華し、なんとか藻掻くかのようにその場から逃げようとして地面を這う。

しかし、逃げようとする彼女を見てカラスは羽を羽ばたかせる。

その瞬間、複数の羽がまるで矢のように彼女の背中に突き刺さる。

 

「あ”ぐっ...いぎぃ.....。」

 

痛みで顔を歪める。

そして刺さった羽の痛みで動きが緩慢になる。

そんな彼女を逃すまいとカラス男は彼女に駆け寄る。

そして器用にも嘴で彼女の服を引き裂き始めた。

 

「ヒッ!そんな..やめてぇ!助けてぇ!パパァ!!ママァ!!!智弘君!!!いやぁああぁぁあああ!!!!」

 

絶望した表情で必死に助けを呼ぶ少女。

そんな彼女を目にしながらカラス男は翼で覆い隠すようにして、彼女に覆いかぶさった。

 

 

 

 

 

 

イカレ女による未知との遭遇事件から数日経った。

いつあの女がまた来るのかとビクビクしていたが、あの後特に音沙汰もない。

穏やかな日々が過ぎてくも、それがまるで嵐の前の静けさのように感じてしまうのは心配のしすぎだろうか?

杞憂であって欲しいと切に願う。

 

今は朝の清涼な空気を鼻腔で感じながら、制服に袖を通して学校に向かっている。

...ハズだったんだが、どうにも今日はあまりやる気が出ないので適当にほっつき歩くことにした。

まぁ最低限の出席数は計算してあるし、今年はまだ1回しかサボっていないので大丈夫だろう。

ただまぁ、行くとしてもどこにもないっていうかなんていうか。

結局の所、公園で黄昏ているしかないのだ。

....ただ、やはりサボりってのはいけないことなのだろう。

 

「お兄さんはなんで学校、行ってないの?」

 

俺は今、幼女に純朴な目を向けられながら質問されている。

ベンチでぽけっーとアホ面晒しながら陽の光を浴びていたら、不意に彼女がぴょこぴょこと寄って来たのだ。

名前なんか知らない。

でも、答えにくい質問を的確にしてくる子供だった。

小さい子に怠いから学校に行かないとは言いたくない。

それは、なけなしのプライドが許さなかった。

...ただ。

 

「...それは君にだって当てはまるんじゃないかい?もう時刻的にも小学校は始まっているだろ?」

 

俺に質問している彼女もランドセルを背負っていた。

真っ赤なランドセル。

小学生ということの証である。

懐かしいなぁ。

小学生の頃をぼんやりと思い出す...が、不意に杜宮胡桃の顔が過った。

あのとんでもない女とは小学生半ばまで付き合いがあったからである。

やだやだ、こんな時にあんなのの顔を思い出すなんて余計に疲れてしまうじゃないか。

昔のことを思い出すのをやめると同時に、彼女の顔を見る。

すると、彼女はどこか表情を暗くしながらそれを隠すように笑顔を向けた。

 

「え、えーっと、菜緒ね。その...学校行きたくないの....。だからその...え、えへへ...わ、私と同じで学校行ってない大人の人が居たから、どんな人かなーって。」

 

...まぁ理由は聞かない。

俺のようになんとなく気分なのかもしれないし、交友関係で難があるのかもしれない。

であれば、彼女に執拗に学校に行けと叱りつけるのもどうだろう?

それに彼女は他人だ。

このご時世、知り合いですらない小学生女児に事情を詳しく聞くなんてことは事案になりかねない。

それにしても小学生の彼女から見れば、高校生の俺は大人に見えるんだなぁ。

自分の中ではまだガキのつもりだけど、時間はそう長く子供で居るのを許してはくれないようだ。

将来は何になりたいかとか....まだ全然分からないのに。

 

「...良いかい?世の中には危ない人も多いんだから、下手に知らない大人に話しかけるのは辞めなさい。」

 

まだ子供のつもりのサボタージュ野郎が小学生に説教しようとしてる....。

どの面下げて説教してるんすかねぇ?

まぁ、俺なんですけどね初見さん。

しかし、そんな目の前の模範にすらならなそうな年上男の言葉を聞いて彼女は目を伏せた。

 

「はい....ごめんなさい.....。」

 

普通に素直な子だな。

偏見で申し訳ないが最近の子なんて夢にYOUTUBERとか書くくらいだから年上舐めたクソガ....結構生意気ぞろいなんだろうなぁと思っていたが、どうにもそういうわけでもないらしい。

しかし、そんな子をしょぼんとさせてしまったのはなんだ...ちょっと罪悪感を感じるな。

俺自身、サボってて褒められた人間じゃないから特に。

であれば、彼女の質問に答えてあげても良いだろう。

思えば、質問を質問で返してるからな...住む世界が違えば今頃小学生に質問に質問で返すなって怒られていたただろう。

 

「俺は学校には行く予定だったんだ。だけど途中で面倒くさくなっちまってな。あっ、勘違いするなよ?ちゃんと最低限の出席数は取れるように何日休んでいいか計算はしてるんだ。」

 

「お兄さん....不真面目なのか真面目なのかよく分からないね.....。」

 

彼女は首を傾げて純粋に分からないと言った表情をする。

...確かに、計算なんて七面倒臭いことしてるのになんで学校一つ行けないんだろう?

そう考えると、矛盾しているよなぁ。

日数計算する労力使うなら学校行けやってなるな...はぁ。

少し心中で肩を落としていると、彼女はその言葉を言った後に続けて笑顔を俺に見せる。

 

「それならっ!お、お兄さん....私と、遊ばない?」

 

「...えっ、その歳で逆ナン?」

 

「ぎゃく...なん?」

 

どうやら分からなかったようだ。

いや、別にいいんだ。

本気で言ったわけじゃなくて冗談だから。

ただ冗談だからこそ、首を傾げられるとなんかスベッた気分になるだけで。

 

「さっきも言ったけど、初対面の年上男と遊ぶなんて、無防備にも程がある。遊ぶの意味を恣意的に曲解してくるような変態男だったらどうするんだ?」

 

それに正直俺にその気はなくても、周りの住人とかに高校サボってそうなちゃらんぽらんとランドセル背負った女児が遊んでいる様なんか通報モノでしかないだろう。

すると、目の前の少女は首を傾げて曇り気のない目で俺を見ている。

 

「お兄さん...変態さんなの?」

 

「えっ、違うけど....。」

 

俺別にロリコンじゃないし....。

ていうかその問はあまり意味がない気がする。

マジモンのロリコンでもロリコンだよと馬鹿正直に答えるわけがないし。

しかし、彼女は満面の笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「それなら大丈夫!お兄さん話してて分かるけど、悪い人じゃないよっ!遊んで!」

 

「....君、やっぱりナンパ師なんじゃないの?」

 

「なんぱし....?」

 

また首を傾げられる。

ナチュラルに面と向かって笑顔で人の事を良い人と言える辺り、普通に人たらしな気がするのだが...

これが魔性って言う奴か?

将来が末恐ろしい子だ。

ただまだナンパ師の意味は分かってないんだな。

....分かってないんだよな?

 

「...まぁ、少しだけなら良いよ。」

 

今は別にやることもない。

することと言えばまるで職を失い、家に帰ることも出来ずに途方に暮れるだけのサラリーマンのようにベンチで時間を無為に過ごすことだけ。

であれば、彼女と少しくらいは遊んでやるのも良いだろう。

色々あったし、童心に還るのもやぶさかではない。

 

「ほんと!?やったー!!」

 

彼女は俺の言葉を聞くと、跳ねるように喜んだ。

まぁ、ここまで喜んでもらえるなら悪い気はしない。

まぁ通報された時はされた時だ。

別段サボり以外ではやましいことはしていない。

ただこの年代の子と公園で遊ぶとか何するんだ?

良く分からん。

 

 

 

 

 

 

公園で彼女の遊びに付き合いだして大体一時間程度は経っていた。

なんか砂場で俺がネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲作ってみたり、彼女の作ろうとしているお城とやらの手伝いをしたり、シーソーをやってみたり。

ジャングルジムに昇りだした時には、この子将来アイドルになりたいのかな?透明だった私達になるのかな?とか馬鹿なことを考えながらも手伝ってやった。

 

考えてみればこの歳になって身体を動かすことなんて体育とか以外にはあまりない気がする。

俺が彼女くらいの年は村で自然豊かだった為、野山を駆けまわったりしたっけ。

なんだか懐かしいし郷愁を感じ....ないな。

やっぱ村に戻りたくないよ。

奴に出会う前ならやぶさかではないが、村も勇者が云々とかで面倒そうだし。

こんなことなら知りたくなかったよ....。

 

今はブランコに乗っている彼女の背中を押していた。

子どもが出来たら父親としてこういう事やるのかなぁ?

...でも、最近はスマホとかあるから外で遊ぶ子が少ないのかもしれない。

 

「それでねー!真門お兄ちゃんがねー!私の代わりにゲームしてくれるの!それで真門お兄ちゃん負けないの!」

 

「ふーん、凄いんだな。そのお兄ちゃん。」

 

ブランコに揺られながら彼女は自分の話をする。

親の話や学校の話はまったくと言っていい程しないが、そのお兄ちゃんの話は結構饒舌に話すらしい。

なんでも優しくてゲームが強いらしい。

彼女の本当の兄か、それとも近所の気さくなお兄さんなのかは分からないがゲームがどうのこうの言っているし、今日もそれで仕事だと言っているらしいのでもしかしたらe-sportsプレイヤーなのかもしれない。

だとしたら、本当に凄い話だ。

俺はゲームは好きではあるが、得意ではないから。

 

彼女にも心許せる大人が居ることに少しほっとした自分が居た。

まぁ彼女の名前も知らないのだから、どの面でと言った話ではあるが。

なんでもその真門お兄ちゃんとやらはカラスやらなんやら用意して戦っているらしい。

なんだろう、ポ〇モン的な何かかな?

育成ゲームは苦手なんだよなぁ....。

 

「うん!私、大好きなの!」

 

彼女は満面の笑みでそう言った。

なんか....あったかい。

楽しそうな子を見ると、心が安らかになる。

最近色々あったしな....こんな穏やかに過ぎる時間もあって良いだろう。

 

「あっ...、でもお兄さんも遊んでくれるから真門お兄ちゃんの次くらい好きだよ!」

 

「あ~、はいはい。ありがとありがと。」

 

俺は彼女の言葉を流しながらもブランコを押し続ける。

彼女なりに気を遣ったのだろうか?

別にさっき出会ったばかりの子にどう思われようが極論どうでもいいのだが、そこらへん気遣う辺り良くできた子だなとは思う。

パパとママどっちが好きと聞かれて迷って答えられないタイプの子だ。

でもそう言う子は色々溜め込みやすいと聞くしなぁ。

 

そう思っていると、ピロピロと可愛らしい着信音が聞こえてくる。

生憎と俺の携帯電話ではない。

すると彼女はランドセルを開けると携帯電話を取った。

ランドセルが空な辺り、本当に行く気なかったんだな....。

 

「あっ!お兄さん!うん、今優しいお兄ちゃんに遊んでもらってるの!...うん!うん!分かった!」

 

...なんだろう、これ大丈夫か?

なんか誘拐情報で誘拐される直前の子供が言っていた内容みたいになってるんだけど。

クソ怪しいでしょその優しいお兄ちゃん、どこの誰だよ。

俺だわ。

ただでさえ周りをちょくちょく見やるくらいビクビクしているというのに、俺の心臓はバクバクと鼓動を早くしていた。

頼む...勘違いしないでくれぇ.....。

 

そう祈っていると、彼女はこちらを振り返った。

そして笑顔を向ける。

 

「それじゃ、真門お兄ちゃんが家に帰ったみたいだから、私お家に帰るね。また遊ぼうね!」

 

「ん~、まぁまた機会が合えばな。」

 

ただ俺も毎日公園に居るわけでもないし、彼女にも色々あるだろうからまた会う可能性なんてないに等しいとは思うが、同じ街に住んでいるしすれ違う程度はあるかもしれない。

まぁその頃には彼女は俺のことなど忘れてるかもしれないが。

だからこそ、軽く彼女の言葉を流す。

しかし、彼女は目を輝かせて小指を差し出してくる。

 

「約束だよ!ほらっ!ゆびきりげんまん、嘘吐いたら針千本のーますっ!指切ったっ!それじゃ、またね。」

 

「あぁ、またな。」

 

彼女と指切りをする。

そして彼女は指切りをすると、手を振って公園から出て行く。

後に残されたのはまたブランコの後ろに立ち尽くす俺と、彼女の砂の白に隣り合うように屹立するネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だった。

 

約束....か。

小さいころは俺も簡単に約束をしたものだ。

指切りだって腐るほどした気がする。

いつからだろうか、約束をすること自体を避けるようになったのは。

約束はした以上は守らなければいけず、とても面倒な物だ。

 

そういうことをすること自体、避けるようになっていた。

出来そうにない約束はしない方が気が楽だ。

だからこそ、会える可能性も低い彼女との約束はあまり自分らしいとは言えなかった。

...まぁ、彼女を悲しませない為の優しい嘘ということで自分の中で結論付けておこう。

どうせ今更言った所で意味もない。

学校に行かないのであれば家に戻ってしまおう。

 

俺も公園の敷地内から出ようとする。

そんな中、ある物が目に付いた。

 

「なんだこれ....シミ?」

 

公園のとある一か所。

そこにポタポタと黒いシミが地面に染み込むように残っていた。

なぜだか見ているだけで胸騒ぎがする。

どうしたんだ?動悸・息切れか?

まだ俺はティーンエイジャーなのでそんなことで思い悩む歳ではないはずなのだが...。

漠然と忌避感を感じながらも、俺はその場を逃げるように後にした。

まったく、なんだっていうんだ。

 

 

 

 

 

家に帰ると、目の前にネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲のプラモが目に入る。

やっぱいつ見ても完成度たけぇなぁ、オイ。

しかし、なぜかいつも以上に今日はこの大砲に目を奪われる。

確かに好きだが、ここまで俺のネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲に対する好意は妄執じみていただろうか?

 

ん?大砲....大砲....?

何故だろう、無性に何かしなければいけないような気がする。

大砲....そう、なんか大砲について.....。

そう思ってテレビの方に目線を移すと、その理由がはっきりと分かった。

なるほど、そういうことか。

 

テレビに向かっていき、前に座る。

そしてコントローラーを握ってゲームを起動した。

 

『私が大砲よ。』

 

そう、俺がさっきからネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲、つまりは大砲に固執するわけ。

それは身体が闘争を求めるように、今日一日ずっと求めていた物。

そうだ....。

 

「俺が....俺こそが、大砲だ。」

 

俺自身がネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲になろうとしていたのだ。

だが、俺は普通の人間。

ならばこそ、FPSという修羅の世界に自ら飛び込んでいこうというのだ。

....なんか自分でも少し違う気がしたけど、まぁ楽しいし良いや。

俺は思考を放棄すると、さっそく撃ち合いを始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうやだぁ~、今日は何も考えたくないぃ~。」

 

「弱音を吐くな!貴様が私に言いだしたことだろ!!」

 

一日の始まり、爽やかな朝。

だというのにベルフェゴールはグロッキーになりながらも、バタバタと駄々をこねる子供のように足をばたつかせる。

それに対して、ガブリエルは諫めるも彼女も額に冷えピタを付けて目元に隈を作っていた。

 

「だって、寝てないしそれに私がどんな案出してもダメって言うじゃん!じゃあもう私居なくてもいいよねぇ?そこんところどう思っているのこの水かけ天使!!」

 

「貴様がまともな案を出してりゃ良い話だろ!なんだバニーから逆バニー、ネグリジェと貴様は拓人を女装させないと気が済まないのか!?何考えてんだお前!!?神経疑うわ!!!」

 

四六時中宿主の武器や装備の案を考えていたせいでどうにもピリピリとした空気が流れる。

すると、ベルフェゴールはニヤリと笑みを浮かべる。

 

「にへ、にへへへぇ....もういいもん。そこまで邪魔するならガブちゃんもダルダルグデグデにしてやるんだから....」

 

「あっ!貴様まさか!!!」

 

ベルフェゴールはどこか仄暗い雰囲気を纏いながらゆらゆらとしだす。

するとガブリエルもその異変から彼女の意図を察した。

ベルフェゴールは高らかに声を上げて、地団駄を踏んだ。

 

「腐れ堕ちろ...<堕落庭園>!!!」

 

踏みつけた足と共に、灰のような物が地表を撫でる。

辺りの視界は暗くなり、光源の発する光は紫色へと変化する。

地面には黒い線のような物が這いまわっており、その線は目にすると嫌悪感を抱かせる。

ガブリエルは身体が重くなるような感覚を感じながらも、彼女を睨みつける。

 

「お前...やったな!こんな所で権能使って何になるんだ!!」

 

「ガブちゃんもやる気なくして寝ちゃえばいいんだよ。今日はお休みの日!これから毎日床で寝ようぜぇ?」

 

ベルフェゴールはガブリエルを誘惑する。

しかし、ガブリエルも笑みを浮かべる。

 

「この私が勤勉の天使であることを忘れたか.....。このッ...程度,,,,破ぁ!!」

 

そう言うと、彼女は腕を広げる。

すると、身体から金色のオーラが噴き出し、纏わりついてた灰のような物を吹き飛ばした。

そんな様を見て、ベルフェゴールはヘラヘラと横たわりながら言葉を続ける。

 

「まぁ、やっぱりそうなるよねぇ~。今日くらい休んでも誰も文句は言わないのにぃ~。」

 

「いつ拓人が巻き込まれるか分からんからな。貴様こそ私に妥協するなと言ったことを忘れたのか?貴様の権能など効くか....天界生まれを舐めるなよ?」

 

ガブリエルはドヤ顔で目の前の悪魔にそう言い放つ。

すると、その瞬間ある声が耳に入った。

 

『なんか急に怠くなってきたなぁ....、今日サボるか。』

 

「な、なにっ!?た...拓人!?」

 

ガブリエルはふと聞こえて来た少年の呟きに驚き、彼を見る。

そこにはあからさまに覇気のない顔をした少年が踵を返してフラフラと公園に足を向け始める。

 

「なっ...何をしているんだ拓人!せっかく制服にまで着替えたんだぞ!?朝まで普通に行く気だったじゃないか!!....まさか....。」

 

さっきまで普通に学校に行くつもりだった少年が何故か活力を失っている。

そして直前に起きた出来事。

そうなればこの事態の原因はガブリエルには一人としか思えなかった。

ベルフェゴールの方に目を向ける。

すると、彼女は目を泳がせながらも舌をペロッと出した。

 

「....エヘッ☆」

 

「しばきまわすぞ貴様....。」

 

ガブリエルは度し難いと言わんばかりに彼女を睨みつける。

しかし彼女は悪びれずに笑っていた。

 

「いや~、拓人ちゃんも今日はキツイキツイみたいだしさぁ、ガブちゃんも休んじゃおうよぉ。あっ、ちなみに意図的じゃないよ?ただちょっと考えてなかったって言うか....。」

 

「貴様が結界を形成したせいで、拓人のやる気がなくなったじゃないか!ここは拓人の心中なんだぞ!!あぁっ!拓人!学校にちゃんと行くんだ、親御さんが学費を払っているんだぞ...?それに勤勉である私の宿主が怠惰なんて他の天使に示しがつかんではないか....、ほら行って!行きなさい!...頼むよ行ってよ!!」

 

悲痛に叫びながらも拳を握りしめて拓人に声を掛け続ける。

そんな様を見て、ベルフェゴールはガブリエルに声を掛ける。

 

「いや~悪いねぇ。後の事は全部任せるから、頼んだよぉ~。」

 

「お前は黙ってろ。そう、そうだ...。もうこの際公園で少し休んでも良い。...遅刻しても良いから学校行こう?学生の内は学ぶことが仕事。勤勉に生きることが人が幸せに近づくための第一歩なんだよ?」

 

まるで子供に言い聞かせるような口調で拓人に話しかける彼女。

その体からはさっきのように金色のオーラが微々たるものではあるが発されている。

段々と口をガン開きにしてアホ面晒していた彼の顔が引き締まっていく。

活力が戻っていってるのだ。

 

「よしっ!イイぞ!...後ろの馬鹿が何度やる気をなくさせても、私がやる気スイッチ入れなおしてやるからな

.....なんだこの小学生!?」

 

やっと拓人がやる気を取り戻そうというタイミングで一人の幼女が話しかけてくる。

彼女は拓人と何故学校に行ってないのかなど質問をしており、拓人も彼女の相手をし始める。

そんな様子を見て、ガブリエルは珍妙な声を発した。

 

「わぁ、結構可愛い女の子だね。それにランドセルも背負ってるし、ロリコンからしてみれば一級品の獲物なんじゃないかなぁ?」

 

「貴様の見た目でロリ云々言われてもブーメランでしかないぞ。それに、その歳で学校に行ってないなど...嘆かわしい。親は何をしているんだ!」

 

「ブーメランなのはガブちゃんも変わらないでしょぉ?」

 

目に見える光景に激を飛ばすガブリエルに呆れた視線を向けるベルフェゴール。

そして、拓人は自身もサボっている事の罪悪感を抱きながらも彼女に対して無防備であることへの注意をする。

 

「...拓人ちゃんはロリコンじゃないからねぇ~。幼女は守備範囲外だからそこら辺は安心なんだねぇ。」

 

「...私は姿形は幼女ではあるが、厳密に言えば数千年以上前から存在する為にロリではないぞ。」

 

「えっ...聞いてないけど。いきなり何?」

 

どこか拗ねた様子でそう言い始めるガブリエルを訝し気に見るベルフェゴール。

しかし、ガブリエルは彼女の言葉を無視して、その少女を見て口を開く。

 

「それにしても...この女児.....。この感じまさか.....」

 

「...うん、多分強欲の息がかかってるんじゃないかなぁ。七つの大罪はお互いに引き合う性質を持つから。ただ多分、...この子はもうダメだね。」

 

ベルフェゴールはあくまで笑顔を崩さずにそう言う。

しかし、ガブリエルはあまりそのことには関心がない様子。

 

「...私は極論拓人が無事であればどうでもいい。しかし、貴様....まさか他の七つの大罪と拓人を接触させるために....」

 

ガブリエルはベルフェゴールを睨みつける。

しかしガブリエルはヘラヘラしながら首を横に振った。

 

「違う違う!私、もうそういう面倒臭いのしたくないのぉ~。だってこんな住み心地の良い場所で何もしなくてもいいんだよ?こんな理想的なニー...封印生活、手放したくないなって。」

 

「...まぁ貴様はその心配はないか。...だが、まずいな。拓人自身はこの小学生に対して好印象を抱いてるっぽいぞ....駄目だ、拓人。その子は厄ネタだ....!本当に面倒なことに巻き込まれてしまうぞ...っ!」

 

「なんか拓人ちゃん小学生に逆ナンパされてるぅ~。これもしかして分かってて知らない振りしてるのかなぁ、そうだったら良いなぁ。ロリおにとか業が深くてたまげたなぁ....。」

 

ガブリエルは他の七つの大罪に関わることを危惧して深刻な顔で拓人に訴えかける。

対照的にベルフェゴールは呑気に自分の願望をぶちまけながらたまげていた。

しかし、ガブリエルの懇願も虚しく。

 

『...まぁ、少しだけなら良いよ。』

 

「拓人ォ!?」

 

「あはは...下手にやる気スイッチ入れたせいで変な所で発揮されちゃったねぇ。もっかい庭園しようか?」

 

「喋んな。....。拓人...私は悲しいよ....。」

 

彼女がそう聞くと、ガブリエルはそっけなく返しながらもがっくりと肩を落とした。

 

 

 

拓人が彼女と遊び始めて数分。

今は拓人がブランコに乗っている幼女を後ろから押していた。

ふと思い立ったかのようにベルフェゴールが言葉を口にする。

 

「..ねぇ、ガブちゃん。あれ多分ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だよね?砂場にあるの。お城の隣に立っているからシュールだね。」

 

ベルフェゴールがそう言うと、ガブリエルはどこか疲れた様子で言葉を吐く。

 

「...傍から見たら幼女に男性器に模した砂の像作って見せてるみたいに見えるな。」

 

ガブリエルは死んだ目でそう言うと、ベルフェゴールはニヤニヤと笑みを浮かべながら言葉を口にする。

 

「えぇ~?男性器ぃ~?アレはネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だよぉ?それ以下でもそれ以上でもないんだ。まったく田舎天使はスケベなことしか考えないんだねぇ...。あだっ!?なんで叩くのぉ!?」

 

「言葉で返す元気がないから拳で返してやった。私は悪くないもん。それと田舎天使じゃないもん、大天使だもん....。」

 

死んだ魚の目をしながらも、彼女は拳を握りしめている。

そして、そんなガブリエルを他所に小学生女児と拓人は穏やかな時間の中、世間話をしていた。

 

「本当に休んだ方が良いんじゃない?最近根詰めすぎなんだって!」

 

「...あのガ..女児が真門お兄ちゃんとか言ってるけど、アレ確実にマモンじゃん。強欲の悪魔で確定じゃん。もう巻き込まれるのも時間の問題だよどうするんだよまだ武器もどうするか決めてないんだぞ!!!あぁっ~~~~!!!」

 

畳みかけるようにしゃべくりながらも頭を抱えるガブリエル。

すると、ベルフェゴールはあっと声を漏らしながら手を叩く。

 

「そうだ、あんだけ拓人ちゃんあの大砲が好きなんだからあの大砲作ればいいんだよ。」

 

「...貴様、私にあんな猥褻物を作れというのか?それに、あんなもの見たら絶対に笑われるぞ....拓人にはカッコいい物を持たせるんじゃなかったのか?」

 

ガブリエルはベルフェゴールを睨みつけながら言葉を吐く。

しかしベルフェゴールもにこやかに答えた。

 

「でも、確実に拓人ちゃんは気に入るよ。カッコよさなんか服が良ければ良いんだよ。それとあれは猥褻物じゃなくてネオアームストロングサイクロンジェッ....」

 

「分かった分かった!例えばアレを作ると仮にしよう!でもなぁ、私達は大砲の構造は良く分からないだろうが!どうやって形作る気だよ!!」

 

ガブリエルは彼女の言葉を遮りながらもそう彼女に尋ねる。

すると、彼女は笑って答えた。

 

「どうやってって...そりゃ拓人ちゃんに大砲の仕組みとやらを見てもらえば良いんだよぉ。」

 

「だからどうやって!!?貴様はいつもそうだ!言うだけなら簡単で面倒な所は全て私....」

 

「いや、拓人ちゃんの無意識に語り掛けて行けば良いじゃん。なんでそんな今更.....。」

 

ぐちぐちとベルフェゴールを詰ろうとするも、彼女は呆れた様子で彼女にそう言う。

すると、ガブリエルは暫く考え込んだ後に口を開いた。

 

「...そんなこと、可能なのか......?」

 

「えっ、うん。いっぱい念を飛ばせば結構まちまちだけど....えっ、なに?今まで知らないのに拓人ちゃんに語りかけたりしてたの?」

 

「う、うん....。貴様の庭園や私の勤勉くらいしか干渉できないと思ってて.....。」

 

今まで知らなかった事実にガブリエルは今まで知らなかった事実に唖然としながらも、素直に頷く。

ベルフェゴールはそんな彼女を見て、苦笑いを浮かべた。

 

「そ、そうなんだ....知らなくてアレとか私が驚きだよぉ....。」

 

「だが、それなら簡単な話ではないか!拓人はそのネオアーム...なんちゃら砲に随分とご執心だ。私達二人で念を送ればきっとそのネオアー...猥褻砲の構造を調べさせることだって可能のはず!よくやったぞ怠惰よ。」

 

そう胸を張って言うガブリエル。

そんな彼女にシラーッとした目線を向けるベルフェゴール。

 

「...知らなかった癖になんで偉そうなんだろ?それと猥褻砲なんかじゃないよぉ。ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲はネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だ、二度と間違えるなクソが。」

 

「い、今知ったから良いのだ!...というか、何いきなりキレてるんだよ....こわ....。」

 

目が据わった状態で捲くし立てる彼女に若干の恐怖を覚えるも、ガブリエルは拓人の方に目を向ける。

すると、今まで話している間にもう拓人は帰宅しようとしていたらしい。

 

「よし、では今から自宅に帰れば私と貴様二人で大砲について調べるように念を送り続けるぞ!良いな!?」

 

「えぇ~、私もぉ~?....分かったよぉ、やればいいんでしょぉやればぁ~。」

 

グデグデしながら自分もしなければならないのか聞くも、ガブリエルに親の仇の如く睨みつけられた為、従うことにしたベルフェゴール。

そんな彼らを他所に、拓人は家に入る。

その瞬間、ガブリエルが声を上げる。

 

「拓人!ネオアーム....大砲好きだろ!棚にも飾ってあるそれを見ろ!そして構造について調べるんだ拓人!出来る!出来る!お前なら出来る!」

 

「...拓人ちゃ~ん、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だよぉ~。棚に飾ってある奴だよぉ~。」

 

必死に拓人を促すガブリエル。

形だけでも彼に見るように促すベルフェゴール。

すると、拓人は棚のネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲のプラモを不思議そうに眺める。

その様子を見て、ガブリエルは顔に喜色を滲ませる。

 

「行ける!これは行けるぞ...これで、何もない所から徹夜して武器を考えたり、横の馬鹿のふざけた原案に頭を悩まされることもないんだなって....。うぅ....。」

 

「ちょっと酷くなぁい?流石に私でも泣いちゃうぞぉ?」

 

「普段から泣きたいのは私だ....。」

 

ベルフェゴールはジト目でガブリエルを見る。

それに、ガブリエルもジト目で返す。

しかし、それどころではないと二人は拓人に視線を戻す。

 

「そう!それです....。拓人ももし使うことになったら好きな武器が良いでしょう?それにはお前の協力も必要なのです。今からパソコンの前にでも座って大砲の構造について調べなさい....。」

 

「なんで天使モードなの....。まぁ取り敢えず拓人ちゃぁ~ん、大艦巨砲主義だよぉ~。勇者が云々とか杜宮ちゃんとか面倒な物は全部吹き飛ばしちゃお~!」

 

ガブリエルはまるで神託を告げるかのように丁寧な口調で目を閉じて、拓人に念を送る。

そんな彼女の様子の変わりようにドン引きしつつも、ベルフェゴールも拓人に念を送り続ける。

 

すると、何か納得した様子でテレビの方へと目を向ける。

そしてゆっくりとテレビの脇に行き始める。

 

「なっ、違います。私が言っているのはパソコンの前なのです...。拓人....、聞こえていますか?パソコンで大砲について調べなさい。そうすれば、あなた自身が大砲を使うことが出来るのですよ?分かりますか!?」

 

「あぁ~、イイなぁ~私もゲームしたいぃ~。」

 

ベルフェゴールが彼が起動したゲームに気を取られて間、ガブリエルは天使然とした態度を崩していつもの様子で彼に声を必死に懸ける。

しかし、無情にも彼はゲームを起動してソファに座り込む。

コントローラーを握りしめて今にも始めそうだ。

そして、拓人は口を開く。

 

『俺が....俺こそが、大砲だ。』

 

「おい....どういうことだ、話が違うじゃないか.....っ!」

 

ベルフェゴールに詰め寄るガブリエル。

しかし、彼女は微笑を浮かべつつガブリエルの言葉に答える。

 

「えぇ~、結構まちまちって私言ったよォ~?念を飛ばしたからって拓人ちゃんが望み通り動いてくれるわけじゃないんだよぉ。それなら普段から私は見たいアニメとか動画見れてるわけだしぃ...。多分大砲云々言ったせいでバン〇〇ールが頭に浮かんだんだろうね。」

 

「そんなバカなこと....くそっ、貴様を見直した私がバカだった。」

 

「あっ、見直してくれてたんだ。」

 

目を丸くするベルフェゴール。

しかし、ガブリエルは肩を落とすと横になりだす。

 

「あれ、もう良いの?」

 

「あぁっ、もう...疲れた。今日は寝る。武器云々はまた明日考える....はぁ.....。」

 

畳にうつ伏せになりながら溜息を吐くガブリエル。

そんな彼女を見て、ベルフェゴールは彼女に声を掛けた。

 

「ごめんね、なんか期待させちゃったみたいでぇ....。じゃ、私は拓人ちゃんのプレイングでも見てようかな....。あっ、死んだ。」

 

「勝手にしろ.....。」

 

そうして一人の天使は一日の活力を使い果たし、反対に悪魔は未だ余りある活力をダラダラとゲームを観賞することに費やし始めるのだった。




おかしい....住所特定ヤバ女の霊圧が...ない....!?
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