エイリアンだって、ゲームしたい! 作:緑スライム
「敵が七に空が三! 敵が七に空が三!」
喉も裂けよとばかりに叫ぶ、鳥人。
醜悪なる異形なる者達が、その大陸のたった1つの街を囲んでいた。
「神よ……!」
「ここまでなのね……!」
街を守る塀の上に立ち、大仰に悲しみの声を上げる、王と王妃。
「俺達は、まだ負けてねぇー! ヴォルフ騎士団、全員構えー!」
「おおー!」
「行くでござるよ、黒羽忍者団!」
「行くぜー!」「ござるござるぅ!」
「私達も、参りますよ」
「はーい!」「これで終わりか、さびしぃー」
様々な格好をしたエルフに人族、鬼族、獣人が諦めずに歩を進める。
しかし、異形なる者達の地平線がぐわりと膨らんだ。
見上げるほどの、大怪獣のような魔物が、今にもレーザーを撃たんとする。
「あれぞ、滅びの光よ!」
「貴方……最後は一緒よ」
「おわた」
「おわた」
「せめて最後はまともに相手してくれよ……」
「あーんっ 皆さよならー!」
「ええい、最後だ撃て撃てー!」
王と王妃がそっと寄り添い、民が錯乱したその時。
一条の光が、大怪獣を貫いた!
「へ?」
王と王妃は目を点にする。
『もう大丈夫だ! 救ってやるぞ、魔法使い殿!』
現われたのは、大きな円盤だった。まさしく、UFOのような。
「はぁ?」
その言葉に、王と王妃は困惑する。
民は大喜びで、固唾を呑んでイベントの推移を見守る。
「エイリアンだ! 俺、フラグ立てた!」
「私も!」
「これは次回作来たか!?」
王は、困惑したままふわりと浮かんで、手をメガホンの形にして叫んだ。
「すみませーん! ここ、私有地で今、皆で演劇遊び中なんですけどー! どなたですかー!?」
『!?』
「!?」「!?」「!?」「!?」「!?」
UFOは、ふよふよと留まる。
先程まで地を埋め尽くしていた魔物は、ふっと消え去った。王妃もそれと共に消える。
「トラブル?」
「私有地って言った?」
「これ、ゲームじゃねぇの?」
ざわざわざわと、ざわめきが走る。
『……失礼致しました。このゲームはどこで参加募集してますか?』
「すみません、今日が最後なんです。うまくゲームシステムが構築できなくて」
『技術情報は頂けますか? 改善のお手伝いなど出来るかもしれません』
「無理です」
『新たなゲームは予定していますか?』
「未定です」
ここで、国民からブーイングと悲鳴が上がる。
『類似のゲームはやっていますか?』
「我が社だけですね」
『もしかして、この星全体が私有地なのですか? 本拠地は別に?』
「もちろんです。この星は我が社の保有する遊技場です」
『本拠地はどこですか?』
「初めて会った異星人には教えられません」
『素晴らしい技術ですね』
「ありがとうございます」
そんな事を話していると、スピーカーから何事か口論する声が聞こえた。
『すみません。つい、話が逸れてしまいました。実は、私達は宇宙船が故障して困窮しているのです。助ければ、助けて貰えるなどと考えていました。できましたら、貴方方がお使いの宇宙船など貸して頂けますか?』
「ええ……。弱ったなぁ」
王様は、頭をガリガリと掻く。人々は、固唾を呑んで見守っていた。
「ちょっと相談します。何か、なくて困る物資とかありますか? 食料品とか、簡単な物なら融通しますが。口に合うかどうかは自己責任、と言う奴で」
『ありがとうございます。既に貴方方の食べ物や植物、液体を調べたのですが、食べられませんでした』
王様は、頭をガリガリと掻いた。
「全部偽物です。この惑星は本当は岩の塊ですから。食事と水ぐらいは……あー。一トン二トンの世界ですよね。なら、それも許可が必要です。期待せずに待っててください。どうせ今日で終わりですから、滞在は許されると思います」
そうして、王様は国民……いや、プレイヤーの方に振り返った。
「そういうわけで、申し訳ありませんが。ゲームはこれにて終了!」
王様がパンッと手を叩くと、プレイヤー達ははじき飛ばされた。