エイリアンだって、ゲームしたい!   作:緑スライム

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宇宙船! 宇宙船!

 

「もうダメだ。明日にしよう」

 

 夜も遅くなので、ひとまず律くんに告げて、帰宅する事にする。

 帰宅といっても同じビル内なのだが。

 ふと会社の外を見ると、なにかスーツの怖い人達が張っていた。

 

「政府の方たちがアポを取りに来ているようですね。いかがなさいますか?」

「仕方あるまい。明日の昼食後にテレビ会議の準備を整えてくれ。明日から通常営業にするから、そのつもりでいてくれ。ではお休み」

「かしこまりました。ゆっくりおやすみなさいませ」

 

 翌昼、思い切り伸びをする。

いい朝だ。もう昼だが。仮眠室にあるシャワーを浴びて身支度を整えると、社長室に行く。いつもどおり、律くんが待機していた。

 

「律くん。弁当を用意してくれ」

「かしこまりました」

 

 食事を食べて、コーヒーを飲んで頭を覚醒させ、律くんから要件の書かれた書類を受け取る。ふむふむ。支社を設備ごと買い取りたいと。技術移転の話もあるな。話にならん。

 後は、政府のログイン優遇の要望か……。事業の援助の申し出もあるな。具体的には政府の選抜チームの運営受け入れである。どうしてどいつもこいつも、自分達の方が上手くやれると思うのか。私はこの星で唯一の魔法第一人者だと言うのに。

 醒めた眼で律くんに合図を送り、テレビ電話をつける。

 

『宇宙船を発注したい!』

 

 迫力のある金髪の男にどーんと要求される。

 

『いくらだね? いくらだね! 何を望んでいるのかね!』

「え、えっと……? 宇宙船かね。作ろうと思えば作れるがね。そちらが思っているのとは違うと思うが」

『惑星間航行が出来れば後は問わない! ワープ型でもなんでも!』

「試作品を譲っても構わんが……指導料と改造料、仕様書作成代金でこんなものか」

『ええっ 宇宙船がそんな金額で!? 車代ですか!?』

 

 日本人が横入りして悲鳴を上げた。

 

「もちろん、試作品の金額だ。2台目からはこんな感じだ。数にも限りがある。メイン部品の生成に1000年掛かるのでな」

 

 出した金額は、軽く100倍以上。

 

『はぇぇ。って事は、発注から1000年……?』

「いや。3年もあればフルカスタマイズで納入できる」

『買う!!』

『買います!!』

 

 その後の交渉は非常に……非常にスムーズに進んだ。

 ワンフロアだけ政府に貸し出しするだけで済んだ。

 

「社長……」

「なんだね、律くん」

「社員旅行は宇宙が良いです♡」

「珍しいね、律くんがそういう事を言うのは。でも考えておこうか」

 

 律くんにワンフロア政府に貸し出すという通達を頼み、今日も今日とてエイリアンの所に向かう。ゴーレム越しにロドニス艦長と会話した。

 

『あ、造里さん! 宇宙船を売るそうじゃないですか。後学のため是非見せて下さい! っていうか、その宇宙船で私達の星まで送ってもらうことは可能ですか!? あっアメリカ大使からは、是非送迎させてほしいとお言葉を頂いてます!』

「構わんが、位置を知られるのは良いのか?」

『そんなの送ってもらう時点で今更ですよ。それに、失礼ですが、そう攻撃力のある文明でもなさそうなので、交易用の惑星なら問題ないと判断しました!』

「そういう事なら、案内と宿泊・土産物・食事諸々の代金で請け負っても良い。秘書が社員旅行をしたいというものでな」

『やった!』

「規格が違うから、通信機などは移動させることになるかと思うが」

『それぐらい、問題ありません』

「ふむ。では、明日にでも引っ張り出すかな。仕様書は一週間徹夜すれば書き上がるだろうが……ふむ、ゲームの運営が留守になるな。律くん。何人か選抜して、臨時の運営になってもらえるかね?」

「は、はい! はい! かしこまりました、ご期待に添えてみせます!!」

 

 律くんが意気込みを表明する。うむうむ。

 

「予算は寄付の半額貰っただろう。あれでやりくりしたまえ。エイリアンも楽しめる素敵なイベントを企画したまえ」

「はい!!」

「することをまとめようか」

 

 律くんはさっと手帳を用意した。

 

「我社は今後も寄付を募り、その寄付の半額以内でエイリアンの望みを叶えようと思う」

「よいお考えかと思います」

「まずは帰宅プロジェクトと社員旅行。これは宇宙船に関しては私が手動して動く。家族も連れて行ってもいいが、健康診断をパスするのが絶対の条件だ。通らなかったものは旅行券を贈ろう。これらの手配は、律くん頼む」

「かしこまりました」

「次に、エイリアンの世話。これを頼んで良いかね? 追加で送りたいものがあればそのつどまとめて報告してくれたまえ」

「かしこまりました」

「最後に、半年ぐらいの期間を想定して企画を作ってくれたまえ。資料室の鍵は渡すから、出来るだけ自分達で疑問点を解消して欲しい。これについては、完全に一任する。外部の協力を募っても良い。残業代は適切に処理するように。律くんの仕事が増大するからね。残業代とは別に追加ボーナスをこれくらい。他の社員のボーナスは律くんの判断で適切に。困ったら相談に来てくれ。話し合いは一日一時間。明日からにしよう」

「かしこまりました!」

「り、律くん!? 泣いているのか!?」

「失礼いたしました。嬉しくって……。必ずやご期待に添えてみせます」

「頼んだよ。うーんしかし、ワープを二回して失敗しているのがなぁ……。力技でぐわっとテレパシーを広げて……いや、時の魔法で……どちらにしろ、触媒を使うな……占いにするか」

 

 私は、喜んで走り去る律くんを見なかったことにしてあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやったわ―――――!! ついに! ついに私の手に企画書の作成権が!!」

 

 苦節3年。社長に仕えに仕えた甲斐があった!!

 私は早速資料室を開ける。

 

「これが……これがエイリアンのテクノロジィィィィ!!」

 

 資料室に入った私を出迎えたのは、SFチックというよりはスーパーファンタジーチックな内装の部屋だった。

 

 魔法陣に、水晶玉。浮かぶ惑星の映像などはSFっぽいけど。

 まあ、SF(スペースファンタジー)だろうが、SF(凄く不思議)だろうが構わない。

 どちらも興味深いことに変わりはない。実際に私達でも使える技術であることは証明されているのだし。

 こうしてはいられない。早速皆を呼んで、会議を開かないと!

 

 事務のメンバーを呼ぶと、お祭り騒ぎだった。

 こういう事に興味のあるメンバーばかりだから、当然と言えよう。

 みんな、虎視眈々と機会を狙っていたのだ。

 

 一応、社長も社員と共同で作り上げる準備をしていたのか、書きかけの仕様書が見つかった。途中で投げ出したっぽい。願わくば、その時点で丸投げしてほしかった。

 喜んでサポートするのに。

 

 ふむふむ。魔石にコア、ゴーレム技術ね。

 あっ 生産システムとか、色々考えてくれていたのね……。書きかけの論文がこんなに。

 一時間のミーティングの時間まで後17時間。それまでに質問くらいはまとめておきたい。

 

 

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