エイリアンだって、ゲームしたい! 作:緑スライム
『こちらロドニス。帰投が遅れてすまない。トラブルが起きて、異星人の宇宙船を買い取って戻ってきた』
「ロドニス殿下! よ、よくぞご無事で……!! 宇宙船? 宇宙船ですか?」
ザワザワと声が上がる。
戸惑いの声を上げるのも無理はない。
通信機の出現元は、何度調べても木である。大樹である。倒木である。宇宙にプカプカ浮かぶ有機物である。
変わっている、いつも遊び呆けているロドニス殿下の悪ふざけの中でも、これはピカイチだ。
『見た目は変わっているが、良い船だ。向こうで出来た友人達もいるので、降下艇を下ろしたい。道を開けてもらって良いだろうか』
「は、はあ……」
言われたとおり、空間をあけると、浮かぶ大地が出てきた。
浮かぶ大地が出てきた。重力の法則完全無視の、家を一軒乗せた大地である。
ざわめきは最高潮である。
度肝を抜いたその天空屋敷、そこから、半透明の翼を出した人間が次々と降下していく。
あ。1人ビルにぶつかった。なんとか無事に降りたようだが、大丈夫なのか。
「……迎えに行け。ロドニス王子をあのようなやり方で下ろすわけにはいかん」
「はっ」
嵐の訪れを予感し、巻き込まれないことを祈る管制官だった。
「魔法は本当にあったのだな!」
声を弾ませるのは、ロドニス殿下だ。
殿下は、追い詰められてなお、笑顔だった。
宇宙船の、よりにもよってワープ装置が何者かによって狂わされ、壊され、ここで息絶えるのかと思った時。
その惑星を見つけた。
一大陸にしか命がなく、それも終わりかけの惑星。
「彼らを助けるぞ!」
ロドニス殿下は主張する。このままでは、彼らは滅びる。自分達も滅びる。
でも、彼らと自分達、力を合わせれば、互いに未知の力でなんとかなるのではないか。
何より、最期にいいことをして死にたい。
王子の言葉に、乗組員達は気圧されていた。
その異星人たちは、異星人ながら美しく、また美しい異能力を使った。
まるで、はるか昔のおとぎ話のような。
そして、助けに行って驚くべきことを知らされる。
星1つを使った遊戯だったと。
見下していたら、自分達と同レベルの文明だったのだ。驚いた。
しかも、送り届けてくれるという。
夢実現社という会社の技術らしいが、とんでもないものだ。
星間通信及び操作を、リアルタイムで成し遂げる。これがどれだけ凄いことか!
しかも、大樹の宇宙船を用意し、占いなんかで我が星を突き止めてしまった。
造里さんは疑いようもなく大大大魔道士である。
ロドニス殿下の目は輝きっぱなしだ。
一度帰還して準備をしたら、地球に住むのだと宣う。
しかも、大樹の宇宙船を利用すれば自惑星の食事を大体用意できるので、実現性が高い。
ロドニス殿下の政敵達も、それを望むだろう。
なにせ、彼らは信じ難いが魔法使い。
科学技術はさほど優れていないようなのだから。
ロドニス殿下は毎日ゲームに勤しんでおり、ついこの間は魔王を倒したと自慢なされていた。宇宙船チケットの代わりに、社員として入社させてもらうのだという。
どうしたら、そこまでポジティブになれるのか、不思議でならない。
まあ、自分としてはロドニス殿下に仕えるのみなのだが。