「祝勝会!!!やりたい!!!」
トレセン学園内にあるチームカノープスの部室で歓声が上がった。
「はい、皆さんのここ最近の活躍を祝して開こうかと思っています」
チームカノープスのトレーナーを務める南坂は興奮してじゃれついてくるツインターボをあやしながら所属ウマ娘たちに説明した。
「おお〜!トレーナー太っ腹〜!最近アタシたち頑張ってたもんね。ご褒美♪ご褒美♪」
「うん!何がいいかな〜?ご褒美♪ご褒美♪」
「私は皆さんの希望に沿います」
あとメンバー3人も祝勝会と聞いてテンションが上がっている。
「やっぱり、お寿司?特上握り寿司を頼む?」
「ピザはどうかな〜?」
「ターボさんは何がいいですか?」
イクノディクタスの問いかけにツインターボは即座に答えた。
「流しそうめん!!!!ターボ、流しそうめんがしたい!!!」
ツインターボの案に他のメンバーは怪訝な顔をした。
「流しそうめんって真夏にするもんじゃないの?まだ4月だけど」
「昨日のテレビで見た流しそうめんはお花見でしてたもん!!!」
それを聞いて3人とも納得した顔をする。
今流行りのテレビドラマで流しそうめんのシーンがあったのだ。
ツインターボは昨日それを見て流しそうめんをやりたくなったのだろう。
「けど、流しそうめんをするには少し涼しくないかな〜?」
「今週末は快晴で7月並みになると聞いています。天候面では問題ないかと」
「う〜ん、私はいいけど〜」
「でしょ!みんなでやろうよ!流しそうめん大会!!!」
他の3人のウマ娘たちは互い顔を見合わせた。
反対というわけではないが、流しそうめんはそうめんを流すための準備がいる。
家庭用流しそうめん機なども売られてはいるが、ツインターボが言っているのは竹を割って作った流しそうめん台の事だろう。準備するのはなかなか大変だ。
「トレーナー」
ナイスネイチャがチラッと南坂の方を見た。
南坂は生真面目な顔で考えていた。
「わかりました。やりましょう」
南坂はニコッと笑った。
「やった〜!!!流しそうめん!流しそうめん!」
「トレーナー?大丈夫?」
はしゃぐツインターボから見えないようにこっそりナイスネイチャは聞いた。
「一応、日曜大工は出来ます。似たようなものを何回か作った経験はありますのでご安心ください」
「トレーナー、何気に色んな事できるね…じゃあ、私たちはそうめんや食器の買い出しとかするから、そっちは任せたよ」
「ネイチャ〜!!!早く!早く!そーめん買いに行こうよ〜!!!」
「あーい、あの子にはホント敵わないね〜」
やれやれと両手をあげてから、ナイスネイチャはツインターボたちを追いかけて行った。
週末、トレセン学園の庭の一角には立派な流しそうめん台が設置されていた。
「えっ!コレ、トレーナーが作ったの!!!すごいじゃん!!!」
最初にやって来たナイスネイチャの驚きの声に南坂はニコニコと説明した。
「許可!!!最近のカノープスの活躍は聞いている。ぜひ彼女たちをねぎらってくれたまえ!」
南坂が許可を求めに行くとトレセン学園理事長は即座に許可を出した。
「ありがとうございます」
「しかし、せっかく流しそうめん大会をするのなら、立派な流しそうめん台がいいのではないか。たづな!」
「はい、流しそうめん台を作る職人の方を手配しておきますね」
「というわけです。私はお手伝いをするくらいで、半分以上は職人の方々に作っていただいただけです」
「なぁんだ。こんなスゴイの1人で作ったのかとビックリしちゃったよ」
苦笑いする南坂に「けど」と続けた。
「トレーナーが作ってくれたのは事実じゃん。ありがと」
「ネイチャさんたちも買い出しお疲れ様でした。準備が出来たら早速始めていきましょう」
その後やって来たツインターボとマチカネタンホイザは流しそうめん台を見て歓声を上げた。
イクノディクタスは流しそうめん台の設計の巧緻さをレンズを光らせて解説した。
「皆さん、お箸は持ちましたか?」
そうめんを流すために台の上に立った南坂に4人は「おっけ〜!!!」と返事をする。
並びは上から身長順にイクノディクタス、ナイスネイチャ、マチカネタンホイザ、ツインターボの順だ。
南坂がそうめんをひとすくい分、流した。
「はい」「うりゃ!」「むん!」「うりゃーーー!!!!」
4人は声を上げながらそうめんをすくいあげていく。
「見て!見て!ターボ、たくさん取れた!!!どうだ!!!」
ツインターボは流れてきたそうめんを箸で掴んで誇らしげにかかげている。
「おおー!!ターボすごいね〜!」
「見事な箸捌きです」
「落とさないように気をつけなよ〜」
ツインターボは満面の笑みを浮かべて、そうめんをすすった。
「おいしい〜〜!!!すっごいおいしい!!!もっと!もっと、食べたい!!!」
「大丈夫ですよ。そうめんはたくさんあります。どんどん流していきますね」
カノープスメンバーは、流れてくるそうめんを思う存分堪能した。
太陽もだいぶ傾きだし、全員の腹も満たされたので分担して片付けを始めた。
ウトウトし始めたツインターボはイクノディクタスに連れられて皿洗いをしに行った。
「ありがとうございました」
南坂はナイスネイチャとマチカネタンホイザに礼を言った。
ツインターボがそうめんをたくさん取れるように上流に並ぶ3人は最初、取るフリをしていた。
「いいって、私たちもちゃんとお腹いっぱい食べれたし」
「そうそう、ターボがあんなに喜んでくれたら私も嬉しいよ」
2人はニコニコと笑みを返した。
「ねえ!せっかくそうめん台作ったんだし、またやろうよ!流しそうめん!」
「おっ、イイねぇ〜次は真夏にやろうよ。今度は他のチームの子たちも呼んでさ!」
「わかりました。きっとターボさんも喜びます」
次の流しそうめん大会に向けて盛り上がっているところに皿洗いを済ませた2人が戻ってきた。
「見て!見て!皿ピッカピカだよ!ターボがキレイに洗ったよ!」
「大量の泡に埋もれるターボさんを救い出すのには苦労しましたが」
満開のひまわりのような笑みで笑うターボを見てネイチャは苦笑いしながらつぶやいた。
「ホント手のかかる子だわ」
「けど、それがかわいいんだよ〜」
「ターボさんの良さですからね」
「お疲れ様です、ターボさん。助かりました」
ツインターボはそれを聞いて誇らしげに胸を張った。
「ターボ、すごいでしょ〜!」