Fateシリーズの岡田以蔵がメンヘラ女子大生を更正させる話 作:河内三比呂
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
現代日本。とある都市にて。
女子大生、小岩井ユリアはとある大学の敷地内に不法侵入していた。
(確か……噂じゃ、ここの部屋に……)
特技のピッキングで某教授の研究室に忍び込む。そして、目当ての物を見つけた。
「……あった! お願い事を叶えるための刀!」
喜びのあまり思わず声を出してしまう。ハッとして、口元を抑えながら、大事にガラスケースで保管されている刀を、またしても特技のピッキングで簡単に開け、取り出す。
「これであとは、時間と『おまじない』で……」
ユリアは不気味な笑みを浮かべると、刀を抱えて研究室から出て、屋上へ向かう。時刻は深夜2時になろうとしていた。
屋上に着いたユリアは、チョークで『おまじない』を描いて、その上に刀を置く。
「サーヴァントさん、サーヴァントさん。私のお願いを叶えるために力をお貸しください……!!」
ちょうど2時になった瞬間だった。『おまじない』が突如光出した。
「きゃ!?」
思わず声を上げ目をつぶると、突風が吹きモヤが辺りを包んだ。
そして、ユリアが目をゆっくりと開けると、そこには、和服の上から黒いインバネスコートを着て、大ぶりの刀を携えた男がいた。
男は鋭い目付きでユリアを見ると、
「おまんがわしのマスターか?」
そう訊ねて来た彼を見て、
「マスター? そういう貴方はサーヴァントさん……ですか?」
逆に訊くユリアと男の間に微妙な空気が流れる。しばらくして、男が口を開いた。
「おまん……サーヴァントは知っちょるのに、マスターが何かわからんがか? 奇っ怪なやっちゃのう。まぁいいがか。わしはクラス『人斬り』、岡田以蔵じゃ」
「岡田以蔵……さん! ユリアのお願い叶えてくれますか!?」
思わず大声で言うと、以蔵は、
「ああ? そんためにわしを召喚したんじゃなか? ……おまん……訊くが『聖杯戦争』の事とかどこまで知っちょる?」
そう訊かれ、ユリアは首を傾げながら、
「『聖杯戦争』? それ、『お願い事を叶えてくれる不思議な杯』と関係があるんですか?」
そう言うと、以蔵は目を見開き、
「はぁぁぁ!? おまん、それも知らんでわしを召喚したがか!? 舐めとるがか!?」
刀を抜きユリアの首元に近づける。
「おまん……死ぬか?」
眼光鋭く言う以蔵に、ユリアは、
「あの……そしたら『たっくん』と一緒になれますか? なら、いい……かな」
そう言って目をつぶる。すると、
「な、なんじゃ……おまんは!? 普通は怖がる所じゃろ!? 大体斬られて一緒になれるとかどういう神経しちょるがか!? ええい、もうええきに!」
刀を納めると、以蔵が言う。
「わしは剣さえ振るえればなんでもいい気にのう。おまんのその『たっくん』? だかなんだかとの願い、叶えちゃるわ」
その言葉にユリアは目を輝かせながら、
「ホントですか!? ありがとうございます! じゃあ早速叶えて下さい!!」
胸の前で両手を組み以蔵に祈る。その様子に、以蔵は慌てて、
「ちょい待てい! わしが叶えるわけちゃうぞ!? 叶えるのは『聖杯』じゃ!」
そう訂正すると、
「はぁ……おまん、なんも知らんのか。召喚されたからには仕方ないきのう。説明しちゃるから、どっか酒でも呑めるとことかないがか?」
「じゃあ……ユリア行きつけのバーに行きませんか? あ、でも……その服装は目立つので……なんとかなりませんか?」
ユリアの言葉でまたしても微妙な空気が流れる。
「……あ、あの! じゃあひとまずユリアの家に行って……サイズ合うかわかりませんけど、着替えませんか?」
「……まぁ時代に合わせるのも必要か。そいじゃマスター。よろしゅうな! わしは早う酒が呑みたいきに!」
こうして二人は大学を後にした。