Fateシリーズの岡田以蔵がメンヘラ女子大生を更正させる話 作:河内三比呂
「うぅ……たっくん?」
「誰がたっくんじゃ……。しゃっきりせんかい」
呆れたような以蔵の声で、ユリアはゆっくりと起き上がる。そして、慌てて時計を見ると、
「いけない! たっくんが起きちゃう!」
そう言うと、昨晩と同じく壁に装置を当てはじめる。それを見て以蔵は深いため息を吐くのだった。
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「それで、今後はどうしましょうか!!」
『日課』が終わったユリアが以蔵に訊く。
「わしゃ難しい事はわからん。とりあえず、敵ば斬るだけじゃき……ちゅうても、マスターがコレじゃからのう。……しゃあないのう。わしがちぃとばかし探って来るきに、大人しゅうしちょけ!」
そう言うと、ユリアの部屋から出て、スキル『気配遮断』を使用した。本音を言えば、あの部屋から早く出たかったのだ。
(あないな部屋にずっとおったら、頭がイカれる! それに……わしの願いは……)
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「以蔵さん、行っちゃったな〜」
一人部屋に取り残されたユリアは、たっくん抱き枕を抱えて寝転ぶ。
「でも……叶えてくれるから……待とう」
そして目を閉じて、たっくんと結ばれる夢を……見ようとしたけどダメだった。
「……早く、手に入れなきゃ……」
その時だった。インターフォンを鳴らす音がする。
「誰……かな?」
ゆっくり起き上がり、ドアの前に行くと……。
「えっ!?」
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「マスター、戻ったぜ……なんじゃぁぁぁぁ!?」
部屋に戻った以蔵が見たのは、壁一面に貼られていた写真は破れ、ぬいぐるみも人形も、抱き枕も破壊されていた状態だった。
敵襲か!? と思ったが、ベッドに座ったままのユリアの表情を見てすぐに違うと勘づいてしまった。
「マスター……? 何があった?」
以蔵の問いかけに、ユリアは顔を上げる。彼女は泣いていた。
「……くん」
「は?」
「たっくんが……来て……『はじめまして! 今日引っ越すのでご挨拶に!』って! はじめまして!? ユリアは彼女じゃ……なかったの? 赦せない。以蔵さん……。以蔵さんは『人斬り』なんでしょ!? あの雌豚と……たっくん斬って下さい……ふふふ」
ユリアの狂った笑いを含んだ声に、以蔵は、
「……マスターはそれでいいんか?」
「えっ……?」
以蔵が真剣な表情で続ける。
「わしゃ『人斬り』じゃけ。依頼されれば斬るが……。ただ……護衛の依頼ん時は酒が更に美味かったのう!!」
最後に笑顔でそう言われ、ユリアは反応出来なかった。
「……」
その様子に、以蔵は、
「はぁ……もういいきに。ちぃっとばかし、斬ってくる」
それだけ言うと、部屋から再び出ていった。