マナを貯めるのは基本なのよ...
「■■■■......お前も、たまには本の一冊ぐらい読むべきなのよ」
「......そうですね.........」
......頭の中で、有りもしない筈の遠い昔の記憶が、思い出せと言う様に、容赦無くガンガンと内側から脳に衝撃を与えてくる。
「...是非、機会があ■ば、■ア■■■様の好きな本を、教えて下さい。」
「■■ィ■の......?」
これは何だろうか。
誰の、何の記憶なんだろう。
頭を捻ってみる。
分からない。
......分からない。
思い出せない。
「......はい。今は忙しいですが、私も悠久の時を生きる身。」
いや、そもそもこれは......
「───きっと、いつか.........」
◇
「んーっ......!ふわぁ......」
ロズワールの屋敷の中にある禁書庫の番人兼司書を勤めている、ただの精霊。
......でもあり、実は!......前世で大好きでドハマリした『Re:ゼロから始める異世界生活』の作中に登場する、ベアトリスに転生した、バリバリの転生者なのよ!!!
......とは言っても、もうそれも今ではあまり意味を為さない、ただの知識。
前世の性別が何か、どうやって死んだのか。はたまた、いつからこの体だったのかも分からなくて、ただリゼロが好きだった事だけ覚えている......
.....なんて記憶、今更興味も何も湧かないのよ。
気付いたら成り代わっていたなんて話、一体誰に話せばいいのかしら。
......あの男は論外なのよ。いくら現代日本から来てライトノベルやら異世界系やらに精通してるアイツでも、流石にそんなプライバシーな事は恥ずかしくて言うに言えないのよ。
何より馬鹿にされそうだし......原作壊れそうで怖いったらないかしら。
「......ちょっと、そこの朝鳥擬き。早くあっちへ行くかしら。......煩くて鬱陶しい事この上ないのよ。」
窓から、まるでベティーを起こしに来たかの様にピーピーと鳴いてくる鳥が、本当にうるさいかしら。
ベティーの心落ち着ける数少ない時間を邪魔するなんて......本ッッ......当に腹立たしい奴らなのよ!!!
「ピチュゥ.....ピィ.......」
「な、なな...一体なんなのよ.....そんな可愛くて愛らしい声を出しても、ベティーに出来る事は、精々あの姉妹の妹に頼んでいい感じに止まれる木を作ってもらう事ぐらいかしら.....」
ふ.....ふん!これだから動物は嫌いなのよ!大体、なんで態々こんな所に......
......いや、落ち着くのよ、ベティー。こんな朝鳥擬きぐらい、今日の特別な日に免じて、見逃してやるのよ...
......だって今日は、楽しみ過ぎて
「......それ.....ゃあ、行って......るわ」
「行ってま...ります......様」
「行って.....しゃいませ、エミ......ア様、レム」
屋敷の門の前で、一人の美しい少女と青髪のメイド服を着た少女が、見送りに来てくれたであろう、桃色の髪をしたメイドに別れを告げて、町の方へと進んで行く。
あの男に言わせてみれば、編み込みの入った、腰まで届く銀髪の髪。
理知的な紫紺の瞳をしていて、白を基調とした服装には華美な装飾はなく、シンプルさが逆にその存在を際立たせている......
......あぁ、やめやめ、なのよ。こんなキザったらしい
まぁ、ここまでの情報で何となくはわかると思うのよ。
そう、
そして今日は、あの小娘が王選の為の大事な徽章を持ち歩いて出掛けようとしている......
......つまり!
ついに原作の『Re:ゼロから始める異世界生活』が始まろうとしているのよ!!!
やったー!!!なのよ!!!!
.....ついに異世界から召喚されてきたあの男が助けてもらった小娘に惚れて徽章探しに軽い気持ちで手伝いに行ったら何回も死に戻りするはめになる一章が....
まぁ、ここまでアピールすればどんな鈍感な奴でも理解できるかしら。
「......マナの貯蔵はかんぺき。これなら禁書庫の中じゃなくても、しばらくは充分に魔法を駆使出来るかしら。」
そう、原作の一章......"嫉妬の魔女"に
これをこの目で直接見ずして!!!一体リゼロファンと謳えるかしら!!!!
「あの小娘にバレない様に、こっそり着いていく手段は、もうとっくの昔から用意してあるのよ...」
......さぁ!いざ!!!『Re:ゼロから始める異世界生活』の幕開けを、この目に直接、焼き付けていくかしら!!!!
「......それはそれとして、あの
出発直前にして、なんだか心配になってきたかしら......
ベア子の口調、難し過ぎる。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。