IFルートのスバルくんが可愛すぎて書かねばならない使命感が湧きました。
性別変わってもショタベア子は可愛いんでしょうねぇ...
スバルにとってはもう三回目にもなる、三日目の朝。
昨夜、金髪の縦ロールがチャームポイントの可愛らしい少女、ベアトリスに崩壊寸前の心を癒して貰った時の惨めな自分の姿を思い出して悶絶しながら、相変わらず一人で使用するには少しばかり広さを感じる客室のベッドで、スバルは自身が二周目で体験した全ての出来事の軌跡を辿っていた。
「......えーと、まぁ姉さまことラムに多種多彩な雑用を押し付けられたり、ベティーが入浴中に乱入してきたりベティーが俺に読み書きを教えてくれたりしたのは別にいいんだけど......」
思い返しても何故か
しかし、悠長に良い思い出ばかり思い出していても、話は進まない。一日、一日記憶を呼び覚ましていく。そしてついに、スバルが死んだ四日目の事を思い出す。
───夜、途轍もない吐き気に襲われ。
訳も分からず禁書庫に潜り込み、ベアトリスに呪いを少しだけ払ってもらったと思ったら、青髪の少女に頭を潰され、死んだ。
「改めて振り返ると、理不尽過ぎるだろこれ......」
誰がどう考えようとも予想できない急展開。
一体何故自分に『呪い』なるものが掛かっていたのか、何故スバルは呪いを掛けられたのか。
そして何故、青髪の少女──レムに殺されたのか。
「一番最後に関してはレムを信じることにしたから、まぁいい。問題は呪いってやつなんだよなぁ.......」
スバルがどれだけ思考を巡らせようとも、分からないものは分からない。
一体いつ掛けられたのか。
そもそも呪いとはなんなのか。
「思い出せ、思い出せ俺......! いや正直思い出したくないほど苦い記憶だけど、あの日確か......」
スバルがあまりの苦痛に悶える中、少女が優しく手に取って、触れた場所を思い出す。
そう、確か手元を──
「──手の甲」
時計が刻む音しか聞こえない部屋で追憶する度、壊されたパズルピースが元に戻る様に、全てが当てはまって行く。
スバルの考えうる限りでは、二周目で手の甲に触られた事など、数える程しかない。
その中でも一番スバルの印象に残っているのは、村へ買い出しに出掛けた時。しかし、
「これが俺の思う想像通りだったら、まずいなんてどころじゃねぇぞ......」
さっきまで暖かい毛布に包まれていたはずなのに、急激に全身が冷え、身体中から冷たい汗が吹き出る。
「......とりあえず、動かねぇと」
心の底では冗談だと思っている事が、今は脳内を埋め尽くして他の考えを入れる余地がない。
スバルは素早くベッドから飛び起き、粗方シーツなどを綺麗に整えた後、部屋から出る為にほぼ無心で扉を開け──
「痛ってえぇえ!!!」
「お、お客様お客様、申し訳ございません......まさか、扉の正面に立っていたとは思わず......」
「レム、レム。ほら見て、バル......真正面から額をぶつけたお客様のこの顔を。実に無様ね」
「おいちょっと待て!! 俺今回客人の筈だよね!? なんか扱い酷くない?!」
鈍い音を立てて額と扉がぶつかる形で、三日目の朝が始まった。
客室から食堂へ、いつもの様に双子の姉妹と足を並べて移動する。
そこにはもちろん、大した会話などは存在せず、ただ三人分の足音だけが響く、退屈な時間。
しかしそれも繰り返す度に変化も起こる。メイド姉妹の妹──レムが、口を開いた。
「お客様、お客様。......失礼な様ですが、お客様はいつ頃まで、ロズワール様のお屋敷に滞在されるつもりなのでしょうか」
「んーまぁ、特にこうしてこう!......って感じにプランというかこの先の予定がある訳じゃないんだが、まぁもうしばらくはここに居させて貰うつもりさ。......あと、そんなに他人行儀じゃなく、もっと『スバルくん!』みたいな感じで、気さくに呼んでくれてもいいんだぜ?」
「お気遣いありがとうございます。ですが遠慮させて頂きます」
「うん、何となくそう言われる様な気がしてた。......実際に言われると、マジに傷付くなぁ......」
「ハッ」
「もはや俺へのその舐め腐った態度を隠す気すらねぇな、お前......」
「笑っている姉様も素敵です」
「これ笑ってんのかなぁ......」
二人からしたら何気ない会話でも、スバルにとっては仲良くなる上での大切なコミュニケーション。
このまま警戒を解いていって、屋敷の面々からの信頼を勝ち取るのが、スバルの一旦の目標だ。
「お、そうこう話してるうちに食堂に着いたぞ~!......さてさて、今日の朝食はっと......」
いくら機転の利くスバルでも、まずは腹を満たさない事には何も始まらない。
ループを繰り返す毎に何故か朝食もしっかりと変わるため、
「おぉ、これはどっからどう見てもふかし芋......朝からこれってのも少し重たい気がするけど、まぁ俺は全然行けちゃうんだよな」
「ありがたく食べなさい、お客様。今日のふかし芋はラムお手製の......ふかし芋よ。」
「なんか溜めて言うから普段と変わった所があるのかと思ったら変わんねぇのかよ!」
相変わらず掴み所のないマイペースな性格のラムに翻弄されるスバルは、対して疲れてもいないのにため息が出てしまう。そこに、
「おはよう、スバル。元気なことはいいことだけれど、朝からそんなにムリしちゃ、せっかく休まった体がすぐに疲れちゃうわよ?」
「おぉーう! 今日も朝っぱらから世界一可愛い微笑みと心配事だね、おはようエミリアたん!」
「......ふふっ、もう、ほんとに調子良いんだから」
銀色の透き通った長髪を靡かせながら、それに見合った美しい笑みを浮かべるスバルの思い人、エミリアが食堂の場にやってきた。
「ささ、早速頂きましょうか、エミリアたん! 俺、エミリアたんの横に座るからね!」
「はいはい、そう勝手に動かないの。スバルは元からそこに座るって、決まっているでしょ?」
「ふふふ、まぁな。だが今日はいつもと違って、ロズっちがこの場に現れない!......つまり、もうちょっとだけエミリアたんの方へ椅子を寄せても、怒られない日なんだよ?」
「そうね......あら? そういえば、ロズワールは?」
「すっげぇ軽ぅく流された! けどそれすらも美しい!」
スバルの何気ない一言に反応したエミリアが、側で控えていたレム、ラムにロズワールの様子を聞く。
「ロズワール様は、今日は大変忙しい日なので、朝食も自室で済ませられると仰っておりました」
「......そう、ありがとね。レム」
「いえ」
レムとエミリア。
どちらもスバルにとっては何かとよく喋る相手だが、二人がこうして直接会話を交わしているのは、数えるくらいしかない。
「せめてこのメンバーだけでも、エミリアたんを差別せずに、いつまでも仲良くしといて欲しいもんだな......」
ぽつり、と意図していない言葉がこぼれる。
が、その何気ない言葉に、少しだけだが、反応を示した人物がいた。
「......お客様、いえ、スバルくん。」
「ん? どうした、レム」
突然の名前呼びに内心動揺するスバルだが、ここで驚いてしまっては格好が付かない。
レムの声が一段と小さくなったことを踏まえて、一言一句聞き逃さない様に、耳を済ませる。
「スバルくんは......本当に、エミリア様の事がお好きなのですね」
どこか儚いような、驚きを含んだ目で、スバルに喋りかけるレム。そんなレムにスバルは、言い訳なんて存在しない、屈託のない笑みを浮かべながら、レムに話しかける。
「当たり前じゃんか。まぁ、なんか世間では魔女やら悪魔やらよくない目で見られてるっぽいが、そんなん関係ねぇだろ。差別とかそんな意味のない事、する方がおかしいんだって。......どんな奴でも、今を一緒に生きてる仲間みたいなもんだろ?」
度が過ぎてたらちょっと勘弁だけどな、と笑いながら話すスバル。
しかし、レムの顔からは驚きの表情が浮かんで止まない。
「......が無くても......ませんか」
「ん?」
「い、いえ。何でもないです、スバルくん。それでは」
語り終わると同時に食べ終えたスバルの食器を重ね、厨房へ持っていくレム。
その後ろ姿からはどんな表情をしているのかは、スバルには予想できなかった。
しかし、スバルにもやるべき事がある。
「......んー、朝食も無事済ませたことだし、早速ベティーの所にでも遊びにいくか!」
実際は、もっと真面目な話をする為に、禁書庫へ向かうのだが。
「呪いとか魔獣とか、アイツに聞きたいことは色々あるんだよな......」
だが、情報を得るにしても、あの生意気な少女にはその対価がないと、動いてくれない。
今までの経験からそう判断したスバルは、どうにかして情報を抜き出そうと、試行錯誤する。
「パック作戦はそろそろ申し訳なくなってきたし、まぁ俺がアイツと一緒に遊んでやるのも多分向こうから願い下げだよなー、いやどうすっかな......ってエミリアたん? そんなに可愛い目でこっちを凝視してどうしたの?」
一人であれこれ考えるスバルを、不思議そうな目で見つめるエミリア。
「ん、何でもない。ただ、スバルも色々、しっかり考えてるんだなって......少し、感心しちゃった」
「お? もしかしてエミリアたんの中での俺の株急上昇?」
「ふふ、ちょっと何言ってるかわかんない。......でも、見直したのはほんとよ?」
「よし、これからは頭脳系キャラとして......って、エミリアたん、それ何飲んでるの?」
ふふふ、と笑いの止まらないエミリアが飲んでいる物に視点を移し、もう一度微笑み続けるエミリアの顔を見るスバル。
「ふふ、ふふふ......」
「......エミリアたん、手に持ってるそれ、ちょっと俺に一口くれないかな?」
「ふふ、いいよー? スバルなら、はい」
頬を赤く染めながら、スバルへと中身入りのグラスを渡すエミリア。
中に入っていた物は。
「......これ、どう考えても酒じゃね?」
辺りに、依然として笑い続けるエミリアを除き、一瞬の静寂が落ちる。
「......なぁ、ラム」
「何かしら、お客様」
残りの食器を全て運び終えようとしていたラムへ、スバルがたった今生まれた、問い掛けを投げ掛ける。
「......今日の飲み物並べたの、誰?」
「ラムよ」
「うおぉぉぉお!! お前!! 何当たり前の様に即答してんだよ!!!」
にこやかな笑みを絶やさないエミリアを置いてけぼりに、瞬時にラムへ詰めかけるスバル。
「普通の飲み物と間違えて酒入れるとかドジか!? ドジっ娘か!? ていうかそもそも入れ物の時点で違ぇって分かるだろ!! なぁ!!」
「......一つの容器だけ繰り返し使用しているから、たまに間違うわ」
「お貴族様がリサイクルしてんじゃねーよ!!!」
明後日の方向へ視線を背けながら話すラムに、怒りを越えた何かをぶつけたくなるスバル。
だが、酒に酔っているエミリアを見たスバルは何かを思い付くかの様にエミリアの近くへ寄り添う。
「......なぁ、エミリアたん」
「んふふ、なーに? すばる、えへへへ」
「くっ......やべぇ、
「おはよう、スバル。早速だけど、うちの可愛い子をこんな風にしたのは、誰かな?」
笑い続けるエミリアの髪から、するりと出てきたのは、可愛らしい見た目にそぐわない恐ろしい魔法を持つ銀の子猫。パックだ。
「おはよう、パック。戦犯はアイツです......っていねぇ!」
「うーんとあれをこうして......それっ!」
「......あれ? 私、何してたんだっけ.....」
「おはよう~、リア。これはまた、大人になってから飲もうね......」
「わ、私はもう立派な大人よ!.......あ、おはようパック」
どういう原理かは分からないが、パックによって酔いから覚めたエミリア。スバルとしては、もう少しだけお酒に酔ったエミリアを見ていたかったが、同時にある事を思った。
「......よし、ベティーから情報を抜き出す為の秘密兵器、見っけたわ」
次回:お酒vs金髪ドリル幼女、開幕
ベアトリスと逃走√(短編)は
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いる(鋼の意思)
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いらない(超拒絶)
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作者の好きな様に
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そんな事より本編進めろ