遊戯王 ああっ破滅の女神さまっ   作:ダルクス

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互いに手の内を読み合い、激闘を繰り広げる二人。
そんな最中、『救世の美神ノースウェムコ』の召喚により、アドバンテージの差は主人公に有利なものとなった。
しかし、アリアも負けてはいなかった。


第15話:「奪われる力」

「…え?」

 

「どうした?」

 

「う…ううん! なんでもない!」

 

アリアの様子がなんかおかしい…何かあったのか?

 

 

 

「…」

 

「あらルインさん、どうしたんですの? そんなしかめっ面をして…」

 

「ん…? あぁいや…なんでもない」

 

「そう…ですか?」

 

(なんだ…今の奇妙な感覚は…? この感覚…私は前にどこかで……)

 

 

 

 

 

―――――第15話:「奪われる力」―――――

 

 

 

 

 

「(今の声…なんだったんだろう…? ええいもう…なんでもいいや!) 私のターン、ドロー!」

 

長い沈黙の後、意を決したのかアリアがカードをドローする。

 

「……」チラッ

 

よほど緊張しているのか、カードを引くときは目を瞑っていたアリアだが、恐る恐る目を開き、カードを確認する。

 

「…!」

 

そして、いきなり表情が明るくなった。

…一体何のカードを引いたんだ…?

 

「や…やった! 今の私には最高のカード! 私は『死者蘇生』を発動!」

 

『死者蘇生』…! そのカードを見て、周りのギャラリーがざわめく。

 

 

ざわ…

           ざわ…

     ざわ…

 

 

「この状況で…『死者蘇生』を引き当てただと…!?」

 

アリアの奴…いつの間にこんな土壇場で引きの強さを見せつける術を学んだんだ!?

ということはアリアが復活させるモンスターは…!

 

「『死者蘇生』の効果で、私が復活させるモンスターは…『甲虫装機ダンセル』!」

 

「やはり『ダンセル』か…!」

 

だが『ダンセル』を蘇生させたところで今のアリアの墓地には『ホーネット』はいない…大した脅威にはならないはずだが…!

 

「そして『ダンセル』の効果発動! 1ターンに1度、このカードに装備カード扱いとして墓地、または『甲虫装機』を装備させます! ≪ゼクト・イークイップ≫!!」

 

「なにを装備させるつもりなんだ…?」

 

すると、『ダンセル』の手には赤い円盤のような物が握られる。

 

「装備対象は『甲虫装機グルフ』! 『グルフ』を装備したモンスターの攻守は『グルフ』の分だけアップし、レベルは2つ上がるよ!」

 

【甲虫装機グルフ】☆2 闇 昆虫族 ATK/500 DEF/100

 

甲虫装機ダンセル:ATK/1000→1500 DEF/18000→2000 ☆3→5

 

「『グルフ』だと!? そんなモンスターをいつの間に…!?」

 

「さっき、私が『ノースウェムコ』で攻撃されたとき、『儀式魔人プレコグスター』の効果で手札を1枚捨てたよね?」

 

「…あ!」

 

「ふふふ~♪ そう! 私も『サンダー・ブレイク』の時みたいに手札から捨てさせてもらったよ!」

 

なんてこった…少しでもアドバンテージを削ろうと活用した手札破壊が、まさか利用されてたなんて…!

 

「そして、装備されてる『グルフ』は装備を外し、墓地に送ることで選択したモンスターのレベルを1~2上げることができる! 私は装備を解除し、『ダンセル』のレベルを3から5に!」

 

甲虫装機ダンセル:☆3→5

 

「そして『ダンセル』の効果発動! このカードに装備されていた装備カードが墓地に送られたとき、デッキから『甲虫装機』1体を特殊召喚する! きて、『甲虫装機センチピード』!」

 

【甲虫装機センチピード】☆3 闇 昆虫族 ATK/1600 DEF/1200

 

「『センチピード』の効果発動! 『グルフ』を装備し、攻守・レベルともにパワーアップ! ≪ゼクト・イークイップ≫!!」

 

甲虫装機センチピード:ATK/1600→2100 DEF/1200→1300 ☆3→5

 

「そして装備を取り除き、『センチピード』のレベルを5に上げる!」

 

甲虫装機センチピード:☆3→5

 

「さらに装備カードが外された『センチピード』の効果発動! デッキから『甲虫装機』1体を手札に加えるよ! 私は『甲虫装機ギガマンティス』を手札に」

 

「あっという間にモンスターが2体に…」

 

そして互いに同じレベル…来るか!

 

「いくよ…私はレベル5になった『ダンセル』と『センチピード』でオーバーレイ!!」

 

2つのモンスターは光となって、銀河の渦に呑みこまれる。

 

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!」

 

 

 

 

 

 ―進化の装甲をその身に纏いて―

 

 ―熱く蘇れ、誇りのエナジー!―

 

―強くあるために、目覚めろ!その魂!!―

 

 

 

 

 

「エクシーズ召喚! 進化せよ、『甲虫装機エクサスタッグ』!!」

 

【甲虫装機エクサスタッグ】★5 闇 昆虫族 ATK/800 DEF/800 エクシーズ

 

「出たな…『エクサスタッグ』…!」

 

黒光りする巨体がフィールドに降り立つと、『エクサスタッグ』は両手の鋏を構えて『ノースウェムコ』の前に対峙する。

 

「『エクサスタッグ』の効果発動! 1ターンに一度、オーバーレイユニットを一つ取り除き、相手のフィールド、もしくは墓地のモンスター1体を自身に装備できる!」

 

ということは…アリアの狙いは…!

 

「いくらカード効果によっては破壊されないといっても、装備となれば話は別! オーバーレイユニットを1つ使い、装備の対象は『救世の美神ノースウェムコ』!」

 

「くっ…しまった!」

 

「増力捕縛、≪エヴォリューション・キャプチャー≫!!」

 

『エクサスタッグ』の周りを回っている星が一つ消え、自身に吸収されると、『エクサスタッグ』は両手の鋏を『ノースウェムコ』の方に突き出し、鋏を射出する。射出された鋏は『ノースウェムコ』を捕らえ、『エクサスタッグ』はそのまま自身の方に手繰り寄せ、そして『ノースウェムコ』は光となって『エクサスタッグ』に吸収された。

 

「『ノースウェムコ』が…!」

 

「この効果によって装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分、『エクサスタッグ』は攻撃力をアップする!」

 

甲虫装機エクサスタッグ:ATK/800→2150

 

「これで攻撃力は『終末の騎士』よりも上! バトル! 『エクサスタッグ』で『終末の騎士』を攻撃!」

 

『エクサスタッグ』は羽根を開くと上空に飛び上がり、両手の鋏が妖しく輝く。

 

「甲魔性刃、≪ガイスト・シザース≫!!」

 

上空に飛んだ『エクサスタッグ』はそのまま一直線に『終末の騎士』目掛けて鋏を振り下ろし、『終末の騎士』は剣で拮抗するも、抵抗空しく切り裂かれる。

 

「くっ…流石にやるな…!」

LP3400→1650

 

「まだまだデュエルはこれからだよ! カードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

△――――

□■―――

アリア:手札1枚 LP500

モンスター:『甲虫装機エクサスタッグ』

魔法・トラップ:『救世の美神ノースウェムコ』、セット1枚

 

 

 

「アリアの残りライフポイントはたった500…だが」

 

「ここに来て主様のモンスターは全滅…加えて高ランクモンズターエクシーズの召喚とは…少し状況は芳しくない方向に向かってきましたわね」

 

「しかしアリアの言う通り…まだまだデュエルはここからだ。まだ主にも可能性が残されている!」

 

「そうですわね…頑張って下さい、主様!」

 

 

 

全くあいつら…後ろで主だの主様だの…もう約束忘れてやがる。

 

「へへっ…だが!」

 

そこまで期待されてるなら…ご希望通りあいつらの期待に応えてやらねぇとな!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

よし…いいカードを引いた!

 

「俺は儀式魔法、『高等儀式術』を発動! このカードは手札の儀式モンスター1体を選択し、デッキから選択した儀式モンスターと同じレベルの通常モンスターを墓地に送ることにより、その儀式モンスターを儀式召喚することができる!」

 

「儀式モンスター専用の万能儀式魔法…ということは召喚するモンスターは…!」

 

「俺は手札のレベル8儀式モンスター、『破滅の女神ルイン』を選択! 墓地に送るモンスターは、『デュナミス・ヴァルキリア』と『デーモン・ソルジャー』のレベル4通常モンスター2体!」

 

光と闇の魂は一つになり、その混沌の狭間より破滅を司りし女神が降誕する。

 

 

 

 

 

-破滅を司りし混沌のイデア-

 

 -煌めく天の名の下に-

 

-邪討ち祓う矛先となれ!-

 

 

 

 

 

「儀式召喚! 光臨せよ…『破滅の女神ルイン』!!」

 

【破滅の女神ルイン】☆8 光 天使族 ATK/2300 DEF/2000 儀式

 

『破滅の女神ルイン』…このモンスターによって、俺はこの前アリアに勝利した。今度だって!

 

「いくら吸収したとはいえ、『エクサスタッグ』の攻撃力は2150! 『ルイン』の攻撃力の方が勝っている! いくぞ、『ルイン』!!」

 

『ルイン』は赤いロッドを手でくるくると回すと、その切っ先を『エクサスタッグ』に向ける。『ルイン』は破滅の呪文を唱え、その切っ先に徐々に魔力が蓄積されていく。

 

「『破滅の女神ルイン』で『甲虫装機エクサスタッグ』に攻撃! 破滅への序曲、≪エンド・オブ・ハルファス≫!!」

 

放たれた閃光の一撃は『エクサスタッグ』にへと向かい、攻撃が炸裂し、辺りが閃光に包まれる!

 

「うっ……やったか!?」

 

眩い閃光に思わず腕で目を覆う。閃光が止み、俺がフィールドの状況を確認すると…そこには確かに『エクサスタッグ』の姿は無くなっていた。

 

「よし、『エクサスタッグ』を倒したぞ!」

 

ルインが叫ぶ。ルインだけではない、きっと誰もがそう思った。

 

 

 

しかし…

 

 

 

「それはどうかな…?」

 

 

 

「…!?」

 

「残念だったね…『エクサスタッグ』が消えたのは『破滅の女神ルイン』の攻撃によってじゃない…このトラップカードの効果でだよ!」

 

そう言ってアリアは眼鏡をクイッと上げる。

 

「そ…そのカードは…!」

 

アリアのフィールドで発動しているトラップカード…それは…!

 

「トラップカード、『ゼクト・コンバージョン』! このカードは自分フィールドの『甲虫装機』が攻撃対象に選択されたとき、その攻撃対象となった『甲虫装機』の攻撃モンスターに装備させることにより、そのモンスターのコントロールを得る!」

 

「なっ…!?」

 

 

 

「コントロールを奪う…!?」

 

「ということは…!」

 

 

 

姿を消した『エクサスタッグ』はその身に纏う装甲を電磁束縛機…〝プラネイト・キャプチャー″へと変え、プラネイト・キャプチャーは『ルイン』の周囲を回り、そこから捕縛電磁波を照射する。

 

『ぐぅ…うぅっ……!』

 

「『ルイン』!?」

 

電磁波が照射されると『ルイン』は苦痛の声をあげ、捕らえらてしまう。そしてそのままアリアのフィールドへと移行する。

なんてこった…破壊されるならまだしも、まさか『ルイン』のコントロールを奪われるなんて思ってもみなかった…。

 

「これで〝破滅の女神″のコントロールはこっちのもの…私がこの前の敗北から何も学んでないと思った?」

 

「…いや、アリア。正直言うと俺はお前のことを少し侮っていたみたいだ」

 

 

 

(フン…さっきは私にあんな偉そうな事言っておきながら、当の本人はこの体たらくじゃない…舐めてかかってたのはどっちよ、全く…)

 

と、星華はギャラリーの中でその光景を見ながら内心呆れる。

 

 

 

「だが言い訳はしない…今のお前は間違いなく強い。それこそ今まで俺がお前といくとなくデュエルしてきたなかで、今日は特にだ」

 

「それを言ったらこっちだって同じ、この程度で私は勝ちを確信してはないよ」

 

「なに…?」

 

「もっと見せてよ、ここから逆転する姿を。私はそれを必ず越えてみせる!」

 

…本当に驚かされる。

俺の目の前にいるこの古くからの幼馴染は…いつの間にこんな立派なデュエリストに成長したんだろう…。

今まで平行線上の成長だったが…このままじゃあ俺が追い抜かれちまうな。

 

いや…でもだからこそ!

 

「いいだろうアリア…俺だってまだ負ける気は無い! モンスターを裏守備でセット、さらにリバースカードを1枚セット」

 

俺も越えてみせる…お前を!

アリア…俺とお前、どちらが互いよりもその先に行けるのか…。

 

「ターンエンドだ!」

 

勝負といこうじゃないか!

 

■――――

■――――

手札0枚 LP:1650

モンスター:セット1体

魔法・トラップ:セット1枚

 

 

 

「やはりアリアさん…強いですわね」

 

「ああ…まさか破壊ではなく、奪うとは…思ってもみなかった」

 

「ここから先、主様は実質ルインさんを相手に戦っていかなければなりませんから…厳しい戦いになりますわね」

 

「うむ…」

 

 

 

(よし…切り札を奪った! あとはこの調子で…―)

 

 

 

 

 

…ヤット……

 

 

 

 

 

「え…?」

 

 

 

ヤット…戻ッタカ……〝破滅″ノ力ト類似スル…我ノ力……

 

 

 

 

 

―…〝終焉″ノ力ガ……―




というわけで、寝取ら…じゃなくて、コントロール奪われちゃいましたね~、ルインさん。
ゼクト・コンバージョンはあまり目立たないカードですが、使ってみるとなかなか強力なカードです。エーリアン・ブレインみたいなカードですねw

「プラネイト・キャプチャー」という用語はオリジナルですが、元ネタはガンダムWに登場するプラネイト・ディフェンサーから取りました。メリクリウスやビルゴに装備されてるアレです。

そして最後はまた意味深な終わり方…。
もうすぐ奴が…登場する!?
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