ついに正体を現した終焉の王デミス…そしてデミスとの激闘を繰り広げるルイン…。
その最中、ついに主人公の秘められし力が覚醒する…!
「ここは……学校?」
ウェムコに案内され、辿り着いた場所は俺が毎日通っている場所…そう、ルインも来た事のある学校だ。
登校途中だったのだろうか、昇降口前には生徒や先生が何人か倒れている。おそらく校内も同じような惨状だろう。
息を切らしながら、グラウンドへ一歩歩み寄った瞬間、何かの気配を感じた。
その気配は上から感じ、見上げるとグラウンドの上空に魔法陣が描かれ、その中央に誰かがいる。
「あれは…」
「あやつこそエンド・オブ・ザ・ワールドを引き起こした張本人……終焉の王、デミス!」
上空に浮かんで静止しているのは、漆黒の鎧を身にまとい、そして大きな斧を持っている巨躯なモンスター…終焉の王デミスは、目を閉じ、絶えず呪文のような言葉を呟いている。そして奴よりもはるか上空には、巨大な魔法陣が空に描かれていた。
やはりあいつがこの禁術は、奴が引き起こしているらしい。
「あいつが原因か…」
「主」
「ん?」
「危険だから離れていろ」
「ルインさん、わたくしも…!」
「いや、ウェムコ。ここは私一人で十分だ」
ルインはそう俺達に告げると、一人でデミスと同じ高さまで上昇し、デミスの近くまで寄る。
俺は飛べるわけないので下から見ているしかないが、お互いに黙って対峙し合うデミスとルインからは、殺伐とした空気が流れていた。
「ルイン…一人で大丈夫なのか…?」
「主様!」
ウェムコの声に、俺はハッと周囲を見回す。
気が付けば俺達の周りをまた多くのモンスター達が囲んでいた。
「主様、ここはわたくし達で食い止めます!」
そう言ってウェムコと俺の召喚したライトエンド、クリスティア、カオス・ソーサラーはそれぞれモンスター達に攻撃を仕掛ける。
………
……
…
「久しいな、破滅の女神ルインよ」
「終焉の王…デミス!」
デミスは先ほどまで唱えていた呪文を止め、目を見開き、目の前にいるルインをしっかりと見据える。
「デミス…お前は何故…何故、エンド・オブ・ザ・ワールドなど…!」
「何故だと? ならば我こそ貴様に質問しよう。それを何故貴様は我に問うのか?」
「何っ!?」
「精霊であり、我々エンド・オブ・ザ・ワールドの使い手は、主の命令には絶対な存在。我が主はこの世界の終焉を望んでいる」
「ならば貴様のマスターとやらは何者だ!?」
「それを貴様に話す義理はない」
「…ならば話さなくてもいい…ここで貴様を倒し、エンド・オブ・ザ・ワールドを止める! それが主の願いであり…同時に私の願いでもある!」
ルインはロッドの先端をデミスに向け、そう言い放った。
「たとえ貴様の主が世界の終焉を望んでいたとしても……私はこの世界が…主と共に過ごしたこの世界が好きだ!!」
「自分の願い…か。フフ、なるほど、そうか…やはりお前は少し変わったようだな」
「そう言うお前は全く変わっていないがな」
デミスとルインの口調は、まるで久しぶりに会う友達のようだ。しかし、またすぐに殺意のこもった空気になってルインはロッドを、デミスは斧を構える。
再び沈黙が訪れ、緊張がこの場を支配する…。
もしかしたら永遠にこの二人は動かないんじゃないかと思った…その時だった。
「…!」
「…ふん」
二人が動いたのはほぼ同時だった。
風が吹き、木がざわめいた瞬間、二人の間に流れていた緊張された空気は一気に開放され、刃がぶつかり合う音が響く。
その瞬間、ぶつかり合った衝撃で風がブワッと吹き荒れ、学校の窓ガラスは音を立てて割れ、俺も吹き飛ばされ、地面に背中を打ち付ける。
起き上がって空を見てみると、ルインとデミスは高速で移動しながらお互いの武器を交わし、ぶつけ合っている。
この戦闘スピード、おそらく普通の人には見えないだろうけど、目を凝らしてよく見てみると…ルインがやや押されている!?
「…っ!?」
「…確かにお前は変わった。そして以前よりも……弱い」
「うぐっ……っ!」
デミスと鍔迫り合いになったルインは、力負けしてしまったのかデミスが斧を振るうと飛ばされる。
すぐに空中で静止するルインだが、俺にも分かる……デミスの方がルインより強いと。
俺はカードで援護しようとした。しかし…、
「主は…手を出すな!」
そんな俺の気配を悟ったのか、ルインは空中で俺の行動を制止させる。
「何で!? デミスはお前より…!」
「だめだ……これは私が…私が何とかしなければ…!」
俺を言葉で止めるルインが片手を空に翳すと、ロッドの先から丸い魔力の塊を発生させた。
そしてルインは聞き慣れない言葉で呪文を唱え始めた。すると魔力の塊はみるみる大きくなっていく。家の前でジェノサイドキングデーモンに使った破滅の呪文だ。
しかし、これまでの大きさとは桁違いにデカく、ルインよりはるか下にいるはずの俺にまでその熱波が届いた。
「くらえ! 破滅への序曲、≪エンド・オブ・ハルファス≫!!」
そして、ルインが大きな魔力の塊をデミスに向けて放とうとした時、デミスもルインに向け片手の掌を向ける。
それでもルインは魔力の塊をデミスに放った。
それと同時に、デミスの掌からは青黒い炎の弾が飛んだ。
「終焉の焔、≪ディマイズ・エンド・フレイム≫」
轟音とともにデミスに放たれた炎の塊は、大きな爆発とともルインの放った魔力も呑み込み、炸裂した!
「うわぁあぁっ…!!」
俺は思わず目を瞑ってしまった。それと同時に、ルインの悲鳴が聞こえた。
爆発音と粉塵が止むと、俺はゆっくりと目を開ける。
そして…目の前の光景を見て驚愕いた。
「うっ……ぐっ…!」
そこには、デミスに片手で首を締め付けられ、持ち上げられているボロボロになったルインの姿があった。
先ほどの爆発で、体のあちこちに火傷や切り傷を負っているルイン…しかし一方のデミスは、傷一つ負っていない。
ルインのロッドの先端はもう片方の手でデミスが握っており、反撃することができない状態だ。背中に斧を背負った状態のデミスは、ルインの首を握っている方の手に更に力を込めると、ルインの苦しそうな声が耳に聞こえた。
「あっ…! がっ…あぁぁっ!」
「弱いな…あまりにも弱すぎる」
ルインの悲痛な叫びとは裏腹に、デミスの口調は淡々としたものだった。
「もういい、今の貴様では我には敵わん」
まるで玩具に飽きたような、そんな口調でデミスは地面へルインを投げ捨てる。
「ルイン!!」
俺は走ってルインを受け止めようとしたけど…残念ながらそううまくはいかず、下敷きになってしまった。かなり痛い…。
「ハァ…ハァ……あ、主…」
「だ、大丈夫か?」
「あぁ…なんとか」
ふらふらと起き上がりルインを見ると、かなりダメージを負っているようだ、肩で息をしている。
その時、上空から何かピリピリとした殺気のようなものを感じ、俺たちは上を見上げた。
「……あれは!」
上空にいるデミスは、空に掌を翳し、そこからは先程のルインの破滅の呪文のように大きく、そして群青色の炎がメラメラと燃え上がりながら次第に大きくなっていった。
「エンド・オブ・ザ・ワールド発動の前に、まとめて消えるがいい」
「くっ…主、離れて、うっ……!」
立ち上がろうとしたルインだが、やはりダメージが深刻なのか腕を押さえながら蹲ってしまった。
そしてデミスは十分に大きくなった巨大な青黒い炎の塊を俺達に向かって放つ!
「≪終焉の嘆き≫!!」
轟音とともに向かってくる大きな炎の塊……俺は…覚悟を決めた。
しかし、その時だった。
「≪インビジブル・サンクチュアリ≫!!」
突如俺達の前に何者かが両手を前に突き出してバリアを張り、俺達をデミスの攻撃から守る。
「ウェム…コ…?」
「危ないところでしたわね、主様にルインさん」
俺達を守ってくれたのはウェムコだった。そして後ろの方からは、俺が召喚したライトエンド、クリスティア、カオス・ソーサラーもやって来た。
「あ、ありがとうウェムコ! だけど…あのモンスター達はどうした!?」
「あらかた片付けましたわ。一刻でも早く駆けつけたかったので、なんとか間に合ってよかったですわ」
ウェムコは俺達のことをとても心配していたようだった。
モンスター達も喋れないが心配そうな表情を浮かべているので、俺は笑みを返すとそれぞれ安心したような表情を浮かべていた。
「あれが終焉の王デミス…なるほど、かなりの
ウェムコが3体のモンスター達にそう指示を出すと、3体のモンスターはコクリと頷き、ウェムコの後に続いて空に昇る。
「待て…私も…! うっ…!」
「無理するなルイン! ここはウェムコ達に任せて、お前は少し休め!」
「くっ…あいつだけは…私が止めなくてはならないのに…!」
ルインは己の非力さをとても悔いているようだった。
なんとかして助けてあげたいとは思ったが…今は戦うことよりも休むことの方が先決だと思い、俺は無言でルインの肩を抱いた。
そして上空を見ると、デミスを相手にウェムコと3体のモンスターが激しい戦いを繰り広げていた。
ライトエンドが光のブレスを浴びせる。それによってデミスが一瞬ひるみ、隙を見せる。その隙を付いてクリスティアとカオス・ソーサラーが攻撃を放つ。だがデミスは自分の持つ巨大な斧を盾代わりにし、その攻撃を防ぐ。しかし、一方面の防御に徹しているせいで、背後がおろそかになっている。今度は背後からウェムコが攻撃を放つ!
「赫奕たる一撃、≪グレイス・エクセル・セイヴァー≫!!」
ウェムコの攻撃はデミスの背中に直撃する。
「ふん…ぬるいな」
「なっ…!」
…が、デミスのマントのように纏う青い色の炎によって阻まれ、ウェムコの攻撃はデミスの本体まで届かなかった。
「全員の相手は面倒だ。まとめて消えろ!! ≪終焉の嘆き≫!!」
デミスが斧を翳す、呪文を唱える。すると、斧が先ほどの青黒い炎と一体化する。そしてデミスが群青の炎と化した斧を大きく横、縦、あらゆる方向に振ると、振った斧の軌道を描くように青黒い炎が伸び、全方位に伸びた炎はその進路上にあるあらゆる物を呑みこみ、破壊していく。その炎の中に、クリスティアとカオス・ソーサラーが呑みこまれてしまい、消滅した。
「きゃあああああっ!!」
次に爆発音とウェムコの悲鳴が聞こえ、俺とルインはその場に臥せた。
青い炎は俺達のすぐそばまで迫り、そのまま地面を抉り、粉塵を巻き上げる。巻き上げられた粉塵は容赦なく俺達の体に降り注ぎ、土砂や小石によって俺達の体は傷つく。俺はルインの上に覆いかぶさるようにして、少しでもダメージを和らげようとした。
…デミスの一斉攻撃が終わり、体が激しく痛む中、俺はゆっくりと起き上がり辺りの状況を確認する。
「…!」
その悲惨な光景に、俺は声が出なかった…。
辺りは悲惨なもので、校庭のあちこちにはデミスの攻撃によってクレーターのような大穴が空き、俺の周りには倒れて気絶しているウェムコ、それに意識はあるようだが動けない状態のライトエンド・ドラゴンが力なく横たわる…。
「どうした小僧? もう残っているのは貴様だけだぞ」
「くっ…!」
上空から俺を見下すデミスを見上げて、睨みつける俺だが…悔しいけど、今の俺には何もできない…。
「で…デミス…!」
その時、俺の後ろでうずくまっていたルインが起き上がった。
「まだやるつもりか。何故戦う? その状態で我に勝てるわけがないだろう」
「たとえ…貴様に勝てる可能性が絶望的でも…」
ロッドを拾い、その切っ先をデミスに向けるルイン。
「私は…絶対にお前を止める! お前を止めなければ…この世界だけでなく…主まで失う羽目になる! だから止める…絶対に!!」
こいつ…! 自分がこんなにボロボロなのに…デミスとの力の差がこんなにあるのに…!
それなのに……俺なんかの為にこんなにも…!
「っ…もういい! もうよしてくれ!」
「主…エンド・オブ・ザ・ワールドを止められるのは…デミスか私しかいない」
「だけど…これ以上はお前が…! 俺なんかのために…お前がそこまでして戦うことなんて…!」
俺なんか…何もないただの人間なのに…そんな俺なんかのために…こんなにボロボロになりながらも、尚も己の命を賭して戦おうとするルインの姿に…俺は思わず、涙があふれてきた。
「主…自分のことを〝なんか″なんて言うな…」
そう言うとルインは、傷だらけの両手を俺の頭と背中に回し、俺を自分の胸へ抱き寄せる。
「ルイン…!」
「主よ、私にとって貴方はたった一人の主なんだ。たった一人、私にできた初めての守るべき人…私は貴方に仕えていることを誇りに思う。だから自分を卑下しないでくれ…悲しくなるじゃないか」
その言葉に、俺の中で抑えていたものが溢れたようで、思わず大きく嗚咽を漏らしながらルインを思いっきり抱きしめ、まるで子供のように泣きじゃくる。
ルインは、そんな俺を暖かい手で抱き、優しい微笑みを零す。
ああ…ルインの体を通して…ルインの心臓の鼓動を感じる…。こんなにも強く…脈打っている…まだ強く生きている…まだ強く生きていられる!
そう思うと、自然に涙が止まり、改めてルインの前に向き直る。
「大丈夫だ主、私は死なない。だからもう泣くな」
「ルイン…俺…!」
「必ずエンド・オブ・ザ・ワールドは止めてみせる。だから主は何も心配することはない…ウェムコを頼んだぞ」
そう言いルインはまた空へ翔けて行く。
最後に見せたルインの顔は、ボロボロなのに、本当に心配いらないと思えるほど…女神としての誇りを尚も捨てず、俺に仕えていることを本当に誇っている、凛としたものだった…。
「懲りない奴だ」
「私は主と約束した…エンド・オブ・ザ・ワールドを必ず止めると!」
傷一つ負っていないデミスにボロボロのルイン…だが、それでもルインは諦めない。
「はぁあっ!!」
「…ふん」
衝撃音と共に、ロッドと斧が交差する。
しかしデミスが力強く斧を振るうとルインのロッドは弾き飛んだ。
デミスの手がルインの首を掴み、締めつける。
「ぐっ…あっ…!」
「これで終わりにするか、続けるか?」
デミスの手に力が入る。
その度にルインが苦しそうな声を上げる。
「ルイン…!!」
思わず叫び、空を見上げる。もしこのまま俺が…「助けてくれ!」と叫べば…ルインは助けてもらえるかもしれない!
一瞬…そんな考えが頭をよぎった。
だがその時、俺はルインの目を見た。
ルインの顔は苦痛に歪んでいる…だが、その目だけはまだ諦めていなかった。先ほどと同じよう、誇り高き、凛とした〝破滅の女神ルイン″としてのその姿…俺が止めた所でルインは死んでも闘い続けるだろう。
「……ルイン」
なら…勝て…。
「負けないでくれ…ルイン…!」
世界のために…俺の為に…そこまでした戦うのなら…勝ってくれ!
「負けるなぁ!! ルイン!!」
ありったけの声で叫ぶ。この声が、ルインの力になるのなら! この心からの叫びで、世界が…ルインが救われるなら! 何度だって叫ぶ…この想いが届くように!!
その時だった。
カッ!!
「…え?」
突然俺のデッキの一番上のカードが光り始めた。
まるで俺の叫びに呼応したかのように…そのカードは眩い光を放つ。
「これはっ…!?」
まばゆく輝くカード…それは神々しくもあり、同時に凶々しくもあった。
―…〝力″ガ欲シイカ?
「っ…!?」
その時、突然何者かの声が頭の中に響いた。
まるで誰かが、俺の頭の中に直接話し掛けてきたかのように…。
―悪ヲ倒ス為ナラバ悪ニデモナレ、俺ガ力ヲ貸シテヤロウ…。
〝そいつ″がそう言うと、まるで俺の中に何かが入ってくるような感覚がした。それと同時に意識が同調する感覚…。
そして俺は無意識にカードをデッキから引き抜く。
引いたカードは光り輝く1枚のカード…。
「むっ…!? 何だ!? この力は…!」
「ある…じ…? (主の眼が…金色に…?)」
そのカードから発せられる膨大なエネルギー…それはまるで、俺に無限の力を与えるかのようだった。俺は引いたカードを大きく掲げ、ためらい無く発動させる。
「発動せよ!!『超融合』!!」
「『超融合』だと!? まさか…あの小僧…!」
デミスが驚きと恐怖の混ざった声で叫ぶ。
発動したカード…『超融合』は、デミスの攻撃を受けて校庭に横たわるライトエンド・ドラゴンと、デミスに掴まれているルインを吸収する。それらは二つの光となり、1つに交わる。
「主…様…?」
ウェムコが目を覚ましたようだ。その声で、俺はハッと正気に戻る。
「…ウェムコ…? 俺は…一体…?」
「それよりも、あれを…!」
俺はウェムコが指差す方向を見る。眩い光は立ち込め、そしてその中から一人の女神が現れる。
全身に煌びやかな金の装飾を纏い、白い羽衣を纏ったその女神は、尚も眩い光を発しながらデミスの前に対峙する。
こんなモンスター…いや、女神は…俺は今まで見たことがなかった。
「貴様…ルインではないな! 何者だ!」
デミスがその女神にへと斧を振り下ろす。
しかし斧は女神に届く前に弾かれ、衝撃でデミス自身も吹き飛ぶ。
「こ、この力は…!」
空中で踏みとどまると、デミスが驚きの声をあげる。
この女神は…明らかにルインとは全く違う存在だ。
「我が名は…『マアト』。真理を司りし者…」
ついに本格的に動き出したデミス…。
いや~、正直強く書きすぎたかな?っていうのが本音w
だってルインはまだしも、自分よりも攻撃力の高いウェムコやクリスティアとも互角以上に戦ってるんだものw
ちなみに、このデミスはGX本編において、エドとのデュエルで敗れたデミスその人です。
それが何故こんなところにいるのかというと…それはまた今度。
さぁ…ついに発動した超融合…。デミスに続き覇王やマアトも登場し、GXの世界観にだんだん繋がってきましたね。
次回、決着!そして…。