遊戯王 ああっ破滅の女神さまっ   作:ダルクス

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己の中に眠る覇王の意識をなんとかするべく、デュエルモンスターズ界へと旅立つ遊煌達一行。
だが、次元の狭間を渡る最中、突然の次元震に襲われてしまい…?


第29話:「旅立ちと遭遇」

「主、まだか?」

 

「もうすぐだ。…よし、できた」

 

あれから数日経ったある日、俺たちはこれから旅に出る準備をしていた。

どこに行くかって? それはデュエルモンスターズ界…そう、ルイン達の故郷だ。そしてこの前ウェムコが話していた魔導書院ラメイソンへと向かう。そこに行けば、俺の中に眠る覇王の意識をどうにかして取り除く方法が見つかるかもしれないからだ。

 

「主様の新しいデッキができたのですね」

 

「あぁ、この前手に入れたカードを何枚か入れてみたんだ」

 

デュエルモンスターズの世界に行くということは、必然的にデッキも完璧な状態にしておかなければならない。俺は完成させたデッキを腰にかけてあるデッキケースに入れ、バッグの中にデュエルディスクやその他諸々、食料など必要なものを入れる。

 

「準備はできたか?」

 

皆が俺の部屋に集まっている中、浅井の姿もそこにはあった。なにしろ俺たちは異世界へと行く手段は持ち合わせていない。だから異世界同士を自由に行き来することのできる能力を持つ浅井に頼るしかなかった。

 

「ああ」

 

俺が短く答えると、浅井は虚空より剣を出現させ、それを横と縦、十字に空間に切れ目を入れるようにして振るう。そうして生まれたのは次元の裂け目。裂け目の中はなんだかよくわからない空間が渦巻いていた。

 

 

 

 

 

―――――第29話:「旅立ちと遭遇」―――――

 

 

 

 

 

「なんだか緊張するな…」

 

「心配いりませんわ主様。気楽にちょっとした旅行だと考えましょう」

 

「だといいがな…」

 

浅井やメカ・ハンターの一件から察するに、向こうの世界でも俺が覇王だと知っている奴は多い。つまりはどこに行っても必ず安心だという保証はないというわけだが…。

 

「案ずるな、主の身になにがあろうとも私たちが必ず守る。主は覇王のことだけ気にかけていればいい」

 

「ウチの女神様は頼もしいな」

 

「当たり前だ。なんてったって私は破滅の女神だからな」

 

そうだ、俺には心強い五人の仲間がいる。破滅の女神に救世の美神、異次元の暗殺者に天界の戦士、あとついでに勝利の導き手も。これだけ揃っていればそんじょそこらのモンスターが襲ってきても遅れをとることはないだろう。

 

「で…浅井、この裂け目の中にどうやって入ればいいんだ?」

 

「特にこれといった方式などはないが、とりあえず飛び込め」

 

「と、飛び込むのか? この中に!?」

 

「この期に及んで何を戸惑っている。大丈夫だ、何も危険はない」

 

と言われてもなぁ…いきなり飛び込めったって。

 

「なーによ、覇王のくせに怖気づいてんの?」

 

背後のフレイヤが煽ってきた。

 

「そ、そんなことねーし! ってか俺は覇王でもないし!」

 

「では私達と共に飛び込むというのはいかがでしょう、マスター殿」

 

「そうですわね! 実はわたくしも心細かったので、そうさせていただくとありがたいですわ」

 

ウェムコが少し恥じらいながらそう言った。

 

「よ、よし。じゃあみんな一緒に飛び込もう。浅井、それでも大丈夫か?」

 

「問題ない。私が先行して入るから、君たちは私の後を追ってきてくれ」

 

それだけ言うと浅井は何のためらいもなく次元の裂け目に足を入れ、そのまま飛び込んでいってしまった。

 

「行ってしまいましたわね」

 

「よし…俺たちも行こう!」

 

意を決して片足を入れ、他のみんなも俺の後ろにつく。

 

「いくぞ! せー…のっ!」

 

次の瞬間、両足を裂け目の中に入れ、俺たちは次元の狭間へと飛び込んでいった。俺たちが次元の狭間に入ると、裂け目は自然に口を閉じた。

 

「何だこりゃ!? 上も下も右も左もわからねぇ! うっ…酔ってきた…!」

 

「ちょっと! こんなところで吐かないでよ!?」

 

次元の中はまるで無重力空間で、俺たちは流されるままにその空間内を漂っている。なんだかよくわからないぐにゃぐにゃした模様ばかりだし、そればっかり見てると気持ちが悪くなてくる。

どうやら俺に次元旅行は合わないようだ…。

 

「ちゃんと私について来てくれよ。はぐれると違う次元に飛ばされてしまう可能性がある」

 

「マジかよ…」

 

若干ビクビクしながらも必死に両手足をバタつかせて浅井の後ろに付く。そこからは流れに身を任せていくだけだ。

この無重力空間というのは慣れればなかなか良いもので、心なしか少し楽しくなってきた。…相変わらずこの模様だけは長く見てると気持ち悪くなってくるが。

 

「だいぶ流されてるけど、まだ着かないのか?」

 

「…おかしい」

 

その時、浅井の表情が変わった。若干嫌な予感を感じつつも、聞いてみる。

 

「なにがおかしいんだ…?」

 

「出口が見当たらないんだ。普通ならとっくに着いてるはずなのに…わっ!?」

 

「うわわっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

突然嵐の中に揺られる船のごとく、空間が大きく歪み、俺達も大きく揺さぶられる。そんな俺の前をスカートを手で押さえたフレイヤが目の前を通り過ぎた。

 

「な、何が起こってるんだ!?」

 

「次元震だ! 次元の空間内で起こる地震のような現象だが…この揺れは異常だ! 自然に起きたものではないぞ!」

 

「自然ではないということは…どういうことだ!?」

 

「おそらく、何者かが故意に…―…ぐっ!?」

 

その時、一際大きな次元震が俺たちを襲った。あまりもの衝撃にかろうじて耐える…が、長くは持ちそうにもない。

 

「くっ…! このまま散り散りになれば、皆別々の次元に飛ばされてしま―…!」

 

浅井の声が聞こえた次の瞬間、さらに大きな次元震が発生し、浅井の姿が消えた。思わず息をのんだ…次元の彼方へ消えてしまったのだろうか…? 浅井がいなければ、俺達はどうしたらいいのだろうか!?

 

「あ、主…!」

 

「マスター殿…!」

 

「ルイン! キリア!」

 

叫び、手を伸ばす…が、間に合わずルインとキリアは俺の視界から消えてしまう。

 

「主様ぁぁぁ~~~!!」

 

「ウェムコ…!」

 

ウェムコも次元の彼方に消えてしまう。気が付けば残されたのは俺とフレイヤだけ…。

 

「フレイヤ! 手を!」

 

手をつなげば少なくとも別々の場所に飛ばされることはないと思い、必死でフレイヤに手を伸ばす。フレイヤの方もこんな時まで俺のことを嫌悪している場合ではないとわかっているらしく、手を伸ばす。互いに手の距離がもう数センチといったところ…その時だった。

また大きな次元震が俺達を襲った。

 

「きゃあああああ~~~!!」

 

「フレイヤ! フレイヤァァァァァ!!」

 

その次元震により、俺とフレイヤは別々の方向へと弾き飛ばされる。

次の瞬間目の前が眩しい光で覆われ、俺はそこで意識を失った。

 

………

……

 

「ククク…どうやらうまくいったようだな」

 

その様子を別の場所で見ていた者が呟く。

 

「しかし、何故覇王とその仲間たちを別々の場所に飛ばしたのです? このまま次元の狭間の中で息絶えさせることもできたでしょうに」

 

その隣にいる長身の男が話しかける。

 

「覇王はともかく、女神には死なれては困るのだ。奴の身体の中には今なお魔王の力が息づいている…」

 

「それをも自分の力にしようっていう考えか…全く、欲張りだよねぇ」

 

もう一人、子供くらいの背丈の者が呟く。

 

「あら、いいんじゃない? どうせなんだから圧倒的な力でこの世界をめちゃくちゃにしてやりましょうよ」

 

また一人、女性の声が呟いた。

 

「では、私はかつての闇の力の一部を開放し、人間界へと行ってまいります。もう一人の終焉の力を持つ者を引きこむためにね…」

 

「頼むぞ」

 

長身の男は帽子を被ると、次元の狭間の中へと消えていった…。

 

………

……

 

―先輩方、これって…人…ですよね?―

 

―ね、ねぇ…この人空から落っこちてきたよ?―

 

―見たことない恰好ねぇ…どこから来た人なのかしら?―

 

―死んでるのか? ちょっと杖貸せよ、つっついてみる―

 

―ちょっと! 私の杖でつっつかないでよ!―

 

俺の周囲から聞こえてくる声でうっすらとだが意識と戻った。

朦朧とする意識の中、全身に響き鈍痛で身体が動かせない…なんだ? 俺の周囲に人がいるのか…?

 

―うらうらっ―

 

俺の脇腹を何者かがつつく。意外と強い力なので半覚醒状態だった俺は無意識に振り払おうと手を振るう。

その時、俺は何か布のようなものを掴んだ。

何せ意識がはっきりとしないものだからそのまま掴んだ手を下げてしまった。

 

そして俺は目を覚ました。

 

目をあけると赤い髪をした女の子が顔を真っ赤にしているのが見えた。

 

「なっ…なななっ…なにしやがんだてめぇ!」

 

「…え?」

 

目線を下に逸らすと、俺が掴んでいるのは黒い布のようなものだった。しかもそれはなぜか、その赤い髪の娘の足に引っ掛かっていた。

…で、目線をもう少し上にあげるとそこには赤い髪の娘が必死で自分の下半身を手で押さえているのが見えて…―。

 

ゴスッ!!

 

鈍い音と強い衝撃が頭の中に響き、俺の意識は再びそこで途切れた。

 

………

……

 

「いっ…つぅ…」

 

頭に響く鈍痛で目が覚めると、木製の天井が視界に入ってきた。ここはどこだ…? どこだかはわからないが、どうやら建物の中らしい。

 

「気が付かれましたか?」

 

女性の声が聞こえると同時に、金髪の女性が俺の顔を覗き込む。

変な帽子を被っているが、俺はその彼女の姿に見覚えがある。えっと、確か名前は…。

 

「…ドリアード?」

 

「あら、どうして私の名前を知っているんですか?」

 

やっぱりそうだ、この人は実際のデュエルモンスターズのカードにもある『ドリアード』だ。

…ん? ちょっと待てよ、なんでデュエルモンスターズのカードにあるモンスターが今ここにいるんだ?

 

「…ここは? いつっ…!」

 

「あっ、まだ起き上がってはダメです!」

 

周りを良く見ようと上体を起こすが、頭の疼きに俺は頭を抱える。そんな俺をドリアードはベッドの方に寝かせ、その額に冷たい水に浸したタオルをかけてくれた。

 

「もう、安静にしてないとダメですよ」

 

「すいません…あの、ここは?」

 

「ここは私達魔法使いが住む町、通称『魔法族の里』。そしてこの建物は魔法を学習する学び舎、王立魔法学院デュエルモンスターズアカデミアの保健室ですよ」

 

周りを見ると、木製のテーブルに薬品の入った棚、ベッドごと仕切られたカーテンと、俺の知っている保健室とは少し雰囲気が違うようだが、確かにここは学校の保健室のようだ。

 

「デュエルモンスターズアカデミア…? ってことは、ええっと…ここって、デュエルモンスターズ界なんですか…?」

 

「…? はい、もちろんそうですが」

 

ドリアードは俺の質問の意味がよく理解できなかったらしく、少し首をかしげてそう答えてくれた。

ここはデュエルモンスターズ界…ということは、俺は運よくあの次元の波を乗り越えてこの世界に来れたらしい…。

 

「…そうだ! 俺の他には誰かいませんでしたか!? 銀色の髪をした背の高い女性とか、金髪で青い装束を纏った女性とか!」

 

「い、いえ…あの子達の話では貴方は一人で里外れで気絶していたそうですが…」

 

「そうですか…」

 

やっぱりあの次元震の後、皆は散り散りになってしまったようだ。

ルイン…ウェムコ…キリア…フレイヤ…浅井…俺は運よく助かったが、みんなも無事なんだろうか…?

 

「あの…つかぬことをお伺いしますが、貴方はもしや別の世界からいらしたのですか?」

 

「あ、はい。その時に連れも何人かいたんですが、次元の裂け目内で次元震に襲われてしまってバラバラに…」

 

「そうだったんですか…」

 

「こうしちゃいられない…! 早くあいつらを探さないと…!」

 

みんなのことが心配で居ても立ってもいられなくなった俺は、ベッドから飛び起きるとそのまま外へ出ようとした、が…。

 

「ぐっ…!」

 

急に視界が揺らぐと、また後頭部が痛みだす。どうやらまだ頭部へのダメージが残っているようだ。そのまま足がもつれ、俺は倒れこむ。

 

「あっ、危ない…! きゃっ!?」

 

そんな俺の体をドリアードは慌てて支えようとする…が、男の体を支えるには少々力不足だったようで、俺はドリアードを巻き込む形で床に倒れこんでしまった。

 

「す、すいません! 今どきます!」

 

「い、いえ…」

 

しかし、俺が起き上がるよりも先に保健室のドアが開き、五人の少女達が入ってきた。

 

「もう、ヒータがいけないんだよ? いきなりあの人を殴るから…」

 

「だーかーらー、これは正当防衛だっての! エリアだってあの場で急にあんなことされたら殴るだろ……って」

 

その五人は俺とドリアードが倒れている様子を見て唖然としている。この状況…見ようによっては俺が無理矢理ドリアードに襲いかかっているようにも見えなくは…ない…?

 

「あっ…いや違うんだ! これは…―!」

 

「ふんっ!」

 

直後、赤い髪の娘の強烈な回し蹴りが俺の顔にめり込んだ。

 

「ぐふぉっ!?」

 

蹴りをマトモに食らい、奇声をあげながら俺は盛大に吹っ飛ばされ、ベッドの角に腰を強打した。

 

「こんの変態野郎! アタシだけじゃなくドリアード先生にも手ぇ出しやがって!」

 

「せ、先輩! いきなり蹴りは…」

 

「先生! 大丈夫ですか!?」

 

「変なことされてないですか?」

 

「着衣の乱れは無し…っと」

 

白髪の子が少し慌て、青髪と緑髪と茶髪の子がドリアードの元に駆け寄り、彼女を起こす。

 

「あ、ありがとう皆さん。あの…ヒータさん? 彼は私に危害を加えていたわけでは…」

 

ヒータと呼ばれた子の姿を改めてよく見てみる。赤髪に釣り目…そして他の4人と似通った服装…間違いない、この子はデュエルモンスターズにおいてコアな人気をもつ“霊使い”カテゴリのうちの一枚、『火霊使いヒータ』だ。そして後ろでドリアードの元に駆け寄っているのは、同じく霊使いカテゴリの『光霊使いライナ』、『水霊使いエリア』、『風霊使いウィン』、『地霊使いアウス』だ。

 

「先生は黙っていてください! おい、そこの変態野郎!」

 

変態野郎、というのはどうやら俺のことらしい。打った腰を擦りながら地面にへたれこむ俺を、ヒータは睨みつけながら指をさし、こう言った。

 

「アタシとデュエルしろ! もし私が勝ったら即刻この里から出ていけ!!」

 

………

……

 

「…どうしてこうなった?」

 

いきなり問答無用のデュエルを挑まれて、俺はドリアードに連れられて学校の敷地内にある広い中庭に案内された。

その中央部には、生徒達がデュエルで使用するものだろうか…簡易的な円状のデュエルフィールドのような用意されており、周囲にはギャラリー用の席もあり、そこに何人か座っている。その生徒達もデュエルモンスターズで見たことのあるカードの恰好をしていたり、魔法使いらしい恰好をしている。どうやら本当にこの世界はデュエルモンスターズの世界らしい。

で、俺はと言うとそのデュエルフィールドに立ち、正面にはヒータが対峙する。彼女からデッキを手渡された俺はそのデッキを受け取り、俺も彼女にデッキを渡し、互いにデッキをシャッフルする。

 

「本当はこの世界のことについていろいろ聞きたかったんだけどなぁ…」

 

小声で呟くとヒータは念入りにデッキをシャッフルしながら時々俺を睨みつけた。どうやらこっちの事情は聞き入れてはもらえないようだ…。

 

「お二人ともデッキのシャッフルはよろしいですか? それではこりより模擬デュエルを行います。ジャッジは私、ドリアードが務めさせていただきます」

 

互いのデッキを返すとドリアードがフィールドの中央に入る。

 

「あ、そうだ。ドリアードさん、一つ聞いてもいいですか?」

 

「はい、何でしょう?」

 

「確かこの世界でデュエルすると、ダメージが本物になったり負けた奴は死ぬって聞いたんだけど…大丈夫かな?」

 

以前、浅井とデュエルをした際に精霊とのデュエルは真の意味での“決闘”…つまり、命を賭けると言われたことがある。

右も左もわからない異世界で皆の行方を知らないで死にたくはないし、第一俺としても女の子相手に命を賭けたデュエルなんてしたくなかった。

 

「それは本物の“決闘”を行う場合のみです。今から行うデュエルはいわば模擬戦のようなものですから、ダメージは受けても命に関わるほどではありませんわ」

 

「そっか、それを聞いて安心した。じゃあ遠慮なくやれるな」

 

「はい。ですからあの子…ヒータを少し痛みつけて口の悪さを治してあげて下さい♪」

 

と、ドリアードは急に黒い笑顔を俺に向けてそうお願いしてきた。あれ…? 俺の中でのドリアードってすごく優しくて誠実そうなイメージだったんだけど…実はちょっと腹黒いのかな?

 

「なにやってんだ! さっさと始めるぞ!」

 

対峙する先でヒータが吠える。

デュエルするのはいいんだが、やるからにはこっちとしてもただでやられるわけにはいかない。ここで皆の手掛かりを掴む前に追い出されるのはゴメンだからな、何としても勝っていろいろ情報を集めないと!

 

「デュエルの前に一つ条件がある」

 

「今さらなんだってんだよ?」

 

「俺だけ勝ったときに何もないっていうのは不公平だと思うんだ。だから俺にも勝った時のメリットをくれ」

 

「ハッ! 笑わせんな! お前みたいな変態がアタシに勝てる筈ないだろ! まぁいいや、言ってみろよ」

 

「お前が勝ったら俺は大人しくここを出ていく。だが、俺が勝ったら……俺の言うことを聞いてくれ」

 

「………は?」

 

直後、場の空気が凍りつき、対峙するヒータはもとより集まっているギャラリーの誰もが沈黙する。しばらくしてヒータの顔がみるみる真っ赤になっていき、ギャラリーにいる他の霊使い達もひそひそと何かを話し始めた。

…あれ? 俺、今なんて言った? 俺はただ、“俺の主張する意見を聞いてくれ”っていうつもりで言ったはずなんだが…。

 

「…あっ!」

 

自分の言った言葉を思い出し、今こいつらは大変な誤解をしているということに気が付いた。

 

「ち、違うんだ! 俺の話を聞いてほしいっていう意味で言ったのであって、決してそんなお前が思ってるような意味じゃ…!」

 

「こ…このド変態野郎! いいぜ…わかったよ! 二度とそんな妄言吐けないように徹底的に叩きのめしてやるよ!」

 

真っ赤な顔で青筋を立てながら激昂するヒータは、やる気満々でデュエルディスクを構える。どうやらまだ誤解しているようだ…。

 

「…しかたない」

 

誤解させたままというのは府に落ちないが、なんにしてもデュエルで勝つしか方法はない。

 

「それでは、デュエル開始!」

 

「「デュエル!!」」

 

ドリアードの合図と共に、俺達はデュエルを始めた。

 

「あたしのターンからいくぜ! ドロー!」

 

先攻はヒータからだ。ヒータは意気揚々とデッキからカードをドローする。

火霊使いヒータ…その名の通り火を操る霊使いだ。ということは当然、使ってくるカードは炎属性が主体か…?

 

「あたしはモンスターをセット! そしてリバースカードを2枚セットして、ターンエンドだ!」

 

■――――

■■―――

ヒータ:手札3枚 LP4000

モンスター:伏せ1体

魔法・罠:伏せ2枚

 

なんだ、セットカードだけか…? ヒータは見たところ、感情的になりやすい性格だと思ったから初ターンにいろいろ動いてくると思ったんだが…。

 

「まぁいい…俺のターン!」

 

今の俺のデッキは前までとは違い、あの浅井とメカ・ハンターとのデュエルでメカ・ハンターが落としたカードを組み込んだ新しいデッキとなっている。今はその力を借りて、攻めさせてもらう!

 

「俺は手札から『サイバー・ドラゴン』を特殊召喚!」

 

【サイバー・ドラゴン】光 機械族 ☆5 ATK/2100 DEF/1600

 

俺のフィールドに白銀に輝く機械の竜がとぐろを巻いて出現した。

 

「なにっ!? レベル5のモンスターをリリース無しで召喚だと!?」

 

「『サイバー・ドラゴン』は相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できるんだ」

 

召喚権を使わずに高攻撃力のモンスターを出せるのがこのカードの良いところだ。しかもそのおかげでシンクロやエクシーズ召喚に用いられることも多々ある。こういった召喚条件のあるカードのおかげで、デュエルモンスターズにおいて「先攻は絶対有利」という概念が覆されたぐらいだ。

さて…俺にはまだ通常召喚が残されている。後続のモンスターを出して追撃してもいいが…まだヒータが手の内を晒してないとなると迂闊には攻め込めない。よし、まずはこいつで様子見といくか。

 

「『サイバー・ドラゴン』で守備モンスターに攻撃! ≪エヴォリューション・バースト≫!!」

 

『サイバー・ドラゴン』の口からビームのブレス攻撃が放たれ、ヒータの場の守備モンスターを焼き尽くす。

 

「ちっ…守備モンスターは『ガード・オブ・フレムベル』だ」

 

【ガード・オブ・フレムベル】炎 ドラゴン族 ☆1 ATK/100 DEF/2000 チューナー

 

『ガード・オブ・フレムベル』…守備力が高いだけのただの壁モンスターか。どうやら初ターンは互いに様子見らしい。

 

「カードを1枚伏せ、俺はこれでターンエンドだ」

 

△――――

■――――

遊煌:手札4枚 LP4000

モンスター:『サイバー・ドラゴン』

魔法・罠:伏せ1枚

 

「あーあ、ターンエンドしちゃった」

 

「…え?」

 

その言葉はギャラリーから見ている地霊使いアウスのものだった。アウスら霊使いはこちらのデュエルの様子を見てなにやらひそひそ話してたりニヤニヤ笑ったりしている。

 

「私の予想だとヒータはこのターンに決めてくるわね」

 

「もうアウス、そんなこと言ったらあの人に悪いじゃない…」

 

「でも、ヒーちゃんいつもあの方法で勝つからきっと今回も…」

 

「ヒータ先輩も今回ばかりは負けられないみたいですからねぇ」

 

…まぁ、気にしないでおこう。しかしこのターンで決めるとは…つまりはワンターンキルを狙うということ…一体どうやってだ…?

 

「アタシのターン! …きた!」

 

ドローしたカードを見てヒータがにやりと笑った。…何をするつもりだ?

 

「アタシは、『龍炎剣の使い手』を召喚!」

 

【龍炎剣の使い手】炎 戦士族 ☆4 ATK/1800 DEF/1200

 

ヒータのフィールドに二本の炎の剣を構えた猛々しい男が出現した。『龍炎剣の使い手』…これがヒータのデッキのキーカードらしいが、見たところなんてない普通のカードのようだ。果たしてこれからどうやって動くんだ…?

 

「さらに永続トラップ発動、『血の代償』!」

 

「なにっ、『血の代償』だと!?」

 

「このカードはライフを500払う代わりに通常召喚を1回増やす。私はライフを500払いモンスターを召喚!」

 

ヒータ:LP4000→3500

 

ヒータのライフが削れ、モンスターが召喚される。出現したモンスターは、血のように深紅の魔法着に身を包んだ魔術師…『ブラッド・マジシャン―煉獄の魔術師―』だ。

 

【ブラッド・マジシャン―煉獄の魔術師―】炎 魔法使い族 ☆4 ATK/1400 DEF/1700

 

「そしてモンスターが召喚されたこの瞬間、『龍炎剣の使い手』の効果が発動! このカードのレベルを1つ上げ、攻撃力を300アップさせる!」

 

「レベルと攻撃力を上げる…?」

 

『龍炎剣の使い手』の構えた剣の炎の勢いが激しくなる。だが、そんな効果が一体なぜ1ターンキルに繋がるというのだろう?

 

「…と、ここでさらに永続トラップカード、『エンペラー・オーダー』を発動!」

 

ヒータの場で表になる2枚目のカード。そのイラストには、“エンペラー”の名に相応しい、俗に言う“帝”モンスター達が描かれている。

 

「このカードは召喚時に発動するモンスターの効果を無効にする!」

 

「なんだと!?」

 

『エンペラー・オーダー』の効力が発揮されると、『龍炎剣の使い手』の剣に灯った炎の勢いが萎えていく。

自分からモンスターの効果を無効にするとは…一体…?

 

「そしてこの効果で無効にした時、デッキからカードを1枚ドローする! さらに『血の代償』の効果を発動! 来い、『ファイヤーソーサラー』!」

 

ヒータ:LP3500→3000

 

【ファイヤーソーサラー】炎 魔法使い ☆4 ATK/1000 DEF/1500

 

「そして『龍炎剣の使い手』の効果が発動する! が、『エンペラー・オーダー』の効果で無効にし、1枚ドロー!」

 

「…ん?」

 

ここで俺は気が付いた。

 

「さらに血の代償の効果を発動! 『バルキリー・ナイト』召喚!」

 

「ちょ、ちょっと待て!」

 

ヒータ:LP3000→2500

 

【バルキリー・ナイト】炎 戦士族 ☆4 ATK/1900 DEF/1200

 

「『龍炎剣の使い手』効果発動! 無効にして1枚ドロー! 血の代償の効果発動! 『超熱血球児』召喚!」

 

「ちょっ…!」

 

【超熱血球児】炎 戦士族 ☆3 ATK/500 DEF1000

 

「はぁ…はぁ…どうだ! この圧倒的な戦力差!」

 

「い、1ターンで…モンスターが5体…だと…!?」

 

…確かに圧倒的な戦力差だった。そう、このコンボ…ライフとモンスターが途切れなければドローが続く限りモンスターが召喚され続けるというコンボだったのだ。『龍炎剣の使い手』…『血の代償』…そして『エンペラー・オーダー』…やられたな、どれもさほど珍しくもないカードなのに、まさかこんなコンボがあったとは…!

ふとジャッジのドリアードやギャラリーの霊使い達を見ると、「やれやれ、またか…」といった表情をしていた。察するに、彼女達も日頃からこのコンボに苦しめられてきたのだろう。

 

「まだまだこれで終わりじゃねぇぜ! 『超熱血球児』はフィールドにいるこのカード以外の炎属性モンスターの数だけ、攻撃力が1000ポイントアップするんだ!」

 

「なっ…1体につき1000!? 今お前のフィールドには…!」

 

「そう、4体の炎属性モンスターがいる! よって攻撃力は…!」

 

『超熱血球児』の瞳に炎が灯り、バットを握る手が強くなる。

 

超熱血球児:ATK/500→4500

 

「こ、攻撃力…4500!?」

 

「いくぜ女の敵め! アタシやドリアード先生にした悪行の数々…あの世で詫びな! 『超熱血球児』で『サイバー・ドラゴン』に攻撃!」

 

『超熱血球児』が炎のボールを取り出し、それを空中に放るとバットを構える。

 

「一球入魂! ≪第45号ソニック・オン・ホームラン≫!!」

 

瞬間、思いっきり振るったバットに触れる炎のボール。それはまるで鉄でも打ったかのように轟音を立ててぶつかり合い、ボールはジグザクの線を描いて『サイバー・ドラゴン』へと向かう。炎のボールは『サイバー・ドラゴン』の胴体を貫通し、『サイバー・ドラゴン』は火花を散らせて爆発した。そして貫通したボールはそのまま俺の体に打ちこまれる。

 

「ぐはっ…!」

 

遊煌:LP4000→1600

 

ボールが当たった脇腹付近を抑える。なんてデッドボールだ…! 攻撃力4500のモンスターの衝撃がこれほどとは…!

 

「どうだ? なんならここで止めにしてやってもいいぜ」

 

「…まだ」

 

「は?」

 

「まだ…まだだ!」

 

あいつは…浅井は前のデュエルの時、こんな攻撃とは比較にならないほどの攻撃を食らって、そして勝利した。俺だって負けてられない…こんなところじゃ!

 

「懲りねぇ奴だな! どの道この攻撃食らったらもう終わりだっつの! 『龍炎剣の使い手』でダイレクトアタックだ!」

 

『龍炎剣の使い手』が剣を振りかざす。攻撃力は1800…これを食らったら俺の負け…だが!

 

「手札から、『速攻のかかし』の効果発動!」

 

「手札からモンスター効果だと!?」

 

【速攻のかかし】地 機械族 ☆1 ATK/0 DEF/0

 

「相手モンスターの攻撃宣言時、このカードを手札から墓地に捨てることによりその攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」

 

俺が受ける攻撃を『速攻のかかし』が出現し、攻撃を受けるとバラバラに砕け散った。

 

「なっ…! アタシの必殺の1ターンキルを防ぐだと!?」

 

「どうだ!」

 

「だが…まだだ! 『超熱血球児』の効果発動! このカード以外のモンスターを墓地に送る度に、相手に500ポイントのダメージを与える!」

 

「1体につき500…俺のライフは1600だから…!」

 

「そうさ! この4体全てのモンスターを墓地に送ればアタシの勝ちだ! まず1球目、『ブラッド・マジシャン』をリリース!」

 

ご丁寧に『超熱血球児』は俺に向かってバットの先端を向ける。予告ホームランの合図だ。そして『ブラッド・マジシャン』は炎のボールへと姿を変え、『超熱血球児』へと迫る。『超熱血球児』はバットを身構える。

 

「秘打! ≪44(フォーティフォー)マグナムノック≫!!」

 

思いっきりバットを振るって俺の方へ炎のボールを打つ。今度は先ほどとは違い、一直線な球筋だ。だが、これを受けたら俺はゲームセット、コールドゲームになってしまう。そうはいかない!

 

「カウンタートラップ、『ダメージ・ポラリライザー』発動! ダメージを与える効果が発動した時、その効果を無効にする!」

 

俺の前にプリズムの盾が出現し、それが『超熱血球児』の打った球を弾き返した。

 

「くっ…1度ならず2度までも…!」

 

炎属性モンスターが1体減ったため、『超熱血球児』の攻撃力も1000下がる。

 

超熱血球児:ATK/4500→3500

 

「残念だがファールボールだ。そう勝負を焦るなよ、ここで一旦タイムといこうじゃないか。『ダメージ・ポラリライザー』の効果で、互いのプレイヤーはカードを1枚ドローする」

 

「…わかった、ドロー。カードを1枚セットしてターンエンドだ」

 

△―△△△

□□■――

ヒータ:手札3枚 KP2500

モンスター:『龍炎剣の使い手』『炎の女暗殺者』『バルキリー・ナイト』『超熱血球児』

魔法・罠:『血の代償』『エンペラー・オーダー』伏せ1枚

 

「すごい…! あのお兄さん、ヒータの必殺のワンターンキルを防いじゃった!」

 

俺達のデュエルを見ていたエリアが感嘆の声をあげた。

 

「へぇ、あの人なかなかやるじゃない。ねぇみんな、どっちが勝つか賭けない?」

 

「またアウスったらそんな…私はパスするからね」

 

「わ、わたしも…賭けとかそういうのよくないと思うし…」

 

「もうエリアもウィンもお固いなぁ。ライナはどうする?」

 

「えっ!? じ、じゃあヒータ先輩が勝つ方に賭けます!」

 

「お、いいねぇ。じゃあ私はあのお兄さんが勝つ方に賭けるね。負けた方が今日のランチ奢りだからね」

 

「の、望むところです!」

 

…なにやら俺達のデュエルが賭けの対象になっているが、それはさておき、なんとかワンターンキルだけは凌いだな…。

さて、このターン中でなんとかしないと、本気で負けてしまう。それだけはなんとしても避けないと。

 

「俺のターン!」

 

もう悠長なことは言ってられない。一気に仕掛ける!

 

「俺は『終末の騎士』を召喚!」

 

【終末の騎士】闇 戦士族 ☆4 ATK/1400 DEF/1200

 

「『終末の騎士』が召喚した時、デッキの闇属性モンスター1体を墓地に送る! 俺は『儀式魔人ディザーズ』を墓地に送る」

 

デュエルディスクが『ディザーズ』のカードを選び出し、俺はそれを墓地に送った。

 

「さらに、墓地に存在する光属性の『サイバー・ドラゴン』と闇属性の『儀式魔人ディザーズ』をゲームから除外し、『カオス・ソーサラー』を特殊召喚!」

 

【カオス・ソーサラー】闇 魔法使い族 ☆6 ATK/2300 DEF/2000

 

「ちぃっ…! 厄介なモンスターが…!」

 

ヒータが舌打ちをするが、俺は構わずデュエルを進める。

 

「『カオス・ソーサラー』の効果発動! 1ターンに1度、フィールドの表側モンスター1体をゲームから除外する! 俺が除外するのは、もちろん『超熱血球児』だ!」

 

『カオス・ソーサラー』は両手に溜めた光と闇の魔力を合成し、それを『超熱血球児』に向けて放ち、『超熱血球児』は次元の彼方へと消え去った。

 

「攻撃力3000超えのモンスターもあっけないものだな」

 

「ほざけ! 効果を使ったターン『カオス・ソーサラー』は攻撃宣言が行えない! 残った『終末の騎士』もその攻撃力じゃ私のモンスターには対抗できない! 次のターンでアタシがまたこのデュエルの主導権を握ってやるさ!」

 

「…それはどうかな?」

 

「なに…!?」

 

「俺は場の『終末の騎士』を手札に戻し、チューナーモンスター『A・ジェネクス・バードマン』を特殊召喚!」

 

突如突風が吹き付けると、『終末の騎士』の姿が消え、代わりに鳥の頭が特徴的なモンスターが風と共に舞い降りた。

 

【A・ジェネクス・バードマン】闇 機械族 ☆3 ATK/1400 DEF/400 チューナー

 

「チューナーモンスターを特殊召喚だと!?」

 

「いくぜ! 俺はレベル6の『カオス・ソーサラー』にレベル3の『A・ジェネクス・バードマン』をチューニング!」

 

『バードマン』は翼を広げ空を舞い、自身を3つの星に変換するとその星が『カオス・ソーサラー』と重なり合う。

 

 

 

 

 

―黒き巨体に絆を乗せて―

 

―煌めけ、勝利の青信号! ―

 

―暗闇を乗り超え、走り出せ!―

 

 

 

 

 

噴き出す煙にけたたましく鳴る蒸気音。太い腕を振り上げ、俺の場に現れる黒鋼の巨体…そいつは太い腕をガチンと目の前で合わせると、ヒータの操るモンスター達の前に巨大な影を落とす。

 

「シンクロ召喚! 『レアル・ジェネクス・クロキシアン』、定刻通りに只今到着!」

 

【レアル・ジェネクス・クロキシアン】闇 機械族 ☆9 ATK/2500 DEF/2000 シンクロ

 

「れ…レアル・ジェネクス…クロキシアンだと…?」

 

目の前にそびえたつ黒き巨体を目前にして、ヒータはそれを見上げながら呟く。

 

「そう…その通り!」

 

「ふざけやがって! たかが攻撃力2500程度のモンスターじゃねぇか! その程度、アタシのモンスター軍団にかかればたいしたもんじゃねぇっての!」

 

「これを見てもそんなことを言えるか? 『レアル・ジェネクス・クロキシアン』の効果発動!」

 

すると『クロキシアン』は頭部の煙突からもくもくと煙を吐き出し、その灰色の煙はあっという間にフィールドを埋め尽くした。

 

「な、なんだ!? この煙は…?」

 

「お前のモンスターの様子をよーく見てみな」

 

たちこめる煙の中、ヒータは目を凝らして自分のモンスターの様子を見てみる。すると…どうしたことだろうか、モンスターが皆ふらふらとして落ち着きが無い様子だ。

 

「ど、どうしたんだみんな!?」

 

「『レアル・ジェネクス・クロキシアン』の効果さ。『クロキシアン』が出す煙にはモンスターの中枢神経を麻痺させる特殊な“チャフ”が含まれている」

 

「チャフ…?」

 

 

 

「アウス先輩、チャフってなんですか?」

 

「確か…電波やレーダー類を狂わせる金属片だったかしら。あれはそれのモンスター版みたいだけど…」

 

 

 

『クロキシアン』の出す煙をよく見てみると、その煙の中にはきらきらと光る金属片がいくつか見える。

 

「このチャフの影響でお前の場の一番レベルの高いモンスターは自分の主人が誰なのか判断できなくなり…俺がコントロールすることができる!」

 

「なんだと!?」

 

「今お前のフィールドにいるモンスターは全てレベル4…だからみんなチャフの影響を受けちまっている。この場合は俺がどのモンスターをコントロールするか選択することができる」

 

「くっ…!」

 

「というわけで貰うぜ、お前の場で一番攻撃力が高いモンスター…『バルキリー・ナイト』を!」

 

『バルキリー・ナイト』はふらふらとした足取りで俺のフィールドに引き寄せられ、完全に俺のコントロール下に入る。そしてヒータの操るモンスター達の前に対峙し、その刃を向ける。

 

「バトルフェイズだ! まずは『レアル・ジェネクス・クロキシアン』で『龍炎剣の使い手』を攻撃! ≪アドベント・R・バスタァァァァァ≫!!」

 

『クロキシアン』が両手を『龍炎剣の使い手』に向けると、腕の機関部に光が収束していき、マシンガンのように光弾を放つ。放たれた光弾は『龍炎剣の使い手』を貫き、撃破する。

 

「くっ…!」

ヒータ:LP2500→1800

 

よし、これでヒータのコンボの一角を潰した。あとは…!

 

「『バルキリー・ナイト』で『ファイヤーソサラー』を攻撃!」

 

『バルキリー・ナイト』は剣を抜き、構えると『ファイヤーソーサラー』の前に対峙する。そして上空に飛び上がり、上段から斬りかかる。『ファイヤーソーサラー』も炎を飛ばして迎撃するが、飛ばした炎は剣で蹴散らされてしまい、甲斐なくそのまま切り捨てられてしまった。

 

「うっ…」

ヒータ:LP1800→900

 

これでヒータの場のモンスターは全滅した。そして俺の方がライフポイント的にもリードしている。このまま次のターン、一気に攻める!

 

「カードを1枚セットして、ターンエンドだ」

 

△△―――

■――――

遊煌:手札2枚 LP1600

モンスター:『レアル・ジェネクス・クロキシアン』『バルキリー・ナイト』

魔法・罠:伏せ1枚




しばらくぶりの投稿となり、気がつけば年を跨いでしまっていましたw
今回より新展開、舞台がデュエルモンスターズ界へと移ります。
さっそく霊使いやドリアードといった新キャラクターも登場しましたが、新世界で多くの出会いが遊煌達を待っております、お楽しみに!
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