遊戯王 ああっ破滅の女神さまっ   作:ダルクス

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ルインの正体をバラさないために、響先生とのデュエルに臨むことに。
響先生の実力は未知数…最初は油断していたのだが…?


第6話:「堕天使の猛攻」

「おまたせ」

 

屋上でしばらく待つと、響先生が二つのデュエルディスクを持ってきた。

先生がいない間に逃げてしまおうか…とも考えたが、それは後々厄介なことになりそうだからやめておいた。

 

「デッキは持ってきているわね?」

 

「ええ」

 

「なら早速やりましょうか。これを貸してあげるから着けなさい」

 

響先生が俺にデュエルディスクを投げ、自分もそのディスクを腕に装着する。

 

(あれ…? このデュエルディスクって、たしかデュエルアカデミアの…)

 

俺はそのデェルディスクを見て少し不思議に思った。

それは一般に市販されているディスクではなく、デュエルアカデミアの生徒が使用するタイプのものだった。

 

(響先生、デュエルアカデミアに知り合いでもいるのかな?)

 

その時の俺は、その程度の考えで先生に臨もうとしていた…。

 

 

 

 

 

―――――第6話:「堕天使の猛攻」―――――

 

 

 

 

 

「主、どうした?」

 

そんな俺の様子を見てルインが気にかける。

 

「いや、なんでもない。始めましょうか先生」

 

なんだって構いやしない。とにかく、デュエルでこの状況が打開できるなら本気でこのデュエルに臨むしかない。

 

「ええ、あなたに特別授業をしてあげるわ」

 

俺と先生はディスクを起動させ、学校の屋上で対峙する。

 

「「デュエル!!」」

 

「先攻は私がもらうわ、ドロー」

 

響先生の実力は未知数だ…一体どんな戦術で来るんだ?

 

「なぁ主…あのヒビキとかいう女はどんなデュエルをするんだ?」

 

「それは俺もわからない…なんせ俺は響先生のデュエルを見た事ないし、第一デュエリストだって知ったのもついさっきなんだからな」

 

俺とルインがこそこそと話をしていたときだった。

 

「こらそこ! デュエル中に私語をしないの!」

 

「す、すいません…」

 

文字通り、響先生にとってはこれも授業の一環と考えているのだろう。まるで普段の授業中にするように、俺達を注意する。

 

「デュエルにおいて、相手を観察することも重要なことよ。一つ一つの動作を見逃さず、しっかり観察しなさい」

 

「は、はぁ…」

 

なんだろう…なんだかこの人、まるで俺にデュエルを教えているかのようにも思える。

 

「そうね、まずは速効魔法『手札断殺』を発動するわ」

 

響先生の最初の一手はモンスターは召喚せず、手札交換の魔法カードの発動から始まった。

 

「『手札断殺』…? 確かそのカードは、互いのプレイヤーが手札を2枚捨てて2枚デッキからドローするカード」

 

「あら、知ってたのね。幅広いカードの知識はデュエルでは最も重要な戦略を組む手段になるわよ」

 

だが、しょっぱなから手札交換のカードを発動するなんて…さては先生、手札が事故ってるんですね? この分だと響先生はデュエルの素人みたいだ。先生には悪いが、この勝負もらった!

俺と響先生は手札を2枚捨て、そして2枚ドローした。

さて…手札も入れ替えたということはモンスターくらいは引けたんだろうか?

 

「そうね…私はカードを三枚セット。これでターンエンドよ」

 

―――――

■■■――

響:手札2枚 LP4000

魔法・トラップ:セット3枚

 

モンスターを召喚せず、リバースカードだけ…?

もしかしてまだ手札が事故っているのか…?

まぁいい、先生が事故っている間に、こちらはガンガン行かせてもらうだけだ!

 

(主のあの余裕の表情…ヒビキが素人だと確信しているという顔だが…果たしてそうなのか? 私は気になる…仮に手札事故を起こしていたにせよ、何故このタイミングで手札交換のカードを使用したのかが…)

 

「俺のターン!」

 

だがやはり、三枚も伏せカードがあっちゃマトモに攻めることすらままならない…よし、ならまずは小手調べといこう。それで響先生の出方を見る!

 

「俺は『マンジュ・ゴッド』を召喚!」

 

【マンジュ・ゴッド】 ☆4 ATK/1400 DEF/1000 光 天使族

 

「召喚に成功した『マンジュ・ゴッド』の効果発動! 召喚時にデッキから儀式モンスター、または儀式魔法を手札に加えます。俺は儀式モンスター、『破滅の女神ルイン』を選択」

 

デュエルディスクが『ルイン』のカードを選び出し、俺はそれを手札に加える。

 

(なるほど…儀式デッキなわけね。それに天使族ってことは…偶然にも私のデッキとはテーマが真逆なわけね)

 

なんだか響先生が不敵な笑みを浮かべているようだが…そんなことで俺はひるみはしない!

 

「まずは先生の実力を測らせてもらいますよ! バトルフェイズ! 『マンジュ・ゴッド』で攻撃!」

 

『マンジュ・ゴッド』が幾本もの手を伸ばし、攻撃の態勢をとる…が。

 

「リバースカードオープン!」パチンッ

 

「なっ…!?」

 

響先生が指を鳴らすと同時に、伏せてあったリバースカードの一枚が発動する。

 

「永続トラップカード、『リビングデッドの呼び声』! この効果で、墓地のモンスター1体を特殊召喚する!」

 

「モンスター蘇生のカード!? ってことは…『手札断殺』で捨てたモンスターを!?」

 

「当然。見せてあげるわ…これが私の天使よ! 降臨なさい! 『堕天使スペルビア』!!」

 

【堕天使スペルビア】 ☆8 ATK/2900 DEF/2400 闇 天使族

 

フィールドに壺のような形を模した漆黒の不気味なモンスターが翼をはためかせ、フィールドに降り立つ。

 

「す…『スペルビア』だと!?」

 

『堕天使スペルビア』…あのモンスターはめったなことでは手に入らない超ウルトラ級のレアカード…! 何故それを響先生が!?

 

「『スペルビア』の効果発動。このモンスターが墓地から特殊召喚されたとき、墓地の天使族1体を特殊召喚する! 来なさい…『堕天使エデ・アーラエ』!!」

 

『スペルビア』の壺の中から二体目の堕天使が姿を現す。

まるで鬼のような形相と角を生やし、太い腕を振りかざす漆黒の堕天使が、『スペルビア』の中から這い出した。

 

【堕天使エデ・アーラエ】 ☆6 ATK/2300 DEF/2000 闇 天使族

 

「堕天使が…二体だと!?」

 

あっという間に2体の上級モンスターを揃えた響先生の戦術に、ルインは驚愕する。

 

「さ…最初からこのために手札交換のカードを…!」

 

迂闊だった…まさかこのために手札のカードを墓地に捨てていたなんて…!

 

「さぁどうする? 私のフィールドにモンスターが増えたけど、攻撃は続ける?」

 

「くっ…攻撃中止! メインフェイズ2に入ります!」

 

だが…俺にだって『手札断殺』のメリットはあった、そのお陰でこのカードを引くことができた。

トラップカード…『光子化(フォトナイズ)』。相手モンスターの攻撃を無効にし、相手モンスター1体の攻撃力分、俺の光属性モンスターをパワーアップさせるカードだ。

これさえあれば上級モンスターがいくらいようとも…!

 

「俺はリバースカードを二枚セットし、ターンエンドです」

 

△――――

■■―――

手札4枚 LP4000

モンスター:『マンジュ・ゴッド』

魔法・トラップ:セット2枚

 

「私のターン、ドロー! 私はトラップカード、『レベル変換実験室』を発動!」

 

「『レベル変換実験室』…?」

 

聞き慣れないカードの発動に、俺は思わず首をかしげる。

 

「主、なんだあのカードは?」

 

「わからない…俺も見たことないカードだ」

 

「あまり使われていないからといって、知識を疎かにしてはダメよ。思わぬコンボを思いつくことだってあるんだから。このトラップカードは、手札のモンスター1体を選択して相手に見せ、サイコロを1回振るわ。1の目が出た場合そのカードは墓地に送られ、2~6の目が出た場合、選択したモンスターのレベルは出た目と同じになるの」

 

と、響先生は丁寧にカードの効果を俺たちに教えてくれた。

 

「なっ!? じゃあ最上級モンスターをリリースコストを軽減、もしくはリリース無しで召喚できるってことか!?」

 

「その通り。私が選択するモンスターは、この『堕天使アスモディウス』、レベル8のモンスターよ。サイコロを振るわ」

 

ソリッドビジョンのサイコロが出現し、フィールドをコロコロと転がる。

1の目…1の目さえ出れば墓地行きだ!

確立は六分の一だが…それでも可能性はある!

 

コロコロ…コロ…

 

サイコロが…止まる!

 

…コロッ

 

…出た目は?

 

「ふふっ…出た目は3! よって手札の『アスモディウス』のレベルは8から3に変換されるわ!」

 

堕天使アスモディウス:☆8→☆3

 

「上級モンスターが…下級モンスター並のレベルに…!」

 

「くっ…!」

 

さらなる上級モンスターの召喚を許してしまうこの状況に、俺は歯がゆい思いをしてしまう。

 

「そして通常召喚…舞い降りなさい!『堕天使アスモディウス』!!」

 

【堕天使アスモディウス】 ☆8→3 ATK/3000 DEF/2500 闇 天使族

 

空間を引き裂き、黒い翼を纏った堕天使が降り立つ。

 

「だ…堕天使が…3体も…!」

 

「しかもどれも高攻撃力で…高レベルばかりだ…!」

 

今頃俺は悟った…。

最上級モンスターをここまで使いこなすカードのプレイングテクニック…間違いない、この人は素人なんかじゃない!

 

「先生…あんたは一体何者なんだ?」

 

「私? 私はなんでもない、ただの公立高校の国語教師よ」

 

「嘘だ! さっきから思ってたけど、あんたのカードプレイングは並のもんじゃない! それにそんな超が付くほどのレアカードまで使ってるし…あんたもしかして…!」

 

「…ハァ」

 

響先生はやれやれといった表情で、仕方なさそうに俺の問いに答える。

 

「…隠しても無駄みたいね。そう、実は私はねデュエルアカデミアの教師よ。元だけどね」

 

「やっぱり…!」

 

さっきから俺たちに対してデュエルを教えるかのような姿勢…最上級モンスターをここまで巧みに操るプレイングスタイル…そうとでもないと説明がつかない。

 

「主、なんだその…デュエルなんとかというのは?」

 

「デュエルアカデミア…それは将来デュエリストを目指す子供達の為に設立されたデュエリスト専門の養成学校だ。そこにおける教師とは、常に生徒達の見本にならなくてはならないため、必然的に高度なデュエルテクニックを持っている」

 

「じゃあ…!」

 

そうだ…ルインと同時に俺も悟ってしまった。

響先生がそこの元教師だとするなら…このデュエル、最初から俺に勝ち目なんてないんじゃないか!?

 

「あら、私がアカデミアの教師だからって、貴方が負けたわけじゃないでしょ? 結果がまだわからない状況で勝負を諦めることは、デュエリストが最もしてはいけないことよ?」

 

「っ…」

 

そうだ…何を弱気になっているんだ俺は!

響先生がアカデミアの教師だからって、まだ俺が負けたわけじゃない。そもそも俺は絶対に負けるわけにはいかない…。

幸いどれだけモンスターを揃えようとも、その攻撃はこのリバースカードで防ぐことができる。来るなら来てみろ!

 

「バトルフェイズ…いくわよ! まずは『堕天使エデ・アーラエ』で『マンジュ・ゴッド』に攻撃!」

 

『エデ・アーラエ』が太い腕を翳し、『マンジュ・ゴッド』に迫る!

 

「今だ! トラップ発動!『光子化(フォトナイズ)』!」

 

「…!」

 

発動するトラップカード…『光子化』。

その発動を見て響先生が一瞬たじろぐ。

 

「このトラップカードは、相手モンスターの攻撃を無効にし、その攻撃力分俺の光属性モンスターの攻撃力をアップさせる!」

 

『マンジュ・ゴッド』の身体が徐々に光子化していく。

 

「よし! これで『マンジュ・ゴッド』の攻撃力は『エデ・アーラエ』の攻撃力分アップし…―!」

 

ルインの言う通り…と思いきや。

たじろいだのも一瞬、すぐに先生はそれに対してチェーンする。

 

「甘いわね…リバーストラップ発動!」パチンッ

 

またも響先生は指を鳴らし、伏せてあるリバースカードを発動する。

 

「トラップカード、『トラップ・スタン』! このターン、フィールドのトラップカードの効果を全て無効にする!」

 

「なっ…!?」

 

まさか…『光子化(フォトナイズ)』が読まれていたのか!?

無効にされた『光子化(フォトナイズ)』はその効力を無くし、『マンジュ・ゴッド』の光子化が止まる。

どうやら響先生のデッキは、最上級レベルの堕天使達を大量のトラップで守ったり、召喚の補助をするのが主な戦術のようだ。

 

「切り札が読まれて焦っているわね。このターンモンスターの総攻撃で、貴方はお終いかしら?」

 

「くっ…まだまだ! 『トラップ・スタン』にチェーンして永続トラップ、『女神の加護』を発動する!」

 

「ほぅ…」

 

今度は驚きのような…関心した表情を見せる。

 

「この永続トラップカードは、俺のライフポイントを3000ポイント回復させる」

LP4000→7000

 

「『トラップ・スタン』にチェーンして発動したトラップカードは無効にできない…なかなかやるわね」

 

「俺もこのまま、やられるわけにはいきませんからね」

 

「いい心意気ね…バトル続行! 『エデ・アーラエ』で『マンジュ・ゴッド』にアタック!!≪エーデル・インサニティ≫!!」

 

『マンジュ・ゴッド』は『エデ・アーラエ』の放つ闇の波動によって、消滅する。

 

「くっ…!」

LP7000→6100

 

「ま、まだまだ! 主の回復したライフポイントは、十分に残っている!」

 

「続いて『スペルビア』と『アスモディウス』でダイレクトアタック! ≪スーペル・グリード≫!! ≪ヘル・パレード≫!!」

 

俺のフィールドに壁となるモンスターはいない。

対抗手段が無い俺は、『スペルビア』と『アスモディウス』の直接攻撃をマトモに喰らってしまった。

 

「ぐわあああああっ!!」

LP6100→3200→200

 

最上級モンスター2体の攻撃の衝撃は凄まじかった。

衝撃で俺の身体が後方に吹き飛ばされる。

 

「主! 大丈夫か!?」

 

「なんとかな…首の皮一枚で繋がったよ」

 

ルインの手を借り、起き上がりながら俺は答える。

 

「7000もあった主のライフが…僅か1ターンっで200にまで減らされるなんて…!」

 

「くっ…やっぱ強いですね、先生」

 

フラフラと立ちあがりながらも、しっかりと先生の方を見据える。

 

「あなたもなかなかやるわね、私の堕天使達の直接攻撃を受けてまだライフが残ってるなんて」

 

「俺だってただで負けるわけにはいかない…まだまだこれからです!」

 

これで響先生のバトルフェイズは終了…次の俺のターンで反撃に出る!

俺はしっかりとデュエルディスクを構え、手札を握りしめる。

 

「いい心意気ね、リバースカードを一枚セットしてターンエンドよ」

 

△△△――

□■―――

響:手札2枚 LP4000

モンスター:『堕天使スペルビア』『堕天使エデ・アーラエ』『堕天使ディザイア』

魔法・トラップ:『リビングデッドの呼び声』、セット1枚

 

「僅か数ターンでここまで自分に有利な状況を作りだしてしまうとは…あのヒビキという女…侮れない。主が勝つ手段は果たしてあるのか…?」

 

ルインの心配をよそに、俺にターンが回ってくる。

なぁに…このターンでなんとかしてやるさ!

 

「俺のターン!」




響先生とのデュエルに突入です。
さすが先生…扱いの難しい最上級堕天使を次々と繰り出しますw
そしてまたもしょっぱなからライフポイントが鉄壁レベルまで落ち込む主人公。
果たして決着は…?

※今後のデュエル展開の都合上、暗黒の謀略を手札断殺に変更させていただきました
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