遊戯王 ああっ破滅の女神さまっ   作:ダルクス

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ルインの正体を隠すために響先生とのデュエルに臨むこととなった。
しかし、響先生は元デュエルアカデミアの教師であり、扱うモンスターも強力で超レアな堕天使モンスターたち。
果たして逆転の一手はあるのか…?


第7話:「天使vs堕天使」

さて…「なんとかしてやる」とは言ったものの、あの3体もの最上級堕天使を倒す方法は果たしてあるのか…?

少なくとも、今の俺の手札には、そのカードはない…。

俺のドローフェイズ…果たして引いたカードは…?

 

 

 

 

 

―――――第7話:「天使vs堕天使」―――――

 

 

 

 

 

「どう? 逆転のカードは引けたかしら?」

 

「逆転できるかどうかはわからないけど…その可能性はあるカードを引きましたよ! 儀式魔法、『高等儀式術』を発動!」

 

「『高等儀式術』ですって…?」

 

「このカードは、俺の手札にある儀式モンスター1体を選択し、デッキからそのモンスターと同じレベル分の通常モンスターを墓地に送ることで、その儀式モンスターを儀式召喚する!」

 

「そういえばあなたの手札には…『マンジュ・ゴッド』の効果で手札に加えた儀式モンスターがいたわね」

 

そうさ。最初の俺のターンのとき、すでに『破滅の女神ルイン』のカードをデッキからサーチさせてもらってあったからな。

 

「俺は手札の『破滅の女神ルイン』を選択! 『ルイン』のレベルは8、よってデッキからレベル4の通常モンスター、『デュナミス・ヴァルキリア』と『デーモン・ソルジャー』の二体を墓地に送ることで、儀式召喚を行う!」

 

 

 

 

 

―破滅を司りし混沌のイデア―

 

  ―煌めく天の名の下に―

 

―邪討ち祓う矛先となれ!―

 

 

 

 

 

「儀式召喚! 光臨せよ、『破滅の女神ルイン』!」

 

【破滅の女神ルイン】 ☆8 ATK/2300 DEF/2000 光 天使族 儀式

 

「これがあなたのエースモンスターってわけ。でもその攻撃力じゃ、私の堕天使達に女神様の攻撃力は届かないわよ?」

 

『破滅の女神ルイン』の攻撃力は2300、対する響先生の堕天使達は一番攻撃力が低くても同じ攻撃力の2300…相打ちにこそできるが、後続の堕天使を倒すことはできない。

だがそれでも…!

 

「届けてみせますよ、このカードでね。続いて魔法カード発動!『死者蘇生』!」

 

「『死者蘇生』…!?」

 

『死者蘇生』…自分もしくは相手の墓地に存在するモンスター1体を自分の場に特殊召喚する、デュエルモンスターズを代表するほどのメジャーで強力な魔法カードだ。

 

「このカードで、俺の墓地に眠るモンスター1体を特殊召喚する!」

 

(しまった…彼も『手札断殺』の効果で手札からモンスターを墓地に送っていたのね。それに彼のあの自身…蘇生させるのはよほど強力なモンスター…!?)

 

「俺が蘇生させるのは…こいつだ! 来い! 『マシュマロン』!」

 

【マシュマロン】 ☆3 ATK/300 DEF/500 光 天使族

 

「なっ…えっ? 『マシュマロン』? そのモンスターは確か、戦闘では破壊されないモンスター…壁にしてキーカードが来るのを待つつもりかしら?」

 

「いいえ、残念ながら壁にするつもりはありませんよ。さらに俺は、『勝利の導き手フレイヤ』を召喚!」

 

【勝利の導き手フレイヤ】 ☆1 ATK/100 DEF/100 光 天使族

 

両手にボンボンを持ち、天使の少女はそれを振り上げ、踊り舞うようにフィールドに出現する。

『フレイヤ』の効果は俺のフィールドに存在する天使族モンスターの攻守を400ポイントアップさせる効果を持つ。

 

破滅の女神ルイン:ATK/2300→2700 DEF/2000→2400

マシュマロン:ATK/300→700 DEF/500→900

勝利の導き手フレイヤ:ATK/100→500 DEF/100→500

 

「攻撃力は『エデ・アーラエ』は越えたが、他2体には届かない…」

 

どうやらルインは『フレイヤ』の効果でパワーアップした『ルイン』で攻撃すると思っているようだが…その程度では攻撃力が届かないのは百も承知。本番はここからだ!

 

「まだまだ、こいつが本命だ! 墓地の『ブーテン』の効果発動! こいつが墓地に存在する場合、墓地のこのカードを除外することで俺のフィールドに存在するレベル4以下の光属性・天使族モンスター1体はチューナーモンスターとして扱われる!」

 

そう、この『ブーテン』も既に『手札断殺』の効果で手札から捨ててあったのさ。

 

「『ブーテン』の効果で、俺は『フレイヤ』をチューナーモンスターに変更!」

 

『勝利の導き手フレイヤ』:チューナー

 

「天使族をチューナーモンスターに変換したってことは…」

 

「これで準備は整った! 俺はレベル3の『マシュマロン』に、レベル1のチューナーとなった『勝利の導き手フレイヤ』をチューニング!!」

 

2体のフィールドのモンスターはその身を星に変え、紡がれた星は新たなモンスターの姿を形創る!

 

 

 

 

 

 ―覚醒せし〝新″なる力よ―

 

 ―我が化身の右手に宿りて―

 

―万物全てを(ひか)りへと還せ!―

 

 

 

 

 

「シンクロ召喚! 掌握せよ、『アームズ・エイド』!!」

 

【アームズ・エイド】 ☆4 ATK/1800 DEF/1200 光 機械族 シンクロ

 

星が紡ぐトンネルを抜け、フィールドに出現したのは巨大なガントレッドの形をしたシンクロモンスター、『アームズ・エイド』だった。

 

「これが…シンクロ召喚か。だがこれでもまだ、攻撃力は堕天使達の方が上…それに『フレイヤ』もいなくなったから、私の攻撃力も落ちてしまう…」

 

破滅の女神ルイン:ATK/2700→2300 DEF/2400→2000

 

「大丈夫だルイン、こいつは他のモンスターがいるときに真価を発揮するんだ」

 

フィールドに存在するチューナーモンスターとそれ以外のモンスターを墓地に送り、その合計レベル分のシンクロモンスター特殊召喚するシンクロ召喚…。その複雑な召喚条件の裏には、それに見合った強力な能力が備わっている。

 

「『アーム・エイド』の効果発動! 1ターンに1度、モンスター1体の装備カードとなり、そのモンスターの攻撃力を1000ポイントアップさせる! 装備対象は当然『ルイン』! いくぞ! ≪アームズ・コネクト≫!!」

 

『ルイン』が空に飛び上がるとそれと同時に『アームズ・エイド』も後に続く。空中で『ルイン』が右手を翳し、その右手に『アームズ・エイド』の接続基部が開き、『ルイン』の右手を覆う。そして大きな接続音と共に、『アームズ・エイド』が装着される。

 

「接続完了! 名付けて、『アームズ・ルイン』!!」

 

破滅の女神ルイン:ATK/2300→3300

 

女神の姿に巨大な鉤爪の付いたガントレッドというのは少し不釣り合いだが、どこか不思議な神々しさを放つ。

 

「攻撃力が堕天使達を上回った! これならば二回攻撃の能力で奴のモンスターを二体まで葬むれるぞ!」

 

ルインの言う通りだが、それだけではない。『アームズ・エイド』には、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊したとき、その破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えることができる。

『ルイン』の能力と合わせれば、このターンで先生のライフをゼロにすることだって可能だ!

だが…『アスモディウス』には効果がある。破壊されると、フィールドに2体のトークンを特殊召喚するという効果が…。その効果はなかなか厄介だからな、念には念を入れ、俺の手札にあるこの最後のカードで…。

 

「この瞬間リバースカードオープン!」

 

「!?」

 

このタイミングで…最後のリバースカードを発動!?

一体何のカードを…?

 

「トラップカード、『デストラクト・ポーション』! このカードは自分フィールドのモンスター1体を選択して破壊する。私は『アスモディウス』を選択!」

 

「自らのモンスターを破壊だと!? しかも最も攻撃力の高い『アスモディウス』を…」

 

「いや…ルイン、先生の判断は正しい。『デストラクト・ポーション』は、破壊したモンスターの攻撃力分だけ、ライフを回復するんだ」

 

それに加え、『アスモディウス』にはトークンを生み出す能力もある。

おそらく先生は俺の手札にある“このカード”を既に読んでいる…。

 

「これで私のライフは3000回復」

 

『アスモディウス』が消滅すると同時に、響先生のライフが大幅に回復する。

 

響:LP4000→7000

 

「これで私のライフはさっきのあなたと同じ。さらに『アスモディウス』が破壊されたとき、私のフィールドに『アスモトークン』と『ディウストークン』を特殊召喚する。2体とも守備表示よ」

 

【アスモトークン】 ☆5 ATK/1800 DEF/1300 闇 天使族

【ディウストークン】 ☆3 ATK/1200 DEF/1200 闇 天使族

 

『アスモディウス』のいたフィールドに『アスモディウス』と同じ形をした赤い影と青い影が出現し、守備態勢をとる。

 

「『アスモトークン』はカード効果では破壊されず、『ディウストークン』は戦闘では破壊されないわ」

 

「くっ…ライフを回復するばかりか、モンスターの数まで増やされてしまったか…!」

 

確かに…ルインの言う通り、響先生のこの行動は、一見『アスモディウス』の効果を利用したうまいコンボだと思う。

しかし、何故先生はこのタイミングで『デストラクト・ポーション』を発動したのか…?

答えはおそらく、やはり俺の最後の手札を読んでいたと捉えるのが妥当だろう。

 

(俺の墓地の状況を判断し、俺が“こいつ”を出す前に万全な対策を取る…これが元とはいえ、アカデミア教師の実力か…)

 

流石だなと関心せざるを得ない…でも、これで先生のリバースカードは全て無くなった!つまり、先生が動けるのはここまで! 後は俺の好きにやらせてもらう!

 

「俺の墓地に存在するモンスターは、『マンジュ・ゴッド』、『デュナミス・ヴァルキリア』、『マシュマロン』、『勝利に導き手フレイヤ』の4体!墓地に天使族モンスターが4体存在する場合、こいつは手札から特殊召喚することができる!来い!『大天使クリスティア』!!」

 

俺は最後の手札をフィールドへとセットする。

フィールドに眩い閃光と共に出現したのは、光輝く最上級天使族モンスター…『大天使クリスティア』だ。

 

【大天使クリスティア】 ☆8 ATK/2800 DEF/2300 光 天使族

 

「攻撃力2800! 主はこんな隠し玉を持っていたのか!」

 

「その隠し玉は響先生にはバレてたみたいだがな」

 

「えっ!」

 

「ふふっ、墓地に天使族が4体揃っていれば、そのモンスターが出てくることは必然的にわかっていたわ。それに、あなたは何度も自分の手札をチラチラと見ていた…そりゃあ何か切り札があるんじゃないかと疑うわよ」

 

「どういうことだ…? あの女は『クリスティア』が出てくることを読んでいたというのか?」

 

「『大天使クリスティア』はフィールドに存在する限り、互いにモンスターの特殊召喚を封じるという効果がある。おそらく響先生は俺の墓地に天使族モンスターが4体揃っていたのを察知し、俺が『クリスティア』を出す前に『アスモディウス』を破壊し、トークンを特殊召喚したんだ」

 

「なんと…そこまで読んでいたのか」

 

ルインが驚くのも無理はない。普通のデュエリストであれば、ここまで俺の手を読む事などまずできないだろう。しかし、響先生はそれを見通して安全策を打ってきた…。

だが、おかげで響先生のフィールドに伏せカードは無くなった。これで心おきなく攻撃できる!

 

「さらに特殊召喚に成功した『クリスティア』の効果発動! この効果で特殊召喚した時、墓地から天使族1体を手札に加える。俺は『勝利の導き手フレイヤ』を選択」

 

これで次のターン、さらに『フレイヤ』を通常召喚すれば、俺のフィールドの天使族はさらにパワーアップさせることができる。

 

「バトルだ! まずは『破滅の女神ルイン』で『堕天使スペルビア』を攻撃! 弾けろ!! ≪ジ・エンド・オブ・パワー・ギア≫!!」

 

『アームズ・ルイン』は右腕に装備されている『アームズ・エイド』を攻撃目標である『スペルビア』に向け、空を舞う。『スペルビア』も翼を開いて空を舞い、『アームズ・ルイン』に向けて真紅の翼から針状の羽根を飛ばして攻撃する。だが『アームズ・エイド』は光り輝く腕と化し、放たれた羽根の方に腕を向け、掌から輻射熱を放射する。放たれた熱は『スペルビア』の放った羽根を全て溶かし、『アームズ・ルイン』を攻撃から守る。

そして今度はこちらの攻撃、『アームズ・エイド』は鉤爪を開くと、より巨大な光の腕と化して『スペルビア』をその手で握る。

握られた『スペルビア』は輻射熱によってその身を溶かされていき、そして消滅した。

 

「うっ…『スペルビア』が…!」

響:LP7000→6600

 

「ここで『アームズ・エイド』の効果が発動! 装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊したとき、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える! さぁ光になれ! ≪レディエント・エンド≫!!」

 

『スペルビア』の消滅とともに、その攻撃の余波がダメージとなって響先生を襲う!

 

「ぐうっ…!」

響:LP6600→3700

 

「まだまだ! 『破滅の女神ルイン』は戦闘によって相手モンスター破壊した場合、もう一度続けて攻撃することができる! 連続攻撃、≪シャドゥ・オブ・パワー・ギア≫!!」

 

『ルイン』は再びガントレッドを身構え、閃光と影を纏った一撃を『エデ・アーラエ』に与える!

 

「くっ…」

響:LP3700→2700

 

「そして再び『アームズ・エイド』の効果が発動! ≪レディエント・エンド≫!!」

 

『エデ・アーラエ』も光となって消滅し、それと同時に響先生のライフポイントも削られる。

 

「なかなか…やるわね」

響:LP2700→400

 

「最後に『クリスティア』で『アスモトークン』に攻撃! ≪セラフィム・ヴォーテックス≫!!」

 

『クリスティア』の聖なる光の波動を受け、『アスモトークン』は消滅する。

 

「やった! 7000もあった奴のライフポイントをあっという間に400にまで削ったぞ!」

 

これで俺のライフポイントとの差は僅か200…ライフポイント的には俺の方が若干不利だが、それでもこの状況で俺が有利なことには間違いない。

しかも『大天使クリスティア』は、フィールド上に存在している限り互いにモンスターを特殊召喚できないという強力な効果も付いている。

特殊召喚することで最上級モンスターを展開していく響先生のデッキにはこの効果は厄介な筈だ!

 

「俺のターンはこれで終了です」

 

△△―――

□□―――

手札0枚 LP200

モンスター:『破滅の女神ルイン』、『大天使クリスティア』

魔法・トラップ:『女神の加護』、『アームズ・エイド』

 

このターンさえ…このターンさえ耐え抜けば…あとは勝てる!

 

「ふふっ…惜しかったわね」

 

響先生は不敵に笑うと、意味深なことを口にした。

 

「え…?」

 

「このターンであなたが私に止めを刺せなかったのは、あなたのミスよ。私はこのターンあなたを試したのよ、あなたの実力を知るために」

 

響先生のあの口ぶりから察するに…まさか手札には逆転のカードが握られているというのか!?

でも…俺のフィールドには特殊召喚を封じる『クリスティア』に、攻撃力が強化された『アームズ・ルイン』がいる。

そう簡単に突破はされない筈だが…!

 

「私のターン、ドロー!」

 

響先生の言葉が、ハッタリじゃないとするなら…この状況でどうやって逆転する気なんだ…?

 

「フッ…私は『ディウストークン』をリリ-ス!」

 

上級モンスターを召喚するつもりか!

だが並のレベル5~6のモンスターの攻撃力では『クリスティア』にも『アームズ・ルイン』にも届かない!

 

「もしかして、今あなたは私がレベル5か6のモンスターを召喚すると思ってるのかしら?」

 

「え…!」

 

「ふふっ…残念ながら、私がこれから召喚するのはレベル10のモンスターよ!」

 

「そんな…! レベル7以上のモンスターを召喚するには、モンスターの生け贄が2体必要な筈…!」

 

ルインの言う通り、レベル7以上のモンスターをアドバンス召喚する場合は、リリースするモンスターの数が2体いないとダメな筈だ。もしくはそれが特殊召喚扱いなら、『クリスティア』の効果で特殊召喚もできない筈…。

頭の中で考えている間に、『ディウストークン』の姿が闇に覆われ、その闇の中から一対の赤く大きな翼を翻しながら1体のモンスターが出現する。

全身には金色の装飾が施された漆黒の鎧…そして両手に備わった巨大なクローを構え、その堕天使は俺の天使達の前に対峙する。

 

「降臨せよ! 『堕天使ディザイア』!!」

 

【堕天使ディザイア】 ☆10 ATK/3000 DEF/2800 闇 天使族

 

「バカな!? レベル10で攻撃力3000のモンスターを1体のリリースでアドバンス召喚だと…!?」

 

「残念だったわね、このモンスターは天使族をリリースしてアドバンス召喚する場合、リリースするモンスターは1体でいいのよ。さらにこの召喚は特殊召喚ではなく、アドバンス召喚だから『クリスティア』の効果で阻害されない!」

 

完全に迂闊だった…まさかこんな切り札を隠し持っていたなんて…!

しかも攻撃力は3000…対する俺の『クリスティア』の攻撃力は2800…そして今の俺のライフはわずか200…ということは…。

 

「だから言ったでしょ? あなたが私に勝てるとしたらさっきのターンしか無かったって」

 

「くっ…!」

 

これが…デュエルアカデミア教師の実力…!

 

「バトルよ! 『堕天使ディザイア』で『大天使クリスティア』にアタック!」

 

『ディザイア』は紅の翼を翻すと、両手の巨大なクローを『クリスティア』に突き立てる!

 

「≪ツォーン・エン・ナーガル≫!!」

 

クローによって体を貫かれた『クリスティア』は消滅し、攻撃の余波で俺の身体が宙に浮き、後ろに吹き飛ばされる。

 

「うわあああああっ!!」

LP200→0

 

………

……

 

「あ…主が負けた…!」

 

「なかなかいいデュエルだったわよ、これからも一層精進することね」

 

「くっ…」

 

ソリッドヴィジョンのモンスターが消え、デュエルディスクもスタンバイモードになる。

俺は背中に響く鈍痛を我慢しながら、ルインの手を借りながらよろよろと立ちあがった。

 

「先生…本当に強いですね。あ~あ、やっぱりデュエルアカデミアの教師には勝てないか…」

 

「お褒めの言葉、ありがとう。でもこの程度でめげるようじゃデュエリストとしてはまだまだよ」

 

「そうだぞ主、一回のデュエルで負けたからといって屈するようでは、私の主は勤まらんぞ」

 

「わ、わかったからもう少し小さい声で…」

 

ったく、人前で『主』って呼ぶのは止めろって言ってるのに…。

 

「さてと、そういえばデュエルをする前に一つ約束した事があったわね」

 

「うっ…」

 

そうだった…俺が負けたら、俺とルインは校長の元に突き出されるんだった…。

デュエルに負けた以上仕方ないが…深く詮索されるとルインがカードの精霊だってことがバレてしまうかも…!

 

「…ま、でも久々に楽しめるデュエルができたんだし、今日のことは大目に見てあげるわ」

 

「え…? ほ、本当ですか!?」

 

「その代わり、次は無いからね。今回だけよ」

 

「良かったな主。…じゃなくて、弟」

 

マジで助かった…これ以上面倒な事に巻き込まれるのは勘弁だからな。

それに元とはいえ、あのデュエルアカデミアの教師とデュエルできたんだ。惜しくも負けてしまったけど、得ることもあった。俺にとってはあんなに強い人とデュエルできたのは、とても良い経験になったからな。

この敗北を糧に…次こそは先生に勝ってみせる!

 

「いいデュエルに免じてよ。ところで…」

 

いきなり響先生の表情が曇る。

 

「今何時かわかる? 私時計忘れちゃって」

 

「え~っとですね…」

 

俺は腕に嵌めてある腕時計で現在の時間を見る。

 

「1時42分……」

 

………あれ?

確か昼休みって1時30分で終わりだったんじゃ…。

 

「ち……遅刻だあああぁ!!」

 

デュエルに夢中で予鈴に気付かなかったらしい。気が付くととっくに昼休みは終わり、五時間目の授業の真っ最中だった。

 

「先生! 放課後までルインをお願いしてもいいですか?」

 

「え? ええ、構わないわよ。私はこの後もう授業は無いから」

 

「じゃお願いします!!」

 

ルインの事を響先生に預け、俺は脇目も振らず屋上からの階段を降りていった。

 

………

……

 

~放課後~

 

「やっと終わった…」

 

俺は軽く伸びをする。

あの後、俺は五時間目の授業である体育に遅れて向かった結果、竹刀を持った体育教師に頭を叩かれこっぴどく叱られるという、なんとも酷い目に遭った。

六時間目の授業も無事に終わり、あとは帰るだけだ。

おっと、そういえばルインを響先生に預けたまんまだったな。迎えに行かないと。

 

「あれ、もう帰るの?」

 

「ん、ちょっと用事があってな」

 

鞄の中に荷物をまとめ、帰り支度をしていると、今日の日直担当のアリアが黒板掃除をしながら俺の方を気にかけてきた。

 

「ふ~ん、じゃあまた明日ね」

 

「あぁ、そっちも日直に仕事頑張れよ。じゃあな」

 

黒板消しを綺麗にしているアリアに、俺は一声かけて響先生のいる国語研究室に向かった。

 

 

 

(あ~あ…今日は久しぶりに一緒に帰ろうと思ってたのになぁ…)

 

アリアは黒板消しをバンバンと叩きながら、心の内でそんな事を思った。

 

………

……

 

「しかし…今日は疲れたなぁ…」

 

あの後国語研究室に向かった俺は、ルインを預かってくれた響先生にお礼を言い、その後ルインが元々着てた衣服に戻すため旧更衣室で着替えさせ、今は一緒に下校している。

結局響先生は最後まで俺達のことを学校側に突き出しはしなかった。

 

「ほら、早く帰るぞ」

 

旧更衣室でルインを着替えさせた後、俺達は人目につかねように学校の裏口から外に出る。

 

「その…今日は本当に済まなかったな主、迷惑ばかりかけて…」

 

「もう済んだことだし、流石に慣れたよ。それに、響先生ともデュエルできたんだし、悪いことばかりじゃなかった。気にすんなよ」

 

「そ、そうか。ありがとう主」

 

まぁ元々はジャージ忘れた俺の責任なんだしな。全部ルインに責任があるわけじゃないし、おあいこだな。

 

「でも今度から忘れ物届けに来たときは、響先生のとこ行けばなんとかしてくれると思うからそうしろよ?」

 

「ヒビキのところか。わかった、次からは気をつける」

 

大変な一日だったが、今日も少しルインが現代に馴染んだと思えば、それはそれでいいと思える気分になってきた。

明日は明日で、こいつはどんなことをやらかしてくれるんだろうな…。

それは不安な気持ちでもあったが、逆に楽しくもなると期待している俺がいた。

 

 

 

 

 

~今日の最強カード~

 

主「今日の最強カードは?」

 

 

 

【堕天使スペルビア】

☆8 ATK/2900 DEF/2400 闇 天使族

このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、自分の墓地に存在する「堕天使スペルビア」以外の天使族モンスター1体を特殊召喚する事ができる。

 

 

 

主「ではこのカードの解説を、デュエルアカデミアの元教師、響先生にお願いします」

 

響「いいわよ。さて、『スペルビア』は闇属性天使族の最上級モンスターよ。墓地から特殊召喚されることによって他の天使族を復活させ、一気にフィールドに展開できる能力を持っているわ」

 

主「天使族には『光神機-轟龍』や『The splended VENUS』などのような高レベルで高攻撃力で、しかも効果の強力なモンスターがいっぱいいますから、上手くすれば2体の最上級モンスターが並びますね」

 

響「さらにこの『スペルビア』は墓地に落としやすい闇属性なうえ、蘇生手段の豊富な天使族。専用のデッキを組めば、二~三枚は必須なカードになるわね」

 

主「『終末の騎士』や『ダーク・グレファー』で墓地に落とせるうえ、手札に来てもレベルが8ですから『トレード・イン』のコストにできますし、攻撃力もそこそこ高いので『神の居城-ヴァルハラ』で手札から特殊召喚し、普通にアタッカーとしても活躍できますね」

 

響「蘇生手段は同じく天使族最上級モンスターである『アテナ』がいるわね。それと、闇属性という点を活かすのであれば『ダーク・クリエイター』というのもあるわ。さらには3枚投入可能な万能蘇生カード、『リビングデッドの呼び声』も間違いなく必須カードとなるわね」

 

主「先生、今までこのカードは入手困難な超レアカードだったんですが、最近になって手に入りやすくなったんですよね?」

 

響「そうね。日本語版の『スペルビア』は相変わらず高価だけど、韓国版のPREMIUM PACK Vol.6や英語版のLegendary Collection 2に収録され、海外表記版ならそこそこ手に入りやすくなったわよ」

 

主「特に言語にこだわらないという人はこれで『スペルビア』を集めよう。ちなみに、作者は韓国版二枚とLC2版一枚でなんとか三枚揃えたよ」

 

「「それではまた次回!」」ノシ




2回戦目のデュエルで早くも負けてしまう主人公w
まぁしかたないね、相手はあの響先生だから簡単に勝たせるわけにはいかないしね。
いつか響先生を越える日が…果たして来るのか?w
アームズ・エイド装備から攻撃までの流れは遊星vsボマーのエイド装備のジャンク・ウォリアーがDDBに攻撃するときのアレンジのつもりで書いてみました
あの戦闘シーンは作画的に何度見ても素晴らしい…!
次回からはちょっとデュエルをお休みして、日常的なものを書いていきたいと思っています。

ちなみに、僕の周辺でのスペルビアの値段はだいたい落ちついてきて2000円代になってます。
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