ホロホロしちゃっていいじゃない!   作:てんりょう

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※注意※

本話は多大な「ご都合主義」「独自解釈」「独自設定」が含まれます。

「イメージが違う」「口調がおかしい」等々感じられる方はブラウザバックをお薦めします。



第7話「金銀とナンパと両手の花と」

まだ春先といえど日差しが強くなり暑さが気になり始めた中、僕はCAGCの中心部にあるショッピングモールに来ていた。

 

目的は潤羽さん、兎田さん、宝鐘さんへの御礼の品を探すため。

 

先日の潤羽さん家へのお呼ばれの際、どうも呑み過ぎたらしく途中から記憶がない。

 

煮魚美味しいと思いながら食事をいただき、美人3人に御酌されながら呑むという極上の思いをしたことは覚えていた。

 

が、それ以降の記憶がまったくなかった。

 

目を覚ましたときには床の上でタオルを枕にして横になっていて、3人はベッドで仲良く眠っており。

 

3人が起きた後記憶が飛んでからの話を聞いてみた。何か醜態はさらしていなかったか。迷惑はかけていないか。

 

幸い、3人とも特に問題はなかったと言ってはくれた。唯一兎田さんが変な表情を浮かべていることは気になったが。

 

とはいえ、余計な手間をかけさせたのは間違いない。

 

と、いうことでお詫びの品を買うべく中心地へと繰り出していた。

 

CAGCの中心部だけあり、かなり人で賑わっている。

 

ここは外部とCAGCをつなぐ唯一の駅があるだけでなく、大中小ジャンルを問わず様々な店が軒を連ねる場所。

 

ここならお菓子も充実しているので探せば何かあるはず。

 

ただ入れ替わりも激しいので、まずは中央に設置してある時計台、その近くにある掲示板へと向かう。

 

(しかし、暑い・・・・・・)

 

今日は特に暑く喉が渇いてきたので、ひとまず近くの自販機でお茶を購入する。

 

出てきたペットボトルの蓋を開けながら、再び時計台を目指す。

 

人混みを避けながら、といっても十分広いため普通に歩いていれば十分なのだか、歩いているとすぐに特徴的な建造物が見えてきた。

 

4本の柱が空へと上がり、その先端にホログラムで映し出された青い球とその中に数字と時針が浮かんでいる。

 

そして、その下にはこのショッピングモールにある商店のデータが閲覧できる端末がある。

 

これを操作するためにここに向かっていたのだが……。

 

「ねぇねぇ、いいじゃん、ちょっとお茶しようぜ〜」

 

「俺らいい店知ってるからよ〜、一緒に行こうよ」

 

「結構です。人と待ち合わせてるので」

 

「そんなこと言わずにさ、なんなら友達と一緒でも良いよ?」

 

「一緒に楽しく遊ぼうぜー!!」

 

「嫌です。ほっといてください」

 

こうも古典的なナンパを目撃するとは思わなかった。

 

くすんだ金髪と耳にピアスをたくさんつけた典型的なチャラ男の2人で、女性の左右に陣取って移動経路を制限するとか今どき化石じゃなかろうか。

 

確かに彼女は美人だ。日を浴びて輝くきらびやかな金髪、琥珀のような瞳を持つ彼女はどこかクールな印象を与えている。

 

耳は普通の人間とは違ってピンっと伸びており、それがエルフ族であることを示しており、類に漏れずスタイルも抜群、なんとも思わない男はほぼいないのではないだろう。

 

だか、特徴的なのはその肌の色であった。

 

一般的なエルフの肌の色と違い、彼女のそれは褐色だった。

 

エルフはその肌の色でエルフ、ダークエルフに二分される。

 

近年の研究によりエルフ、ダークエルフに種族差はないことはわかっているのだが、ここ人間界では根付いたイメージというものがあり退廃的、享楽的な種族であると見られやすい。

 

だけど、彼女がハーフエルフであり肌の色は父からの影響であることを知っている。

 

だが、そんなことを知らない男たちは下心満載で声をかけていた。多分こんな感じで何度か“お楽しみ”していたんだろう。

 

だが、彼女がだいぶイライラしてはじめているのもわかった。一切相手の方へと視線を向けてない。

 

まあ、基本真面目な彼女にそのアプローチでは無理だ。いや、僕も正しいアプローチの方法など知らないのだが。

 

そう思って見ていると、女性がスッとその場を離れようと動き始めた。待ち合わせより、これらの相手をするリスクを避ける方を取ったのだろう。

 

だが、それが男たちの癪に触ったのか。明らかに表情が変わり、苛立たしげに彼女を追いかけ始めた。

 

これはあまり良い展開にはならなそうだ。

 

そう考えると、開けたペットボトルの蓋を締め直すと彼女の方へと足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side:furea

 

最悪だ。きっと今日の運勢は最低に違いない。

 

そんなこと思いながら歩を進める。

 

今日はせっかくノエルと一緒に買い物する予定だったのに。ちょっと早く着いたから待ち合わせ場所のあそこで待ってただけなのだけど。

 

(変なのに捕まっちゃった)

 

こんな感じで声をかけられることはままあった。以前だと私だけのときだけじゃなくてマリンやわためと一緒にいるときもそうで。

 

とりあえず、ノエルに待ち合わせ場所を変える旨を連絡すべく移動しているのだが。

 

「おい! ちょっと待てよ!!」

 

後ろからさっきの男たちが追ってきたのがわかった。大体はさっきみたいにあしらうと離れていくのだが、こんなにしつこいのは久しぶりだ。

 

振り向いてもう一度キッパリ断ろう、そう思って振り向いたとき……。

 

「っ?!」

 

男たちが明らかに苛立った表情で手を伸ばしてきていた。

 

まずい。このままだと掴まれて面倒なことになる。

 

そう思ったとき、

 

「「おっ?!」」

 

「きゃっ?!」

 

私と男たちを遮るようにお茶のペットボトルが飛んでいった。

 

「そこまでにしときましょうよ」

 

「トウマ先輩!」

 

「こんにちわ、不知火さん」

 

ペットボトルの軌跡を追えば、そこにいるのはペットボトルを投げた姿勢のまま歩いてくるトウマ先輩。

 

彼はそのまま歩いてくると、私を庇うように彼らとの間に立った。

 

「なんだ、テメエ」

 

「お前に用は無いんだ、さっさとどけよ」

 

さっきまでのヘラヘラとしたものから一転、先輩を睨みつけてくる。私を連れて行くのを邪魔されて、一層苛立っているようだ。

 

「彼女は嫌がってるし、拒否もしてたじゃないか。これ以上はやめたほうがいいと思うけどね」

 

対する先輩はいつもと変わらない。背中越しだから声しかわからないけど安心する、穏やかな声。

 

でも、今の状況でそれは相手を煽っているようにしか見えなかった。

 

「あァ?! 何舐めたこといってんだ、テメエ!! さっさとどけや!! ぶん殴るぞ!!」

 

ついには拳を握り、怒声を上げ始めた。周りの通行人もざわつき始める。

 

「そうはいかない。明らかに非があるのはそっちだし、嫌がってる彼女を差し出すような真似なんか絶対にしない!」

 

先輩も一歩も引かない。普段優しい先輩にこんな頼もしい一面があるとは思わなかった。

 

不謹慎だけど、ちょっと胸がドキドキする。

 

(……あれ?)

 

視界の下の方に何か動いているのを見つけて、そっとそちらへと視線を向ける。

 

いつの間にか半身になっていた先輩がハンドサインでこの場から離れるよう言っていた。

 

多分このまま彼らを引き付けるつもりなのだろうけど、流石に一人置いていくのは……。

 

そう思ったとき、不意に背後から手を引かれた。

 

咄嗟に振り向くと真剣な表情をしたノエルがそこにいた。

 

そのまま強い力で引っ張られ、先輩との距離が開いていく。

 

先輩の手がこっちに向けてOKマークを描くのが見えたかと思ったら、一気に離れていく。

 

「ちょっ、ノエル!? 先輩がまだ!」

 

「わかってる!」

 

そう言いつつ、ノエルの速度は落ちない。寧ろ加速する。

 

角を曲がり、視界から先輩たちが消えた。

  

「ノエルっ!?」

 

思わず手を引く彼女を逆に引っ張る。彼らの姿が見えなくなったからなのか、それとも別の理由かノエルも足を止める。

 

「どこ行くの?! あのままだと先輩が!」

 

「わかっとる!!」

 

「っ?!」

 

ノエルの強い語気に、思わず先の言葉が止まった。

 

彼女はポケットから彼女のスマホを取り出すとこちらに差し出してくれる。

 

それを訝しく思いながら、受け取って表示された画面を見た。

 

そこにあるのは先輩からのメールだった。そこには『フレアを連れて警備員連れてきて』という簡潔な文章のみ記載されている。

 

「さっきフレアがあの男たちに絡まれたとき、フレアのところへ行こうとしたんよ」

 

そのとき、先輩と偶々出合ってそれを止められるとともにメールが送られたそうだ。

 

「……ごめん、ノエル」

 

「ううん、団長もちゃんと説明せんかったし。とにかく、早く警備員探さんと!」

 

「そうだね!」

 

そうして私たちは再び駆け出した。

 

 

side out……

 

 

 

 

背後から不知火さんの気配が離れていくのを感じ、白銀さんが上手くやってくれたのを確信する。最悪、どっちも残るかもと思っていたので何よりだ。

 

「あ、おい! 待て!」

 

「させるわけないだろ」

 

それが見えたのが金髪が追いかけようとするのを、体を動線に入れることで止める。

 

「テメ、いい加減にしろや」

 

「覚悟はできてるんだろうな」

 

男たち2人がドスの聞いた声で迫る。一方など今にも殴りかかってきそうだ。

 

だが、こんなの如何ほどのプレッシャーになろうか。

 

「大事な後輩をみすみすほっとけるわけないでしょ」

 

左手を軽く前に出し、構える。いつ殴りかかられても良いように。

 

「オラァ!!」

 

遂に我慢の限界に来たのだろう、金髪がまっすぐ顔面めがけて殴りかかってきた。

 

それを半歩下がると同時に掌で軽く払うことで受け流す。

 

「おおっ?!」

 

勢いよく殴りかかったところを受け流されたためか、バランスを崩してたたらを踏んでいた。足腰の鍛え方が足りないようだ。

 

「ちっ、舐めるな!」

 

ピアスがさっきより踏み込んで腕を突き出してくる。

 

それを左手の甲で軌道を逸しながら首を傾げることで回避する。

 

「クソがぁ!」

 

金髪が姿勢を立て直して右足を突き出して来るのに合わせて、大きく後ずさる。彼らが不知火さんや白銀さんを追ってもその動線を潰せるように。

 

「クソっ! 何だこいつ!」

 

「妙に手慣れてやがるな……何もんだ、お前?」

 

「ただの一般人だけど」

 

ただし、自称騎士団長と偶に組手をしたり鬼娘とチャンバラしたりするが。

 

白銀さんはドラゴン娘を投げ飛ばすくらいパワーがあるし、鬼の腕力を持つ百鬼さんの剣戟もまともに受けると痛いじゃすまないから自然と受け流す癖がついていた。

 

だが、それで彼らも警戒心を上げたのか目に冷静さを取り戻していた。とはいえ、ここで僕を痛めつけるのを辞めるつもりがないあたり、短絡的にすぎるが。

 

そんなことを考えていると、今度はピアスが前に出てきた。

 

鋭く、僕の膝裏を狙う蹴りだ。

 

それを再び半歩下がることで避ける。

 

「そらぁ!」

 

その瞬間を狙った金髪からの直蹴りが放たれる。この二人、喧嘩慣れしてるのかタイミングの取り方が上手い。

 

その蹴り足を払って軌道を逸らす。それに合わせて体を少しずらすことで空振りさせる。

 

そこからも続く彼らの猛攻をあるものは払い、あるものは捌き、いなしていく。

 

兎にも角にも時間を稼ぐ必要がある。不知火さんと白銀さんが警備員を連れてくる時間を。

 

正直拘束できなくもないが、今やって半端にこっちに嫌疑が向いてもかなわない。できる限り自分たちに累が及ばないようにしたい。

 

「「先輩!!」」

 

「そこの2人、大人しくしなさい!」

 

そんなことを考えながら捌いていると、彼らの向こう側から不知火さんたちが警備員と一緒に駆け寄ってくるのが見えた。

 

「何?! おい、早くこいつをぶん殴って逃げるぞ!」

 

「ああ!!」

 

今度は自分が追われる立場になったことによる焦りか、二人同時に大振りのパンチを放ってくる。

 

ここが最大のチャンス!

 

その拳をしゃがむことで回避すると、そのまま両手で彼らの足を払う。

 

同時に振り向き、バランスを崩している彼らの背中を押してそのまま歩道へと叩きつけた。

 

「ぐあっ?!」

 

「いっづっ!!」

 

そのまま彼らの背中を押さえつけ、すぐに立ち上がれないようにする。

 

「くそっ、どけっ、ごらぁ!!」

 

喚きながら起き上がろうとする金髪。だが、この程度の力で跳ね除けられるほど軟ではない。

 

「君、ありがとう。ここからは我々の仕事だ」

 

「ほら、立て! 大人しくしろ!」

 

そこで警備員たちが来たので、逃さないよう注意しつつ警備員に引き渡す。

 

(ふぅ、何とかなった)

 

ただ買い物に来ただけなのに、トンデモナイ目にあった。だが、大事な後輩を助けられたのだから良しとしよう。

 

「先輩、大丈夫ですか!? 怪我は?」

 

「大丈夫、この通りピンピンしてるよ。それより白銀さん、ありがとう」

 

「いえ、あのまま団長が行ってたらもっと面倒なことになってたと思うんで。こちらこそありがとうございました」

 

「まあ、相手の方が大変なことになってたかもね」

 

心配そうに近づいてきた不知火さんと白銀さんに笑いながら応える。実際あの程度なら問題はない。

 

「ほら、見たところ2人ともこれから買い物なんでしょ? あとは僕に任せて行ってきなよ」

 

「いや、先輩。それは悪いです!」

 

「そうですよ。どうせそんなに時間かかんないでしょうし、このあといっ……」

 

「おい、待て!!」

 

「!?」

 

突然後ろから聞こえた叫び声に咄嗟に振り向いた。

 

まず視界に映るのは手錠をかけられながらも血走った目で駆けてくるピアス男。

 

その両手にはどこから取り出したのかナイフが握られており、腰溜めに構えている。

 

それを認識した瞬間、僕はまずは再度振り向いた。

 

そのまま2人を突き飛ばして自分から離れさせる。咄嗟のため肩口を突き飛ばす形になった。

 

押された2人の顔は驚きの色に染まり。

 

すぐさま反転しナイフを避けようとするが……

 

(あ、駄目だ)

 

予想より男の駆ける速度が早かった。このままだと胸か腹かに刺さる方が早い。

 

選択肢から回避を削除。

 

「ヒハハハ!! 死ねぇ!!」

 

「お断りだ!!」

 

体を捻ると同時に右足を跳ね上げて男の側頭部を蹴り付ける!

 

「がっ?!」

 

そして、そのまま更に力を込めて地面へと顔面を叩きつけた。

 

「ぶふっ?!?!」

 

そして残心。

 

足に残る相手を打倒した嫌な感覚に顔を顰めつつ、万が一起き上がってきても良いように構える。

 

が、今回はそこまで要らなかったようだ。ピクピクと痙攣するだけで起き上がる様子はない。

 

それを確認してから構えを解く。

 

「……あの、早く拘束してほしいんですけど」

 

「あ、ああ。確保!」

 

その光景をみて唖然としていた警備員に対して確保を促しつつ、

 

(こりゃ今日は買い物無理だな)

 

これから来るであろう事情聴取の長さを想像して思わず嘆息するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、疲れたー!」

 

思いっきり伸びをしながら、詰め所からでる。

 

事情聴取はつつがなく終了した。最後の上段回し蹴りについても緊急事態かつ正当防衛ということでお咎めなし。

 

僕の前に聴取を受けていた不知火さんと白銀さんが証言してくれたのも大きいそうだ。2人には感謝しかない。

 

だが、もう完全に日も落ちていた。流石にこれから買い物という気にもならないためまっすぐ部屋に帰ろう。

 

「こんまっする〜、トウマ先輩」

 

「お疲れさまです、先輩」

 

「あれ、白銀さんに不知火さん、帰ったんじゃなかったの?」

 

そんなことを考えていると、すぐ脇から白銀さんと不知火さんが出てきて声をかけられた。もう帰ってるかと思っていたのだが。

 

「先輩、助けてもらったのに先に帰ったりしないですよ」

 

「団長たちはそんな薄情じゃないです!」

 

不知火さんにジト目で睨まれ、白銀さんには心外だと怒られた。

 

「いや、そんな風に思ったわけじゃなくて、あんなことあったから暗くなる前に帰ったのかなと思っててさ」

 

「まあ、それも考えましたけど……」

 

「先輩を置いていくのは違うなって」

 

「そっか、ありがとう」

 

あんなことがあった後なのにありがたい話である。本当にこの2人は真面目だ。

 

「いえいえ、私こそ助けてもらってありがとうございます」

 

「そうです。フレアを助けてもらって、ありがとうございます」

 

「気にしなくていいよ。大切な後輩を助けるのも先輩の役目だしね」

 

まあ、これでも一応男。後輩の前で格好つけたい面もあるのだ。

 

「クスッ。先輩、カッコつけ過ぎです」 

 

「はは、まあ、普段頼りない姿しか見せてないし。偶にはね」

 

「そんなことないですよ?」

 

「え?」

 

白銀さんがスッと距離を距離を詰めてきた。いつもの距離感より半歩分近い。

 

「団長は先輩のこと、いつも頼りになると思ってます。いつも私達のこと気遣ってくれて、ありがとうございます」

 

いつもニコニコして宝鐘さんや不知火さんたちと戯れるときのそれとは違う、穏やかな白銀さんの笑顔とともに伝えられた感謝の言葉に、思わず顔が熱くなるのが抑えられない。

 

思わず彼女から視線を逸らす。

 

まるでその瞬間を狙っていたかのように、彼女がさらに距離を詰めてきた。その豊かな大胸筋に腕が挟まれ、ホールドされる。

 

「っ?!?!」

 

思わず視線を白銀さんの方へと戻す。

 

そのきらびやかな銀糸がかかるほどの近い距離に、こちらを真っ直ぐ見つめるエメラルドの瞳があった。

 

その無垢な牛乳のように白い肌には少し赤みがさしており、一層可愛らしく映る。

 

「さっ、行きますよ先輩」

 

 

 

腕に伝わる柔らかな感触に混乱するこちらを余所に、ひまわりのようにニッコリとした笑みを浮かべるとそのまま歩き始める彼女。

 

「えっ、ちょっ?! 行くってどこへ?」

 

「さあ、先輩行きますよ」

 

今度は反対側から。

 

不知火さんの柳のようにほっそりとした腕がまるで蔦のように絡まったかと思うと、そのまま手をしっかりと握りしめられる。

 

当然身体は密着するわけで、白銀さんに匹敵する豊かな胸が腕に当たっていた。

 

「っっっっっ?!」

 

最近ボディタッチの増えたフブキさんやころねさんのそれとはまた違った、柔らかいそれらの感触に一気に顔が茹だるのがわかった。

 

思わず不知火さんの方を見ると、いつもより近いところにある彼女の綺麗な顔立ち。

 

あまり間近で見ることのない琥珀色の瞳は猫のように細められ、その頬もほんのりと赤くなっている。

 

普段クールな不知火さんのその姿に思わずドキッとしてしまう。

 

「最近、近くにいい雰囲気のバーが出来たんです。ちょっとそこで飲みましょう!」

 

「今日は団長たちがごちそうしますよ!」

 

そういって2人は僕と腕を組んだまま歩いていく。足取りは軽く、男の僕を引っ張っているとは思えない軽快さだ。

 

(今日はちゃんと帰れるんだろうか。まあ、いいか)

 

照れと困惑と、少しの喜びでオーバーヒートした頭でそんなことを考えつつ、2人に引かれるがまま歩を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、目的のバーの近くで偶然宝鐘さんと遭遇。この両手に花の状態をからかわれつつも4人でバーへと入る。

 

いつもより距離感の近い赤金銀の三美華に甲斐甲斐しく酌をされつつ楽しい一時を過ごしたものの、店内の客含めた全ての男性から終始射殺されるのではないかという視線にさらされ、居心地の悪い思いもしたトウマであった。

 

 

 

 

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