ホロホロしちゃっていいじゃない!   作:てんりょう

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難産でした 


第14話-2 お酒のお供にBLT??

side Botan Shishiro

 

あたしは今不満というかなんというか、兎に角モヤモヤしながら、最近ちょっと慣れてきた梅酒(なんと先輩の自家製らしい。ちょっと嬉しい)を飲んでいる。

 

別に料理とか、お酒とかに不満があるわけじゃない。むしろ絶賛している。

 

さらっと作ってるけどルイはやっぱり料理が上手だ。

 

手順は当然、食材に対する知識もそうだし、なにより手付きに無駄がない。

 

「あ、トウマ先輩、それ取ってください」

 

「はい。あ、これ味見してもらえる?」

 

「はい。……うん、大丈夫です。あ、先輩。こっちも味見てもらっていいですか?」

 

「いいけど、ちょっとだけ待って。ちょっと手が離せなくて」

 

「いいから、ちょっとこっち向いてください」

 

「えっムグッ?!?!」

 

「どうですか?」

 

「ングング、あ、うん。美味しいよ。美味しいけど、もうちょっとやり方を」

 

「まあまあ、いいじゃないですか」

 

……なんだこのやり取り。

 

当てつけか? この中で一番料理が上手いからって変則あーんなんて。

 

しかも目と鼻の先で新婚みたいなことしやがって。

 

ニッコニコで肩を並べて幸せそうに。

 

いや、料理が然程でないあたしが文句いっても負け犬ならぬ負け獅子の遠吠えにしかならないんだけど。

 

しかし、その息ぴったりな感じがうらやましい。

 

まあ、そこはいつか料理を練習して克服するとしよう。でもタコ焼きなら負けないぞ。

 

「先輩、お注ぎしますね」

 

「常闇さん、ありがとう」

 

「先輩、何から食べますか? トワが取りますよ」

 

「ごめんね常闇さん」

 

「気にしないでいいですよ」

 

そしてトウマ先輩に甲斐甲斐しくするトワ先輩。

 

いや、元々トワ先輩、ある意味悪魔らしいというか真面目で世話焼きだからこの行動もまあわかる。

 

実際あたしにも勿論ルイにも同じようにしてくれたし。

 

でも、トウマ先輩に対してのは一段違って。

 

先輩の皿やグラスが空くと料理をとったりお酒を注いだりする。

 

その仕方も絶妙で、トウマ先輩にずっと張り付いてって感じじゃなくてトウマ先輩が欲しそうなのをさっと選んだり等先輩の意識が向いた瞬間に声をかけている。

 

「あ、先輩。それ取ってもらってもいいですか?」

 

「これ? はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます♪」

 

しかも、トウマ先輩にもお願いしたりして受け入れやすい土壌をつくっているところが抜け目ない。

 

なんというかあざとい?

 

「ししろん? なんか変なこと考えなかった?」

 

「いえ? 気のせいじゃないですか?」

 

流石トワ先輩。鋭い。

 

それはそれとして。

 

かなり2人のアプローチが強い。

 

でもあたしもお酒を飲んでるせいかいまいち思考がまとまらなくて、うまいアプローチが思いつかない。

 

どうしようかな。

 

(……そうだ)

 

ふと思いついた。

 

この2人にはないアドバンテージが私にはあるじゃないかと。

 

そして、行動に移すべく口を開いた。

 

 

 

 

 

……side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、突発に始まった食事会。実に和やかに進んでいる。

 

鷹嶺さんの作ってくれた料理は美味しいし、ワインも旨い。

 

そして……

 

「あ、トワ先輩、そこの料理とってください」

 

「これ? はいよ~」

 

「あ、トワ先輩。これ飲みます?」

 

「ありがとう、ししろん」

 

なんといっても美人美少女の3人と一緒にお酒と食事を楽しめているということだけで感無量だ。

 

しかもお酌までしてもらえるとかご褒美ではなかろうか。

 

普段は皆がいても自分で缶ビールやチューハイ、日本酒とか飲んでても手酌で飲むのがほとんどだし、飲んでる途中でゲームとかに誘われるから、あまり本格的に飲むということをしないのだ。

 

まあ、あとは誰かと飲むときは外のほうが多いからか、注文形式になることが多いか。

 

でも今日は飲みすぎたかもしれない。いやつい注がれると飲んでしまうのは男の性か。

 

このままだと3人を送っていくのは無理かもしれない。

 

ちょっと飲む量を抑えてチェイサーでも飲もうか。

 

そう思った時だった。

 

「せ~んぱ~い」

 

「ぼ、ぼたんさん?!」

 

突然左腕を引かれたかと思うと、肩に腕を回すようにしてぼたんさんが抱き着いてきた。

 

その手に持った梅酒の香りと、彼女の体の感触で一気に自分の顔が熱くなったのがわかった。

 

「「?!」」

 

「せ~んぱ~い。一緒に梅酒飲みましょうよ~」

 

まるでマタタビに酔った猫のようだ。いや、獅子は猫科だから間違いでもないのか。

 

そんなどうでもいいことに思考を回すくらい動揺しているのが自分でもわかった。

 

「あ、うん。とりあえず今飲んでるワインを空けたら飲むよ。だから少しはな……」

 

「いいから〜ほら〜」

 

「いや、ちょっ、ムグッ?!?!」

 

「「!!」」

 

いうやいなや、ぼたんさんが自身の左手に持った梅酒の入ったグラスを口に押し付け、そのまま傾けてきた。

 

こぼすわけにもいかないから、されるがままに口を開くと梅酒が注ぎ込まれる。

 

口内いっぱいに広がった梅の香りとともに液体を飲み込む。

 

「ちょ、ぼたんさん、あまり無茶は……」

 

「へへ〜ごめんなさ〜い」

 

悪びれなく笑うぼたんさん。

 

いつもと少し違う酔いによってトロンとした笑みと、密着する彼女の感触に強く注意しづらい。

 

「ぼたん先輩? くっつき過ぎじゃないですか?」

 

「そうだぞししろん。先輩も困ってるだろ、急に梅酒飲まされて」

 

鷹嶺さんと常闇さんの半目から注がれる鋭い視線がぼたんさんに突き刺さる。

 

「え〜別にいいじゃないですか。先輩には既に裸を見られてるわけですし、何も遠慮することないかなって」

 

「ちょっ?!」

 

ビキッと空気が凍る幻聴を聞いた気がした。

 

「トウマ先輩??」

 

「どういうことか、説明いただけます?」

 

怖い。

 

常闇さんは表情を一瞬にして真顔に変え、まるで人形のような伽藍洞な瞳でこちらを見つめ。

 

鷹嶺さんは感情が高ぶったときに出る黄金色の瞳でこちらをまっすぐ睨んでいた。

 

正しく蛇に睨まれた蛙のような心持ちだ。

 

さっきまで酔いで少々ぼんやりしていた頭もさっと冷えている。

 

「えっと、あのですね……」

 

そのまま居住まいを正して、ありのままのこと(第3話参照)を説明した。

 

見てしまったのは事実だが、それは不可抗力であったことを。

 

「ふ~ん。なるほどね」

 

「確かにそれは不可抗力ですね」

 

2人の言い分にほっと胸をなでおろす。

 

「え~でも見たのは事実でしょう?」

 

「う、まあ、それは事実、だけど……ゴメンナサイ」

 

「まあ、気にしないでいいですよ。あの時言ったでしょ? あれは私にも原因があるって。それとも……」

 

そういってぼたんさんがそっと耳元に顔を寄せてきた。

 

彼女の唇からこぼれた酒精交じりの吐息が耳をくすぐる。

 

「私の裸、そんなに醜かったですか?」

 

「そんなことっ!?」

 

呟かれた沈んだ言葉に思わず否定したくなって反射的にぼたんさんのほうを向く。

 

そこにあったのは失意に沈んだ……

 

「~~~~♪♪♪♪」

 

なんてことはなく、にんまりとした、それこそ悪戯が成功した時のような満面の笑みを浮かべていたぼたんさんの顔。

 

アルコールのせいかほんのりと頬が赤く染まり、どことなく子供のようにも見えた。

 

「トウマ先輩も男の人ですね~」

 

「いや、その……」

 

「いいんですよ、気にしなくて」

 

チェシャ猫のような笑みを浮かべる彼女に揶揄われたと気づき、

 

「……それに、私も女って見られてるってことですよね」

 

嫣然とした微笑みを浮かべて追加でぽそりとつぶやかれた言葉に顔が赤くなるのがわかった。

 

いつものクールな表情とも、悪戯するときのとも違う、新しい一

 

普段とのギャップに胸が高鳴る。

 

「はい、ぼたん先輩にトウマ先輩、離れてくださ~い」

 

その瞬間、ぼたんさんと僕の肩を鷹嶺さんの手がつかんで引き離し、左手側に座って腕を抱え込む。

 

「トウマ先輩!! トワのお酒も飲んでください!」

 

反対側から常闇さんが右太ももの上に乗るように飛びついてきて、頭を抱え込まれた。

 

そのまま口に彼女が飲んでいたワイングラスが口に押し付けられる。

 

反射的に常闇さんが落ちないように彼女の細い腰に手を回して支える

 

「あ~トワ先輩ずるい~!? トウマ先輩、私のも飲んでくださいよ!」

 

「トウマ先輩~あたしのも~ほら~」

 

「ちょ、みんな、少し落ち……」

 

常闇さんのを飲んだと思ったら鷹嶺さん、ぼたんさんと連続でお酒が口に運ばれてくる。

 

正直なところちゃんと覚えていたのはここまでが限界だった。

 

うっすらと覚えているのは3人とわいわいしながらお酒を飲み続けていて

 

次に気づいたのは翌日の朝、両腕と腹の上に3人を乗せた状態で。

 

「「「「あたまいたい」」」」

 

4人そろって手酷い二日酔いとなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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