ホロホロしちゃっていいじゃない!   作:てんりょう

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すみません、病んでて執筆が止まっておりましたがなんとか蘇りました。

また短く中途半端ですが、続きは必ず書きますので一先ずご査収願います。


第16話ー1 歌·姫·遭·遇

 

「はぁ~今日も寒いなあ」

 

雲で覆われた空を見上げ、思わず憂鬱な気分になった。

幾ら技術が進歩してもお天道様にはまだかなわないようだ。

気を取り直して人込みを避けながら歩を進める。

今日は楽しみにしているラノベの新刊発売日。ぜひとも開店と同時に買って部屋でじっくりと読みたい。

もしくはミルクディッパーでコーヒーを飲みながらでもいいかもしれない。

そうワクワクを抱きながら、行きつけの本屋「ファンタジック本屋かみやま」にその角を曲がればすぐのところに来た時

突然目の前に誰かが飛び出してきた。

 

「おっと?」

 

「きゃっ?!」

 

避けたらまずいと反射的に受け止めた。

まず視界に入るのは大きめのベージュのキャスケット帽と濃い目のサングラス。

ベージュと白に色分けされたコート。

帽子にしっかり入れているのか髪色ははっきりしないものの、膨らみ具合からそれなりに長い髪なのがうかがえる。

少なくとも女性で、しかしいつもあってるメンバーではないことはわかった。声に聞き覚えもないし。

 

「あ、ごめんなさい」

 

「いえ、こちらこそ」

 

彼女が顔を上げる。

見覚えはない。

しかし、すごい美人だ。

星街先輩や鷹嶺さんのような綺麗というよりときの先輩やフブキさんのようなかわいいタイプの女性だ。

 

「怪我はないですか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

とりあえず半歩分離れてから怪我がないか確認する。

見た感じ問題ないとは思うが、念のためだ。

 

「……だ」

 

「わ………はこっち……く。お……た……そ……」

 

「あ?!」

 

俄かに曲がり角の向こうが騒がしくなった。

複数の男性と女性の焦った声。

そしてそれに反応する目の前の女性がどこか隠れる場所を探すように視線をさまよわさせ始める。

 

(あ、面倒事だ)

 

具体的には学園祭で常闇さんや天音さん、ときの先輩たちのファンが暴走した時に感じる空気。

下手したら割と大ごとになりそうな実験を博衣さんが失敗しかけたときの空気。

暴走した桐生さんと桐生会の騒動に巻き込まれる感じだ。

だけど……

 

「ドウシヨウドウシヨウ」

 

呟きながらオロオロしている姿を、彼女たちが困っている姿と重ねてしまった。

我ながら度し難い。そんなことをしても自分に仇で返ってくるだけだというのに。

でも、

 

「すみません、後でいくらでも苦情は受け付けますので」

 

「え? あっ……」

 

彼女たちに胸を張っていられる自分でいるためにも。

そう心に定めて女性の手を取り、来た道を引き返す。

戸惑っている彼女を無視して近くにある商店の柱の陰に押しやると、隠すように道路側に立って商品を見るふりをする。

ちょうどここは人が立つと死角になる。

 

「どこに行かれた!?」

 

「確かこっちのほうだ!」

 

「まったく!!いつもこうやって我々を撒こうとされるのには困ったものだ」

 

叫びながらバタバタと駆け抜けていくSPっぽい男たちの声が通り過ぎていく。

このタイミングでわざと半歩後ろに出る。あくまでも自然に、だ。

突然出てきた僕に驚くSP

 

「うわっ、すみません」

 

すかさず後ろの彼女を隠すように立ちながら謝罪をする。

 

「ああ、こちらこそすまない。そうだ、君、この女性がどっちに行ったか知らないかい?」

 

SP風の男が見せてきたのは1枚の写真。

そこに写っていたのは今ちょうど出会った女性の姿。

やっぱり理由ありかと思いつつ、

 

「いえ、知らないですね」

 

素知らぬ顔で返答した。

嘘はいっていない。

僕の後ろにいるのだから、“どっちに行ったか”は知らない。

 

「そうか、ありがとう」

 

男は僕の返事にそもそも期待していなかったのか、軽く頭を下げると再び駆け出して行った。

しばらくそのまま様子をうかがい、いなくなったことを確認する。

 

「あ、あの……」

 

「すみませんでした!!」

 

「きゃ?!」

 

兎にも角にも頭を下げる。

おそらく、きっと彼女を助けた形にはなったのだろうけど勝手に手をつかんで押し込むという行為は許されざるものだ。

受け入れられるかはともかく謝意を伝えなければ。

 

「勝手とは思いましたが何やら姿を隠した方がと思い、同意も得ず引っ張ってしまってすみません」

 

「あ、いえ、私も助かったので気にしないでください」

 

彼女の方もこちらに対して頭を下げてくれる。

申し訳ないという気持ちと、ちょっとホッとした気持ちが入り混じる。

さて、とりあえずの問題は去ったようだし行くとするか。

 

「では、僕はこれで」

 

「あ……、ちょっと待っていただいてもいいですか?」

 

改めてファンタジック本屋かみやまに向かおうとすると、袖口をつかまれた。

思わず振り返ると少し不安そうな表情の少女。

 

「えっ……と」

 

「えっと、私最近この街に来たばかりで、でも色々と見て回りたいんですけど、まだ良く道がわからなくて」

 

「はあ」

 

わからなくもない。

で、同時に嫌な予感センサーがなっているのだが。

 

「でも、さっき助けてくれた貴方ならきっと大丈夫かなって思って。……私を色々と案内してくれませんか?」

 

とりあえず、本の引き取りは後日になりそうだな。

 

 

side AZKi

 

始めは単なる好奇心だった。

明らかに訳ありな状況で逃げる私に対して庇う彼に興味を抱いた。

かといってたまにいるナンパではなく、こちらが何か言う前に頭を下げてきてなんというか隔意?とは違うけどそれに近い何かを感じてしまった。

自慢する訳では無いが容姿はそれなりだと思うのだけれど、ここまでさらっと流されるのには少し思うところもある。

だからちょっとした悪戯の意味も込めて道案内をお願いした。

 

「はぁ……まあ、貴女が良いなら構わないですけど」

 

思ったよりあっさり承諾されてちょっと意外。

今まで出会ってきた人たちとは反応が違ってちょっと新鮮かも。

 

「ありがとうございます!」

 

「それで、どこか見たいところの候補とかありますか?」

 

候補、候補かぁ。

これからこの街に住むんだし、まずは有名なランドマークは抑えておくべきかな。

新しくできた友達との待ち合わせにも使うかもだし。

 

「じゃぁ、大きな公園とかビルとかのような有名な施設とかどうでしょう?」

 

「有名な施設……アカデミーは行くとして観光名所は知ってるだろうから……うん、了解です。じゃあ、まずは近くにある穴場のスポットにでもいきますか」

 

「楽しみです!」

 

本当はこんなことはしたないかなって思うけど、いいよね?

そう思いながら私は、先導するつもりで先に歩き出した彼の隣に駆け寄った

 

 

 

 

 

 

side S.H

 

講義も終わったあたしは久しぶりに街を一人で歩いていた。

いつもならそらちゃんとか、かなたんとか皆と一緒なんだけど、なんとなく誘う気分じゃなかったから。

帽子被って髪を隠し、サングラスかけて、目立たないようにしてから適当にぶらつく。

もしかしたらトウマ君に会えないかなと一抹の期待を抱きつつ、彼がよく出没するコース辺りを歩く。

確か昨日本が届くとか言ってたから、本屋を中心としたコースがいいかな。

彼は、まるで犬みたいというか自分のよく行く範囲しか用事がないと動かないから案外会えたりして。

そう思っていたのだけど。

 

遠目で見つけた彼の後ろ姿と

 

いつもの面子とは明らかに違う雰囲気の女性が並んで歩く姿

 

「…………あ”っ?」

 

とりあえず、お姉ちゃんには帰るの遅くなるって連絡しないといけないみたい。

 

to be continue.....

 

 

 

 

 

 

 

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