ホロホロしちゃっていいじゃない!   作:てんりょう

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※注意※

本話は多大な「ご都合主義」「独自解釈」「独自設定」が含まれます。

「イメージが違う」「口調がおかしい」等々感じられる方はブラウザバックをお薦めします。

中途半端ですが、締め切り順守を前提として、前中後に分けました。


第5話「狼と料理、犬猫加えてホラーゲーム 中編」

side:Mio Okami

 

(どうしよう……顔が戻らないや)

 

ミオは熱くなった自分の頬を抑えながら、悶ていた。

 

原因はさっきのトウマ君の言葉。

 

多分、彼に他意はないのだろう。純粋に言葉通りの意図でしか話していないのはわかる。

 

彼の普段の言動から裏に意図はない、と思う。

 

思うのだけど……

 

(あれは、つい勘違いしちゃいそう……////)

 

わかっていたとしても、あれは、うん。

 

(いや、トウマ君が嫌いなわけじゃないんだけど、うん)

 

でも、ほんの少しだけ残念に思う。

 

実際インターフォンの音が無かったらあのまま……。

 

(いやいやいや、ウチ何考えてるの?!?!)

 

ブンブンと頭を振って浮かんだ想像を振り払う。

 

「……ミオしゃ、何やってるの?」

 

「ひゃわっ?!」

 

突然聞こえてきた声に驚いて扉の方へと振り向く。

 

そこにいたのは一抱えもあるダンボールを持ったころねがいた。

 

「いや、その、えっと……」

 

こちらを半目で、どこか変なものを見るようで見つめられ、別の意味で固まってしまう。

 

「なんでもいいけど、ちょっと手伝ってほしいんだ」

 

「はい……」

 

ころねに言われるがまま、段ボールを開き始めた彼女に近づいた。

 

 

 

 

今思えばこの最後のチャンスを逃したのが、あの恐怖の夜の原因だったと思う。

 

 

side out ……

 

 

 

 

 

「「こんばんはー! 遊びに来たよー」」

 

インターフォンに呼ばれて玄関に向かい、扉を開けた先にいたのはそれぞれ一抱えもある段ボールを持った戌神ころねさんと猫又おかゆさんだった。

 

「おっじゃましまーす」

 

いつもの通り、止める間もなく戌神さんが靴を脱いで上がっていく。

 

「あ、ちょっと……」

 

「まあまあーいいじゃんいいじゃん……、あれ、お客さん?」

 

「あ、うん。今、ミオさんが来てて……」

 

「……へぇ、ミオさん、ねぇ」

 

何だろう、ミオさんの名前を呼んだ瞬間、猫又さんの声がいつもより下がったような。

 

思わず彼女の方を見ると、ジッと半目でこちらを見つめていた。

 

「な、何?」

 

「べっつにー? ほら、早く入ろう? 色々あるから手伝ってよ」

 

猫又さんが僕に持ってた荷物を渡すとさっさと中へと入っていった。

 

いつもどことなく自由人な彼女だが、今日は輪を掛けて自由と言うか、ちょっと棘を感じる言い回しというか。

 

兎にも角にも、渡された荷物を片手で抱え直してドアを閉め鍵を掛けてからリビングへと向かう。

 

手に持つ段ボールからはカチャカチャと硬いものが当たる音がする。

 

そこでは戌神さんとミオさんが見慣れない機械のセッティングしていた。

 

台形の台座の上に球状のツルツルとした物体がついており、台座の部分にはUSB端子が見える。

 

「これ、何?」

 

「これー? ロボ子先輩の研究室で作ったらしい試作品のゲーム機だって。色んなゲームを部屋中に投映してプレイできるらしいよ?」

 

「あそこのか……」

 

機械の出処を聞いて、警戒心が1段階上がる。彼処の作品群は高性能品は多いものの、突拍子もないものも同じくらいあるのだ。

 

見るとミオさんもどことなくゲンナリした表情を浮かべている。

 

といってる間に、猫又さんが僕の持ってた段ボールから普通のコントローラーを取り出し本体に繋げていた。

 

「で、この輪っかは何?」

 

僕は段ボールに残っていた輪っかを取り出した。

 

個数は全部で5つ。

 

どれも白いプラスチックのような素材でできており、真ん中に青いスリットのものが2つ、赤いスリットのものが3つあった。

 

「とりあえず、スイッチ、オーン!!…………ぽちっとな」

 

どことなく古臭い掛け声とともに、戌神さんがスイッチを押した。

 

その瞬間、部屋の照明が突然消えた!

 

「「きゃっ?!」」

 

突然のことに、戌神さんとミオさんが可愛らしい悲鳴を上げた。

 

それに数瞬遅れて丸い装置が展開して光を放つ。

 

部屋の中に光が溢れた瞬間、室内の風景が一変した。

 

普通の部屋だったところから、青い空間へと一瞬で様変わりした。

 

ただ、本体の置いてある机はそのままなのが周囲とマッチしていなくて異様に目立っている。

 

「な、何なにナニ?」

 

「おー、凄いね」

 

動揺するミオさんを他所にいつも通り余裕な態度を崩さない猫又さん。

 

『それでは操作に当たっての説明を開始します』

 

そして唐突に始まる機械音声。

 

『まずはメインプレイヤーは青いリングを2つ左右の腕につけてください』

 

「「「「……」」」」

 

その言葉に僕達4人の視線が交差した。

 

「僕はトウマ君が着けたらいいと思うなー」

 

「! ころねもそう思うよ、どうぞトーマ君!」

 

嫌な予感はしていたのだろう。

 

早速猫又さんがメインを僕に据えようとしてきた。

 

そしてそれに乗っかる戌神さん。流石のコンビネーションである。

 

「いやいや、持ってきたころねかおかゆがやったら?」

 

対してミオさんが順当に2人のどちらかの装着を提案してくれる。

 

彼処の作品によるリスクを踏まえて、こっちに配慮してもらったのは嬉しいと思う。

 

とはいっても、僕の選択は決まっているのだが。

 

「わかった。これを着ければいいんだね」

 

「「えっ?」」

 

「そだよー」

 

サッと青いスリットのリングを取ると両手に装着する。手首を通すと自動でサイズが変わって装着された。同時にスリットが青く点滅し始める。

 

この辺の技術力は流石としか言えない。ぴったりフィットして、しかし手首の動きを阻害しないようになっている。

 

「ちょ、ちょっとトウマ君?!」

 

「まさかホントに着けるとは……」

 

対して焦るミオさんと、珍しく驚きの表情を浮かべる猫又さん。

 

……ああ、そうか。

 

「大丈夫だよ。どう言ったってゲームなんだから。……普通の、かはわかんないけど」

 

「それは、そうだろうけど……」

 

敢えて明るく答えることで、ミオさんの心配を晴らそうとおもったのだが、彼女の表情はまだ曇ったままだ。

 

『メインプレイヤーを認証しました。サブプレイヤーの方は片手に赤いリングを装着してください』

 

その間も淡々と進行する音声。

 

「あ、これ着けたらいいんだね」

 

「はいよー」

 

「えっと、こうかな?」

 

僕がメインを着けたのもあるのだろうが、3人とも躊躇いなく赤いリングを装着する。

 

『サブプレイヤーの装着……確認しました。これよりゲーム説明に移ります』

 

数秒間を置いて、ゲームの説明がはじまった。

 

『本ゲームはプレイヤー視点で終始進みます。移動はオートで進みますが、要所要所でプレイヤーの動きをリングが感知して視点が動きます。物を取る動きも、観察する動きも同様です。必ず移動地点の周囲にヒントがありますので、それを探してクリアを目指してください』

 

「ふーん、謎解きゲームみたいだね」

 

「ふーんって、なんのゲームか知らないの?」

 

「そだよー? 『ゲーム入れてあるからテストしてみて。できれば複数人で』って言われただけだし」

 

「なんでそんな怪しげなのを引き受けるのよ」

 

「「なんでって、面白そうだから?」」

 

猫又さんと戌神さんの言葉にミオさんの肩ががっくりと落ちた。

 

気持ちは痛いほどわかる。そんな怪しい依頼を、いくらロボ子さんの研究室の作品とはいえ受けてくるなといいたい。

 

『なお、視点、動作はメインプレイヤーのものと連動していますが、任意でサブプレイヤーの方と切替可能です。切り替える場合は、青いリングと赤いリングを合わせるようにしてください』

 

『以上で説明を終わります。開始するにはコントローラーのスタートボタンを押してください』

 

「あ、説明が終わったみたいだ。それじゃあ、早速……

 

「待った」

 

いざ始めようとスタートを押そうとしたタイミングで、猫又さんからストップが掛かった。

 

「どうしたの、猫又さん?」

 

「このゲーム、多分4人の協力が要りそうじゃない?」

 

「まあ、そんな感じはするね」

 

「でしょ? なら一層の連携強化がいると思うんだよね」

 

珍しく真剣な表情の猫又さん。

 

だけどその言葉もわからなくはない。連携が覚束ないとクリアできないゲームも山程あるわけだし、これがそれに倣っていない保証はないのだから。

 

ただ、どうせゲームなのだからそこまで真剣に連携強化等という必要があるのだろうか。

 

「そうは言うけどおかゆ。どうするつもり?」

 

「うん、それはね……」

 

意味深な笑みを浮かべる猫又さん。

 

指をピンっと立てると、

 

「ころさんはさー、僕達のことなんて呼んでる?」

 

「? おかゆ、ミオしゃ、トーマ君、だね」

 

「ミオちゃんは?」

 

「おかゆ、ころね、トウマ君、だね」

 

「だよね。僕はころね、ミオちゃん、トウマ君って呼んでるけど……」

 

そこで一拍置くと、こちらへ視線を向けた。

 

「でさー、トウマ君は僕達のことなんて呼んでる?」

 

「え、戌神さん、猫又さん、ミオさん……」

 

「は?」

 

皆の名前を呼んだ瞬間、戌神さんの声が一段下がる。

 

それまでニコニコしていた表情も真顔になり、グリンっとこっちを向いた

 

「どういうこと? 何でミオしゃは名前で呼んでるの? 何かあったの? 何でうち達は名前で呼んでくれないの? ねえ、なんで?」

 

「ちょ、戌神さん落ち着いて……」

 

吐息がかかる程の距離まで詰め寄ってきた。戌神さんのかわいい顔が間近にきて正直緊張する。

 

同時に言いようのない圧も感じるため、思わず顔を背けた。

 

グイッ

 

「うおっ?!」

 

「ねえ、何で顔をそらすの? まっすぐころねのこと見て答えてよ? ねえ、何で?なんで?ナンデ?」

 

戌神さんに両手で顔を掴まれ、強引に視線を合わせられる。

 

あまりに近距離で見る彼女の顔に緊張で顔が熱くなるのを感じるとともに、その勢いに思わず背筋が寒くなるという相反する状態になる。

 

また、頭を掴まれる力が強くて離れられそうにない。しかも、さっきより一層距離が近づいていて、彼女の瞳に映る自分の姿も見えるほどだ。

 

「いや、あのね、勝手に名前で呼ぶのはどうかなって思ってて」

 

「ふーん、そなんだー」

 

「今はそんなことないよ?」

 

じっとこちらを見つめる戌神さん。沈黙が痛い。

 

「……なら、もう呼べるよね?」

 

「え?」

 

頭を掴む彼女の手の力が抜けた。でも距離は離れていない。

 

そのままにっこりと笑みを浮かべる。

 

「りぴーと、あふたーみー。こ、ろ、ね」

 

「……ころね、さん」

 

「さん、はいらないんだけどなー」

 

「それは勘弁して」

 

ぶーと不満顔のころねさんに、苦笑で返す。

 

流石に呼び捨てはまだハードルが高い。

 

すると、ころねさんが更に近づき、耳元に顔を寄せてきた。

 

「ま、良いよ。これからはころねって呼んでくれないと……」

 

snap!!

 

「っ?!」

 

首筋に鈍い痛みを感じた。飛び退くほどではないが、思わず仰反る。

 

目の前に映るのはいつもと違うころねさんの姿。

 

「食べちゃうぞ?」

 

こちらにウインクしながら、可愛らしさの裏に艶やかさを含ませた笑みを浮かべている。

 

首筋を軽く噛まれたことに軽い驚きを覚えつつ、彼女が浮かべる普段見せない姿に、言いようのない胸の高鳴りを覚えている自分がいた。

 

to be continue……

 

 

 

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